令和3年度青少年支援センター運営協議会

審議会名

青少年支援センター運営協議会

会議名

令和3年度 青少年支援センター運営協議会

日時

令和3年10月20日(水曜日) 午後3時15分から午後4時45分まで

場所

前橋市役所11階 北会議室

出席者

委員15名(50音順・敬称略)

相澤克也、飯塚浩二、岡すみ子、金井君子、神谷努、関口一男、田口 徳子、角田雄二

二渡諭司、萩原和之、藤井福雄、松井礼子、三浦由香、茂木瑞穂、和田徹

 

事務局10名

吉川教育長、都所指導担当次長、相原学校教育課長、阿久澤青少年課長、服部青少年課副参事

安藤所長、藤井指導主事、鈴木指導主事、井上指導主事、田村SSW

欠席者

欠席者2名(50音順・敬称略)

家崎桂吾、六本木眞弓

会議の内容

1 開会

2 あいさつ

吉川教育長
日頃より、前橋市青少年支援センターの運営に対しまして、並々ならぬご支援を頂いており、心より感謝申し上げます。
青少年支援センターは、前橋市の特色ある組織の一つで、問題行動や不登校、いじめ問題に特化して学校を支援してきております。そして、これまで本協議会にご参会の皆様から様々なご意見をいただきまして、事業の企画・運営及び実施に反映させていただいております。本当にありがとうございます。
昨年9月に開催されました本協議会では、感染対策を取りながら恐る恐る開いた協議会でございました。一年たちますが、未だに感染症は治まっておりません。コロナ禍における感染防止の観点から、三密を控えるということで、人と人との距離を取らざるを得ないという状況が続いております。現在警戒度が3に下がり、本日さらに警戒度が下がるという発表がありました。22日から警戒度が2になると聞いておりますけれども、長期間に渡る自粛により、感染は防げるようになりましたが、子供たちが発するSOSに気づく機会が減ってしまったのではないかと心配しております。
また、経済状況や雇用、働き方など、社会が大きく変化する時、大人は何とか対応ができますが、立場の弱い子供たちにしわ寄せが生じ、言葉でSOSを出す代わりに私たちが予期せぬ形で表しているのではないかという懸念をもっております。
いじめや不登校、問題行動等従来からございます課題とともに、ヤングケアラーのように表面化してきた新しい社会問題に対してもしっかりと対応していかなければならないと感じております。それらの原因は一つとは限りません。家庭内の非常にデリケートな問題に端を発していることや、いくつもの要因が複雑に絡み合っている場合も多く、学校現場だけでは解決できないことがますます増えていると感じています。
行政としても、子供たちのためにどのような取組をすればよいのか、学校や警察、地域、様々な支援機関の皆様にそれぞれのお立場からたくさんのご意見を賜れればと思います。皆様との連携があって、前橋市では未然にいくつもの問題を防ぐことができている、又は、早い解決が図れていると思っていますので、本日も忌憚のないご意見やアドバイスを頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

3 自己紹介

4 報告

(1)令和2年度における取組と令和3年度の活動状況について書面による報告

1 補導活動
2 被害防止活動
3 問題行動の防止と早期発見・早期対応
4 不登校対策
5 いじめ対策

 

(2)その他

〇「家族で話し合い差別・偏見のない社会を築こう」について

事務局
昨年度の協議会の意見を基に作成したワークシートを紹介いたします。昨年度の協議会ではコロナ禍でのいじめ防止について協議を行いました。子供よりも大人の差別や偏見の方が心配であるというご意見をいただきましたので、親子で話し合う中で差別や偏見について考えを深めることを目的としたワークシートを作成しました。12月のいじめ防止強化月間に合わせて、市内各小中特別支援学校に配布しました。活用した学校からは大人が差別を助長しないようにする必要があることに気が付いたなどの意見が寄せられました。今後も児童への指導だけではなく、家庭への啓発につながるように努めて参ります。

5 協議(議長:相澤会長 進行:都所指導担当次長)

協議の視点:『児童虐待やヤングケアラーの早期発見・早期対応に向けた、コロナ禍における働きかけについて』

(1)関係機関が連携し、児童虐待の早期発見、早期対応がスムーズに行えるようにするために、支援センターが担う役割について

事務局
私から本日の協議について説明いたします。本年度の協議会では児童虐待やヤングケアラーの早期発見、早期対応に向けた、コロナ禍における働きかけについて、学校と支援センターが担う役割に関する協議をお願いします。
令和2年度に県内の児童相談所へ寄せられた虐待に関する相談については、前年比27%増の、2286件で、12年連続での増加となり過去最多を更新しました。要因としては、県の児童福祉青少年課は、児童虐待に関する県民の関心の高まりや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で在宅時間が増加し、子供の鳴き声などの異変に気付きやすくなったとみているとのことです。内容別では、心理的虐待が最も多く1382件で、身体的虐待が539件、ネグレクトが330件、性的虐待が35件でした。児童虐待については、前橋市も同様の増加傾向にあります。通告者別では、警察等が21%増の809件で、2番目に多かった近隣・知人は453件であり、64%の急増となっています。一方、学校等は7%の微増となり、278件に留まりました。このことは、昨年度3月から5月に多くの学校が臨時休校となったことが影響していることも1つの要因と考えられます。
令和2年度に青少年支援センターに連絡があった虐待事案は、小学校57件、中学校22件の計79件でした。また、今年度は7月末までに小学校22件、中学校13件、計35件の虐待等に関する相談がありました。大変多くなっています。また、令和2年度に支援センターに連絡があった虐待事案で、通告者がはっきりしている47件のうち、本人からの訴えは12件であり、全体の約32%でした。このことから周囲の大人が、子供が苦しんでいる心や様子に気づく必要があると考えます。そのためには、様々な立場の大人がどのように気づき、寄り添っていくのかが課題です。そこで、協議の視点の1つ目を「関係機関が連携し、児童虐待の早期発見、早期対応がスムーズに行えるようにするために、支援センターが担う役割について」としました。悩みを抱える子供たちを早期に把握し、手を差し伸べるためにどのようなことができるのかご意見をいただきたいです。

都所指導担当次長
令和2年度に支援センターに寄せられた相談は79件でした。今年度については、7月の段階で35件です。まだ半年ありますが、虐待の相談は増えると予見されます。支援センターから紹介もありましたが、それぞれの所属の方から付け足すような実態などをお話いただければと思います。

三浦委員
中央児童相談所の三浦と申します。虐待対応係ではなく、家庭支援係に所属しています。虐待の対応の件数は、年々増加傾向にあります。平成27年に「189」という児童虐待対応の、3桁のダイヤルで直近の児童相談所につながる連絡手段ができたことで、急激に増えてきた面もあります。
コロナで学校が休校になりましたので、5月頃から窓を開ける家庭が増えました。そこで普段は気になっていなかった、もしくは仕事に出ていて気づかなかったが、家でリモートワークになったことで子供の泣き声に気づくようになったということもあり、近隣住民からの泣き声に関する通告がずいぶん増えたようです。実際の数字が手元にないので、感覚での話になって申し訳ありませんが、心理的虐待が1番多いと思います。
学校や警察、近隣住民から虐待通告を受けて、児童相談所が虐待指導をして終わりかというと、そうではありません。児童相談所では、そのアフターケアも行います。昨年度から、厚生労働省から法的に義務を課せられているのは、虐待により一時保護をした子供は、一時保護を解除したあと、最低6ヶ月は児童相談所が継続して見守るということです。もちろん、そのような基準がなくても心配な家庭にはその後も関わりを継続します。
虐待対応係は虐待を発見して対応し、家庭支援係は一時保護をした後、もしくは虐待指導をした後の家庭の養育力の部分を長期的に見守ります。家庭支援係はそれ以外にも、養護相談や不登校相談等も受け、学校と連携しながら、関わっていく部分もあります。やはり、虐待の通告件数が増え、家庭支援係でその後の対応をする必要がある子供や家庭の数がかなり増えている状況です。現在、家庭支援係は嘱託相談員を含めて11名の体制ですが、継続指導、行政処分にあたる在宅指導と、行政処分にはあたらないが積極的に関わることを家庭に伝えて関わるケースもあり、職員1人あたり、最低でも50件以上を抱えています。それ以外にも調査中のケースもあります。それらを考えると、私たちの手だけでは限界があるので皆様方のご協力をいただいて、虐待のない家庭づくりに尽力していきたいと考えています。

関口委員
自分は小学校の校長です。学校は、児童相談所にお世話になることが多々あります。早期発見は非常に難しいと感じています。子供は、他の子供や他の家庭とあまり比べないので、自分の今の立場が非常に苦しいとか厳しいとか、判断できない子供が多いのではないでしょうか。大人ならば他と比べて「おかしいな」と分かるが、子供にはまずそれがないため、子供が言ってくることはかなり少ないです。小学生については特に難しい問題になると思います。学校がつかめるとしたら、明確に体に傷や痣がある時などです。今日、会議に参加してこれだけの機関や組織が関わっているのだと頼もしく思いました。傷や痣などを見つけた場合には、支援センターに連絡し、調整してもらいながらすぐに通告したいと思います。
虐待が発見される例として、身体の明確な変化が挙げられます。また、近隣の保護者から「あの家は気をつけた方がいい」と話があることもあります。しかし、その話をもらってもすぐに通告することは難しいです。母親から「父親がすぐに叩くのだけれど、先生どうにかならないか」と相談を受けることもあります。それで児童相談所や警察等の関係機関に入ってもらい、父親はそれなりになりますが、その後また繰り返してしまうケースが多いです。1度相談したのに父親が変わらなかったら、現状を我慢するというケースが実際には多く見られます。
児童相談所や警察は非常に対応が早くて、通報した時にはすぐに対応してくれるので助かります。
子供から出やすいものとして、SOSペーパーがあります。「何かいやなことがあったら手紙を書いて」くらいのことを伝えておくと子供だから、「虐待」といった言葉では出てこないが、「○○がイヤだ」とか「家でお父さんに◇◇されるのがイヤだ」等書いてきて、色々わかったことがありました。このアプローチで、子供から何か引き出すのはいいと思います。しかし多くの子は自分の状態が客観的に把握できていないと思います。

二渡委員
高校生の場合は、虐待を直接見つけるのはかなり難しい状況にあります。ただ、各学校に心配される生徒がいるのではないかと十分想像しています。発見することができた状況としては、スクールカウンセラーや養護教諭への相談や、アンケート調査、他の問題行動を起こした際の聞き取り等です。ただ、そうやって発見できる生徒というのは、氷山の一角かもしれませんので、今後も関係機関との情報交換を密にしながら対応をしていきたいです。中学校から引継ぎ等があればかなり有効な手段になるとも考えています。

飯塚委員
警察では、日々、児童虐待の認知がある状況です。直接子供が交番に飛び込んで「お父さんに殴られた」という話もあるし、泣き声通報により確認に行って、子供の身体にある痣を認知することもあります。それ以外に、DVや両親あるいは内縁の夫、内縁の妻など、そういった方々のトラブルで現場対応した上で、一緒に住んでいる子供が大人のケンカを見たり、聞いたりする心理的虐待の疑いとして児童相談所に通告するケースがあります。この間あった特徴的なものでは、親が6歳の子供を放って家を離れてしまうネグレクトが疑われる事案がありました。父親が出先で忘れ物をしたので母親が届けに行くことになったが、その際に子供がタブレットに集中していて、母親の言葉を全然聞いておらず、しばらくしてから家に誰もいないことに気づきました。。それで「お父さん、お母さんがいない」と言って家を飛び出して路上で泣いているところを保護された事案です。この家庭は2ヵ月前も同じような事案で対応がありました。
このように、虐待を認知する家庭は、同じ家庭である割合が多いです。その後、児童相談所にお願いして、家庭支援等をしていただいています。児相の職員が1人で50人に対応しているという状況を伺いましたが、それは果たして適正なのか疑問に感じました。その状況では優先順位をつけざるを得ないです。警察も同様に人員不足で嘆いていますが、児童相談所は本当に大変だと普段から思っています。人員の増員のような物理的なことを図った上で対応をしていかないと、事案対応は難しいのではないかと思います。

萩原委員
前橋署と東警察署と2つありますが、前橋警察の方が取り扱う件数が多いです。警察は法に触れる行為があれば、それを事件として検挙することが第一義的な職種ですので、児童虐待、子供に対する身体的虐待がはっきりするものであれば事件化を図ります。昼夜問わず児童相談所と子供の安全確保や、その後アフターケア等について連携しています。私が一番感じるのは、身体的な虐待はもちろんですが、心理的虐待やDV、面前DVと呼ばれる行為が子供に与える悪影響です。通報に基づいて現場に行き、そのような場面を発見した際は、子と親を隔離します。夫婦でも隔離措置を取ります。当然そうなると子供はどちらかに、避難させることになります。そうでない場合は児童相談所に一時保護されることもあるし、書面で通告をして、児童相談所で家庭訪問やアフターケアをしていただくこともあります。面前DVなどの心理的虐待が増えているのは事実で、毎日とはいいませんが、そういう事案が昼夜関係なくあります。全てを児童相談所にお願いすることは大変申し訳ないと思いますが、もう行きつく所は警察か児童相談所なのだろうと承知しています。しかし、何かもっと手厚くできないだろうかと感じるところです。夫婦仲が良ければ虐待に発展することもあまりないだろうと思います。両親が仲良く過ごせば、それほど子供に悪影響はないと思うからです。やはり大事なのは、家族の絆や、普段からのコミュニケーションで、それがあれば面前DVは減るのではないかと思います。

都所指導担当次長
ありがとうございました。先ほど、萩原委員からも最終的には児童相談所、または警察の方で対応していただくことになるが、何か別の手厚さのようなものがあればいいという気がしました。そこで、前橋市の支援センターは児童虐待に関して現状はどのように対応しているのか、所長からお話いただきたいと思います。

安藤所長
支援センターに入ってくる情報は基本的に学校からのものが多いです。あとは、前橋市にも児童相談所と同じように子供のケアをする子育て支援課がありますので、そこからの情報が主になります。その中で、学校から相談されるのは、虐待かどうかの判断に迷う案件にどう対応するべきかという内容です。本当に傷がすごくて、子供が嫌がっていて、一刻を争うものは児童相談所にすぐ通報しますが、そうではなくて、「お母さんが好きだけれど、こういうことがあって困っている」という子に対してどういう支援をしていくべきかについては、判断に迷うことが多いです。学校や子育て支援課と協力して児童相談所に伝えたり、学校に両親に来ていただいて一緒にその件をどうしていくのかを話したりするなど、状況に応じて判断することが多いと思います。ただ、やはり警察からお話があったように、同じ行為を繰り返す家庭があるため、小学1年生から中学生になった現在も関わり続けている世帯があります。ACPという要保護児童対策連絡協議会でそういった子供たち1件1件に対する支援をどのように行っていくべきか日々連絡を取り合いながら対応しています。例年300人くらいの子供が対象となっており、今年も260人を超える子供が名簿に登録されています。しかし、やはり発見しにくいところがあります。決定的な傷や痣がない状況で、児童相談所に相談しなくてはならない事案がありますので、その辺がご負担をかけていると思います。逆にどうやって介入していくのかという、良い案があれば教えていただきながら警察や児相と一緒に対応していければと考えています。

都所指導担当次長
すでに皆さんには、虐待について様々なケースで関わっていただいていますので、日頃、支援センターとの連携の中で感じていること、また、こんな風にするともう少し虐待に対してスムーズに対応が行われるのではないかというようなご意見などがあればご発言ください。

相澤会長
補導員たちは盛り場や溜まり場で不良行為をしている子供たちの早期発見や指導、助言等をしています。しかし、虐待の問題については補導員たちがなかなか立ち入れない範疇だと思います。家庭のことなので入りきれないし、これが表面化した時には新聞やマスコミで騒ぎになる問題になってしまってどうしようもないという感じがします。やはり近隣住民等、社会がお節介まではいかなくとも、地元に関心を持っていかなければならないと感じます。最近、世の中が人の世話までお節介する風潮ではないけれど、良い意味でのお節介も必要ではないかと思います。

茂木委員
私が住む地域は、市の東側にある田園地帯です。虐待という言葉はあまり聞こえてきません。ただ、両親が共稼ぎでコンビニの経営をしていて、夜遅くまで帰ってこない家庭があります。子供は3人いて、コンビニ弁当に慣れてしまっています。両親が夜遅く持って帰るコンビニ弁当じゃないと食べられない、給食を食べられないということで問題になりました。学校で少しずつでも保護者に手作りのものを食べさせるように話し合いました。牛乳は飲めるようになりましたが、給食はまだ手を付けらない状態と聞いています。これも保護者が面倒をみない虐待の一種ではないかと感じます。今、便利な社会になり、簡単にどこに行っても物が買えるような時代だから、保護者が忙しければお金をあげて「買って来て食べなさい」という家庭もたくさんあると思います。家庭の味、家庭の温かさをどうやって伝えればいいのかなと、いつも考えています。
田園地帯なので、米や野菜は割合豊富にある。そのため、子供食堂をやろうという話も出たが、立ち消えになりました。手作りのものをみんなと一緒にいただける場所ができたら良いので、一緒に温かいものをいただける場所をつくってあげたいと思っています。

岡委員
更生保護という立場上、講師の方をお招きして虐待についての研修会をよく開催しています。しかし、なかなか我々が踏み込めない問題と感じています。子供が季節外れの支度をしていたり、なんとなく薄汚れているような支度をしていたりする様子があれば虐待を疑った方がいいと学びました。お話があったように、夫婦仲が良ければ虐待も起きないだろうし、虐待する保護者の教育をしなければならないと感じています。虐待をするような保護者は、その人の成育歴の中で虐待を受けて育っているのではないかとも言われているからです。夫婦仲が良ければ虐待なんか起きないという話は参考になりました。温かく、愛情をかけて育ててもらった子は人をいじめることもない子になると思います。

都所指導担当次長
ありがとうございました。支援センターのスムーズな対応に皆さんの意見を活かしていきたいと思います。
次にヤングケアラーについて事務局から説明をいたします。

(2)「ヤングケアラー」の問題に対する意識を高めるための取組について

事務局
近年は家族の介護や世話を日常的に担い、学習の機会や友達との交流の時間を奪われている可能性のある「ヤングケアラー」が大きな社会問題として報道されています。国の調査では中高生の約20人に1人の割合で存在する計算となり、予想以上に多いという結果がありました。そこで、本市の実態を把握するために、9月にヤングケアラーアンケートを実施しました。調査は市内46小学校および、20中学校の児童生徒、約13,149人を対象に、児童生徒用に配布しているタブレットからインターネット上で実施しました。数字についてはまだ確定したものは示せないですが、アンケートの中では自分が家族の世話をしていると思っている児童生徒や、自分自身のことをヤングケアラーだと思う児童生徒が一定数いることが分かりましたので、今後、ケアしていく必要があると思います。
「ヤングケアラー」というものが何なのかわからずに子供たちからアンケートをとっても難しいため、担任がスライドを通して「ヤングケアラーとは年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負って、本来大人が担うような家族の介護をすることで、自分の勉強の時間や趣味の時間に影響を及ぼしている児童生徒のことを指すこと」を説明しました。お手伝いや家族の役割ということとは違うということを説明し、強調しました。しかし、お手伝いとヤングケアラーを明確に区別することはかなり難しいです。
そこで、2つ目の協議の視点を、「ヤングケアラーの問題に対する意識を高めるための取組について」としました。正しい理解を促進して、深刻な問題と捉えてもらうために他にどのようなことをしていけばいいかということや、ヤングケアラーについて教育委員会としてどんなことができるのかということについてご意見をいただきたいです。

都所指導担当次長
ヤングケアラーについて事務局から説明がありました。以前担任していたクラスに、下のきょうだいの世話をするために学校を休みがちな女の子がいました。今思えば、ヤングケアラーだったと思います。そういう環境の中に育っていると、「親の役に立っている」という子供の意識が高まりますが、本人の成長にとって本当に良いことなのか考えていかないといけません。
ヤングケアラーの問題について今後、子供たちに正しく理解してもらう、意識を高めてもらう取組を教育委員会も進めていきたいので、どのようなことに取り組んでいくといいか、皆さんにご意見をお願いいたします。

藤井委員
私の経験からすると、お手伝いとの境目、それが非常に問題になると思います。うちも祖父母がいて、両親も外出しなければならない時に、子供に祖父母の助けを頼むことがありました。それはお手伝いの内だと思いますが、その辺が難しいです。地域の中学校からは、子供が親や祖父母の世話をしている話は聞いていません。それよりも子供がネグレクトを受けていると聞きます。だから最終的には保護者への指導や支援をどうするべきかという話になります。

田口委員
素人なので、ヤングケアラーというものは、ガン等の重い病気だったり、動けなかったりする家族の世話を日常的にしているものだと捉えていました。たまに食事の面倒をみる等は、お手伝いだと思います。お手伝いとの区別というのが難しいと感じます。
仮にヤングケアラーという存在を実際に学校で把握したら、その時に私みたいな存在は具体的に何ができるのかが疑問です。代わりに面倒を見る人を斡旋する等が具体的にできる訳ではないし、難しい問題と感じます。「学校に行かせてください」と言うのは簡単だが、その家庭はどう回っていくのかという問題が残ります。あぶり出すだけが目的ではないと思います。

神谷委員
その子がいないと家庭が成り立たないという状態、その人がいないとその家庭が成り立たない状況がヤングケアラーであると思います。だからお手伝いのような、今日はしなくてもよいということではありません。田口委員がおっしゃるように、その子が「私はヤングケアラーだ」とわかった場合に、誰か代われる人がいるかどうかが問題になりますので、気づかせていいのか等、問題は多いと思います。
例えば母子家庭になった、きょうだいが多い家庭で、小さい子供がいると母親はどうしても小さい子にかかりっきりになります。上の子が真ん中の子の面倒を見ることがヤングケアラーになるのか、それが日課になっていて、本人にしたら全然苦ではないのに、周りから「あなた、ヤングケアラーだよ」、急に「やらなくていいよ」と言われても、「子供の時からそういうものだと思っていたのに…」と、気づかせることが罪であったりもすると感じます。また、誰がそれを代われるか…。学校には行けているが、帰って下の子の面倒を見なくてはいけない、母子家庭、もしくは父親は夜勤だとなると、その子がいないとその家庭が成り立たないという場合もあり、難しい問題が多分に含まれていると思います。

角田委員
ヤングケアラーは子供たちにとっても初めてのことだと思います。ぜひ学校から教えてもらいたいです。ヤングケアラーについて教育委員会で徹底してやっていただかないと、前に進まない問題であると思います。

学校で点検をしないと虐待もヤングケアラーも減らないと思います。ヤングケアラーについて、おそらく子供は分からないと思いますので、まずは、しっかりと子供にヤングケアラーとは何かについて教えてもらいたいです。

和田委員
ヤングケアラーの問題の中に、その環境に適応できずに家に寄りつかなくなってしまったり、家庭の中に居場所がなくなってしまったりして、非行に走り、鑑別所にたどり着くといったルートを持つ少年がいます。しかし、こういった子供にすごく負担がかかっているケースよりも、虐待の結果、非行に走るケースの方が多いように思います。鑑別所には法務少年支援センターという、地域に開かれた相談窓口があります。これは未成年でも誰でも対応できます。こういったところで相談として個別で支援やケアをしていけると思いますので、ぜひ相談していただきたいです。
立場を離れて個人の立場からすると、把握してこれをどうするのかなというのが、一市民として気になるところです。子供1人が抱え込むのではなく、色々な人が関わって共有してどうしていこうかと一緒に考えていくことが子供たちにとって救いになると思います。そういうことを地道に続けていく必要があると思います。

松井委員
個人的なことですが、15年位前に母親が非常に病弱で、母親の面倒を小学校中学年くらいの子供がみていたケースがありました。つい最近、その親子と対話をしました。母親が「この子が面倒を見てくれたから私はこうして生きていられる」と話していました。今、ヤングケアラーと言われているが、その家庭には必要だったのかもしれません。学校に行けないまでになると大変なことですが、家族の中で誰かが助けを求めているのであれば、それを家族が補うのは当たり前だと思います。テレビのCMで「部活したいのに、僕は家のことがあるから、部活ができない」という映像が流れていますが、家庭にはその家庭の事情があるので、全部をヤングケアラーの問題することはどうなのかと思うところはあります。全部が全部ヤングケアラーであるとか、面倒をみているからと一括りにせず、区別する必要があると思います。

金井委員
お話を聞いていて、私も松井委員と同じ意見です。昔の人間なので、私は家のことをお手伝いするのは当たり前だったが、今は朝、学校に行く前に掃除をさせたらヤングケアラーだと言われてしまうのかなと考えてしまいました。お手伝いとヤングケアラーとはどう違うのだろうと不思議に感じました。今は共働きの家庭が多いと思いますので、帰ってくるのが遅くなったらきょうだいでご飯を作り合って食べるというのもヤングケアラーなのでしょうか。それは子供たちが自分達で率先して作って食べるからお手伝いなのでしょうか、この区別の仕方が難しいです。

都所指導担当次長
様々なご意見を頂戴して、ありがとうございました。皆様からの意見を伺うと、本当に難しい問題であると改めて感じました。市教委としても整理をし、どのように向かい合ったらいいのか、考えていきたいと思います。

相澤委員
非常にたくさんの、皆様の意見、所見を聞かせていただきましたので、行政においてはこれから活かしていただきたいと思います。児童虐待やヤングケアラーなど色々な問題について、一般の人が立ち入れない範囲の問題でもありますが、時代が変わってきた中では、こういったことに関心を持つことが非常に大切なことであることが分かりました。

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更新日:2022年10月31日