令和元年度第3回前橋市社会教育委員会議会議録

審議会名

前橋市社会教育委員会議

会議名

令和元年度第3回前橋市社会教育委員会議

日時

令和2年1月16日(木曜日)午前9時30分~11時30分

場所

前橋市中央公民館501学習室

出席者

(委員)
安保議長、清水副議長、大森委員、高委員、三好委員、ラウラ委員、石関委員、三上委員

(事務局)
塩崎教育長、堀越教育次長、山中指導担当次長、佐藤児童文化センター館長、宮崎学校教育課課長補佐、若島生涯学習課長、事務局員(生涯学習課)

(前橋市立前橋高等学校)
田崎教諭

欠席者

森谷委員、田中委員、星野委員、剣持委員

配布資料

会議内容

(1) 開 会

(2) 教育長あいさつ

(塩崎教育長)
    今年度3回目の会議となるが、昨年度から、これまでは、あまり対象として来なかった高校生や大学生がどのように地域に関わっていくのかということを議題として、調査研究を進めていただいている。小高理事長から、若者で構成されているNPOの活動について説明を受けたり、児童文化センターのサポートスタッフの活動について見ていただいたりした。今年度は、若い世代の委員の方にも加わっていただき、前回の会議では、富士市立高等学校の取組について紹介いただいた。今後、本市でどのように取り組むのか、具体的なイメージが湧きつつあるように思う。本日は、全国的に活躍をされている委員の大森先生から、探究学習や県内の高校の取組について話を伺えることになっている。今後の協議に直接結びつくものをご提供いただけることと思う。
   前橋市立前橋高等学校で中心となって活動を進めている田崎先生にもお越しいただき、様々な取組を説明いただく予定となっており、非常に楽しみにしている。
   昨日、前橋市立前橋高等学校は、文部科学省と経済産業省が行政や地域、産業界と連携して優れたキャリア教育を実践している学校を表彰する「第9回キャリア教育推進連携表彰」で優秀賞を受賞した。東京でプレゼンテーションもされてきたということで、詳細については、後程伺えることと思う。
   若者の動きが前橋でもだいぶ聞かれるようになってきている。その一つとして、医学部に入り、病気で髪の毛を失ってしまった子供が多くいることを知り、何とかしなければならないと思った若者がいた。ヘアドネーションに取り組み、社会貢献をしようと呼びかけを行い、そのメンバの一人として、剣持委員も活動をしていた。当日はブースを設け、かなりの人達が関心を持ってくれていた。若い世代が夢や希望を発信し、それを受け止め何か後押しをできる仕組みがとても大切であると、今回の活動をとおして実感した。
   本日の会議で、調査研究は一区切りとなり、来年度は、提言をまとめる時期となる。前回は、平成29年3月に提言をいただいたところであるが、次の提言に向け、これまでの協議について意見集約をしていただければと思う。安保議長を始めとして素晴らしい方々に委員を務めていただいていることが、とてもありがたいことであると改めて感じている。
   本日は、前橋青年会議所で青少年教育を担当している方にも、お越しいただいている。来年度のテーマが、高校生に夢を語ってもらうということで、社会教育委員会議の協議事項と非常に関わりがあるので、ご案内をしたところ、お忙しい中、来ていただいた。上手く連携して事業を進められればと考えている。
   来年度、各公民館が作成しているコミュニティデザインを若者も含めて見直しを進められればと考えているので、今後ご意見をいただければと思う。
   本日は充実した会議となるよう、ぜひ、よろしくお願いしたい。

(3) 議 事(発言要旨)
1.県内高校で始動した「探究」と地域連携について
2.市立前橋高等学校社会教育実践報告

(安保議長)
   第2回の会議では、富士市立高等学校の斉藤先生から取組をご紹介いただいたが、今後どのように地域と連携した活動を行っていくのか、これから議論を深めていければと考えている。
   今回は、全国的な状況も踏まえ大森先生から、各地域の取組や県内の高校の活動の様子について話を伺う。前橋市立前橋高等学校の田崎先生からは、実践している様々な取組についてご紹介いただく。先程も話があったように、「第9回キャリア教育推進連携表彰」を受けられ、全国的にも注目が集まっている活動について、ご説明いただく。では、まず、大森先生から説明をお願いしたい。
(大森委員)
   本日は、高校でどのような学びが動き出しているのか、共有できればということで話をさせていただく。「探究」ということが高校の教育現場で動き出し、本格始動は、3年後となるが、各地で試行されている。
   新学習指導要領の前提となっていることに、予測困難な時代ということがある。Society5.0の時代を迎え、世の中の様々な在り様や仕事の在り方が変わってきている。前橋でも自動運転の実証実験が始まっている。5Gの協議会も動き出している。様々な生活様式がどう変わるのか、なかなか予測困難な時代となっている。電話交換手の仕事がなくなるまでに90年かかっている。一方でスマートフォンは、発表されてから、固定電話やパソコンの普及率をほんの数年で上回った。このようなスピードの中で、これからの子供達は生きていくことになる。学び続ける力、課題発見・解決といった力が求められる。教育の大きな改革のうねりの中で、新しい学習指導要領が出てきた。社会に開かれた教育課程で何を学ぶかとなった時に「探究」という概念が出てきた。ここに社会教育の出番がある。
   高校の教育改革の方向性としては、地域との協働による高等学校教育改革推進事業というものが動き出している。高校単体ではなく地域の中で高校を活かしていくという動きに変わってきている。高校のコミュニティスクール化も進んでいる。学校と社会が繋がっていくという時代に小中高校がなっている。グローバル化も学校単体ではなくコンソーシアムを組んで対応している。あらゆることで学校と社会が繋がって学びを作っていく動きになっている。今年から試行が始まった総合的な探究の時間であるが、「探究」は自己の在り方や生き方を考えながら、課題発見・解決をしていく。単なる課題解決学習ではなく、自己の在り方を考えながらというところがポイントになっている。課題解決の素晴らしい取組はされているが、自己の在り方とどのように紐付けるかが非常に難しい。それを実践しているのが、前橋市立前橋高等学校である。全国で表彰されるに値する取組を行っている。
   実社会や実生活と自己の関わりの中で問いを見出し、課題を立ててまとめ表現するということについては、正に社会との関わりに繋がってくる。今まで、高校でも総合的な学習の時間となっていたが、高校は、総合的な探究の時間となる。生き方を考えるのが、総合的な学習の時間であったが、生き方を考えながら課題を解決するのが、探究の学習である。生き方を考えることがプロセスに入って来ているという違いがある。
   総合的な探究の時間では、各学校の目標を定めることとなっており、これが非常に重要なポイントになっている。それぞれの学校の教育目標に沿って、学習を進めることになっている。
   県内の状況であるが、桐生高等学校では、早い時期からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)として取り組みを進めていて、よい実践がされている。探究活動の発表会には、地域の保護者を招き、それが高校選択にも繋がっている。教員がオリジナルテキストを作成し、聞く力や課題発見力等といった、探究活動を進めるための技法を学ぶ内容となっている。技法を学ぶワークも継続的に行っている。
   1年生では桐生学というものに取り組んでいる。桐生のまちを題材に課題を見つけ出し、それを解決するための方策を考えている。市の職員が学校に来て話をしたり、生徒がインタビュー調査をしたりしている。まちに出て調査も行い課題を見つけ、半年かけて取り組んでいる。中間発表や最終発表では、大学の先生が10名ぐらい入り指導助言を行っている。
   2年生では、生き方に関わるテーマを自分なりに考えて取り組む。調査研究をしたことを小学校へ行ってプレゼンテーションを行ったり、教えたりもしている。サービスラーニングであり、自己の学びを定着させている。
   中央中等教育学校は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)として取り組んでいた。学校として学校教育目標をどのようにカリキュラムに落とし込んでいくのか、ということを実践している。SGH終了後は、独自プログラムに落とし込んでいる。
   1学年は尾瀬学習を行い、群馬を知るということに取り組んでいる。2学年は、群馬探究という活動を行い、3学年は日本探究を行っている。4学年は世界探究に取り組み、5学年で世界に発信するプロジェクトを考え、英語を使って発表を行っている。
   県立前橋高等学校は、今年度からSSHとして動き出した。イノベーションを創出するグローバルな人材を育てるという目標を立てている。そのために求められる力を探究活動を通して身に付けていくことを目指している。1年生は、SDGsの観点からテーマを設定して、探究への活動の準備を行う。2年生は、文系的なもの理系的なものに分かれて活動を行うが、前橋市をテーマとして活動を行うことになっている。市や経済界と調整を行っている段階である。
   前橋市立前橋高等学校の取組については、この後田崎先生から説明があるが、自己の生き方と探究をつなぎ合わせているところが優れている。研究ではなく正に探究を実践しているところが素晴らしいと感じる。
   これからの学びは、やってよかっただけでなく、その結果どうであったかが重要となる。何ができるようになるかということが、カリキュラムマネージメントの大きなポイントとなる。中央中等教育学校では、人材育成の成果指標として36の要素を設定し、それぞれの要素を学年進行でどこまで達成できたか、常に検証を行っている。さらに、それぞれの教科の単元の中に要素を入れ込んでいる。古典の授業にグローバル人材育成の要素を入れたりもしている。人材育成目標に向かって、各教科で取組が進められている。
   県立前橋高等学校では、7つの人材要件を探究活動で身に付けさせていくためのカリキュラムマップが作成されている。人材育成を100点満点で指数計算し、進捗状況を確認しながら取り組んでいくことを始めている。実際に評価する時には、ルーブリックを用いて、どこまで到達したかを見ている。探究基礎で、何が出来るようになったらどのレベルであるのかというものが作られている。自己評価・他者評価を取り入れながら、進捗状況を確認している。これにより、学習成果を可視化している。
   他の高校でも様々な取組がされている。情報系の学校では、生徒がパソコン教室を地域に開放した取組を行っている。生徒にとっては、非常に高度なサービスラーニングとなっている。ものづくり体験教室を行っているところもある。いろいろな高校が社会に出始めている状況がある。
   太田市立太田高校では、本校の教員や学生が、毎週金曜日に生徒の指導や助言を行っている。大学が単位も出す。高校の授業を大学が行うという連携も始まっている。
   県内でも取組が始まったばかりで、差があるのが現状である。3年後には、それを同程度にしていかなければならず、そこに社会教育が果たす役割がある。これまでは、若者の社会教育を公民館ベースで考えてきたが、これからは、学校教育が外に出始めているところに、社会教育が接続していく方が、果たせる役割は大きいのではないかと考えているところである。
(安保議長)
   学校教育と社会教育が連携する時代を迎え、全国的な取組から県内の状況まで詳細に説明をいただき、理解が深まったように思う。続いて田崎先生から説明をお願いしたい。
(田崎教諭)
   今回、「第9回キャリア教育推進連携表彰」で優秀賞をいただいた。審査員から評価された内容で社会教育に通じるところが、たくさんあり、その点を中心にお話しできればと思う。
   昨日表彰式があり、ポスターセッションで、普通科高校の先生方と情報交換をしたが、普通科高校は実業高校と異なり、企業や地域等と密なつながりがないため、どのように結びついたり、探究学習を展開したりしていくのか、先生方も悩んでいた。本校のルーブリックを見てもらうこと等もした。
   滋賀県の高校では、幼稚園から高校まで一体化した取組を行っていた。新潟県の高校では、お仕事体験塾というものを行っていて、産業界も含めて子供達を育てていこうという意識の高さが感じられた。岡山県では、普通高校と商業高校、工業高校の4つの高校が連携して探究学習を進めていた。4つの学校の生徒がチームとなって、地域で探究活動を行っていた。 
   本校の探究学習は、つながるということをコンセプトにしている。1年生は、30の企業でフィールドスタディを行っている。就職情報会社や市とも連携し実施している。商業高校や工業高校は、企業とのつながりが深いが、普通科高校はつながりが薄く、その点をカバーしてもらっている。
   商店街の方へのインタビューも行い、課題を見つけ出す活動を行った。このような活動がいくつも重なり探究学習を実施している。これまでの進路指導は、いわゆる出口指導であったが、身近な社会の課題を探究しながら、興味のある学びを見つけてほしいと考えている。職業ありきではなく、学びありきということで考えている。学び指導ということに変わってきている。
   社会に開かれたということが高等学校でも問われてきていて、難しいことだと感じているが、地域の方との交渉には積極的に出向いている。
   一番大事だと感じているのは職員だと思う。この2年、コーディネーター的な役割を務めてきたが、最初の1年は、また何か始めたという意識で見られていたこともあったと思う。当初は、地域での活動に対して関心があまりないようにも感じられたが、今回このように表彰されたり、賞賛の言葉をいただいたり、生徒が活動に取り組んで生き生きとした姿を見せたりして、活動の必要性を感じてくれることが多くなったように思う。生徒を成長させようという意識で職員が一体となっている。職員の異動もあるので、今後、活動をシステム化していくことも必要ではないかと思っている。
   商店街の活動では、様々なところを回り、聞き取りを行った。グループで活動のまとめを行い、市との連携やSNSを使った情報発信等を提案していた。
   企業のフィールドスタディについては、普通科高校での実施の在り方を就職情報会社と検討してきた。今の高校生には、単なる見学やお仕事体験では不十分ということを話してきた。将来は、仕事を管理・運営・発信できるような人材になってほしいと願っている。世界とどうつながっていくのか、マーケティング等をしっかり学んで企業を成長させていく人材に育ってほしいと思っている。インターンシップではなく、フィールドスタディという名称には、そのような意味が込められている。
   誰がどこの企業に行くかは、就職情報会社がマッチングをしてくれている。約200項目のアンケートを基に企業の要望も踏まえ、AIでどの企業に行くことが一番成長できるのかを判断している。自分で選んだら行かないという企業でも、話を聞いている内に、なぜフィールドスタディがこの企業となったのか気付き納得する生徒がいた。
   市内で頑張っている企業があるので、将来前橋に戻ろうと考える生徒が一人でも増えればということを意図した取組でもある。
   企業での活動をとおして多文化を理解することの大切さに気付いた生徒もいた。外国出身の従業員の方と接し、言葉だけでなく文化を知ることの大切さを知り、今の学びの重要性を感じていた。
   模擬市長選挙は、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことにより始めた取組である。クラスの中に1人ずつ大学生に入ってもらい、その大学生を市長候補にして、生徒がマニフェストを考えプレゼンテーションを行う。ただ話すのではなく、ロジカルに考え発信できるようにするための講座も実施している。選挙管理委員会から投票箱を借用し、開票作業も行い当選者を決めるところまで行っている。
   11月のまえばし学校フェスタでも、取組の発表を行った。プレゼンテーション力やアウトプットの力がとても大切であり、可能な限り多くの生徒に関わらせた。ステージ発表では、探究学習の取組について紹介した。
   模擬議会は、本校のOBの市議会議員や同窓会長と協議をして、実施することとなった。ベースは模擬市長選挙であり、考えたマニフェストをもとに、質問を行った。質問を行う前には、市議会議員の方々に助言をいただいたりもした。結構厳しい指摘もあったが、それに負けずその後の生徒の取組は素晴らしいものがあった。教員だけでなく、いろいろな方と触れ合う機会にもなり、生徒は良い経験ができた。
   当日は、議会と全く同じ方式でお願いし、場を整えていただいた。たくさんの配慮をいただき実施できた活動であった。
   これらの取組が終わった後、自己評価を行った。入学前と比較すると数値は全ての項目で上昇し、手応えを感じているところである。本校の取組の概要は、以上である。
(安保議長)
   素晴らしい実践例を紹介いただいた。高校教育も自分の生き方を試す場、育む場となっていることが、本日の実践発表でよく理解できた。学校教育と社会教育が協働していく時代を迎えていると感じる。では、今お二人から説明いただいたことを踏まえて協議を進めていきたいと思う。
(清水副議長)
   高校が変わって来ているということを感じたが、それを社会全体が認識しているのかどうか。後押しし、社会全体に広めていくことが、私達の役割ではないかと思う。若い世代が取り組んだ結果として、育っていくということが、高校教育で今行われていて素晴らしいことであると思う。今回は理論的な提言ではなく、動き、アクションを促す提言を行っていかなければならないと思う。県に勤務していた頃と比べ、高校は大きく変わっている。コーディネートしていく人材も育ってきている。大森先生から説明いただいたことも含めてこれから考えていかなければならない。
   普通科高校を社会に開かれたものにしていくことが、課題になるかと思う。そのためには大学も変わっていかなければならない。
   小中高校とステップとして繋がることにより、人材が育っていく。市内の教員がこのことを理解しなければならない。学校の負担軽減のために地域の方に支援してもらうという時代とは、違って来ているという共通認識を持たなければならない。
(安保議長)
   これまでは、高校生は学習面のことがあり、なかなか接点がなかったが、今は高校生が地域に関わることで、自らの生き方を問い直し自己有用感を高めていることが素晴らしいと感じる。
(三好委員)
   小中学校でも社会に開かれた教育課程や学習したことを活用する力がとても大切なものとなっている。今の学びとそれがどのように役立つのかということを考え大事にしている。子供たちが主体的・対話的で深い学びを行っているが、アウトプットを特に大切にしている。リーダーシップを取れていなくても、活動にはしっかり取り組んでいて素地はある。
   先程の生徒の感想を聞いていて、学ぶことの意義が分かったり、学びと社会の繋がりが分かったり、凄いことだと思った。その素地は小中学校で培われると思っているが、さらに力を付けていければと思う。以前から体験を大切にし、主体的・対話的で深い学びを意識して取り組んでいるが、高校での活動も意識して子供達の力を育んでいかなければならないと思う。
(田崎教諭)
   今の話を高校でもすごく感じており、活動のベースが上がっていて、小中学校での活動が活発に行われていると思っていた。難しいと思われたことでも、実際取り組ませて見ると結構できるということが多くなった。小中学校での活動が生かされて高校でもその力が発揮できているのだと思う。年々それを感じるようになってきている。
(三好委員)
   そのようなことを初めて高校の先生から伺ったが、高校での様子を小中学校側が聞くということもとても大切であると思った。
(安保議長)
   小中高校とシステム化されることが必要であると感じる。
(大森委員)
   高校の先生方のハードルが一気に上がったということがある。総合的な探究の時間の様子を見ると、そのようなことは既に中学校で行っていると感じることがある。生徒にとっては、難易度が低いものとなってしまい、そのようなことに取り組ませても意味がない。小中学校のレベルが上がっているということがある。
   小学校でも、4年生が地域の福祉施設に行ったり、お寺に行ったり、大学探検をしたりし、その後、何を学んだかを書いて送ってくれる子もいる。高校が探究の活動に取り組むと小中学校のレベルに追い付いてないということが出てきている可能性があり、その点を支援していかなくてはならない。
   社会教育の課題として社会資源をどのように平準化していくのかということがある。市内に12の高校があり、1つの大学だけで支援するのは、無理があり、県内では80の高校があり、それを20の大学で支援できるのかということがある。県では普通科高校のインターンシップの在り方を検討していて、経済団体も前向きではあるが、実際1万9千人の高校生をどのように受け入れるのかということが出てきている。間に入る役割を担う機関がないと、パンクしてしまう可能性がある。その点が今後のテーマの1つになるかと思う。
(安保議長)
   小中高大まで含めた連携も検討が必要となる。これを前橋モデルの一つとして協議していければと思う。
(大森委員)
   大学側からみると高校生のレベルも上がっていると感じている。面接をしていて、以前ならこのような職業に就きたいのでこの大学を選んだということで十分であった。最近は、地域にこのような課題があると社会課題を挙げ、将来何らかの関わり持ちたいと考えているので、そのことを学べるこの大学を選んだという生徒が出てきている。教諭の指導もあるかと思うが、そのような高校生が増えてきているという実感がある。
   〇〇大学の○○学部がよいという時代は終わっていて、社会にどのようにコミットするかを考えてこの大学、この学部というように変わってきているので、大学側としては、何ができるではなく、その先のストーリーを示さなければ、受験生に選択されなくなる。
(高委員)
   子供達に学ぶ場を与えることによって、今まで気付かなかった力を持っているということを感じることがあると思う。このようなカリキュラムが出来ているということが、素晴らしいと思う。子供達が社会に出てどのような力を発揮するのか、非常に楽しみである。
   ある高校では、イノシシが農作物を荒らすので習性を研究し、イノシシが見える色で囲うと侵入を防げることを発表していた。
   また、ある高校では地産地消をテーマとして、市や農協にも働きかけ、フェスタを開催していた。実業高校は変わってきていると思っていたが、今日の発表を聞いていると、普通科高校もずいぶん変わってきていると感じた。社会で役立つ資質の育成を目指してカリキュラムを組み、実践を積み重ねている。
   高校生になると社会に働きかけを行い、成長の過程を感じるが、大人への一歩を踏み出せるよう、社会教育としてどのように役割を果たせていけるか、これから検討していければと思う。
(石関委員)
   高校時代には、発表があったよう取組は行って来なかった。ただ単にイベントでは終わっていないところが、すごいところであると思う。探究の学習に取り組むことが目的ではなく、目標となる資質・能力を身に付けるために探究の活動がある。そのようなことを学ばせていただいた。今後大切にしていきたいと思った点である。
   大学生の立場からすると、高校と大学の連携という点では、大学生は入学するとあまり社会教育に興味を示さなくなってしまう人もいる。大学生にもこのような活動をしてもらいたいと思うと共に、自分には何ができるのかということを考えさせられる機会となった。
(三上委員)
   ITやAIが中心となる時代となっているが、人が人を知らないと社会は進展していかない。社会を引っ張って行く人材を養成していかないと、社会は成り立たない。今、若い世代は、答えがはっきりとしているものを好む傾向があるが、行間があるということも伝えていかなければならないと思う。そのような観点からも、本日の話は、大変勉強になった。
(安保議長)
   自分を知る、社会全体から自分を見つめ直していくということが、非常に重要となっていると感じる。
(ラウラ委員)
   このような取組が高校で行われていることを知り、とても驚いた。学校は、教科書で学ぶ場であると捉えていた。国際交流という点では、多文化・多様性ということに関心がある。学校では、英語を中心に学んでいるが、言語だけでなく、文化についても学んでもらえればと思っている。さらに、英語だけでなく他の言語や文化にも興味を持ってもらえればと考えている。
   一つ質問であるが、高校生は、多文化・多様性についてどのような活動を行っているのか。
(田崎教諭)
   具体的に国際的な文化と関わるということは、現在は行っていないが、生徒達に地域のいろいろな人達と関わらせ感じさせることが、よい成長につながると考えている。できるだけ様々な機会を作っていければと考えているところである。
(大森委員)
   多文化ということでいうとインターナショナルなことだけが、多文化ではないかと思う。前橋市立前橋高等学校では、修学旅行は沖縄に行っている。前橋の文化と沖縄の文化の比較研究をしている。その視点を持つことにより、日本と外国といった大きな枠組みとなった時にも、比較検証しながら考えていく視点を育てている。
   県内では海外に行っている学校もあり、自分でテーマを設定し、日本での課題が、海外ではどのように取り組まれているのかを現地調査するような修学旅行も実施されている。
(田崎教諭)
   沖縄の修学旅行では、首里城に連れて行ったりもしたが、案内する方が10人に1人ぐらい付いて下さり、沖縄の方言を教えていただきながら、いろいろな世代の方と交流することができた。
   4~5人単位で、その地域の歴史的な町並みを見ながら、いろいろなことを学んで来ている。そのようなことを通して、沖縄の方々と触れる機会が得られている。
(清水副議長)
   多文化共生については、指導者も育てていかなければならない。教職大学院のカリキュラムの中にも、多文化共生の内容が組み込まれている。産業界も含めて多文化共生を考えていかなければならない時代を迎えている。指導者が意図しながら、多文化共生を学ぶカリキュラムを作り上げていけるようにしなければならない。
   今後の協議であるが、普通科高校の教育課程にどのように関わって対応していくのかということが、大きなテーマになると考えている。実業高校は、県の産業界を中心に協力体制が出来上がっている。普通科高校は、現在十分な受け皿がない。インターンシップ的なものとは変わってきているので、受け入れ側の意識も変えていかなければならない。前橋市立前橋高等学校のアンケート結果を見れば、きちんとした教育や体験が行われれば育っていくということを示している。このような経験をした生徒は、人としてのキャリアが磨かれ育っていく。
   高校から大学も含めて、普通科高校の活動の在り方を検討していかなければならないかと思う。
(安保議長)
   本日はこれから学校教育と社会教育が、どのように関わっていくのか、多くの知見を得られた会議となった。社会教育は、自らに問いかけ、人を育み社会を築いていく学びが原点である。今まで、小中学校では地域や地域の課題を学ぶということも行われていたが、高校は進学・就職ということが大きなものを占めていた。しかし、今は変わってきている。高校の活動をどのようにシステム化し、前橋モデルを作っていくのかということになるかと思う。この点について、第4回の会議で検討し次年度の提言につなげていければと思う。
   本日発表いただいた、大森先生・田崎先生に心より御礼申し上げ、本日の会議を終了とする。

(4) 連 絡

 ・今後の予定について

  (5) 閉 会

更新日:2020年03月25日