定例記者会見概要版(令和2年9月25日開催)

令和2年9月25日に開催された定例記者会見の要旨です。

日時

令和2年9月25日(金曜日)午後2時~3時20分

会場

市役所 11階南会議室

動画配信(前橋市公式ユーチューブ)

1 案件説明

(1)藩営前橋製糸所のジオラマが完成しました

市長

古墳時代から続く歴史の中で前橋が最も輝いていたのは、シルクの力で前橋の経済を動かしてきた明治時代です。その中核となったのが、藩営前橋製糸所です。今回、そのジオラマを披露できることとなりました。

群馬地域学研究所 代表理事

平成26年から、「生糸のまち・前橋発信事業」を行ってきました。その目的の1つが、世界遺産になった官営富岡製糸場に先駆けて、明治3年に日本で最初に創業された洋式器械製糸所である藩営前橋製糸所の歴史的な意義を検証し、顕彰することです。これまで、研究の成果をシンポジウムやブックレット刊行を通して発信してきました。

また、復元については難しいとされていました。というのも、資料的な根拠がなかったからです。資料としては、まず、明治11年に天皇が前橋に来るというので献上された写真が、外見的な資料として残っていました。それから、文献としては、富岡製糸場を作るということで杉浦譲が前橋に視察に来た際に残した日記に記載がありました。非常に粗末な建物で、縦9メートル・横14メートルくらいで、器械が12台くらいあるという記載しかありませんでした。そのため復元するのが難しかったのです。

しかし、藩営前橋製糸所を指導したミューラーは、全部で3か所の製糸所(藩営前橋製糸所、小野組築地製糸所、工部省勧工寮赤坂葵町製糸所)を指導しており、すべて同じ器械を使用していました。平成29年に東京農工大学で葵町製糸所の図面が発見され、東京農工大の教授と学生が一緒になり、ジオラマや3D映像を制作しました。これにより、藩営前橋製糸所のジオラマと3D映像の制作が可能になりました。

ぐんま食と歴史文化財団 代表理事

藩営前橋製糸所創業150年の記念事業の一環で、このジオラマ及び3D映像作成の話をいただきました。近代前橋の発展の源ともいえる前橋製糸所を偲ぶ事業は助成する意義があると考え、資金を助成することとなりました。ジオラマを多くの市民に披露し、前橋の歴史に関心を持ってもらう一助になれば幸いです。

(2)「なぜ踊らないの-生誕100年記念 萩原葉子展」
「おちゃめなアリス 田村セツコ展 私が出会った表現者たち4」開催

市長

萩原朔美館長のお母様である、萩原葉子さんの初の企画展「なぜ踊らないの―生誕100年 萩原葉子展」と、「おちゃめなアリス 田村セツコ展 私が出会った表現者たち4」を開催します。

前橋文学館長

今回、自分の母親のことで語りづらい点もありますが、生誕100年ということで企画展を開催することとなりました。また、葉子と非常に親しいイラストレーターの田村セツコさんの企画展も開催します。

葉子は40歳で『父・萩原朔太郎』を出版しました。40歳を過ぎて、手紙も書いたことがなかった女性が作家になってしまうというのは子供心にすごいと思いました。そして葉子は70歳になってからアクロバティックなダンスを習い始めたわけですが、私は74歳ですけれども、70歳を過ぎてから踊り始めるというのは想像ができません。田村セツコさんは80代ですが、私は80代になったら、ぜひ田村セツコさんのような生き方がしたいと思っています。田村さんの「おちゃめ力宣言!」はとても元気が出ます。

もし、葉子と田村さんの共通点があるとすれば、田村さんの言葉で言う「おちゃめ」だと思います。田村さんはサンリオ『いちご新聞』でイラストを描かれていました。田村さんは日本の「Kawaii」文化の出発の一人です。サンリオは今や世界中のどこにでもあり、とても驚きます。まさか、「カワイイ」という文化が日本から発信され、世界語になるとは思いませんでした。人類は進歩ではなく変化だといいますが、変化し続けていることが若さを保つ秘訣ではないでしょうか。キューティズムやカワイイというのは実は変化のことで、変化というのは手段ではなく目的であるような気がします。そこが、葉子と田村さんの共通点だと思いますので、今回の企画展を通して、80歳の青春もあるということを理解していただけたらと思います。

田村セツコさん

萩原葉子さんのご著書に挿絵を描かせていただいたのがご縁で、朔美館長とも知り合いました。葉子さんは、次々と冒険をクリアしてきた方で、私には「不思議の国のアリス」のアリスと重なって見えます。葉子さんから、たくさんの刺激を受けました。高齢化社会に向かっていますが、あまり深刻に捉えず、おちゃめに、楽天的に生きていくのがいいのではないかと思っています。

(3)赤城山ARヒルクライムを開催します

市長

残念ながら、マラソンもヒルクライムも実施することができませんでした。赤城大沼白樺マラソンはバーチャルで行いましたが、赤城山ヒルクライムはARで行うこととなりました。

前橋市まちづくり公社 担当者

ARとは、Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ/拡張された現実)という意味です。実際にヒルクライムのコースを実写で動画撮影し、その中にスタートゲートやスポンサー広告といったものを入れ込み、現実化したように作り込んだ動画の中を走る、というものです。

動画撮影にはGoProというカメラを使うと同時に、GPSコンピューターを一緒に使っています。このGPSコンピューターに坂の斜度などが記録されますので、赤城県道と全く同じ負荷がかかるように作られています。きつい斜度なら軽いギヤにする、楽な斜度なら重いギヤにするなどといったことを自分でコントロールしながら、ほぼ実際に近いことを、自宅にいながらアプリケーションを通して行えます。

新型コロナウイルスの影響を受けて、今後もこういったスポーツイベントの中止が見込まれる中で、バーチャルのスポーツイベントもリアルのイベントと並行して発展していくものと考えています。リアルイベントがないからという一過性のものではなく、来年度以降も、リアルのヒルクライムに対するブランディング貢献という位置づけにできたらと考えています。

使用するアプリ「Rouvy」(ルービー)は、世界中に30万人のユーザーがいます。ルービーはチェコの会社ですので、ユーザーはヨーロッパに多いのですが、ルービーのアカウントを持っている人であれば、誰でも今回のレースに参加することができます。そういった観点からも、スポーツツーリズムという面でも貢献できると考えています。

(4)自立型対話AIによる案内システムの実証実験

市長

今回実証実験を行うAIによる案内システムは、私たちにとってはDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。

情報政策担当部長

10月5日(月曜日)から、市役所1階マイナンバーカード総合支援窓口において自立型対話AIの実証実験を開始します。8月末から、市役所1階においてマイナンバーカード、マイナポイント、マイタクを一括で申請できるマイナンバーカード総合支援窓口を開設しました。少々密の状況になるということで、9月1日からは混雑状況が確認できる「混雑ランプ」を試験導入したところです。今回は、混雑の緩和を目的として、自立型対話AIを導入します。

現在の流れとしては、まず、1階で市民の方が番号札を取ります。番号札を取り、自分の番号が呼ばれたときに該当する窓口に行き、そこで初めて要件の聞き取り及び案内となります。そのため、かなりの時間がかかっていました。今回導入する案内システムでは、窓口に案内する前の段階での取り組みとなります。

まず、AIが市民の方に対して目的の聞き取りを行い、一定の質問をした後に、ラックから必要書類と窓口受付番号カードを取るように案内します。市民の方は待ち時間に書類に必要事項を記載します。番号が呼ばれたら、窓口で書類を提出します。

最初の3週間は、実際の質問のデータを収集するため、遠隔でアバターを操作して回答します。得られたデータを基にシステムの再構築を行い、11月16日(月曜日)から本格的に運用を始める予定です。

高崎健康福祉大学 中村講師

AIやロボットは仕事の負担を軽減するために利用されますが、突然ロボットが登場すると、市民が驚くといったことが多いです。そのため、そういったことがなくスムーズに導入できるように、段階的に進めていこうと思っています。

2 質疑応答

藩営前橋製糸所のジオラマが完成しました

記者

藩営前橋製糸所があった場所は、現在の何町にあたりますか。

群馬地域学研究所 代表理事

現在の岩神町です。前橋医療看護学校の隣です。

記者

東京農工大学で発見された図面を基に立体化したとのことですが、その工程を教えてください。

群馬地域学研究所 代表理事

東京農工大学で発見された図面は、当時のプロが書いたものではなく学生たちが書いたものでしたので、立体化が難しかったのですが、東京農業大学の教授や学生さんに加え、建築家の方にも入っていただき、建物のジオラマと3D 映像を作りました。その後、杉浦譲が資料に残した「十二器也」のとおり、12釜がちょうど入ることがわかりました。

記者

このジオラマの縮尺を教えてください。

群馬地域学研究所 代表理事

実際の建物の50分の1です。

記者

このジオラマの今後の活用方法について教えてください。

群馬地域学研究所 代表理事

藩営前橋製糸所は日本の近代史を考えるときに有益なものですが、これまで忘れられてきましたので、まずは市民の皆さんにそのことを理解し、誇りに思ってもらいたいです。そして、全国に発信し、藩営前橋製糸所を復元して前橋の新たなシンボルにしたいと考えています。歴史まちづくりの一助になればと思います。

記者

ジオラマの制作などにかかった費用を教えてください。

群馬地域学研究所 代表理事

約100万円です。

「なぜ踊らないの-生誕100年記念 萩原葉子展」
「おちゃめなアリス 田村セツコ展 私が出会った表現者たち4」開催

記者

萩原葉子さんと身近に接する中で、母や文筆家の側面を見てきたかと思いますが、館長の目にはどのように映っていますか。

前橋文学館長

葉子がまず始めたのは、『父・萩原朔太郎』を書くことでした。それまで文章を書いたことがなかった人が、人に勧められて書き始めたのですが、書くことで思い出が次々と復元されました。そして「日本エッセイストクラブ賞」を受賞したわけですが、そのことが、自分は文筆家として生きようというきっかけになったようです。「萩原朔太郎の娘」と言われ続けたことを超えようとして、フィクションの道に進みました。自分の過去を素材に書いた長編小説がベストセラーになり、さらに女流文学者として賞も取りました。小説家になった後はどうするのだろうと思っていたら、ダンスを始め、異常なほどのめり込みました。その後は、田村さんに出会った影響かと思いますが、猫のワッペンなど様々なモノを作るようにもなりました。創作意欲に目覚め、かなりの数を作りました。そして、体が動かなくなった頃、最後にまた、萩原朔太郎について文章を書いています。何を書くかと決めたときに、父親のことに戻っていったのだと思います。

記者

田村さんの企画展のチラシを拝見して、非常に気分が明るくなりました。「こういう絵が描きたい」「描いた絵をこんな風に見てほしい」「こんなことを伝えたい」などがありましたら教えてください。

田村セツコさん

私は素人から始まりました。美術学校も出ていませんし、専門の勉強はしていませんでしたが、憧れの松本かつぢ先生に質問の手紙を出したのが最初でした。「どうしたらそういったお仕事に就けますか」と往復はがきを送ったところ、「一度訪ねていらっしゃい」ということでした。先生にお会いして「こういった職業でやっていけますでしょうか」と尋ねたところ、「そんなこと誰にもわからないさ」とおっしゃいました。誰にもわからないのならやってみようと思いました。

ほとんどは注文に答えることから始まり、小さなイラストを描いていました。途中から、エールや元気を送るような絵に変わっていったと思います。

赤城山ARヒルクライムを開催します

記者

スマートトレーナーは一般的に普及しているものですか。

前橋市まちづくり公社 担当者

しています。比較的熱心なサイクリストであれば間違いなく認知していますし、コロナ禍でスマートトレーナー市場が非常に大きくなっています。スマートトレーナーへの認知度が比較的高まっている状態で開催することになるため、開催に対するハードルが高いとはあまり考えていません。

記者

ルービーは、無料期間が終わったあとは料金がかかるのでしょうか。

前橋市まちづくり公社 担当者

かかります。月額1200円です。

記者

スマートトレーナーの価格を教えてください。

前橋市まちづくり公社 担当者

機能によって異なり、6万~15万円程度です。

記者

GoProでの撮影時、速度はどのくらいで行いましたか。

前橋市まちづくり公社 担当者

約60キロです。今回はヒルクライムですが、平坦な道であれば自転車は60キロ程度の速度が出ますので、ルービーの1つのレギュレーションとして60キロで撮影を行いました。

記者

スポーツツーリズムの観点からお聞きします。今回、ルービーを使用することで世界中の人にも参加してもらえるようにしたことで、新型コロナウイルスが収束した後にも、サイクリストに来てほしいという考えでしょうか。

前橋市まちづくり公社 担当者

国内でのヒルクライムレースは増えてきています。そこで、赤城山を目がけて来てもらうために、実際に赤城山と同じ負荷のかかる映像の中を走ってもらい、チャレンジャーの闘争心に働きかけたり、よりレベルの高い大会ができたり、地域とも連携を組むことで、赤城山に来ることによってでしか得られない付加価値というものを伝えていくことができると考えています。

記者

レース当日はプロサイクリストや有名ヒルクライマーたちが参加するということですが、例えば、前後にどういった人が走っているかという情報は画面に表示されるのでしょうか。

前橋市まちづくり公社 担当者

表示されます。実際に自分の周りを走っているアバターと、画面上で見える範囲のアバターと、遠く離れているアバターについては、画面下に点で表示されます。スタート時には、申し込みのあった選手全員が画面上に並びます。

自立型対話AIによる案内システムの実証実験

記者

システム再構築期間がありますが、この期間、AIは置かないのでしょうか。

情報政策担当部長

AIによる案内は行いませんが、AI用のデジタルサイネージは置いたままですので、別の動画を流す予定です。

記者

11月16日の本格稼働以降は、何か所程度に配置しますか。

情報政策担当部長

画面に向かって話しかけづらいという意見もありますので、タブレットに向かって話しかける、あるいはチャットボット形式も検討しています。いずれにせよ、質問収集期間中に心理的ハードルなども見えてくると思いますので、11月16日からはそれらを解決するようにします。

記者

こういった窓口でのAIによる取り組みを行っている自治体は他にありますか。

情報政策担当部長

自治体ではありませんが、東京駅に「AIさくらさん」というシステムが導入されました。同様のシステムが、高輪ゲートウェイ駅にも導入されています。おそらく、自治体でこうした取り組みを行うのは初めてではないかと思います。

記者

11月16日から稼働とのことですが、終了はいつですか。

情報政策担当部長

まだ決めていません。11月16日が最終形態ではありませんので、新たなデータが収集できればアップデートができます。そういったことも見据えながら事業を検討していきます。

記者

話しかけやすいキャラクターにしたということですが、漫画的な女性のキャラクターが話しかけやすいといった先行研究などはあるのでしょうか。

高崎健康福祉大学 中村講師

日本はコミュニケーションに関する研究が非常に少ないのですが、海外にはあります。ただ、女性ではなく「丸みをおびた」もののほうが話しかけやすい、親しみやすいといった結果でした。

記者

システム再構築期間でやるべきことというのは、質問への回答作成が中心になると思いますが、他にはどんなことを落とし込んでいきますか。

高崎健康福祉大学 中村講師

質問収集期間に、おそらく色々な話しかけ方をすると思うのですが、前橋独自のAIとの関わり方というのが見えてくると思います。それにうまく応答できるようなシステムを作るのが課題です。東京であれば、AIに慣れているので話しかけ方が違ってきたりしますが、前橋独自の話しかけ方に合わせる必要があると思います。

(以上で終了。)

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更新日:2020年10月01日