食品添加物
食品添加物とは
食品添加物は、食品衛生法第4条第2項で、「食品の製造の過程においてまたは食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう」と定義されています。
近年、多種多様な加工食品が広域に流通するようになり、これらの加工食品の製造には、多くの場合食品添加物が使われています。
分類 | 品目数 | 例 |
---|---|---|
指定添加物 | 393品目 | ソルビン酸、キシリトール等 |
既存添加物 | 418品目 | カフェイン、クチナシ色素等 |
天然香料 | 612品目 | バニラ香料、レモン香料等 |
一般飲食物添加物 | 約100品目 | 寒天、茶、ラズベリー果汁等 |
(注意)食品添加物は化学的合成品、天然添加物にかかわらず、厚生労働大臣が指定したものだけを使うことができます(指定添加物)。ただし、天然添加物として長年使用実績があると認められ、既存添加物名簿に収載されているもの、天然香料及び一般に食品として供されるものであって添加物として使用されるもの(一般飲食物添加物)については、指定から除外され使用されています。
食品添加物の使用目的は、以下の4つに分けられます。
- 食品の品質を保つ(保存料、酸化防止剤等)
- 食品の風味や外観を良くする(甘味料、着色料、香料等)
- 食品の製造や加工のために使用する(凝固剤、乳化剤等)
- 食品の栄養成分を補う(ビタミン、ミネラル等)
食品添加物の表示
1.物質名表示
食品添加物を食品に使用した場合、原則としてその物質名を表示することになっています。物質名は、別名、簡略名、類別名で記される場合もあります。
例
L-アスコルビン酸=ビタミンC=アスコルビン酸、V.C
しらこ蛋白抽出物=プロタミン=しらこ
アカキャベツ色素=ムラサキキャベツ色素=アントシアニン、野菜色素
2.用途名併記(8種類)
次の8種類の目的に使用される食品添加物は、消費者への情報として表示の必要性が高いため、物質名だけではなく、使用目的や効果も合わせて記載することが義務付けられています。
用途名 | 表示例 |
---|---|
甘味料 | 甘味料(キシリトール) |
着色料 | 着色料(βカロテン |
保存料 | 保存料(安息香酸) |
増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料 | 増粘剤(カラギナン)、糊料(カゼイン) |
酸化防止剤 | 酸化防止剤(二酸化硫黄) |
発色剤 | 発色剤(硝酸カリウム) |
漂白剤 | 漂白剤(亜硫酸ナトリウム) |
防かび剤又は防ばい剤 | 防かび剤(オルトフェニルフェノール) |
3.一括名表示(14種類)
多数の物質名を個々に表示するよりも、目的・効果を表示した方が分かりやすい食品添加物に対して、個々の物質名は省略し、成分の機能・効果を表す一括名での表示が認められています。
表示される一括名 | 使用目的 | 添加物の範囲例 |
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イーストフード | イーストの栄養源 | 塩化アンモニウム 炭酸カルシウム |
ガムベース | チューインガムの基礎剤 | エステルガム |
かんすい | 中華麺類の製造 | リン酸三ナトリウム |
苦味料 | 苦味の付与、増強 | カフェイン |
酵素 | 触媒作用 | アガラーゼ |
光沢剤 | 食品の保護、光沢付与 | コメヌカロウ |
香料又は合成香料 | 香りの付与、増強 | アセト酢酸エチル |
酸味料 | 酸味の付与、増強 | クエン酸 |
調味料(構成成分の種類) | 味の付与、調整 | L-グルタミン酸 |
豆腐凝固剤又は凝固剤 | 豆乳を凝固させる | 塩化マグネシウム |
軟化剤 | チューインガムを柔軟に保つ | ソルビトール |
乳化剤 | 水と油を均一に混ぜる | グリセリン脂肪酸エステル レシチン |
pH調整剤 | 適切なpHに保つ | グルコン酸 |
膨張剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉 | 生地を膨張させる | 炭酸水素ナトリウム 第一リン酸カルシウム フマル酸一ナトリウム |
表示が免除されるのは?
1.加工助剤
食品添加物が加工の際に添加されていても、次のいずれかに該当する場合には加工助剤として扱われ、表示が免除されます。
- 最終食品として包装する前に食品から除去される。
- 原材料に起因して、その食品に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、その成分の量を明らかに増加させない。
- 最終食品に含まれる量が少なく、その食品に影響を及ぼさない。
2.キャリーオーバー
次の全ての条件に該当する場合はキャリーオーバーとなり、表示が免除されます。
- 当該食品の原材料の製造又は加工の過程において使用される。
- 当該食品の製造又は加工の過程において使用されない。
- 当該食品中には、当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていない。
ただし、調味料、甘味料、着色料等のように、味、臭い、色等五感に訴えるものは、一般的には最終食品で効果を発揮するので、原料由来の場合であってもキャリーオーバーとはならず、表示が必要となります。
食品添加物を読み取るポイント
次のことを知っていると、使用されている食品添加物を、表示から読み取る際に役立ちます。
(注意)全ての食品添加物が当てはまる訳ではありません。
- 食品の表示は、食材と食品添加物とを区分して、それぞれの重量順に書かれる決まりとなっています。調味料が使用されている場合には、調味料が添加物の先頭にくるケースが多くなります。
- 甘味料、着色料、保存料といった用途名表示があるものは、添加物です。
(注意)用途名の後ろのカッコ内に物質名が併記されています。 - 複合原材料以外でカッコ書きされたものは、食品添加物またはアレルギー物質です。
- 食品添加物はカタカナ書きのものが多くなっています。
食品添加物の規格と使用基準
規格とは、食品添加物の純度や成分について最低限遵守するべき項目を示したものであり、安定した製品を確保するために定められています。
使用基準とは、食品添加物をどのような食品に、どのくらいまで加えても良いかということを示したものであり、過剰摂取による影響が生じないよう、食品添加物の品目ごとあるいは対象となる食品ごとに定められています。食品中の食品添加物の使用基準は、ADI(一日摂取許容量)から定められます。
ある食品に含まれる食品添加物の量がADIを下回っていても、その食品を特にたくさん食べたり、同一の食品添加物を含む多種類の食品を一緒に食べる習慣等があると、その食品添加物の摂取量がADIを上回る可能性もあります。
そこで、厚生労働省が行っている国民栄養調査の各食品の摂取量から、一日に摂取する食品中に含まれる食品添加物の摂取量を推定し、その食品添加物の合計がADIを下回るように、使用基準が定められています。一般的には、合計がADIの7割から8割以下となるようにしています。
ADI 一日摂取許容量とは
食品添加物や農薬等の安全性指標として用いられるのがADI(Acceptable Daily Intake 一日摂取許容量)です。
ADI(一日摂取許容量)とは、「人がある物質の一定量を一生涯に渡って、毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される量」です。
通常、体重1キログラム当たりの物質量(ミリグラム/キログラム/日)で表されます。
ADI設定までの手順
1.毒性試験を行い最大無毒性量を求める
実験動物にある物質を与えて毒性の影響を調べる毒性試験を行います。
この毒性試験で実験動物に有害な影響が現れない量を最大無毒性量(NOAEL No Observed Adverse Effect Level)とします。
2.安全係数で割り、ADIを算出する
この最大無毒性量は実験動物に対するものなので、人に適用するために、最大無毒性量を安全係数100で割って算出したものがADIとなります。
(注意)動物と人との感受性の違いで10倍、さらに人の個体差を考慮して10倍とされており、動物実験の数値に100倍の安全率を見込んでいます。
毒性試験
食品中の食品添加物や農薬等の使用基準や残留基準を決めるためには、まず最大無毒性量(NOAEL No Observed Adverse Effect Level)を求める必要があります。
食品添加物や農薬等の安全性評価試験では、マウス、ラット等の実験動物を用いる等して、次のような毒性に関する試験を行い、全ての試験において実験動物に全く影響が観察されなかった最高量を最大無毒性量としています。
試験の内容 | 試験の目的 |
---|---|
反復投与毒性試験 | 一定期間(28日間、90日間、1年間等)繰り返し投与した時に生じる毒性影響について調べる。 |
繁殖試験 | 実験動物の二世代に渡り投与し、生殖機能や新生児の生育に及ぼす影響を調べる。 |
催奇形性試験 | 妊娠中の動物に投与し、胎児の発生・発育に対する影響や催奇形性を調べる。 |
発癌性試験 | 実験動物に経口投与した時の発癌性を調べる。 |
変異毒性試験 | 微生物を用いる復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、げっ歯類を用いる小核試験によって、変異毒性の有無を調べる。 |
一般薬理試験 | 生体の機能に及ぼす影響を、薬理学の面から調べる。 |
体内動態試験 | 動物に投与して、その吸収・分布・代謝・排泄等の体内動態について調べる。 |
安全性の再検討
安全性評価の技術は年々進歩しており、既に指定されている食品添加物についても、その時点での技術水準に合わせて再評価することが望ましいため、厚生労働省では食品添加物の毒性試験を実施して、安全性の再確認をしています。
もし食品添加物の安全性に疑問が生じた場合は、その使用を制限し、安全を確保する措置をとることとなります。
またこの見直し作業は、安全性の面からだけではなく、有効性、必要性の面からも検討されます。食品の製造技術や保存技術の進歩等により、使用されなくなった食品添加物は、指定が取り消されます。
この記事に関する
お問い合わせ先
健康部 衛生検査課 食品衛生係
電話:027-220-5778 ファクス:027-223-8835
群馬県前橋市朝日町三丁目36番17号
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更新日:2019年02月01日