廃水銀等や水銀使用製品産業廃棄物等の取扱いについて
平成25年10月に水銀の適正管理と排出量の削減を目指す国際条約「水銀に関する水俣条約」が採択され、我が国は平成28年に条約締結し、平成29年8月に条約が発効されました。これに先立ち廃棄物処理法等が改正され、平成28年4月1日に一部施行、平成29年10月1日に完全施行されました。
このことにより、水銀を含む廃棄物の分類が整理され、普通産廃である「水銀使用製品産業廃棄物」、「水銀含有ばいじん等」と、特定の施設から排出される廃棄物等を特別管理産業廃棄物とする「水銀を含む特別管理産業廃棄物」、「廃水銀等」とに区分されました。
水銀を含む廃棄物の排出者も水銀が環境中に発散されないよう適正な管理が求められるとともに、処理を委託する場合は、水銀を適正に処理できる業者を選定しなければなりません。
対象品目や処理における注意事項等は以下のとおりす。
水銀を含む廃棄物の分類
水銀使用製品産業廃棄物
水銀使用製品産業廃棄物は、水銀使用製品が産業廃棄物となったもののうち環境省令で定めるものをいい、具体的には、以下の表及び備考のとおりです。
1 | 水銀電池 | |
2 | 空気亜鉛電池 | |
3 | スイッチ及びリレー(水銀が目視で確認できるものに限る。) | 注意 |
4 | 蛍光ランプ(冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプを含む。以下同じ。) | 注意 |
5 | HIDランプ(高輝度放電ランプ) | 注意 |
6 | 放電ランプ(蛍光ランプ及びHIDランプを除く。) | 注意 |
7 | 農薬 | |
8 | 気圧計 | |
9 | 湿度計 | |
10 | 液柱形圧力計 | |
11 | 弾性圧力計(ダイアフラム式のものに限る。) | 注意 |
12 | 圧力伝送器(ダイアフラム式のものに限る。) | 注意 |
13 | 真空計 | 注意 |
14 | ガラス製温度計 | |
15 | 水銀充満圧力式温度計 | 注意 |
16 | 水銀体温計 | |
17 | 水銀式血圧計 | |
18 | 温度定点セル | |
19 | 顔料 | 注意 |
20 | ボイラ(二流体サイクルに用いられるものに限る。) | |
21 | 灯台の回転装置 | |
22 | 水銀トリム・ヒール調整装置 | |
23 | 放電管(水銀が目視で確認できるものに限り、放電ランプ(蛍光ランプ 及びHIDランプを含む。)を除く。) |
注意 |
24 | 水銀抵抗原器 | |
25 | 差圧式流量計 | |
26 | 傾斜計 | |
27 | 水銀圧入法測定装置 | |
28 | 周波数標準機 | 注意 |
29 | ガス分析計(水銀等を標準物質とするものを除く。) | |
30 | 容積形力計 | |
31 | 滴下水銀電極 | |
32 | 参照電極 | |
33 | 水銀等ガス発生器(内蔵した水銀等を加熱又は還元して気化するもの に限る。) |
|
34 | 握力計 | |
35 | 医薬品 | |
36 | 水銀の製剤 | |
37 | 塩化第一水銀の製剤 | |
38 | 塩化第二水銀の製剤 | |
39 | よう化第二水銀の製剤 | |
40 | 硝酸第一水銀の製剤 | |
41 | 硝酸第二水銀の製剤 | |
42 | チオシアン酸第二水銀の製剤 | |
43 | 酢酸フェニル水銀の製剤 |
(注意)19の項に掲げる顔料は、水銀使用製品に塗布されるものに限り当該水銀使用製品に該当する。
備考
上表に掲げるものを材料又は部品として用いて製造された製品は、水銀使用製品となります。(ただし、3、4 、5 、6 、11 、12 、13 、15、19、23、28に掲げるものに係るものを除く。)
上記のほか、水銀又はその化合物の使用に関する表示がされている水銀使用製品も水銀使用製品産業廃棄物となります。
また、上表の3、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、21、22、23、25、26、30、31、34及び浮ひょう形密度計、積算時間計、みずみゲージ式センサ、電量計、ジャイロコンパスは、水銀回収が義務付けられています。
水銀含有ばいじん等
水銀含有ばいじん等(特別管理産業廃棄物を除く。)は下表のとおりです。
廃棄物の種類 | 対象 | 水銀回収義務の対象 |
燃え殻、鉱さい、ばいじん、汚泥 |
水銀を15mg/kgを超えて含有するもの |
水銀を1,000mg/kg以上含有するもの |
廃酸、廃アルカリ |
水銀を15mg/Lを超えて含有するもの |
水銀を1,000mg/L以上含有するもの |
上記の対象は、水銀化合物に含まれる水銀を含みます。
水銀を含む特別管理産業廃棄物
水銀を含む特別管理産業廃棄物は下表のとおりです。
廃棄物の種類 | 対象 | 水銀回収義務の対象 |
鉱さい、ばいじん、汚泥 |
特定施設から排出されるもので、水銀の溶出量が0.005mg/Lを超えるもの |
水銀を1,000mg/kg以上含有するもの |
廃酸、廃アルカリ |
特定施設から排出されるもので、水銀の含有量が0.05mg/Lを超えるもの |
水銀を1,000mg/L以上含有するもの |
水銀回収義務の対象は、水銀化合物に含まれる水銀を含みます。
廃水銀等(特別管理産業廃棄物)
以下の特定施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物
- 水銀若しくは水銀化合物が含まれている物又は水銀使用製品廃棄物から水銀を回収する施設
- 水銀使用製品の製造の用に供する施設
- 灯台の回転装置が備え付けられた施設
- 水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品(水銀圧入法測定装置を除く。)を除く。)を有する施設
- 国又は地方公共団体の試験研究機関
- 大学及びその附属試験研究機関
- 学術研究又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行う研究所
- 農業、水産又は工業に関する学科を含む専門教育を行う高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校、職員訓練施設又は職業訓練施設
- 保健所
- 検疫所
- 動物検疫所
- 植物防疫所
- 家畜保健衛生所
- 検査業に属する施設
- 商品検査業に属する施設
- 臨床検査業に属する施設
- 犯罪鑑識施設
その他の廃水銀等
水銀若しくは水銀化合物が含まれている物(一般廃棄物を除く。)又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀
施行令等の改正に係る注意事項
水銀を含む廃棄物の保管、委託や処理にあたっては、従前の産業廃棄物の措置に加え、以下の措置等が必要になります。
水銀使用製品産業廃棄物
保管
- 他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける等の措置をとる。
- 保管の掲示板に、水銀使用製品産業廃棄物が含まれることを明記する。
処理の委託
- 水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬又は処分の許可業者に委託する。
- 水銀回収が義務付けられているものの処理を委託する場合は、水銀回収が可能な業者に委託する。
- 委託契約書に、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる事を明記する。
- マニフェストに、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる事及びその数量を明記する。
- 帳簿に、水銀使用製品産業廃棄物に係るものである事を明記する。
収集・運搬
-
破砕することのないよう、他の物と混合することのないように区分して運搬する。
処分・再生
- 水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置をとる。
- 水銀回収の対象となる水銀使用製品産業廃棄物は、ばい焼設備によるばい焼、又は水銀の大気飛散防止措置をとった上で、水銀を分離する方法により水銀を回収する。
- 安定型最終処分場へは埋立を行わない。
水銀含有ばいじん等
保管
- 保管の掲示板に、「水銀含有ばいじん等」が含まれる事を明記する。
処理の委託
- 水銀含有ばいじん等の収集運搬又は処分の許可業者に委託する。
- 水銀回収が義務付けられているものの処理を委託する場合は、水銀回収が可能な業者に委託する。
- 委託契約書に、「水銀含有ばいじん等」が含まれる事を明記する。
- マニフェストに、「水銀含有ばいじん等」が含まれる事及びその数量を明記する。
- 帳簿には、「水銀含有ばいじん等」に係るものである事を明記する。
処分・再生
- 水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置をとる。
- 水銀回収の対象となる水銀含有ばいじん等は、ばい焼設備によるばい焼、又はその他の加熱工程により水銀を回収する。
水銀を含む特別管理産業廃棄物
- 水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置をとる。
- 水銀回収の対象となる特別管理産業廃棄物は、ばい焼設備によるばい焼、又はその他の加熱工程により水銀を回収する。
廃水銀等(特別管理産業廃棄物)
保管・積替え
- 飛散、流出又は揮発の防止のための措置をとる。
- 高温にさらされないための措置をとる。
- 腐食防止の措置をとる。
処理の委託
- 廃水銀等の収集運搬又は処分の許可業者に委託する。
- 委託契約書に、廃水銀等と記載する。
- マニフェストに、廃水銀等と記載する。
収集・運搬
- 必ず運搬容器(密閉でき、収納しやすく、破損しにくい)に収納して収集又は運搬する。
中間処理
- 廃水銀等を埋立処分する場合、あらかじめ水銀の純度を高め、産業廃棄物処理施設の許可を受けた硫化施設において粉末硫黄による硫化、改質硫化による固型化を行う(硫化・固型化したものは廃水銀等処理物)。
最終処分
- 固型化したもの(廃水銀等処理物)が、埋立判定基準(水銀溶出量0.005mg/L以下)を満たさない場合は、遮断型最終処分場で処理する。
- 固型化したものが、埋立判定基準を満たす場合は、追加措置(注意)をとった管理型最終処分場で処理できる。
(注意)処分場の一定の場所において埋め立てる処理物が分散しない措置、他の廃棄物と混合するおそれのないよう区分する措置、埋め立てる処理物が流出しない措置、埋め立てる処理物に雨水が浸入しない措置
この記事に関する
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環境部 廃棄物対策課
電話:027-898-5953 ファクス:027-223-8524
〒371-8601 群馬県前橋市大手町二丁目12番1号
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更新日:2019年06月14日