令和4年度青少年支援センター運営協議会

審議会名

青少年支援センター運営協議会

会議名

令和4年度 青少年支援センター運営協議会

日時

令和4年10月4日(火曜日)午後3時00分から午後4時45分まで

場所

前橋市総合福祉会館1・2会議室

出席者

委員14名(50音順・敬称略)

相澤克也、赤田豊志郎、岡すみ子(代理:中澤江美子)、金井君子、神谷 努、小菅恵子
関口一男、津田征一、角田和幸、藤井福雄、松井礼子、茂木瑞穂、山田純寛、和田徹

 

事務局10名

吉川教育長、都所指導担当次長、相原学校教育課長、内山青少年課長、 宇次青少年課副参事
安藤所長、藤井指導主事、鈴木指導主事、井上指導主事、吉井SSW

欠席者

欠席者4名(50音順・敬称略)

家崎桂吾、田村浩之、角田雄二、三浦由香

会議の内容

1 開会

2 あいさつ

吉川教育長
日頃より、前橋の子供たちのために、並々ならぬご支援をいただいき、誠にありがとうございます。青少年支援センターは、問題行動や不登校、いじめ問題などに特化して学校を支援する前橋市の特色ある組織です。本会議は、青少年に関わる様々なお立場の方々に、より良い運営をしていくためのご意見をいただく会議となります。
新型コロナウィルス感染症に対する警戒度も2に下がり、イベントなども少しずつ実施が始まり、学校では運動会や修学旅行なども、形を変えながらも、行えるようになってきました。とはいえ、元通りとはいきません。
人は、個人の学びと集団での学びの双方があって自立していきます。しかしながら、感染防止の観点から、人との接触が制限された影響で、本来、子供のときにその土台が作られるべきである、互いを理解したり、我慢をしたり、自分をコントロールしたりする力がしっかりと養われているか、私たちは懸念をしています。また、いじめや不登校、問題行動などの原因は一つとは限りません。家庭内の非常にデリケートな問題に端を発していることも多く、いくつもの要因が複雑に絡み合っている場合など、学校現場だけでは解決できないことがますます増えています。
来年4月にはこども家庭庁が創設され、多方面と連携がとりやすい社会に向かっていくことを期待していますが、子供たちの成長は待ったなしです。行政として、子供たちのために、どのような取り組みをすればよいのか、皆様からのご意見を賜れればと思います。
報道を見ておりますと、子供たちが事件に巻き込まれたり、加害者となったり、「まさか」と声を発してしまうような事件が増えています。今年4月には成人年齢が18歳に引き下げられ、子供たちはこれまでより2歳早く成人を迎えます。成人になる前に、大人に見守られ仲間とこすれ合って、成功体験とともにたくさんの失敗も経験し、それを通して学んでほしいと思います。うまくいかなかったとき、立ち直る経験をさせてあげるのが大人の役割と感じています。この会議にご参加の皆様と一緒に、子供たちのセーフティネットとなれればと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

3 自己紹介

 

4 報告

(1)令和3年度における取組と令和4年度の活動状況 事務局からの報告

1.補導活動 2.被害防止活動 3.問題行動の防止と早期発見・早期対応

4.不登校対策   5.いじめ対策

 

(2)質疑応答

〇補導の状況について

事務局
補導された青少年のうち、「その他」の補導内容が多くなっていますが、これは主に駅での駐輪状況に対するものです。施錠、放置などに対して張り紙にて注意喚起を行いました。

神谷委員
コロナ禍で主だった活動はほとんどできていません。パトロールを今月より再開します。

松井委員
今月より、パトロールを中心に行います。昼間、子供が出ていることが少ないですが、それでも不審者情報はあり、できる限りパトロールに回ろうと思います。夜間については、「たまり場」などは少なくなっており、子供達が分散しているのではないかと思います。

藤井委員
夜の補導でも、子供たちの姿は見かけません。青少年育成推進員連絡協議会も、この三年間集団でのパトロールができずにいますが、個人で日を決めて動ける時間帯に近所を見回る活動をしてきました。

赤田委員
これまで塾を二十数年間経営してきた中で、「塾からまだ帰ってこない」と保護者からの電話によって、子供達の行動を知ることが多かったです。パトロール時に子供の姿が見られないと伺いましたが、それがパトロールの効果であるなら良いことだと思います。

山田委員
夜、未成年が成人と混ざってスケートボードをするなどの事案が何件かあり、実際には出歩いているのだろうと思います。特に夏以降、保護者とケンカをして、家出をしてしまうという案件が重なりました。高校生くらいになっても稚拙で、感情的に行動し、家を出てしまう事案が見られます。自分の行動について軽く考えており、「自分は悪くない、親に迷惑をかけてやろう」と、自分の取った行動が周りの人にどのような迷惑をかけるか、なかなか理解できていないように感じます。そして、SNSを通してのやり取りで集まっているため、潜在的には少なくなったように見えますが、実際には危険性が増していると感じます。

津田委員
何年も前から、ネットでつながり遊んでいるという流れは変わらず、これからも止まらないだろうと思います。実際、どこかに行ってしまい見つけるのに苦労しますが、学校が把握しているTwitterやInstagramなどの情報があると、発見に至りやすくなります。日ごろから情報集めに、協力をお願いしたいと思います。また、問題行動といっても、昔と様変わりしていると思います。例えば万引は、裕福になり少なくなっておりますが、衝動が抑えられずやってしまうといった、いわゆる特性を持った子供の報告が多くなってきております。花火大会などでの補導の体感からも、祭り終了後には、以前のようにたむろすることもなくなり、潜在的な層はネットへもぐりこんでつながっていると思います。補導というより、子供の安全対策へシフトしていくことが、これからの大切な取組と考えます。

5 協議(議長:相澤会長 進行:都所指導担当次長)

協議の視点:『児童生徒に、自らの感情を適切に表現したり、コントロールしたりする力を身に付けさせるために、大人としてできることは何か』

事務局
テーマ設定の理由について説明

都所指導担当次長
暴力行為とは、具体的にどのような行為でしょうか。

事務局
主に、生徒同士で、こぶしで殴る、足で蹴るといったものです。自分の思い通りにならないと簡単に手が出てしまう事案があります。

都所指導担当次長
相手とのコミュニケーションが上手に取れないことから、手を出してしまいトラブルになっている、こちらをテーマに、積極的にご意見を頂ければと思います。まず、協議1として「学校や支援センターに求められることは何か」について、ご発言をお願いしたいと思います。

〇学校における現状や課題から普段感じていること

関口委員
現状としては、大半の子が良い子であると感じます。良い子というのは、言うことをよく聞く、決められたことをしっかりできる、穏やかであるということです。しかし、集団として身に付けることが少なくなった、これはコロナ前からですが、コロナがきっかけになり、顕著になったと思います。自分の頼る場所がない、信じるところがない、そのため何かあると自分を守るために不登校になる、自分が折れる。ちゃんとした経験を積んでいないので、もうちょっとが粘れない。そして、一部の子は、今すぐには解決しないけれど、時間をかけて解決しようというのが難しく、対人にも、自分にも衝動的になってしまう。「潜在的」という言葉が先ほどもありましたが、その潜在的な層の子供達は何かを欲しているところがあるのではないかと感じ、それがどんな形で出るのか心配しているので、今後も見守っていく必要があると思います。

 

〇最近の非行事案や自殺・自傷事案に見られる子供の特徴から

津田委員
警察は第一次対応機関なので様々な子供の事案に対応する中で、自殺、自傷、心の悩みなどについて、解決したり心の中を探ったりするのは、警察のフィールドではないため、この子をどうしたらよいか、引き取り手をいつも探している状態です。オーバードーズ、リストカットなど色々な事案を扱いますが、家庭でうまくいっていないのだから家庭には帰せない、学校に帰すのも筋が違うとなると、この子の悩みが精神的なものなのか、発達上のものなのか判断に迷う場面があります。結果的に、児童相談所にご連絡することになってしまうのですが、本当なら、その子の心をもみほぐしてあげ、原因がどこにあるのかよくケアしてあげる、誰かがサポートしてあげるといったことがあれば、本人もご家族も警察沙汰にならなくて済むと思います。そういった子たちを、どこにアウトプットするか、事務的にも、法律的にもよくわからず、いつも悩んでいます。

山田委員
死に対するハードルが下がっている人は、とても低くなっていると思います。以前、橋から飛び降りようとする子がおり、その子は何度も繰り返していましたが、その理由は学校に行けなくなったというものでした。オーバードーズも同じで軽く考えており、嫌なことがあった、他の人がやっていて大丈夫そうだから、それをやるとどうなるのだろう?と軽く考えており、稚拙であると感じます。心が病んでいる子はもちろん死のハードルが低くなっていますが、心が病んでいなくても、情報だけで判断しているように感じます。大人は、死のハードルを上げることがまず大切ですが、その危険性を伝えるだけでなく、話を聞いてあげる。そして情報のブロックを実際にする必要があります。SNS等のネット情報は、ほぼ犯罪に関わっており、大変危険です。「どうやって死ぬのか」を友達に聞く子はほとんどおら、皆、自分で検索します。孤立している子は、特に、ネット関係の危険な状態を把握し、ブロックすることが大切です。こういった意味でも、先ほどもありましたが、重大な事件・事案に発展しないようにするには、学校生活、交友関係から情報を把握してもらうしかなく、学校にも協力してもらって、とにかく防ぐしかないと思います。

 

〇教員や青少年指導員として活動されてきた経験から

角田和委員
SNSの問題はとても切実な問題で、学校現場はどのように保護者、本人に伝えられるかということです。伝えるためには、縦軸、横軸に3つの構造があり、縦の軸では、1.基本的な教育(道徳、総合などで地道に学んでいく)、2.具体的な教育(自殺、自傷、暴力、ネットの情報などについて)、3.実際の対応への教育、といった基礎的な教育が必要になってきます。電話相談の一例として、性同一性障害に悩む子がリストカットを繰り返すという事案がありました。祖母に育てられていたため、本人、祖母に性同一性障害に関する理解が低かったということがありました。やはり、基本的な理解のための教育が必要になってきます。
横の軸では、1.宣伝、2.研修、3.連携があります。連携のためには、困ったらここに連絡をするといった機関をわかりやすく図示してあると良いと思います。それを保護者、担任も確認できるようにしておくことです。元教員の立場で申しますと、学校医の中に、精神科や心療内科もぜひ加えていただきたいと思います。一教員が医療と連携する、医者に相談するといったことはやはり難しいので、学校医を通して紹介状をもらうなどできるとよいと思います。

 

〇家庭・子育ての立場から求める支援のあり方

小菅委員
保護者の立場からは、コロナ禍で学校に行くことができず、学校に任せっきりという感じになってしまっています。タブレットの配布によって、自宅で授業も受けられるため、学校に行けない期間があっても子供が気まずくならないで済むかなと思っています。確かに、保護者としても外で遊んでいる子はほとんど見かけなくなりました。家庭内の環境が良ければ、他の人とのコミュニケーションがスムーズにいくと思うので、家庭内でのコミュニケーションの大切さを感じます。

赤田委員
塾の講師の経験ですが、いわゆる素行の悪い生徒が、受験が終わり卒業していく頃まで素行が悪いままかというと、そうではないということです。なぜそのように変化していったかを考えてみますと、とにかく私は傾聴しておりました。子供の話をありのままに聞いていました。塾では学期に一度、三者面談を実施していたのですが、希望があればいつでも対応していました。多い方は、年に十回ほど実施したこともあります。その面談内容が、ここ4、5年で、子供の相談だけではなく、保護者が抱えている相談に変わってきました。「子供とどうやって話していいか分からない」、「腫れ物に触るようになってしまう」というような相談です。「子供の話を聞いていますか」と尋ねると、「なかなか聞いてあげられていない」との答えが返ってきました。まずは聞くことでコミュニケーションを少しずつ取っていってはどうかと提案させてもらいました。また連携については、もちろん学校と家庭の連携は大切ですが、地域と家庭の連携についてその重要さを感じております。

 

〇地域の子供の様子から感じる支援の必要性

松井委員
パトロール時に子供と接する時間はほとんどないですが、今の子供たちは変に大人びているように感じます。腕章をつけてパトロールする私達に、子供の方から気を使って話をしてくれることがあり、素直な行動ならそれで良いが、なかなか子供の本性が分かりにくいと感じています。私個人としても、子供たちにはもっと色んなことを経験してもらいたいと思っています。その中で地域の人々と関わる場面が増えてほしいと願っています。そうすれば家庭や学校でも、様々な話が出てくるだろうと思います。

相澤委員
昨今のマスコミ・テレビ等における低俗番組の多さから、子供への影響が心配になります。子供が自分をコントロールできない人間になってしまうのではないか、そして、それがきっかけになって大きな事件につながってしまうのではないかと心配しております。かといって、家庭においても、子供たち一人一人の考えや気持ちを聞いてあげられる時間が大人には無く、そういったことも子供たちの気持ちのコントロールの問題の一因になっているだろうと思います。

都所指導担当次長
先ほど、赤田委員より、面談を通して保護者の方への支援に取り組まれてきたという話もありました。実際に子供たちが過ごす学校や家庭が、子供たちにとって安定した場所になること、そうすれば子供たちも自分の感情を適切に表現・コントロールできるようになっていくと考えられます。そのために、協議2では、地域社会や関係機関が学校や保護者にどのようなサポートができるのかについてご意見をいただきたいと思います。

 

〇地域の子供の様子、地域の大人としての取組

藤井委員
各小中学校のサポート会議に参加させてもらうことがありますが、つきつめていくと家庭問題になってしまいます。しかし、最終的には、個人情報の問題で我々は関われなくなってしまうことが多いです。そのような中、民生児童委員の方から情報を得ることで動けたということがありました。地域の人間としてどこまでできるのかということがあります。

茂木委員
すごく便利な世の中になったが、ネットを悪用している子供たちもとても多くなったと感じます。自分ではいじめているつもりはないのでしょうが、平気で悪口を書きこむ、それを応援する人がいる、そして当事者が追い込まれていくといったことが多く起こっています。コンビニとインターネットは便利で利用していますが、怖い面もあることを認識しています。特にインターネットに自分自身がどれだけ依存しているか冷静になって省みる必要があると思います。

 

〇補導活動を通して行うことができるサポートについて

神谷委員
インターネットの利用については、「おぜのかみさま」という紙芝居などもしていましたが、コロナ禍で、学校になかなか訪問できない状況です。地元の学校の施設利用管理者もしていますが、子供達と接しても、マスクをしているので、困っているのかなど表情を読み取りにくいです。また、子供側も地元の大人なのか分からない状況にあると感じます。行事でも来賓は招待されず、地域の祭りも中止となるなど、学校と地域が関わることができません。子供にとっても、学校以外の場面で、自分の得意分野を発揮できないまま小学校を卒業してしまうなど、残念だなと感じています。

金井委員
今年の前半、私達は「いかのおすし」を11校で実施しました。コロナ禍で、側に寄って来た子を抱きしめてあげることもできない状況ですが、大人の愛情があっての子供達なので、寂しそうにしている子供に声をかけるなど、地域のおじさん・おばさんとして見守るという役割があると思います。先日、荒れている高校生に話を聞く機会がありました。世間話をしながらコミュニケーションを取っていると、「今、俺は、どう生きるか考えているのだから、ほっといてほしい」と返事がありました。これが今の高校生の言葉なんだと思いました。少しの期間、自分を理解しようとして、自分の理性に勝とうとして戦っている最中で、そこで親がガヤガヤ言ってしまう。一方、自傷行為をしている子が、その傷を親に見せるということもあります。見せるというのは結局、親への甘えがあるわけなので、こういったことからも大人側の愛情のかけ方の問題だと感じています。関わるのか、放っておくのか、今の子供たちへの対応は、非常に難しいです。

 

〇非行傾向にある少年の改善更生に関わってきた経験から

中澤委員
地域との関わりについてですが、二十数年前、「めだかクラブ」という活動をしておりました。元教員だった方が代表で、地域の小学生を対象に、有志のスタッフも一緒に運営しながら、月一回活動をしておりました。めだかを育てたり、陶芸をしたり、しめ縄を作ったりして、子供の生き生きとした姿を見てきました。コロナ前に、残念ながら後継者がおらず、クラブはなくなってしまいましたが、こういった活動を続けられていたら良かったと感じます。

和田委員
私達は、様々な子供を対象に犯罪防止教室を行っております。少年法の見直しで、どのような責任が子供自身に問われるようになってくるのかについて、学校で講演活動を行っております。不良行為や薬物乱用など様々な非行少年についての知識や事例を紹介できますので、サポート会議などへ積極的に参加し、学校をサポートすることができると思っています。様々な犯罪をし、鑑別所、少年院などへ行くことになってしまう子供達は、現在の苦痛、生きづらさから何とか生き延びるために問題行動を行ってきた結果、犯罪に至ってしまったと感じます。もしどこかに、丸ごと受け止め、聞いてくれる居場所があれば、こういったことにはならなかっただろうと思います。それを子供自身が、自分で見つけていくことは難しいので、周囲の大人が察知して、情報をキャッチし、サポートにつなげていければと思います。色々な人が関わって、誰かが、どこかでサポートしていけるようにと思います。

 

〇その他関連して

教育長
前橋市医師会には、全ての診療科においてご協力をいただいており、これも前橋の特徴であることを付け加えさせていただきます。先ほどありました、婦人科、心療内科、精神科の先生にもご協力いただいております。私達は、医療、福祉、地域、学校と色々な方々にご協力をいただいて前橋の子供たちを育てております。とても感謝しております。

角田和委員
県警の子供相談にお世話になった事例がありました。SNSを使ったお子さんの相談で、県外の子供との交流があり、一市町村の電話相談では対応しきれない事案がありました。

都所指導担当次長
本会議でいただいた意見を事務局で吟味して、支援センターの事業に活かしてほしいと思います。

相澤委員
それぞれの方より、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

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更新日:2022年10月31日