第1回アーツ前橋あり方検討委員会 報告

審議会名

アーツ前橋あり方検討委員会

会議名

第1回アーツ前橋あり方検討委員会

日時

令和3年6月24日(木曜日) 午後2時~午後4時

場所

前橋市役所11階北会議室(オンライン併用開催)

出席者

委員

中島委員長、渡辺副委員長、青野委員、大橋委員、金井委員、小池藍委員、小山委員、中村委員、萩原委員、小坂委員、田中委員

事務局

関口副参事、徳野副館長、北澤主席学芸員、堺副主幹、狩野主任、木暮嘱託員

次第

1 開 会    
2 委員紹介・委嘱状交付
3 市長あいさつ
4 議 事
(1)委員長・副委員長選出
(2)本委員会の進め方
(3)開館8年間の共有
アーツ前橋設置に至る経過 
アーツ前橋の事業概要
運営体制
事業内容(展覧会、地域AP、教育普及)
収蔵作品数、入館者数、予算の変遷
(4)作品紛失事案と調査報告書における提言の共有
(5)紛失事案から明らかになった館運営における問題点の共有
5 その他
6 閉会

会議内容

1 開会

2 委員紹介・委嘱状交付

  事務局から委員選定理由を説明し、市長から委嘱状交付を行った。

3 市長あいさつ
   (私から)率直な思いを伝え、あり方検討委員会の中で、各委員の知見、経験、思い、ビジョン、さまざまな方からさまざまなご意見をいただき、次のアーツ前橋に生かしていくかという第一歩である。

   私から生意気にも「アートを語る」というおこがましいことはできないが、前橋の「美術館構想」、どのような美術館にしたらよいのかが選挙の争点だった。市長として検討委員会の人たちと、前橋における美術館基本計画、アーツ前橋のことを一緒に、「繋がろう」というメッセージに、私はハラハラドキドキしてアーツ前橋とともに歩んできたと思う。

  そして、住友館長という稀代のキュレーターとともにここまで歩んでこられたことが楽しかったと思うし、「アートの力で都市がめぶく」ということは、こういうことなのだろうと僕自身は思っている。

  ただし、さまざまなことがあり、もう少しアーツに対して長期的な支援をするべきだったのではないか、施設的な課題、収蔵庫が小さかったのではないかとか、自分なりに反省をしている。

  その反省の結果が調査報告書としてダイジェストで(まとめられ)、自分ももう少しアーツ前橋を大切にしなくてはいけないというレポートのような気がして報告書を読んだ。

  (全体の報告資料は)読むのに2日位かかったが、そうしたことも踏まえ、アーツの第二世代がこれから始まるのだろうと思っている。

  あり方検討委員会の意見内容に近づけていく努力を設置者として取り組んでいきたいので、委員のそれぞれの思いをぶつけていただくようお願い申し上げる。

  美術館の中だけのことではなく、子供たちの学校教育の中における美術教育の形など、ぜひ委員皆さんと一緒にアーツの第二世代を考える一歩にしていただければと思う。どうぞよろしくお願いしたい。

4 議事
(1)委員長・副委員長選出

 委員長は、立候補及び委員推薦とし、金井委員から中島委員の推薦があり、中島委員が委員互選で委員長に選出された。

  副委員長は、市広報研修会などの経験から渡辺委員が事務局案として提示し、委員互選により副委員長に選出された。

【委員長あいさつ】
  委員長選出に伴い、中島委員長からあいさつを行った。

  7年前「運営検討委員会」で委員長を務めさせていただき、「アーツ前橋」という名前を含め提言をさせていただいた。これまで長い時間をかけてアーツを見守ってきている。

  今回こういう形で、また検討委員会を設置せざるを得ない状況が発生したことに関しては、多くの前橋市民と同様、胸を痛めている一人でもある。

  あり方検討委員会の一義的な意味は、今全国で巻き起こっている論争を一日も早く収束させて、健全な形でアーツ前橋が再開・運営されることだと思っている。見識のある方に収蔵品の管理、調査研究を委ね、信頼のある形で発表することにより、(紛失作品作  家の)遺族の方に対し説明責任を果たすことが求められていると思う。

  7年間アーツ前橋を見つめてきて、今回この事案が発生してからも、多くの方と接する機会があり、多くの情報を僕は知りえる立場にいたと思う。本来きちんと説明をしなければならない立場にあると思うが、この委員会を通じ、公平公正な立場でお話させて頂ければと思っている。

  最後まで協力いただきながら進め、良い形でアーツ前橋の再開に漕ぎ着けたいと思う。ぜひよろしくお願いしたい。

 

【島委員メッセージ】
  欠席となった島委員から委員会開催にあたってのメッセージを徳野副館長が代読した。(要旨)

  私たちの提言が、仮に適切で建設的なものだとしても、それに伴う人材の確保や身分保障、予算的な措置に何らかのめどがつく見通しがなければ、意味がない。

  作品の管理業務は、展覧会の開催であれ、コレクションの形成であれ、美術館活動の根幹である。

  今後は作品リストの作成を怠らず、作品管理を丁寧に行い、情報の共有が徹底されることを望みたい。また作品管理業務に限らず、困った問題が発生した際には、何よりもまず職員個人で抱え込まず、同僚や上司とすみやかに情報を共有し、問題解決の糸口を探ることが肝要である。

  今回の紛失案件によってアーツ前橋の7年あまりの活動の一切が否定され一新される、あるいは私たちの提言に沿って一方的に組みなおされるとすれば、それはとてももったいないことである。

  むしろ、現場の学芸員のこれまでの経験と蓄積をどう活かし、職員の思いや今後の展望をどうしたら継続し、発展させることができるのか、その点を忘れてはならないと思う。

    活動の検証についての論点は、1.展覧会、2.コレクション形成、3.地域アートプロジェクト4.アーティスト・イン・レジデンス、5.ラーニング、6.調査研究活動、7.広報活動になる。

  その他、入場者数だけが目標とならないよう、内容の充実と街の回遊性や他施設との連携など、定性的な評価が求められる。

    新館長候補は、美術の専門家としての資質はもちろん、前橋の方々や職場の仲間との対話や協調ができることが求められるだろう。

 

(2)本委員会の進め方
○資料1「アーツ前橋あり方検討委員会の進め方」に基づき事務局から説明を行った。

  田中委員、渡辺委員、小山委員から会議の進め方について質問があり、事務局から回答を行った。

(3) 開館8年間の共有
○資料2「アーツ前橋設置に至る経過」に基づき事務局から説明を行った。

(金井委員)
 自分も「芸術文化施設運営検討委員会」に参加した。とても良い提言書ができたと思っている。それを元にアーツ前橋が始まるものと思っていた。

  この7年間すごく良かったが、自分の中で若干違和感があり、それは我々が出した提言とは少し離れているのではないかという部分。「市民が自発的に企画してやっていくのも大切」ということだったが、それが感じられなかった。それで(開館後)何年かして計画したのが「前橋の美術」という展覧会だった。そればかりではいけないが、市民が自発的に計画するの(展覧会)も欲しいと思った。最初の計画と7年間やってきたことのずれも今回の検討委員会で考えてもらいたいと思う。


○資料3「アーツ前橋の事業概要」に基づき事務局から説明を行った。

(中島委員長)
  昨今議論になっている「アーツ前橋の収蔵庫」という論点について、少ないとか切迫して いるとか、そのために設備が整っていない学校を使っていたという論争が起きている。(一方で)収蔵庫のキャパシティにまだ余裕があるという話も一部で聞いているが、実際どうなっているのか説明をお願いしたい。

(事務局)
  収蔵庫は、計画段階である程度余裕を持ち、厳選した作品を収蔵するとうことでスタート、そこから収蔵計画をもってやってきた。当初予定よりも収蔵ペースが速かったかもしれない。現状、それほど余裕があるとは言えないが、収蔵庫が狭いから館外に保管しているということではない。

  「アーツ前橋の収蔵庫で保管スペースが足らなかったから、今回の紛失作品を館外に置いたのではないか」という議論が出ているかと思うが、それ(紛失した)以外の(旧二中特別教室棟に保管していた)作品は、紛失が判明したあとアーツ前橋の収蔵庫内に移送が済んでいる。アーツ前橋の収蔵庫内に保管しようと思えば最初からできたと考えられる。保管した情報の共有が職員に足りていなかったとか、本来学芸員が行うべき手続きが取られていないことによって、旧二中の置かれるべき場所、アーツ前橋で借用していない場所に作品が置かれたということであり、それが紛失事案に繋がったのだろうと捉えている。

(小山委員)
  事務職はどうやってアーツで勤務することになり、何年間いるのか。

(事務局)
  前橋市の直営施設のため、副館長以下公務員である。人事異動によって アーツ前橋へ異動を命じられてやってくる職員である。大体3~5年程度で異動になるが、アーツの事業は文化に対する造詣や経験が必要になるため、他の部署より異動間隔が長いように感じる。

 学芸員は任期付職員と準常勤職員で、ともに学芸員有資格者もしくは同程度の経験がある方を人事部局・アーツ前橋で試験を行い採用しており、こちらは異動がない。

(萩原委員)
 任期付き正規の学芸員だが、準常勤との違いはどこにあるか。

(事務局)
 勤務時間と雇用体系の違いである。

(小池委員)
   収蔵品については、収蔵委員会や収蔵方針も決められていると理解したが、「作品を手放 す」という方向で考えたこと・議論されたことはあるのか。

(事務局)
  原則収集していくのが基本で、基本的に考えていない。

(青野委員)
   寄託の作品について、寄託期間の取り決めはされているのか。

(事務局)
   概ね2年ぐらいが目安となっている。

(大橋委員)
  旧二中のパソコン教室に一時保管していたのは事実なので、本来あるべき姿ではなく、今、保管がどういう状況になっているのか、改めて資料が必要なのではないか。

(事務局)
  次回以降の会議で提示したいと思う。

(中村委員)
  (アーツ開館に向けた)「あり方に関する提言」と「前橋文化推進会議」に直接関わった。「美術館設置の経過」がきれいな形でまとまっているが、取りこぼしてしまうものがあると感情的に感じている。

  「第六次前橋市総合計画」における「美術館構想に向けたワークショップ開催」がたった一文で説明が済まされてしまうのは、前橋にとってもったいないと思う。

  その動きの延長が、その後の前橋市の活動にも深く関わっている。アーツ前橋の「是の部分」と「非の部分」を検討していくことになるが、ワークショップの「熱」「熱さ」があったから今に繋がっている。

  (開館以降のアーツ前橋の充実した活動は前橋市に)もともとあったが、顕在化していなかった、見えていなかった部分が発火するように表に出てきたという印象を持っている。市民活動としての運動のすごかった部分について、それ(是非の部分の議論)を済ませ、成熟、大人になっていく時間を持たなければならないということを、今お伝えしたい。

(事務局)
  総合計画を作る時点、美術館構想、「次にどうするのか」の時点でも多くの議論が交わされ、多くの時間が費やされた。そうした(議論や)思いがあったからこそ、今回の事案でここまであったことが途切れてしまうのは残念なこと。それを繋げて先に行く中で、何ができなかったか、どこを直さなければならないのか、この先の流れを止めないため、ミスを起こさないためには何が必要なのかをしっかり考えていきたいと思う。

 

(4)作品紛失事案と調査報告書における提言の共有
(5)紛失事案から明らかになった館運営における問題点の共有

資料4「アーツ前橋作品紛失調査委員会 調査報告書」、

当日配付資料「紛失事案から明らかになった館運営における問題点」に基づき、事務局から説明

(金井委員)
  説明を聞いていて、自分はいい加減な人間だから、やっていられない感じがしちゃった。どういうことかというと、「上司に報告して上司の言うことを聞け」という自分の心の中にグサッと突き刺さったわけ。前館長もそういうミスはあったかもしれないが、自分の情熱でいろいろやってきた。そういうことは人間必ずあるわけだから、ここでそういうミスを突ついて(議論を)やるべきところじゃないと思う。もっと美術館の夢を語ったり、そういうことが僕はここで欲しいと思う。

(中島委員長)
  金井委員の指摘も踏まえて、次回アーツ前橋の将来像を含めた議論に深めていきたい。ただし、事案の真相がどこにあったのかという議論を共有しておかないと前に進めないと思うので事務局から説明してもらった。

(小池委員)
  (今回の事案は)、ざっくりとした印象で「人災」と思う。人災があった以上、良い学芸員、スタッフを今後採用できることが何よりの解決策になると思う。良い学芸員、スタッフが採用できるためには、良い美術館になること、良い地域になること、魅力的な美術館になることが重要で、それがあればよい学芸員が殺到するし、経験値豊かな学芸員が採用できるのだと思う。起こったことに対する追求は別の場所で十分なされていると思うので、今後良い人が集まることになるような美術館をどう作ったらいいかを検討する。そこに私も貢献できたらと思う。

(小山委員)
  (旧二中の)PC教室とか、なんでそういったこところに置いたのかわからないが、作家のところから持ってきた時にカビが生えているとか、そういう状態だと収蔵庫には入れられない。

(資料が)文字だけでビジュアルが無くリアリティがないので、アーツ前橋の収蔵庫とかPC教室とか、そういう資料が見たい。

(事務局)
  次回までに検討する。

(渡辺委員)
  自分の勤務していた会社の文化施設で目指していたものは「アート」であり「それを愛する人たちとの絆」であり、「アーティストそのものの育成」であり、「ともに成長する」ということでるが、その一方で「ガバナンス」についても非常に厳しくいつも見直しをしていた。人に対する投資、組織に対する投資も同時に検討されており、良いものを作り出す組織は、やはり脇が締  まっており、「車の両輪」だと考えている。

  「アーツ前橋」という組織だけではなく、人数が少ない中、作業量の多い仕事をこなし、いくつもの業務を跨って行い、雇用形態もさまざまな中で運営され、来館者も多くいて出納業務も行い、大変な中でこなすところで起こり得る問題だと思う。

  「犯人を捜す」とかではなく「プロセスを学ぶ」、学んだ中で共有し、より良い文化拠点にするためどうすればよいのか、リスクを減らし、お金以外の投資もしながら、より良くするためにどうすれば良いかを考えていけたら良いと思う。

(青野委員)
  無くなった木版画4点、書2点は、形状として額装されていたということだが、どれくらいのサイズで、どれくらいの厚みの額に入っていて、どれくらいのボリュームで、置かれていたはずのものだったのか教えていただきたい。

(中島委員長)
  それも次回追加資料としてお示しすることにしたい。

(小坂委員)
  行政に反映できるよう、いろいろな意見を聞ければ良いと思う。本市がこのようにやっているということで、要望があれば事務局と調整し私からも資料提供したいと思う。

(田中委員)
  今回の件は決して忘れてはいけない、重く受け止めなくてはいけないと思っている。公立美術館として足元をしっかり見つめ直して信頼回復に取り組まなくてはならないと考えている。

  アーツ前橋には潜在的な問題があったと思う。今回の作品紛失をきっかけに浮き彫りになったのではないかと感じている。

  そうした問題も解決し、これからどうするかに話を持っていけると良いと考えている。


(中島委員長)
  自分が口火を切って、「アーツ前橋あり方検討委員会」では、アーツ前橋の今後を議論しようということを話させていただいた。(事務局が)提供する議論を深掘りするのではなく、次回、個々の部分を深掘りすべきだというテーマがあったら、行政側に伝えて欲しい。

  行政側もしくは我々が提供するテーマに則って議論するということではなく、渡辺委員、青野委員、小山委員がおっしゃった「未来志向」的なテーマでここを深掘りするべき、押さえておきたいという項目があれば、皆さんから公募し次回議論を深めたいと思う。


(事務局)
  次のテーマに関して、繰り返しになってしまうが、先ほどの資料にあった「三層構造」の中で、どこを固めないといけないのか。

  一層目の個人の資質の問題、二層目の館の中の管理的問題、三層目の市としてのここを詰めないとまた同じようなことが起こる、きちんと最初の段階で(再発防止策の議論を)固め、その後に未来(志向の議論)に行かないと、また同じことが5年後、10年後に起こってしまう。

  何より、繰り返しで申し訳ないが、紛失事案が解決していない。作品はまだ見つかっていないわけで、(紛失した作品の相手方との)話もまとまっていない。これまで著作権者の方と話している中でも、「この件は未来永劫アーツ前橋の職員が肝に銘じて関係書類を全部見られるようにしておいて欲しい」「何よりもこのことを二度と起こさないような形にして欲しい」と(話をいただいている)。

  (事務局としても)あり方委検討委員会でも議論して欲しいし、アーツ前橋としても考えなくてはならないことだと(思っている)。それを抜きに未来(志向)のことは語れないと思っているので、まずそこ(再発防止に向けた提言)を固めた後に、その先のことと事務局としては認識しているので委員にはお願いしたい。

(中島委員長)
  了解した。それを肝に銘じて議事を進行していきたいと思う。

(事務局)
  あらかじめ、次の議題など調整しながら、早めに日程調整したいと思う。


5 その他

6 閉会

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更新日:2021年08月17日