前橋市の伝統野菜を紹介します

伝統野菜とは

伝統野菜とは、その地域の気候や土壌にあった環境の中で古くから栽培されてきた野菜で、昔から品種改良されずに受け継がれてきた固有品種のことをいいます。

伝統野菜は栽培に手間がかかり、機械化に向かない等の理由から生産量が年々減少していますが、地産地消や食育の観点からもその土地に根付いてきた伝統野菜を知ることは大切なことです。

全国有数の農業都市である前橋市に根付いてきた伝統野菜と、それを後世に継承しようとしている方々の取り組みを紹介します。

写真は農業カメラマンの網野文絵さんの撮影によるものです

前橋市石倉地区で栽培されていた「石倉根深葱」。
石倉葱とも呼ばれる独特のやわらかさと甘みが特徴の品種で、煮ると更に甘みが増すことから、鍋の具材に最適。

かつては組合が組織され地域で広く栽培されていたが、栽培に手間と時間がかかることや、組合員の高齢化・畑の宅地化を理由に次第に生産量が減少した。

平成20年から農業生産法人がってん野菜により、再生に向けた取り組みが行われている。

前橋市上泉町発祥の「上泉理想大根」はたくあん漬けにするとパリパリとした歯ごたえがあり、ぬか漬けにするとほんのりと甘みを増す、加工に向いた品種。

東京練馬の大根をもとに桂萱地区の風土に合わせて改良を行い完成した上泉理想大根は、昭和30年代の全国共進会で農林大臣賞を受賞したという。

農事組合法人味菜が毎年市民を対象に栽培体験とたくあん漬けを行っているほか、有志により地元小学校の授業で栽培体験を行うなど、地域の特色を生かした活動を続けている。

前橋市田口地区で栽培され親しまれてきた「田口菜」。
味は淡白でくせがなく、若干の苦みと甘みがある、独特な風味の摘み菜。
かつて明治天皇に献上され、その美味しさから町名を取った命名が許可されたといわれている。

南橘地区地域づくり推進協議会が行う、遊休農地を活用した「菜の花（田口菜）プロジェクト」では、田口菜の収穫や、収穫した種を使った菜種油の抽出、廃油のバイオ燃料としての活用など環境にも優しい活動を実施。見て楽しい、食べて美味しい田口菜の魅力を発信している。

地元の「富士見かるた」では「県下の名産」とうたわれ、干し大根の産地として知られる富士見町時沢。ここで育つ「時沢大根」は、皮が薄くて歯ごたえがあるという特徴から、たくあん漬けに適した大根として親しまれ、江戸時代には前橋藩主へと献上されていた。

機械化に向かず栽培に手間がかかることや養蚕に転換する農家が増えたことを理由に次第に生産量が減少。

地元の有志により結成された時沢大根復活プロジェクトチームが平成21年から毎年市民を対象に栽培体験とたくあん漬けを行っているほか、地元の小学校に種を配布するなど、時沢大根をたくさんの人に知ってもらうための取り組みを続けている。

米の裏作として適した作物を考えた末、芳賀地区の生産者により育成された「宮内菜」。葉はやや厚めで柔らかく、味はアクがなくて甘みが強いのが特徴。ビタミンCやカルシウムが豊富で、栄養価が高く、おひたしや和えものにするのがおすすめ。

農事組合法人味菜が、毎年市民を対象とした栽培体験を行っている。

前橋市宮城地区で栽培されてきた「三夜沢あずき」。宮城地区三夜沢町では、水はけが良い土壌を生かし、古くから小豆が栽培されていた。

初詣の名所として知られる赤城神社は三夜沢町にあり、昔から遠方より訪れる参拝者のために、たんぱく質が多くて栄養価が高い小豆を使い、赤飯や餡ぴん餅などを振舞っていたといわれている。

地域の伝統野菜を復活させるため、平成30年からみやぎ地域づくり交流会により、三夜沢あずき復活プロジェクトが行われており、収穫した小豆を活用したレシピの配信や、地元の餅屋と連携した餡ぴん餅の販売等を行っている。

農政部農政課ブランド推進係

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