上水道の歴史3(浄水場の施工1)

浄水場の施工1(施工準備から水源や濾過池等の工事)

工事施工の準備が整う

水源工事は、集水埋管の布設、人孔井の掘削等で、起工式以前に着工しました。浄水場内における水源以外の主要工事として、「集水管埋設工事」「濾過池築造工事」「浄水池築造工事」「配水塔建造工事」「ポンプ室建築」「機械の設置工事」等です。
これらに伴う排水工事、各設備間の配管工事、事務所の建築、公舎の建築等、順次着工をしました。

集水埋管布設工事

集水埋管作成の為、形枠を市内の安達鉄工所に製作を依頼。集水埋管作成は指名入札により、市内の土木請負業石井喜三郎氏が落札し、大正15年11月30日に完成しました。
集水埋管の内径は75.8センチメートルと90.9センチメートルの2種類で、共に1本の長さ約90.9センチメートルでした。管の接合部は、テーパがつけてあり、各管は30個の取水口の穴があります。
集水埋管は、総延長で約351メートル(原典では195間)を現在の敷島公園内に布設しました。150分の1勾配で、地下9メートルから12メートルに埋設され、16,000立方メートル取水可能な設備で施工しました。

人孔井の堀削

一・二号水源は、深さ11.2メートル・内径1.5メートルで、底には玉石を敷きました。また、三号水源は、深さ13.6メートル・内径2.7メートルで、底には玉石を敷きました。各井戸の堀削壁面下部はコンクリート、中間部分は石積み、地表近くはレンガ積みにて強化がされています。
人孔井は、集水埋管に接続され、地上部分は鉄蓋をして、円柱形の鉄筋コンクリート造りの上屋を建築。塵埃や危険を防止しています。

一号ウェアー(受水槽)

内法を幅1.5メートル、長さ3.6メートル、水深2.1メートルから2.9メートルとしたコンクリート造りです。内部には、1個は波除として、1個は堰とした隔壁を設けて四角ノッチの流量計に用いました。隔壁の厚さは約30センチメートル。槽の下部には排水用の鉄管があり、上部に鉄板の蓋があります。

濾過池築造工事

濾過池

濾過池は、長さ55.1メートル、幅41.8メートル、水面までの深さ2.4メートルの池が3池。給水人口8万人を超えた時は、1池増設を思考して配置をしました。側壁はコンクリートの上にレンガが張ってあります。池底には導水溝を設置するなど、濾過池のどの部分からも均等に集水出来るよう配慮してあります。 引水口は35.6センチメートルの鋳鉄管により制水弁をつけ、水量調節をします。
濾過池の有効面積は、一池2265.5平方メートルになります、従って濾過速度1日2.2メートルとすると濾過能力(濾過水量)約5000立方メートルになります。

浄水集合井

3池の濾過池から浄水を導水し、内径2.4メートル、深さ3.3メートルのコンクリート造りで、底部に玉石を4.5センチメートル敷き、その上に厚さ3.9センチメートルのコンクリートを施しました。内面の壁はコンクリートの上にレンガが張ってあります。底部から60.9センチメートルの鋳鉄管で浄水池に送水しています。更に最低部から内径15.2センチメートルの排泥管、制水弁を設置してあります。

ろ過池施工時の資料より

引水口(濾過池への導水)

内径35.6センチメートルの鋳鉄管にて各濾過池とも北側の中心付近から引水しています。

底部の施工状況

基礎土壌の上に、厚さ9.1センチメートルの捨コンクリートを施す。その上に、1:3:6比のコンクリートを24.2センチメートル施す、その上に、防水のためアスファルトを塗る、その上に、モルタルを3.3センチメートル施し導水溝部分を除き、水面接触部となります。

底部の導水溝(濾過池の集水溝)

結成石でコ型を作り上部に笠石を配し、池全体より均等量の集水ができるよう工夫。導水溝を配して、導水溝を配合比1:2:4の鉄筋いりコンクリートで覆い固定接着しました。

濾材

底部は、大玉石を多層に、次に小玉石を入れ、その境界部分は、大玉石の間隙に小玉石が入り込み表面は水平面となるよう施工をしました。更に、砂利を(原典に不陸なきよう、順序良く詰め込む)とあります。

原水が濾材を通るときの作用

  1. 篩作用
  2. 沈殿作用
  3. 吸着作用(イオンなど)
  4. 生物作用(一部の藻類の生物膜や微生物の作用)で濾過されると言われています

浄水の引き出し口

調整井

内法2.7メートル、幅2.1メートルの調整井があります。調整井は、2個の隔壁を設け内、1個に10.2センチメートルの摺動扉があり水量を調節します。他の1個はノッチ板を装置して濾過水量を測定できるようになっています。

取出し口

調整井より内径60.9センチメートルの鋳鉄管で浄水池(現在の配水池)に送られます。

排泥砂口

最下部から内径15.2センチメートルの排泥砂管があります。

濾過池1池の大きさ(濾過池は3池あります)

長さが55.2メートル、幅が41.8メートル。深水面までは2.4メートルで有効面積は2265.5立方メートルですが、長さ×幅では有効面積になりません。
従って濾過速度1日2.2メートルで、1池の濾過能力は1日約5000立方メートルとなります。
実施設計では24時間で3.6メートルの濾過スピードと考えていました。緩速濾過池は1日、4から5メートル、原水の水質が良い場合8メートルの濾過スピードが得られます。

補足

砂の呼称

砂利

粒子径10ミリメートル

粗砂

1ミリメートル

細砂

0.1ミリメートル
緩速濾過の濾材として天然の硅砂が最適です。粒子径0.3から0.45ミリメートルがよいといわれています。

現在の濾過池全景の写真

現在の濾過池全景(3池あります)

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更新日:2019年02月01日