第1回スローシティウェビナーを実施しました

1 概要

令和5年2月15日(水曜日)に、スローシティ国際連盟加盟都市である前橋市と宮城県気仙沼市の共催で、スローシティの輪を国内の市町村に広げるため、第1回スローシティウェビナー「スローシティって? ~よりゆっくりと、ていねいに、幸せが響くまちづくり~ 世界33か国287都市の仲間になりませんか」をオンラインにより実施しました。

当日は、自治体関係者や民間事業者、大学、各種団体など220名以上の方にご参加いただきました。

2 ウェビナーの様子

第2部 パネルディスカッション

第2部 パネルディスカッション(Zoom画面)

前橋会場

前橋会場

3 アーカイブ(前橋市公式YouTube動画)

ウェビナーの様子は、第1部の基調講演を除いて前橋市公式YouTubeで公開しています。

スローシティ国際連盟 ピエール・ジョルジョ・オリベティ事務局長からのメッセージ

ウェビナーの開催にあたり、イタリアに本部があるスローシティ国際連盟のピエール・ジョルジョ・オリベティ事務局長からメッセージをいただきました。

第1部基調講演 「スローシティから考える“幸福なまちづくり”とは」

ノンフィクション作家 島村菜津さん

講師 島村 菜津 氏

ノンフィクション作家。福岡県生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業後、2000年にイタリアのスローフード運動を紹介した『スローフードな人生!』(新潮社)がベストセラーに。著作に『スローシティ』(光文社新書)『エクソシストとの対話』(小学館)など、新刊は『シチリアの奇跡 マフィアからエシカルへ』(新潮社文庫)

第2部パネルディスカッション「スローシティに生まれた“よい変化”とは」

「スローシティに生まれた“よい変化”とは」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
・モデレーター
鈴木 鉄忠 氏(東洋大学国際学部准教授)
・パネリスト
島村 菜津 氏(ノンフィクション作家)
石田 雅芳 氏(立命館大学食マネジメント学部 副学部長・教授)
菅原 茂 氏(気仙沼市長)
山本 龍 (前橋市長)

第3部前橋市及び気仙沼市で活動する人の事例報告

1.前橋移住コンシェルジュ鈴木正知さん

2.林牧場 福豚の里 とんとん広場 林智浩さん

 

3.気仙沼市唐桑の牡蠣養殖業 畠山政也さん

 

4.気仙沼つばき会 斉藤和枝さん

4 Q&Aに対する回答

第2部パネルディスカッション時に寄せられたご質問に対する回答を掲載します。

スローシティを目指したきっかけや取組、市民参加などについて
質問 回答
日本ではまだまだ認知度の低いスローシティ運動ですが、自分の市をスローシティにしようとしたきっかけや着想はどこから来ましたか?(そもそもスローシティをどこで知ったのか) (気仙沼市)
2003年にスローフード都市宣言を行い地域をあげて「食」を核とするまちづくりを推進し、2004年にはイタリアで開催された「第1回スローフィッシュ・フェスティバル」に参加しました。スローシティ認証は、概ね5万人未満の町を対象としているので、 当時7万人を超える人口を有していた本市は申請を見送っていましたが、震災を機とする日本への支援活動の一環として、同協会からスローフードジャパンを通じ、加入要件の緩和と加入意向の打診があり、それを受けて2012年加入申請し、翌2013年に日本初となるスローシティに認証されました。

(前橋市)
スローシティ国際連盟の本部があるイタリアのオルビエート市が前橋市の友好都市であることがきっかけです。民間交流などの結びつきから友好都市になったのですが、都市間交流を進める中で、スローシティの取り組みを現地で視察するなどして、理念に共鳴し加盟を目指しました。
スローシティは食が入り口とのことですが、前橋市と気仙沼市の食に関する取り組みがあれば教えてください。 気仙沼のスローフードイベント(「プチシェフコンテストin気仙沼」、「気仙沼スローフードフェスティバル2007冬」、「気仙沼スローフードタウン&ライフフェスティバル2010秋」、「気仙沼スローフェスタ2021」)や前橋のPig-Out Campは食のイベントになります。

Pig-Out Campは、第3部の地域の取り組みで林智浩さんが説明されています。詳しくはウェビナーのなかでパネリストが回答しましたので、ぜひ録画をご視聴ください。
島村さんが第1部でおっしゃっていた「海や山とともに」というまちづくりは、地震が多い日本や”海と生きる”をスローガンに掲げた気仙沼では、どのようにスローシティ的防災対策をしながら海や山とともにするまちづくりに動かすことができると考えていますでしょうか。 気仙沼市では、東日本大震災を契機に、市内で木質バイオマス、風力、メガソーラーなど、再生可能エネルギー施設が民間事業として立ち上がるとともに、その利用を図るため、2019年から市も出資する地域新電力会社による電力供給が開始されています。また、防潮堤の整備にあたっては、市民が主体となり結成された「防潮堤を勉強する会」をはじめ、地域住民と行政が丁寧な対話を通じて、住民の生命を守ることを最優先としながら、自然環境や暮らし、景観も重視した津波防災のまちづくりを進めました(グリーンインフラ)。

世界のスローシティ加盟都市には、気仙沼市のような沿岸部のまちもあり、前橋赤城のような山地のまちもあります。防災まちづくりとスローシティのつながりは、今後大事なテーマになってくると思います。
前橋市のメインスポットは新しくできる道の駅ですか? 3月21日にオープンする道の駅まえばし赤城は赤城山や前橋の玄関口として位置付け整備されました。地域の食材を使用した飲食店や地場産品を取り扱うショップ、観光案内所などを入り口に、本物の前橋・赤城を体験してもらいたいです。まずは、道の駅まえばし赤城にお立ち寄りいただき、前橋・赤城の様々なスポットに足を延ばしていただければと思います。
「まち」で暮らす市民を巻き込んだムーブメントとなるような取り組みが必要と思いますが、どのような方法が良いとお考えですか? 新しいものを作るというより、まちにあるもの×いる人×よそものの組み合わせで面白い取り組みを考えると良いと思います。まちの当たり前を再発見するよそものが入りやすいこと、地元の人も外の人も継続的に集まれる風通しのよい場が大事になってくると思います。
前橋市や気仙沼市の市民の方々はどれくらいの割合の人がスローシティの考え方に賛同して積極的に動いているのでしょうか。また、市民の人から何か企画して長期的に活動するなどの動きはあるのでしょうか。 スローフードの言葉と意味も知っている気仙沼市民の割合は2020年現在46.1%ですが、スローシティの認知度調査は行っておりません。

前橋市でもスローシティに関する市民への意識調査は実施されていないため、正確な数字は分かりません。
ただし第3部の地域の取り組みで登場した方のように、熱意をもって動いている人はいます。まずは少数でもそのようなキーパーソンや組織団体がいることが大事です。次の段階で、木炭に火がつくように、市民にじわじわと理解が広がっていくことが活動の長期化につながると思います。
大学の講義をきっかけに、スローフード運動の思想やスローシティのあり方に魅了されて、本日参加させていただきました。
私は、北海道のとある地域にプロジェクトをきっかけに昨年から通うようになり、その中でその地域の自然や人の営みに惚れ込んで、4月から休学して移住することを決断しました。
地域おこし協力隊の方と親しくなり「このまちを面白くしていこう」と話す中で、「このまちはスローシティの素質がある、世界に誇れるスローシティにしていきたい」と考えております。
本日のお話を聞く中で、そのためのファーストアクションは「まず、まちにあるもの(自然資源、文化、人、歴史など)を知ること」だと確信したのですが、同時に、新参者の若者が、「地域を変えたい」と声を上げる難しさや、地域に長くからある組合と利害関係を考えながらコミュニケーションをとる難しさを感じています。
何かご助言いただければ幸いです。
地域活動への参加とても素晴らしいと思います。「このようにしたい!」という自分の思いがあると思いますが、まずは回り道でも地域の活動に参加してはどうでしょうか。とくに草刈りや掃除といった活動に参加させもらってはいかがでしょうか。「この人は本気だな」と思ってくれるかもしれません。また、挨拶も大事です。短期間ではなく、継続的にかかわる姿勢も大切なことと思います。
スローシティのその先の地方共同体のビジョンがありますか? スローシティはイタリアの小さな3つのまちから始まった運動ですが、多くの賛同者を集め、現在は33か国287都市のネットワークを形成し、日本国内では気仙沼市と前橋市の2市が参加しています。

日本とイタリアなどの欧州の都市構造は異なるため、日本独自のスローシティを形成していく必要があると思います。このための近道として、日本国内においてもスローシティの賛同者を増やし、議論や意見交換を行う国内ネットワークのような場を創設できればと考えています。

 

スローシティの課題や難しさについて

質問 回答
スローシティには地域の人の関わりが増えたり、その土地の魅力を感じられたり、様々な魅力があると思いますが、スローシティであることによって生じる問題などはありますか? スローシティの自己目的化が大きな問題です。スローシティの認証はあくまでも「このまちでよく生きる」ためのスタートであって、認証自体がゴールではないからです。
「いつのまにか」スローシティになっていた。という市民の方々もいらっしゃるかと思います。
そういった方から批判的な声を受けることなどはないのでしょうか?
スローシティ化の難しさを教えていただきたいです。
スローシティに対する批判的な声は耳にしませんが、「スローシティはわかりにくい」という声がよく聞かれます。それがスローシティを広める難しさの一つです。しかし、これは良い点だとも思います。なぜなら「分かったつもり」「早合点」できないので、本当に知ろうとする姿勢が市民にも行政にも求められるからです。
「自分のまちでよく生きる」がスローシティの主眼ですが、その答えをすぐに出すことは簡単ではありません。なぜなら人生の意味に関する正解のない問いだからです。それゆえ答えを出そうとする道のりでスローシティが定着していくのだと思います。ウェビナーのなかでパネリストが一部回答していますので、ぜひ録画もあわせてご視聴ください。
「スローシティ」という名称が独り歩きしていて、漠然としています。具体的に赤城や気仙沼に行ったとして、どこへ行って何をすればよいのでしょうか。窓口のようなものはありますか? 気仙沼市では、豊かな自然(森・川・海の循環)や豊かな食と、それを育む自然や産業を守り、豊かさを次世代につなげる活動が行われております。気仙沼市のまちを散策することだけでも感じることが出来るかと思います。

前橋市では、市の玄関口として道の駅まえばし赤城が令和5年3月21日にオープンします。当道の駅には、観光案内所が整備されスローシティエリア内で可能な体験プログラムやエリア内を巡るサイクリングツアーなどを提供する予定です。
島村さんの紹介したイタリアのケースはコムーネ単位であって、町が既にとてもコンパクトで管理・維持もしやすい地域。
一方、前橋市は県庁所在地、30万都市で巨大な鉄道駅を中心とした近代都市や大住宅団地も含んでおり、スローシティと言う名前とは相容れず、逆に単なる御題目となり、観光向けの名前になってしまう懸念もあるのでは。とても分かりにくいです。
気仙沼市は6万人の都市なので、考え方としてイタリアに近く、スローシティらしい取組み。同じ名前をこういう違う種類の都市で使うととても誤解が大きくなってしまうのでは。
ご質問のとおり、イタリアと日本のまちは非常に違います。明治以来、村の合併を繰り返して町を作ったケースが日本には非常に多いので、コンパクトな都市の造りというより分散的な都市構造が残っています。そのためイタリアのコムーネ単体型とは別の日本独自のスローシティをつくる必要があり、それができれば世界に誇れるスローシティになると思います。ウェビナーのなかでパネリストが一部回答しておりますので、ぜひ録画もあわせてご視聴ください。
前橋市出身で横浜市在住の者です。スローシティという人の暮らしに着目したことは素晴らしいと思います。現実の私は会社員であり、暮らし・生活を維持するのために労苦・労働しています。会社・企業ではスピードと効率を暗黙知として求められます。ジレンマを感じています。 ぜひ時間をとって、前橋市や気仙沼市の移住相談を受けたり、直接現地に行ってみてはいかがでしょうか。きっと今後の生活のヒントが見つかるのではないかと思います。

 

5 チラシ

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文化スポーツ観光部 観光政策課 スローシティ推進係

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更新日:2023年01月11日