定例記者会見概要版(平成31年2月12日開催)
平成31年2月12日に開催された定例記者会見の要旨です。
日時
平成31年2月12日(火曜日)午後2時00分~3時00分
会場
市役所 11階北会議室
1 案件説明
(1)平成31年度当初予算案の内示をお知らせします
市長
本日は本当に素晴らしい赤城山の風景が、この市役所11階会議室から一望できます。改めて、前橋は本当に素晴らしいまちだと思います。この素晴らしい前橋を、さらに皆さんに伝えていくために、平成31年の新しい予算案を皆さんに報告します。私としますと、これまで7年間、蒔いてきた種がやっと芽吹いてきたと感じています。その芽に風を当て、養分を与えて、花を咲かせていきます。今まで7年間、描いたロードマップを粛々と進んできました。学校の耐震化やブロック塀が倒れないようにするため急遽工事の予算を組むなど、さまざまな突発的な事業がありました。それでも私の任期中に、さまざまな種が蒔けたと考えています。皆さんも気が付いているかもしれませんが、多くの種から芽が出てきました。その一つが、本日これから皆さんにお示しするICTのまちづくりです。あるいは、公共交通の拡充や、子育て支援であろうと思います。今回の予算の歳入は、市税収入では537億円を見込んでいます。昨年より3.1億円の増加です。しかし、合併特例措置の段階的な縮減などの影響によって、普通交付税が減少している。そして、なによりも臨財債の発行が政府の方針で抑制されています。その影響で減収になります。その分は通常債を発行するとともに、経常的な経費を中心に予算の見直しを行い、今回の予算を編成しました。
そうした中でも、新しい価値の創造都市を目指して、新たにスタートした第七次前橋市総合計画や前橋版総合戦略の着実な推進に向けて、子育てや教育環境の整備、社会保障の充実、暮らしやすく魅力あふれるまちづくりなどに配慮した、未来に向けて飛躍できるような予算としています。
平成30年度からスタートした第七次前橋市総合計画や地方創生の取り組みの推進、地域経営の視点や効率的な事業運営などを基本的な考え方として、多様化・高度化する市民ニーズを的確に把握するとともに、事業効果や成果の検証を十分に図り、厳しい財政状況においても限られた財源を有効に活用することにより、持続可能なまちづくりを実現するという方針のもとで、平成31年度当初予算を編成しました。
(2)5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションの実証試験を行います【全国初】
市長
本市における救急搬送時間は全国でもトップレベルの短さですが、県内には山間部や過疎地域も多く、搬送に時間がかかる場所もあります。こうした場合は、救急車やドクターカー内で適切な処置を行うことが救命率の向上につながります。
今回の実験は、次世代移動通信システム5Gを活用して、救急車とドクターカー、救急指定病院の3者間で、診断用の高精細映像や患者情報の共有を行うことで、適切な処置による救命率の向上を目指すものです。救急搬送に5Gを活用した実験を行うのは、全国でも初の取り組みです。充実した医療環境と連携体制の確立された本市でこそ、新しい技術である5Gを活用した救急医療の高度化のモデルを示すべきと考えています。将来的には、市外に、そして全国に広げたいです。
実験には、本市消防局や前橋赤十字病院の救急医療関係者のほか、前橋工科大学、ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構、その他医療機器メーカーが参加します。また、5Gのシステムについては、NTTドコモから提供を受けます。NTTドコモと昨年5月に締結したICTを活用した街づくりの協定に基づく諸事業の一つとして実現したものです。
2月15日(金曜日)に実験を行います。記者の皆さんには、ぜひ、取材をお願いします。続いて、NTTドコモ群馬支店の支店長から、実験の詳細について説明してもらいます。
株式会社NTTドコモ群馬支店 支店長
NTTドコモでは、5Gの本格導入に向け、幅広いパートナーとコラボレーションをしています。新体感サービスとして、スタジアムでの新しいスポーツ体験、VR・AR・MR、新体感ライブなどを提供します。また、遠隔医療や映像解析による異常検知による防災・防炎、建設機械などの遠隔操作などで、社会課題解決や地方創生を目指しています。
5Gが目指す目標性能ですが、20ギガビット毎秒の高速・大容量通信、無線区間の伝送遅延1ミリ秒の低遅延、多様な端末との同時接続などです。
今回の5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションですが、救急指定病院と救急車・ドクターカーの間に5Gを用いた通信路を構築し、診断用の高精細映像の伝送を可能とする環境を構築します。救急搬送中の時間をさらに有効活用し、適切な処置を行うまでの時間の大幅な短縮と救命率の向上に関する、救急医療分野で初の5Gを活用した実証実験です。
システムですが、マイナンバーカード(救急搬送支援システム)を活用して患者情報を確認します。映像と音声による3者間でのリアルタイムコミュニケーションシステムです。走行中の救急車内から患者の容体などを高精細な映像で、病院とドクターカーへ伝送し、医師から適切な指示が可能です。
試験のシナリオですが、119番通報し、通信指令より救急車とドクターカーの出動要請。現場へ急行します。救急車が現場到着し、患者の搬送を開始します。患者の意識はありませんが、マイナンバーカードの活用により患者情報を確認し、それを病院とドクターに共有します。患者の容体を高精細な映像で病院とドクターカーへ伝送し、医師からの適切な処置の指示を受けて、救急救命士が適切な処置をしながらドクターカーと合流し病院の医師と連携をとり適切な処置をしながら搬送先の病院へと急行します。ドクターカーが病院へ到着するころには、事前に現場の状況が収容先医療機関と共有されているため、院内の受け入れ体制は整っています。
消防局警防課 職員
まずは、今回の実証実験でプレイヤーとなります高度救命救急センターのセンター長(医師)からの言葉を伝えます。
「今回の5Gの実証実験に求めることですが、地域住民のための実証実験とすることが一番重要です。また、救急隊の病院到着前の活動が、救急救命士の処置拡大と同様にさまざまな状況で多様化してきています。その中でのメディカルコントロール、すなわち救急の際の病院到着前の活動を医師が担保する仕組みを、より迅速に正確に行えるようにすることです。具体的には先ほどの話のとおり、鮮明な画像や複数のデータを一度に送受信できることで総合的な判断が迅速にできるようになることに有効性を感じています。また、災害などで大規模な消防力が数多く必要となってくる場面でも、こういった見える情報の共有化が有効になっていくことを期待しています」
また、消防局からですが、救急活動は皆さんご存知のとおり、緊急性が高い中で、いかに無駄なく効率的に適切な医療機関に処置をしながら搬送するかということに意義があるものです。具体的には、私たちが観察した結果で得た容体について、適切な医療機関に搬送することです。そのために、私たちに救急要請があった患者・傷病者の年齢、性別はもとより、意識や呼吸の状態、循環や脈拍の状態、心臓の動きなどの情報を、救急隊員が自分で感じ取ります。これらの状況を総合的に判断して、医療機関に伝えるというのが現行の活動です。現状でもメールなどを用いて心電図を送ることなどはできるのですが、データ送信の遅延や走行中の車両からの作業には課題もあり、完全に実用化できているとは言えない状況です。例えば、吐血の患者がいるときには、トイレに吐血されたものなのか、床に吐血されたものなのか、どのくらの量の吐血があったのかなどの情報を、搬入先の医師から求められます。吐血の場所や床の形状などから正確に吐血量を判断するには、救急隊員の自己研鑽が必要です。今回の実証実験のように、リアルタイムで高精細な映像や画像が送れるようになれば、活動時間の短縮だけでなく正確な情報伝達が行えるようになります。
今まで私たち救急隊は、医師の目となり、手となりという救急活動を行ってきました。これらが大きく躍進する可能性のある実証実験であると感じています。今は救急の話でしたが、火災などの災害現場でも、リアルタイムに情報伝達ができるということには、今後の救助活動の発展に大きく期待が持てます。
(3) 働き方改革推進セミナー「チームワークあふれる会社・地域を創る」を開催【初開催】
市長
本市では前橋ビジョン「めぶく。」のもと、市民、企業・団体、行政がそれぞれ自分ごととして地域の課題を捉え、自主的・自律的に、また官民連携して課題解決に取り組む地域経営を進めようとしています。現在の日本では、生産年齢人口の減少や育児・介護との両立など働く人のニーズの多様化の状況に直面し、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を創ることが重要な課題となっています。4月からは、働き方改革関連法が順次施行され、時間外労働の上限規制や、年5日の年次有給休暇の取得が企業に義務付けられます。単に残業をしないことや有給休暇を取得するというだけでは、働き方改革とは言えません。
どうしたら残業をせずに済むのか、みんなが休みをとれるのか、真の働き方改革を推進するために必要なことは何かということを、企業経営者だけでなく働く人たちも、そして地域全体でも考え、意識改革を図ることが必要です。今回のセミナーでは、働き方改革にいち早く着手し、多様な働き方を取り入れ、離職率の低下や採用力アップなど大きな成果をあげるとともに、総務省や厚労省、内閣府などの働き方改革プロジェクトの外部アドバイザーも務めるサイボウズ株式会社の青野社長から、働き方改革につながるチームワークを学びます。
多様化する組織には、どのような環境が必要になるのか。そのためのチームワークとは何か。第二部では、青野社長に加え、本市で積極的に働き方改革を実施している株式会社ソウワ・ディライトの渡邉社長と私のクロストークを行います。コーディネーターには共愛学園前橋国際大学の大森学長を迎え、会場の質問に答えながら会社だけでなく地域全体がチームワークを通じて変化し、より良い働き方を模索するための一歩を踏み出すきっかけを創ります。
開催日は3月15日(金曜日)、会場は総合福祉会館2階の多目的ホールとなります。
(4) 本市における豚コレラへの対応について
市長
昨年9月に国内では26年ぶりとなる豚コレラが岐阜県で発生し、今月6日時点では、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府での感染も確認されています。感染の拡大が止まらない状況となっています。そこで本市では、今月7日に群馬県やJA前橋市、生産者に出席いただき、前橋市豚コレラ緊急対策会議を開催。対応策を協議しました。会議では、豚コレラの国内での発生状況や県の対応状況、市内養豚農家の防疫対策状況などの報告が行われました。
また、本市の今後の取り組みとして、広報まえばしや本市ホームページによる市民への周知、消毒薬の配布などについての検討、野生イノシシ対策について協議しました。防疫対策については、都道府県が主体となり措置を講ずることになりますが、本市や近隣市町村などで発生した場合は、前橋市特定家畜伝染病対策本部設置要綱に基づき、市役所を挙げて対策に取り組んでいきます。
その他
本市ウェブサイトのリニューアル
市長
本市のウェブサイトのリニューアルが完成しました。今回特徴的なのは、見やすくなったことや、障害を持っている人々に対しても優しくなるようにアクセシビリティが改善したことです。また、コミュニティの場であるみんなの掲示板「minbe!」では、さまざまな情報発信を市民が前橋市の公式ウェブサイトを使ってできます。
市政発信課職員
2月1日に行いました前橋市のホームページのリニューアルについて説明します。主な改良点は3つあります。1つ目は閲覧端末への配慮です。スマートフォンやタブレットに対して、閲覧する際に自動的に画面が切り変わり、見やすいように変わるようになりました。2つ目はデザインの変更です。市内の写真をトップで大きく使ったり、前橋らしさをテーマにしたイラストや市章を使ったり、水と緑と詩のまちというキャッチフレーズのとおり、水色と緑色を用いるなど、見た人が前橋市ってどのようなまちか分かるようにしました。ページの一番下のイラストが、四季によって変わることになっています。季節をここで感じることができます。
また、市民の皆さんが情報発信できる場にしたいと考え、新しく2つの機能を追加しました。まず1つ目が、トップページの右上にあります「前橋えがお時計」です。こちらは見ると笑顔になれる写真を市民から募集しまして、応募があったものを掲載します。もう1つが、「みんなの掲示板ミンベ!」という機能です。便利な機能のタグからクリックして入れます。ここでは市内のイベント情報ですとか、活動団体のメンバー募集を市民や市内で活動している人に投稿してもらうことができます。これらの機能を市民が積極的に使うことで、便利で楽しく、より使われるホームページになれば良いと思って作っています。
前橋シネマハウス
市長
恒例の前橋シネマハウスです。いよいよ今週末から、映画「カメラを止めるな!」の上映が始まります。茨城県水戸市がロケ地の映画なので、水戸市長から宣伝を頼まれました。水戸市でもインディペンデントの名作が作られていることを伝えさせていただきます。
2 質疑応答
平成31年度当初予算案の内示をお知らせします
記者
数々の新規事業がありますが、山本市長が特に力を入れたいと考えているものはどれでしょうか。今回、普通交付税の特例措置が段階的に縮減されているということで、平成32年度以降は、さらに厳しい財政状況になってくるかと思います。これ以降、どのような方針で進めるかということも教えてください。
市長
予算はそれぞれの思いで、みんなで編成したものです。そして、その後ろにはそれを願っている市民や市議会などのさまざまな思いがあります。例えば200万円の予算ではありますが、手話研修の普及などは私にとっては大切な事業です。ただこの中で、前橋をどのようなまちにしていくかということで言えば、上武国道に設置する道の駅、AIを活用した取り組み、教員の多忙感を解消するような取り組みをあげます。これらが一番大きな本市を引っ張る原動力になると思います。
普通交付税の縮減に対してです。記者のご指摘のとおり、普通交付税の金額は今後伸びません。なぜなら、合併した5つのまちでもらって積み上げてきたものが、前橋市という大きな1つのくくりで捉えられるようになるからです。5つ分が、1つになるわけですから、その分減っていきます。前橋市という1本算定になるまで、わずかな期間となりました。もちろんこれを覚悟して予算を組んでいます。しかし、縮減だけではありません。行財政改革で、民間でできることは民間に仕事を渡していく。または、不要な土地など、私たちの手の中にあるものを換金します。それによって予算を組み立てていく努力がなければ、市民の暮らしを守ることはできません。
今回、この先9年間に及ぶ行財政改革大綱を作成しました。これをやっていかなければ市民に還元できる財政は生まれないだろうと考えています。小さいことですが、4年前から始めた発電事業でも、年間3,500万円の収入になります。これを毎年積み立てて、市民に還元するために公園愛護会への予算を付けました。あるいはネーミングライツもしかりです。市民が親しんできたものに企業の名前を付けるのかという批判もありますが、新しいチャレンジをして、市民のために財源をつくっていきます。このようなことで、普通交付税の減少に対応していきます。
記者
教員の多忙感の話がありましたが、この対策は学校現場から要請が多かったのでしょうか。また、新年度の予算に市長が名前を付けるとしたら、どのようなキャッチフレーズになるでしょうか。
財政課長
教員の多忙感の解消については、学校現場からの声があり予算に組み込んだものです。
市長
教員の多忙感を解消するために、私は7年前まで30人学級にすることが必要だと思い込んでいました。しかし、当時の教育長に、30人学級にしても課題のある子どもがクラスに1人、2人いれば教員は多忙になるわけだから、教科担任制にするなどにしたほうがよいという教えをいただきました。そういった学びが、この7年間の予算の中に反映されてきています。具体的な要請があったかといえば、まさに現場を知っている教員出身の2人の教育長の熱い思いが、この教育委員会の予算につながっているのだと考えています。
予算に名前を付けるとすれば、「開花」です。花よ咲けという状況まで、私が言ってきたことが形になってきています。マイナンバーカードに医療情報や学校の情報を入れることで、まさに今まで見ることのできなかったことが見えるようになるのです。開花直前ということが、今の私からの大きなメッセージです。皆さんと一緒に、そのさまざまな花を愛でたいと思います。
5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションの実証試験を行います【全国初】
記者
5Gで高解像の写真を共有する仕組みやマイナンバーの活用の方法などを、具体的に教えてください。
NTTドコモ群馬支店
今回の実験での5Gの無線装置は、基地局と端末装置に分けられます。病院に見立てた基地局を市役所内に設置します。そこから救急車とドクターカーそれぞれに5Gの移動局装置、つまり端末に相当するものを設置します。5G回線を通じて、救急車やドクターカーで得られた映像が基地局に集まります。これがどれだけ高精細な画像かと言いますと、4K画質のカメラ映像がリアルタイムに得られます。ドクターや救急隊員の間でコミュニケーションを図る際のテレビ会議なども行えます。さらにドクターカーには心電図やエコーなどの医療機器がありますので、これらの診断結果も一括して5Gで送ることができます。
前橋工科大学 教授
マイナンバーカードの救急搬送システム開発チームの代表をしています。マイナンバーカードをどこで使うかですが、救急隊員であっても、病院の医師であっても、他人の重要な情報を見るということになりますので、そこには高いセキュリティを掛ける必要があります。マイナンバーカードを使って、医師や救急隊員が患者の個人情報を見る際のセキュリティを確保します。
医師や救急隊員など個人情報を見る側、患者など個人情報を見せる側の2段階でセキュリティを確保するわけです。マイナンバーカードは、電子チップを搭載しています。タブレット端末を使って、この電子チップに入った個人情報を読み取ります。マイナンバーカードを読み取る特別な機器が必要なわけではなく、救急車やドクターカーにこれを読み取るタブレット端末を配備します。
案件以外の質問
倉嶋副市長解職に伴う市議会への報告
記者
先日市議会で倉嶋副市長の解職についての報告がありました。また、改めて調査結果の要旨と、このことについての市長の所見を教えてください。
市長
私たちも思いがある中で、倉嶋氏の解職について政治判断をしました。その後、聞き取りの中で、担当者から当時の事業の進め方を聞きました。やはり、私と副市長の間に、政策運営上の課題があったと確認しました。したがって、私の判断が裏付けられる事実が明確になったと考えています。
記者
特に顕著な事実は、どのようなものがありますか。
市長
例えば、中心市街地再開発事業は大きな事業であるのに、公募参加の条件であった公募点数が公募の前日に変わったことなどには違和感がありました。もう少し私に対する相談であるとか、市役所の最高意思決定機関である庁議での議論があるべきであったろうと思います。
(以上で終了)
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更新日:2019年02月21日