前橋市こども基本条例

前橋市こども基本条例について

こどもは社会の一員であり、一人一人が生まれたときから権利を持っています。その権利は等しく守られ、大切にされなければなりません。大切なこどもの権利やそれを守るための大人の役割など、こどもの権利保障についての基本的な事項を定め、こどもが安心して健やかに、自分らしく成長できる社会を実現するために、前橋市こども基本条例を令和7年12月に制定しました。 

条例の本文は以下をご覧ください。

 

 

こども基本条例の特徴

誰にでも分かりやすく、親しみやすい条例とするべく、内容は理念規定を中心とした17条に集約し、表記はなるべく平易な表現とし、本市の条例では初となる「ですます調」としました。

1. 前文

前文は、条例制定の背景や目的、決意などを示す部分です。ここに盛り込む文章について、市内の高校生と一緒に考え、こどもから大人に宛てたメッセージとして、前文に加えました。

前文の内容を考えるワークショップの様子については、以下をご覧ください。

 

 

こどもから大人へのメッセージ

私たちこどもは、一人一人が自分を大切にし、夢や希望を持って大人になるために、全てのこどもが安心できる社会になることを望んでいます。また、生まれたその時から、社会の一員として、愛され、成長していくことを強く願います。 
そのために、私たちはやりたいことに何でも挑戦し、その中で様々な人と助け合い、意見を伝え合っていきます。 
大人の皆さんには、私たちの憧れの存在であってほしいと願うとともに、私たちの挑戦を見守り、否定せず応援し、ときには助けてほしいと思っています。 
そして、私たち自らも、この条例について、また、そこに込められた思いについて深く理解し、大人の皆さんとともに行動していきます。

 

こどもからのメッセージを受けて

前橋市は、こどもたちの望む社会の実現に向け、こどもの声を真摯に聴き、その意見と思いを尊重し、こどもが主体的かつ創造的に生きる力を育むことができるよう、市全体で見守り、支援していきます。
そして、こどもの権利条約の考えに基づき、こどもの権利保障を基本としたまちづくりを推進し、こどもの笑顔があふれ、こどもと大人が手を取り合う「こどものまち前橋」を実現するため、この条例を制定します。

 

2. 基本理念

こどもの権利条約の4つの原則に基づき、こどもの権利を保障することの基本理念を定めています。
 

  • こどもが、あらゆる偏見や差別を受けず、権利を持つ個人として尊重されること。
  • こどもが、自分に関係のあることについて意見を表すことや社会に参加する機会が確保され、その意見が年齢と発達に応じて尊重されること。
  • こどもに関することが決められ、行われるときは、そのこどもにとって最も良いことは何かが、第一に考えられること。
  • こどもの年齢と発達、個別の状況に応じた支援が、行われること。
     

※こどもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、世界中のこどもの基本的人権を国際的に保障するため、1989 年 11 月 20 日に国連において採択された条約です。日本は 1994 年に批准をしました。
条約の基本的な考え方は、「差別の禁止」「こどもの最善の利益」「生命、生存及び発達に対する権利」「こどもの意見の尊重」の4つとしており、それぞれが条約に規定されるこどもの権利であると同時に、あらゆるこどもの権利の実現を考える時に合わせて考えることが大切な一般原則としています。
 

3. 大切なこどもの権利

数多くあるこどもの権利の中でも、特に大切な4つの権利を定めています。 

(1) 安心して生きる権利

  • 命が大切にされること。 
  • 個性が認められ、人格が尊重されること。
  • 体や心の健康に配慮され、適切な医療や支援を受けられること。
  • 安全な環境の下で安心して生活を送ること。
  • 幸せを追求すること。

(2) 豊かで健やかに育つ権利

  • 愛情と理解を持って育まれること。
  • 遊ぶこと。
  • 学ぶこと。
  • 体や心の健康のために休むこと。
  • 自然、芸術、文化、スポーツ等に触れ親しむこと。
  • 夢や希望を持ち、挑戦すること。
  • 適切な支援や助言を受けること。

(3) 自分を守り、守られる権利

  • あらゆる差別を受けないこと。
  • いじめ、体罰、虐待その他体や心に対する暴力を受けないこと。
  • 健全な心が育つ環境が守られること。
  • 他者が利益を得るためにこどもの幸せが奪われないこと。
  • 犯罪、危険その他有害な環境から守られること。
  • プライバシーと名誉が守られること。
  • 困っていることを相談し、助けを求めること。

(4) 意見を表し、社会に参加する権利

  • 自分の気持ちや意見を表すことができ、それが尊重されること。
  • 適切な情報を取得できること。
  • 仲間を作り、集まり、活動すること。
  • 意見を表し、社会に参加する機会が確保されること。
  • 自分に関係のあることを主体的に決めることができ、それが尊重されること。

4. こどもの権利を保障するための役割

こどもの権利を保障するための、保護者や前橋市、育ち学ぶ施設、地域住民、事業者の役割を定めています。大人は、こどもが、自分の権利と他の人の権利を大切にできるように、相互に連携し、協力して支援します。 

(1) 保護者

  • こどもの養育に関する責任を自覚し、こどもが自立した個人として成長できるよう、その尊厳を守り、愛情をもって養育すること。
  • こどもが安全に、安心して生活ができる家庭環境を整備すること。
  • こどもが基本的な生活習慣、規範意識、豊かな人間性等を身につけることができるよう、その育ちを支えること。

(2) 前橋市

  • こどもに関する施策を実施するとともに、こどもが安全に、安心して生活できるまちづくりを推進すること。
  • 保護者、育ち学ぶ施設、地域住民、事業者がそれぞれの役割を果たすことができるよう、必要な支援を行うこと。

(3) 育ち学ぶ施設(こどもが成長する過程において、育ち、学び、活動するために利用する施設)

  • こどもが集団で取り組む多様な活動を通じて、人として育ち、学ぶことができる環境の整備に努めること。
  • こどもの年齢と発達に応じた指導と支援に努めること。

(4) 地域住民

  • 地域活動における住民との交流や自然、歴史、文化との関わりを通じて、こどもの豊かで健やかな育ちの支援に努めること。
  • 身近なこどもを見守り、こどもが安全に、安心して生活できる地域づくりに努めること。

(5) 事業者

  • 雇用する労働者が仕事と子育てを両立できるよう職場環境の整備に努めるとともに、こどもと子育てに関する理解を深めることができるよう、その支援に努めること。
  • こどもの権利を保障するために市が行う事業、育ち学ぶ施設や地域住民が行う活動、こどもの主体的な活動に協力するよう努めること。

     

5.こどもの権利の普及促進

前橋市は、こどもの権利とこの条例の普及の促進に努め、市民がこれらの理解と関心を深めることができるよう、11月20日(国際連合総会において、こどもの権利条約(児童の権利に関する条約)が採択された日)を「前橋市こどもの権利の日」とします。 

検討の経過

こども基本条例の検討にあたっては、庁内の部局長で構成し、市長を本部長とする「こどものまち前橋推進本部」を設置し、その下部組織として関係課職員で構成する「こども基本条例ワーキンググループ」を設置、全庁体制での検討を進めてきました。また、各分野の専門家や子育て当事者などで構成された「こどものまち前橋有識者会議」、市内の大学生による「こどものまち前橋若者会議」を設置することで、多様な視点から議論を重ねてきました。

さらに、こども向けワークショップや高校生・子育て当事者を対象としたタウンミーティングなどを通じて、啓発活動を実施するとともに、こどもや若者の声を丁寧に聴き反映する取組や、前橋特別支援学校や教育支援教室、児童養護施設などにも協力していただき、声を聴かれにくいこどもにも配慮をした取組も実施をしてきました。

こうしてまとまった条例の素案に対してパブリックコメントを実施し、こどもも含め100名以上もの方からご意見をいただくことができました。

たくさんの方に携わっていただき完成した条例案について、令和7年第4回定例市議会に議案として提出し、審議の結果、可決・成立し、前橋市こども基本条例が制定となりました。

 

検討経過の詳細については、以下をご覧ください。

 

 

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こども未来部 こども政策課 こども政策係

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〒371-0014 群馬県前橋市朝日町三丁目36番17号
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更新日:2025年12月26日