令和元年度第1回前橋市自然環境保全推進委員会

審議会名

自然環境保全推進委員会

日時

令和元年7月30日(火曜日)
午後2時00分から午後3時30分

場所

前橋市役所本庁舎3階 32会議室

出席者

(1)自然環境保全推進委員

金井委員長、篠原副委員長、姉崎委員、大嶋委員、大森委員、金杉委員、小西委員、土屋委員

(2)環境部長

南雲環境部長

(3)事務局

大原環境政策課長、大山課長補佐、亀井主事

(4)自然環境調査(鳥類)業務受託会社

株式会社総合環境計画 永堀氏

欠席者

なし

議題

1.前橋市自然環境調査(鳥類)について
2.市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ)」について
3.その他

会議の内容

1 開会

大原環境政策課長

2 あいさつ

南雲環境部長

3 議事

議題に入る前に、委員会の成立要件の確認を行い、委員8名中8名の出席により本日の会議が成立していることが報告された。

(1)前橋市自然環境調査(鳥類)について

議長(金井委員長)
それでは、議題(1)前橋市自然環境調査(鳥類)について事務局より説明をお願いしたい。

事務局(亀井主事)
資料1「前橋市自然環境調査(鳥類)中間報告(繁殖調査結果)」に基づき、業務概要、調査結果、今後の予定等の説明を行った。

議長(金井委員長)
ただいま事務局から説明があったが、各委員さんから質問や意見などがあれば発言をお願いしたい。

金杉委員
ラインセンサス法は目視と鳴き声の両方の確認でよいか。

事務局(亀井主事)
両方の確認である。

調査会社(永堀氏)
鳴き声は地鳴りとさえずりを分けて記録している。

小西委員
個体数は、調査ルートの片側25mの範囲にいた鳥を記録していると思うが、調査範囲外にいた鳥はどのように扱っているか。

調査会社(永堀氏)
調査時の記録は、厳密に片側25mというわけではなく、種の確認が取れる範囲で記録している。

小西委員
調査結果に記録されている個体数は片側25m範囲のものか。

調査会社(永堀氏)
範囲外で確認された鳥も含めた個体数を記録している。

小西委員
最終的にはどのようになるか。

調査会社(永堀氏)
今回の個体数が最終的な記録となる。

小西委員
そうなると片側25mの調査方法ではないということか。

調査会社(永堀氏
本日の資料では、片側25mの範囲内のものを記録しているため、範囲外は含まれていない。

小西委員
範囲外にいた鳥の種は記録してあるか。

調査会社(永堀氏)
記録してある。

小西委員
定量できるように25mの範囲はきっちり個体数を記録したほうがいいと思うが、範囲外でのみ確認された鳥は、調査エリアにいるということで参考としての記載があるといい。

調査会社(永堀氏)
調査時は、範囲外で確認された鳥も記録しているので、最終的な報告書では範囲内外の確認種をそれぞれ区別して整理する。なお、今回の夏季調査では範囲外でのみ確認された鳥はいなかった。

小西委員
調査範囲は調査エリアのごく一部でしかなく、生息していても調査範囲内には現れない可能性もある。例えば調査エリアにはインコも生息していると思われるが、今回は確認されていない。調査範囲外で確認した鳥も定性的に確認するとよい。

調査会社(永堀氏)
承知した。

小西委員
9ページの3.2調査結果の(1)確認種数のところで、「各地点の調査ルート距離・調査面積・・・」とあるが、調査ルートの距離と調査面積の記載がないと思われる。

調査会社(永堀氏)
今回の報告では出していないため、最終的な報告書には記載する。

金杉委員
鳴き声も片側25mの範囲となるのか。

調査会社(永堀氏)
経験則となってしまうが、ある程度近くで聞こえているものを記録している。

金杉委員
遠くの方で聞こえているものは入れていないということか。

調査会社(永堀氏)
そのとおりである。

小西委員
繁殖期調査だと、葉が生い茂ってしまい、姿が確認できないことが多いため、鳴き声が重要である。

議長(金井委員長)
貴社は前橋市以外でも様々な調査を請け負っていると思うが、調査手法は前橋市と同様の手法を用いているのか。

調査会社(永堀氏)
範囲を指定せずに調査する場合や前橋市と同様に範囲を指定して調査する場合もあり、手法はさまざまである。調査範囲を片側25mよりも広く設定する場合もある。また、定点調査という手法もある。

姉崎委員
過去の調査と比較して経年変化を見たときに、確認種数が最も多かった地点の傾向はどうなっているか。

調査会社(永堀氏)
確認種数が多かった地点はNo.20の地点で登山道の地点である。生物種は鳥に限らず多いと思われる。山間のためササが繁茂しており、昆虫等の鳥の餌となるものも多い状況だった。必然的に市役所周辺やスギの植林地よりは環境の変化に富んでいる地点である。

姉崎委員
この地点はシカが多く生息している地点になるため、シカが鳥の種数に影響を及ぼしているのか気になっているところである。

調査会社(永堀氏)
シカの影響は多少あると思われるが、シカの角痕や足跡はそれほどなかったという印象である。

土屋委員
調査方法でラインセンサス法とあり、朝早くから調査しているようだが、調査する時間は地点ごとにそれぞれ異なるのか。

調査会社(永堀氏)
調査の開始時間はどの地点もそれほどかわらない。終了時間は距離によって多少異なるが、大体1時間半から2時間で調査を終了した。

土屋委員
ラインセンサス調査は1人で実施するのか。

調査会社(永堀氏)
1地点につき1人である。

大森委員
資料13の赤城大沼の調査地点図の湖心に赤い点が落としてあるが、なにか外来種が確認されたのか。

調査会社(永堀氏)
ポイントのミスになる。この地点では外来種は出ていないため修正する。

大森委員
同じく資料13ではサメビタキ、コサメビタキが確認されているが、この地点で確認される種なのか。

調査会社(永堀氏)
この種の生息環境的には確認されてもおかしくない地点である。

土屋委員
先にインコの話もあったが、今回の調査では確認されていないが、前橋市に生息すると思われる種について、考察などでまとめることは可能か。

調査会社(永堀氏)
委員の皆様や市民の方にヒアリングを行うことで情報が得られれば報告書に記載することは可能である。

小西委員
写真は今回の調査で撮ったものか。

調査会社(永堀氏)
そうである。今回はページに収まるようにバランスも含めてこの枚数となっている。このほかにも確認された種の写真を撮っているが、すべてが撮れているというわけではない。

小西委員
14ページのオオタカの写真は営巣の写真で見にくいことから、参考の写真を載せているのではなく、調査中に撮った写真を載せているのだろうと思った次第である。

調査会社(永堀氏)
基本的には今回の調査で撮った写真である。オオタカの場合は飛んでいる姿も撮ったのだが、少しぶれてしまい載せられなかった。

小西委員
写真を載せるのであれば、少し見にくくても営巣の写真はいいと思う。16ページのカオジロガビチョウも見にくいが、よく生態を表している写真である。

(2)市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ)」について

議長(金井委員長)
つづいて、議事(2)市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ)」について説明をお願いしたい。

事務局(亀井主事)
資料2「市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ)」について説明を行った。

議長(金井委員長)
ただいま事務局から説明があったが、各委員さんから質問や意見などがあれば発言をお願いしたい。

議長(金井委員長)
今回の調査は28地点で実施されているが、前回と比べるとどうか。

事務局(亀井主事)
前年度は33地点で調査していたため、若干減っているという状況である。ただし、調査隊員数を比較すると今回が27名で前年度が28名とほぼ変らないため、一人あたりの報告する数が減ったということになる。

議長(金井委員長)
隊員からはどのようなコメントがあったか。

事務局(亀井主事)
今年はサクラが長く楽しめてよかったというコメントが多かった。

議長(金井委員長)
多少標高の違いがあるが、全体的には大きな変わりはないか。

事務局(亀井主事)
報告書3、4ページに開花日、満開日を記載しているが、どの地点でも開花から満開まで同じくらいの日数がかかっているため、統計的にみれば、あまりかわらないと思われる。

大森委員
標高が100m上がるにつれて、気温は平均0.6度ずつ下がると言われているが、南麓地域では冷気が下の方に降りていくことで、標高200mから300mくらいまで、最低気温はそれほど変わらない。標高400mから500mあたりで気温の低下に伴い、開花時期が遅れているということは理屈通りの結果である。
5ページの日ごとの平均気温のグラフを見ると、3月の下旬まで例年よりも気温が高い傾向が続いたことに対して、3月29日から4月3日までは気温の低い傾向が続いており、その後から気温が高くなる傾向となっている。サクラなどの春先に咲く植物の開花は休眠打破からの積算温度によって決まると言われているため、標高が高いところは積算温度を稼ぐのに時間がかかるということであるが、今年は平年よりも極端に低い気温が続いた後に、急に気温の高い日が続いたことが引き金となって一斉に開花が進んだと考えられる。このように3月末から4月の初めにかけての低温が続いたことで、満開までの日が非常に伸びたという結果になったが、何人かの報告を見ると3日、4日で満開になったと報告している方も見られる。開花と満開の基準がわかりにくいため、このような結果になっていると考えられる。基準を明確にしなければ、隊員により開花日と満開日が異なってきてしまうため、五分咲き、七分咲きでも満開と判断してしまうことも考えられる。気象庁などの定義に合せるなど基準を設けることが必要である。そういった状況もあるが、全体的にはよくデータとして揃っていると思われる。このようなばらつきは平成27年のような暖冬傾向がある年はなくなってくるし、今年のような春先の低温が続く年にはばらつきが目立つようになってくる。

議長(金井委員長)
専門的な見地からみても、事実に近い結果が出ているということで、学問的なところでも活用できると考えられる。

大森委員
3、4ページのところでひらがなを振っていない箇所に観測記録があるが、どのようなところが調査しているのか。また、調査はどのような方法で行っているか。

事務局(亀井主事)
その場所の職員が報告している。調査方法も同様の方法でお願いしている。

姉崎委員
去年と比べて調査地点が減っているということだが、5ページに10年の経年比較が記載されているが、このようにずっと途切れることなく調査ができている地点はどれくらいあるのか。

事務局(亀井主事)
基本的には5ページの経年比較表に記載している箇所は継続して調査している地点になるが、このほかにも数地点は継続して調査している地点があったと記憶している。

姉崎委員
もし紙面的に掲載する余裕があれば、継続して調査することに意味があるということを上手く発信できるとよい。

議長(金井委員長)
調査の結果を深めることができると思うので、検討してもらいたい。

事務局(大山課長補佐)
承知した。

大森委員
この経年比較の表を見ると、年によっての傾向を把握することができる。平年より早く開花した年は、満開までに時間がかかる傾向があり、平年より遅く開花した年は、花の寿命が短いという傾向が一般的にはあるが、これは3月の早い時期に咲いてしまった場合、寒の戻りの影響を受けやすいからであり、4月になれば順調に満開に向かうというパターンである。今年は平年に近い時期に開花したが、平年よりも満開まで長い時間がかかっているという特異な年であるといえる。

議長(金井委員長)
このみぢかな季節かんじ隊の調査はサクラだけでなく、ツバメなどもあるが、予算的な面も含めて今後も実施していけるのか。

事務局(大山課長補佐)
今後も実施する予定である。結果がまとまり次第送付する。

事務局(大原環境政策課長)
本調査のとりまとめは委託ではなく職員がやっているため、予算的にはかからない。今後も継続して実施していきたい。

土屋委員
3、4ページの開花日と満開日の図だが、一つにまとめた方が見やすいのではないか。例えば、赤城南面千本桜と「ふ」の調査地点は、開花から満開までにかかる日数が大きく異なる。一つの図でまとめることにより比較しやすくなるのではないか。

事務局(亀井主事)
なるべく見やすくなるように検討したい。

姉崎委員
6ページの参加者の声の中で、近くのサクラも木によって開花状況が違っているというコメントもあるため、満開日などはわかりづらいと思う。

土屋委員
私が見ているサクラも木によって開花状況が異なる。

篠原副委員長
一般の人にはどの時点で満開かということが分かりづらいと思う。満開に定義はあるか。

大森委員
開花は気象庁で一枝に数輪咲けば開花とする定義はあるが、満開に定義はない。見た目で外側の花がほぼ開花した状況が満開という感覚的なものである。また、標本木1本を調査するのか、もしくは桜並木全体を調査するのかで状況は異なってくる。桜並木全体を調査するとなれば、その中でも気の早いサクラが初めに開花し、その後、数本が満開になるまでにはかなりの時間がかかるものであり、1本の標本木を調査する方が開花から満開までの期間が短くなる。また、調査方法も統一しておかなければズレが生じてきてしまう。3、4ページのところで新前橋地区は調査が集中していることで多少ズレがありながらもまとまることにより、ズレを平均化することができるため、標高が高い地域などでも報告を増やすことが重要である。

小西委員
本調査の趣旨、目的からして、専門家が実施する学術調査ではないため、あまり細かいことを言って参加者が減ってしまうのは本末転倒である。一般の方に身の回りの自然に興味をもってもらうことが本来の趣旨であると思うので、基準がどうこうというより、隊員数を増やしていくことの方が重要ではないか。

大森委員
参加者を増やすためには、単純なプロトコルで気軽に調査に参加できる方法を提供することが必要である。

姉崎委員
1ページの調査の方法のところで「隊員は、調査する場所を決め・・・」とあり、4ページの経年比較では「同じ場所(同じ木)で調査する・・・」と記載されているが、場所なのか標本木なのか、隊員が特定できるようにした方がよい。6ページの参加者の声のところで、とても楽しんで調査していることがわかるコメントもあるので、そういった方が一人でも多く増えてくれることが大切である。調査票には調査の対象が場所なのか木なのかわかるように記載されているか。

事務局(大山課長補佐)
調査票には「観察するソメイヨシノを選ぶ」と記載しており、桜並木を選ぶのか標本木を選ぶのかという細かい指定はない。隊員の判断になっている。

姉崎委員
隊員に楽しんでもらえることが一番だが、基準が明確でないと結果にブレが生じてしまう。コメントが返って来ることによって現場の状況がわかるので、今後も隊員数を増やせるように取り組んでもらいたい。

大森委員
気象庁のやり方に合わせて、標本木を選んで調査することが望ましい。

議長(金井委員長)
サクラの調査を始めた当初、標本木を選んで調査するという説明を受けた記憶があるため、標本木で統一したらいかがか。

事務局(大山課長補佐)
次回の調査から標本木と明記する。

(3)その他

議長(金井委員長)
その他議題等はあるか。鳥類やサクラ以外のことでも構わないが、各委員や事務局から何かあれば、発言をお願いしたい。

大森委員
富士見地区のザゼンソウ群生地でイノシシとシカの被害がここ数年でひどくなってきている。ザゼンソウがイノシシとシカにより掘り返されるとともに忌避植物であるオタカラコウが増えてきて様子が変わってきている。富士見地区や赤城山ではシカによる深刻な被害が出ているということは確かである。ザゼンソウは文化財のため、文化財の担当課と協力しながら対策してもらいたい。また、昨年あたりから桐生自然観察の森でマダニが大変な状況である。渡良瀬川を越えて新里から粕川方面、宮城方面に入ってくるのは時間の問題かと思われる。衛生被害の面でも桐生市とは手を取りながら対策を練った方がよい。

姉崎委員
静岡県ではマダニに噛まれた人が感染症を発症したという報告がある。かなり速いスピードで広まっている。今では自宅の庭でも感染する時代になっているため気を付けなければならない。また、先ほども話にあったが渡良瀬川の河川敷を使って動物が移動していることに伴い、シカが思いもよらぬ場所に出没することが増えている。ある論文ではこれから10年ほどの間で過疎が進み、人の住めなくなった地域が森林化することにより、森林面積が圧倒的に広くなるという発表がされている。群馬県は捕獲をすればよいという傾向が強いが、それだけでは太刀打ちできない状況である。どうしても捕獲数が成果として見られてしまうことが多く、対策を環境整備にシフトしていかなければならない。人が捕獲努力をしても、人が捕獲する以上に繁殖してしまうため、増える一方であり、なおかつ生息域が広がると追いつかないのが現状である。シカが出没する原因は街中に歩きやすい環境があるからであり、どのようにして遮断していくのか考えなければならない。前橋市では嶺公園で熊の出没もあったが、捕獲の方法として、餌を置いて誘因する方策は他の動物も招いてしまうため、あまりおすすめできない。刺激せずにそっとしておく方が事故は起きない。自然史博物館では県内で捕獲されたクマを分析しているのだが、ほとんどがイノシシとシカの捕獲を強化するために設置されたわなに間違ってかかってしまったケースが多い。環境整備の大切さを非常に感じるため、検討してもらいたい。

議長(金井委員長)
以前シカやイノシシの肉を食べる方向にもっていったらどうかという話があったが、放射性物質の問題は今もあるのか。

姉崎委員
自然史博物館で全県下のサンプルをとり検査しているが、まだまだ放射性物質が出ている状況である。

議長(金井委員長)
以上をもって議事を終了する。

4 閉会

大原環境政策課長

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更新日:2019年08月20日