第3回アーツ前橋あり方検討委員会 報告

審議会名

アーツ前橋あり方検討委員会

会議名

第3回アーツ前橋あり方検討委員会

日時

令和3年8月28日(土曜日) 午後2時~午後4時

場所

前橋市役所11階北会議室

出席者

委員

中島委員長、渡辺副委員長、青野委員、大橋委員、金井委員、小池委員、小山委員、島委員、野本委員、小坂委員、田中委員

事務局

関口副参事、徳野副館長、北澤主席学芸員、堺副主幹、狩野主任

次第

1 開会

2 あいさつ

3 議事

再発防止に向けた課題意見交換
・各委員からの事前意見(資料1)

議題1 適正な作品管理(保管場所・管理体制)について
議題2 ガバナンスの強化について
(1)コンプライアンスについて
(2)リスクマネジメントについて
(3)美術館における組織運営(採用・配置・育成計画)について

4 その他
・次回の予定議題と開催日程

5 閉会
 

会議内容

1 開会

2 あいさつ
会議開催にあたり、委員長からあいさつを行った。

(中島委員長)
1回目・2回目の議事録が公開されている。いろいろな問合せをいただくケースが多く、我々に求められることの重大さを再認識している。まだ明確に方向性出していないが、関心の高さに加えて責任を感じている。皆さんの協力をいただきながら、アーツのあり方を進めていきたい。
「今後のアーツ前橋をどうしていくのか」「どうしたいのか」に注力していかなければいけないと考えている。
これまで、アーツ前橋で起きた事象についての検証と再発防止に着目した議論であった。今日も「ガバナンス」や「コンプライアンス」に話題の中心が向いていくと思う。
私、個人としては、「アーツ前橋を今後どうしていくのか」「どうしたいのか」「どうあるべきなのか」。それが本来の「あり方」という検討と考えている。そのあたりの意見も、会議の中で私に要望、意見をいただければと考えている。最後までよろしくお願いいたしたい。
 

(資料確認と前回会議の補足)
資料説明とあわせ、前回会議までの修正・補足を事務局から行った。

・資料1・・・各委員からの事前意見


(事務局(徳野副館長))
各委員から再発防止について「適正な作品管理」、「コンプライアンス」、「リスクマネジメント」、「美術館における組織運営」の4つの観点から意見をいただいた。
前回会議の内容で修正点、補足がある。

委員長から「館長、担当学芸員が一斉に転出している」と発言があったが、現在、担当学芸員はアーツにおり、別の学芸員が退職した形になっている。人事異動の扱いに関して補足があったら総務部・小坂委員にお願いしたい。

また委員長から「前副館長の性格からするとすぐに上に(報告を)あげている」と発言があったが、前副館長に確認したところ、遅滞なく昨年3月4日に行政管理課文書法規係に相談、「事故報告案件での賠償の可能性についての認識」を共有、文化スポーツ観光部内で詳細を詰めて改めて報告することとなった。

(文化スポーツ観光)部としては、(年度が替わり)引き継ぎ副市長報告、行政管理課を含めて対応したが、(3月で報告・相談を受けた際)重大さを総務部でどう共有できたか前橋市役所の課題と事務局として考えている。

さらに委員長から「前副館長と担当学芸員の車中の会話が録音されていたのは何故だったか」という発言があったが、前副館長によると、廃棄物処理業者の証言を記録するため持参していたICレコーダーのスイッチが押されていたため録音されていたことに後から気付いたもの。

市としてなぜ証拠に使われたかは、法令上問題なく争訟案件となった場合にも証拠として使用できるものであることから(調査に使用されたと)なっていると思う。
以上踏まえ、紛失の相手先、市民の信頼に応えるよう再発防止に向けた意見交換をお願いしたい。


(中島委員長)
行政管理課へ前副館長から3月末までに報告が上がったのは本当なのか。

(小坂委員)
係員から伝わっていないとしたら行政管理課の組織の方に問題があるが、私は聞いていないので、担当からの報告が漏れている部分があったのだと思う。

(中島委員長)
よく意味が分からないが、行政管理課に3月末までには届いていたが、課長のところまでは届いていなかったということか。

(小坂委員)
私のところまでは話は来ていない。

(中島委員長)
今の話は、皆さんご理解いただけたか。紛失案件が年度内には庁内で共有、行政管理課はどういう所管課なのか。

(小坂委員)
コンプライアンス行動の周知や、事故があった場合の報告の取りまとめをする。

(中島委員長)
そういう課の担当係までは相談が来たが、課長のところまで紛失案件は上がってなかったということ。庁内共有がうまくされなかったことは問題だが、紛失案件とは別次元の話になるので触れるのは時間の都合やめておく。

3 議事
(1)再発防止に向けた課題意見交換

(青野委員)
適正な作品管理について、学芸だけではなく管理部門の方々にも情報共有されることが望ましい。
今回の事例は、そもそも作品を置いた場所、管理した場所に問題があったのではないかと感じられた。
学芸員これを言うのは失礼だが、作品を扱っている認識が希薄に感じられた。そんなことはないという意見が出るかもしれないが、本委員会の情報から類推すると、美術館の備品と美術館側が遺族にお願いし預かった貴重な作品の間に、大きなずれがあったのではないかと感じられた。

(大橋委員)
「作品を置く場所ではなかった」という発言もあったと思うが、そもそも作品を置いてはいけない旧二中PC室に、借りた作品を相当数入れてしまったこと自体が問題だったと思う。
PC教室に「物を入れてもいい」という認識があったから学芸員は作品を入れたと思うが、そもそもPC室を臨時で使うことに際し、紛失作品のようなものはダメという共通認識がなかったのだと。学芸員だけではなく管理部門にも責任の一端があるのではないかと感じている。

(島委員)
報道によると「誤廃棄よりも盗難の可能性もある」という話が出てきていたので、引き続き前橋市や美術館でも探す努力はやって欲しいと思う。

「アーツ前橋の収蔵庫に保管すべき」とあったが同感である。収蔵庫に20%ほど余裕があるという前回の話があったが、基本的には収蔵庫で保管していくという話になると思う。ただし、いずれ狭くなるので、将来、信頼のおける外部倉庫で保管することになると思う。

今回の件では、アーツ前橋に鍵を管理する権限がなかったと聞いている。鍵は他の人が管理していても良いが、誰も入れない状態の場所を確保できれば良いと思う。他の場所に預けるにしても誰かが持ち出さないように「作品に網をかける」といった工夫も必要になると思う。
棚卸の定例化は、数百点ならばできるかもしれないが、作品が増えていく可能性もあるので、重点的な点検をするとか、大きな作品は基本的にラックに収まっていたりするので、点検しなくても済むものもあると思う。貸出で作品が出たりするので、そういう時の確認を入念に行うことも重要。

再発防止のために地味な作品管理作業が重要になってくる。キュレーターと言う派手な印象があるが、地味な作品管理、調査研究の仕事が90%。そうしたところを継続的にやって欲しいと思う。

(野本委員)
島委員が書かれている内容に尽きると思う。青野委員も言われた網をかけておくとか、括るのも良いと思う。
貴重なものを預かっていたということを考えると、あまりにも杜撰だし、軽く扱いすぎていた。収蔵作品になるか分からないが、作品であるという認識の甘さ。大切さ、貴重さ(の認識)が欠けていたと思う。基本的に「プロがものを預かる」ということを考えれば、一番わかりやすいと思った。

(小坂委員)
作品、作家へのリスペクトが無いと思う。「企画展をしてやるからいいだろう」という上から目線になっている部分が問題として大きいと思った。

(田中委員)
作品の購入、寄贈、寄託、借用が現在どの状態にあるのか、学芸員、事務員、館長以下誰もが一目で分かるよう「見える化」しておくのが良いと思う。
市役所では契約事務について、準備段階から契約時、契約後に至るまでそれぞれの段階において「チェック表」を用意して複数人で確認している。こうしたアナログ的なことも大事なのではないかと思い。

(金井委員)
1つの部屋にいくつもの部門のものを置くということが疑問だった。1つの部屋にアーツのもののみを入れておけば、鍵が管理できるし、壊されたら事件になる。1つの部屋に1つの部門のものを入れて管理する形にできれば良かったと思う。1部屋での管理をするということをやれば良いと思う。

(中島委員長)
「50数点預かった中、著しくコンディションが悪いもの、汚れているもの15点を、保管庫ではなく旧二中に移動した」という記述があったと思うが、他館ではこういう状況で一時保管庫を用意しているものなのか。

(島委員)
虫が出たような場合は、額縁を含めた作品をとりあえず一時保管庫に移すこともある。ただ古い美術館だと開梱する場所自体がない場合もあるので、違う部屋に一時的に置き、周りに両面テープを貼ったり、虫が好きなトラップを設置したりして、どんな虫がどれくらいいるかを調べることをやる。
PC室に置かざるを得ない状況であれば、網をかけてカバーをして、その周辺に虫のトラップを置き、どれくらい作品の状態が悪いのか様子を見て、燻蒸に出すのであれば、専門業者に持っていきそこでやってもらう、もしくは出張してもらい燻蒸するなど、虫が出た場合には作品を収蔵庫に入れずに、いろいろな工夫をして基本的には対応していく。
学芸員に修復担当がいて、研修を受け、場合に応じ専門家に問い合わせる等の対応ができることが必要。作品を預かってきた担当学芸員と修復担当学芸員が一緒にどのように作品を扱っていくかという作業が必要。
一時保管庫があればベストだが、ない場合はどこか別室に一時置いておくことはあり得る。

(中島委員長)
コンディションが悪いもの、汚れているもの、埃のついている15点を選別し、保管庫に入れず別室に入れるという行為は有りだった。

(島委員)
あり得ると思う。ただし美術館によって収蔵庫自体が非常に狭いとか、小さい美術館だと置き所に困っているところもあると思う。その場合、ある部屋を借りて置くのであれば1室に置くこと、他のものと混在しない場所が相応しいと思う。今回は別の方が入ることができる状況だったことが大きな問題だった。
そして、預かった期間に鍵をかけていなかった時期があったという報道もあるので、鍵の管理も含め、杜撰な部分があったのではと思う。

(事務局)
旧二中に運び込まれた15作品が、「全て状態が著しく悪い」として話が進んでいるが、(調査)リストに状態が記されており、紛失した6品の状態も記している。比較的状態が良好なものが15点、旧二中に運び込まれているので認識いただきたい。

(中島委員長)
15点に関するコンディションの説明については、どこかに記述にあったと思うが。

(事務局)
「なぜそれを二中に置いたのか」という担当学芸員の説明に記されていたと思うが、(作成されていた調査作品)リストはそうはなってないと思う。

(中島委員長)
コンディションがどうであったかの前に、管理に関しての議論なので話を元に戻したい。
(旧二中PC室に)15点を移動しその後の管理に問題があった。(運び込んだ際の)画像を撮っていない、初歩的なミスという指摘もあったが、その画像すら残っていないことも管理上の問題と考えている。

(青野委員)
15点(旧二中に)移された是非は、個人宅にあったものを即収蔵庫に搬入するのは反対だが、一時保管庫はアーツ前橋の中にもあるわけで、どうしてそこに置かなかったのかが素朴な疑問。もし虫が移ってしまうとか、他の作品に影響が出るとことであれば、厚いビニールで包みガムテープで止めるとか、トラップをかけて虫が他の作品にいかないようにするとか、いくらでもやり方があったのに、どうして旧二中に運んだのか。
しかも自分のところで鍵の管理もできない、他のセクションの捨てるような備品が置いてある場所にわざわざ運んだのはどうしてなのかという疑問が拭えない。

(中島委員長)
もちろんそれは同意見。移動に至る経緯を論じることは意味のないことだと思う。

(小池委員)
アーツ前橋で管理に関する共通ルールを定めていなかったのかという疑問がある。学芸員であれば当たり前の所作として動く前提で存在していなかったのか、他の美術館ではあるけどアーツ前橋にはなかったのか。
学芸員の資質が問えないのであれば、そうしたルールでマニュアル化することが有効なのではないかと思った。

(事務局)
一部認識の違いがあるので補足する。
15作品は、状態の良し悪しを判断して(旧二中に)持ってきたものではなく、借りてきた時に全て旧二中に持って行き、状態の良いものが残されたという認識をいただけたらと思う。
なぜそのようなことになったかは担当学芸員にも聞いているが疑念点が拭えない。通常このような手続きは行われないがこの件に関しては行われてしまった。通常館内に置く、一時保管庫にはトラップを置くということを行っている。
再発防止マニュアルを作る場合に入れた方が良いことを、専門家である島委員や青野委員から頂けたらと思う。

(中島委員長)
本日は時間の都合もあるので次に進めたいと思う。(搬入時に)画像を撮っておかないのかという指摘は、そのとおりだと考えている。

(小山委員)
紛失について話すということは、本当はあってはいけないことだが、規則、マニュアル、ルールを作って実施し、一個一個積み上げて信頼を取り戻すことが大事だと思う。アーツ前橋、今の学芸員も含めて新しく作っていって、それを守っていったほうが良いと思う。
僕らギャラリーでもこんなこと普通無いこと。もしできなかったのならば、ルールを作ってやるだけだと思う。何十年か何百年か、続けなくてはいけないと思う。

(中島委員長)
肝に銘じて、マニュアル作りに生かしていければと考えている。


議題2-1. ガバナンスの強化(コンプライアンス)について
(青野委員)
「当たり前のことを当たり前に積み上げていく」しかないと思う。声高に「強化」と改めて言う必要がないのではないか。どうしてそれができないのだろうということが疑問である。

(大橋委員)
これまでアーツ前橋の学芸員と館長との関係を見ていると、求心力のある館長と学芸員ひとりひとりが線で繋がっていて、学芸員同士を管理できる体制に(なっていなかったのではないか)。
組織の話にも絡むが、館長と学芸員との間に、「学芸課長」という言葉を知らなかったが「上級学芸員」「事務方の管理(職)」を置き、ダブルチェックできる体制を作った方が良いのではないか。こういう事案が起こった以上、(再発)防止のため、そういう措置をせざるを得ないと思う。
突き詰めると担当学芸員があまりにも杜撰だったことに尽きる。アーツでもマニュアルのようなものがあったかと思うが、機能していなかったと言える。もう一回、厳格なマニュアルを見直し、学芸員が遵守する体制を作らざるを得ない。窮屈な話になるが事案が起こった以上、仕方ないと思う。
また、語弊があるかもしれないが、前館長が「美術の専門家」であることを盾に取り「遺族への説明は専門家が行いたい」と。一方で前橋市は「現状を正確に、誠実に遺族に説明した方が良い」と意見が対立していたが、専門性に関わる対立があった時、内部では調整不可能に陥る可能性があると思う。
そこに入っていける第三者的な民間の美術に関する造詣の深い方々、中立に立った団体、具体的に「アーツカウンシル」と書いたが、調整機能を発揮できれば今後良いと思う。
今回のことを教訓として全庁的に「リスクマネジメント講習」、「ハラスメント講習」を行う。外に向けても「講習を行っている」ことを発信していくことも重要と思う。

(金井委員)
何でも「強化」すれば良いものではないことを意見したい。法令遵守は当然のことで、島委員の意見にあったことをやれば何も問題がない。
今回は「事件」であり「事故」である。どんな社会、世界でも事故は起こるもので、起きたからいちいち「強化しよう」というのは、あまり好きではない。元館長も学芸員も創造的な仕事をしており、行き過ぎてはいけないが自由にやってもらえれば。このような事件はそうあるものではない。あまり窮屈にしないほうが良いと思う。

(野本委員)
今更「コンプライアンス」というのが率直な意見。大前提も大前提である。
マニュアルを作ることも「参考になる」という意味で必要だと思うが、肝心なのは、それをどう伝えて、どう理解してもらい、どう実行するかが全てだと思う。研修会を全庁的な問題でやるのか個別な問題でやるのか分からないが、やる人はやるし、やらない人はやらない。やらない人をどうフォローするのかも含め、話し合ったり、研修や勉強するなり、具体的な方策を考えた方が良い。

(小坂委員)
コンプライアンスは決まっているからやってもらえれば良いだけ。
今回の問題をきちんと学芸員同士、事務も含めてお互いどこに問題があるか話し合いはしたのか。みんなで理解していかないとこの先上手くいかない。
中でもきちんと話し合わないと今後の防止策は作れないと思う。

(事務局)
当然、紛失問題があった後、職員一人ひとり意見を出したり、これまでも前橋市の不祥事があったとき前橋市コンプライアンス行動指針の徹底は都度やっていて、言わずもがな、今までもこんなことはアーツでもやっている。先程、委員からあったとおり「守らない人がいた時にどうすれば良いのか」という話であり、不祥事があった際に「しっかりとした調査」と「それに基づく処分」があって(その順番がおかしいと)渡辺委員から前回話があった。アーツ前橋にまだその職員がいる中、これをどう対応するかは綺麗ごとでなく難しい話であり、このような問題があった時、どのような調査とどのような処分をして、どういう研修体制とするか、アーツ前橋だけでなく、組織として考えるべき問題と思っている。

(田中委員)
前橋市には「コンプライアンス行動指針」があるので、これを周知徹底するのは当然だが、これはごく一般的なコンプライアンスだと思う。これを基に美術館固有業務や美術館職員の行動をあてはめた指針も考える必要があると思う。

(渡辺委員)
1か月ほど前、鉄道車両の空調機器の検査データを改ざんし、国内外の鉄道会社に納入していた事案が明るみに出た。このような大きな会社であれば、社員もコンプライアンス研修は受けている。
なぜそんなことが起こるのか、最近の事件や事故はパソコンの中で生じている。メール、書類作成、決裁もパソコンで行い、職場での会話が無くなっている。職場の人の健康状態を確認することもなく、職員同士が会話を交わさず、仕事を終えてパソコン閉じて帰ることが良く行われている。
エクセルの中のセルの係数を一個変えるだけで、検査データがOKにもなったりならなかったりする。
マニュアルを作ってコンプライアンス研修しても無くならない原因の一つは「職場での人と人との交わりが希薄になっている」ことと、その結果、マネジメントするマネージャーとマネジメントを受ける人、横、縦、斜めの関係の中「仕事を通じた一体感」、「困っている人に対し手を差し伸べる」とか「場合によっては突き放して成長させる」とか、人間を見る際の眼差しが希薄になってきていると思う。
抽象的で話が飛ぶように思うが、今回のアーツ前橋で起こったことも、「これ以上のマニュアルは必要もないかもしれない」と思ったりしている。
館長、副館長、学芸員、一般職員の間の日頃のコミュニケーションは何だったのか。相互の尊重、理解、気持ちの差し出しとか受け止めとかはどうだったかを深く憂慮している。

(事務局)
学芸と事務、美術館と本課、本庁との橋繋ぎをしたいと改めて強く思った。

(小池委員)
マニュアルとかルールとかを作ると思うし守るのも大事だが、冊子の中に入っているものは「冊子を開く」行為をしないと目には入ってこない。後は、研修を受けるルール、処罰とかもあると思うが、無視しようと思えばいくらでも無視できてしまう。
事故を起こした会社など、人命を失ったような事案があると「慰霊の日」のような日を設定し、年に一回思い出すことをやっていたりする。
アーツ前橋も紛失事故を起こしたことを知らない人が新たに入ってくると思うので、「紛失が起きてしまった日」のようなものを館内で設定する。新たに入ってきた人たちも「何の日だったか」思いだす日を設定するのはどうか。

(事務局)
方法はいろいろあると思うが、「交通安全週間」や「火災予防週間」があるのはそういうことで、「こういう時に思い出す」のは非常に大事なこと。
第1回会議の際にも話したが、このことをアーツの職員が変わってもずっと引き継いでいかなくてはいけない。それを引き継いでいく方法を意見を参考に考えていきたい。


議題2-2. ガバナンスの強化(リスクマネジメント)について
(青野委員)
第2回会議でも申し上げたとおり、人は誰でも失敗をする。その失敗した後のリカバーをできるかが重要である。
「マニュアル強化」という話もあったが、本人が「起こしてしまったことを反省し、次につなげる気持ち」がないと、周りだけ騒いでも仕方ないと思う。本人というのは、担当学芸員の当事者一人だけではなく、アーツ前橋という組織、全員に関わることだと思う。「ヒヤリハット」という言葉を出したが、アーツ前橋という美術館だけでなく、前橋市にとって、美術館業界全体にとって、作品寄託者との間にこうしたことが発生したことは大きなこと。ここまで大きくなってしまったからには、きちんと一から心の持ちよう、仕事の仕方を変えていくしかない。新しく一歩一歩積み重ねることでしか信用は取り戻せないと思う。これはマニュアルとかの問題ではない。

(大橋委員)
今回の事案が長期化、深刻化し、影響が大きくなった背景は、危機意識が前橋市の幹部と早い段階で共有されなかった。(紛失事案は)1月初めに起こって1月末には確定的になっていた。なんで1か月近くかかったのか、担当学芸員の意識は疑問に思わざるを得ないが、(ご遺族への報告が)半年ほどずれ込み、ご遺族の方への対応について意見が割れてしまった、危機意識が共有されてなかったのが、背景に重くのしかかると感じている。
今回のように作品を巡る責任の所在など、一美術館では収まらない状況が想像つく場合、上長を通じて上の方と意識を共有し、対策を高い視点で考える。それをフィードバックし、美術館の担当ももちろんスタッフ全員で共有し、対応にあたる考え方が必要。それが出されなかったことが問題だと思う。
一言で言うと「問題を抱え込まない」。みんなで知恵を出し合い、最も良い解決策は何かを多くの人が関わって解決していく姿勢が大事で、「隠ぺい体質には絶対にしない」ことが大事だと思う。

(島委員)
これまで数年間引っ張ってきた求心的な前館長であり、事務方も専門家だからと遠慮し、言っておきたいことも言えない状況もあったのかなという気がする。今後、学芸と事務が相互に情報共有し、事務方にも、美術のことが分からなくても「今度はどんな作家が来るのだろうか」とか、「どういう作品が来るのだろうか」とか興味をもう少し持ってもらい、お互いいろいろなことを、主体的に意識を持って業務に取り組んでもらうことが必要と思う。

(野本委員)
今回の事件を考えて、「個人の段階での問題」と「組織の段階での問題」という分けた方が良いと思う。
作品が見当たらないとき、学芸員も館長も「どこかにあるだろう」と時間が延びたのだと思う。最悪の場合、リスクを想定することをせずに楽観的な方にいき延びてしまった。
「ヒヤリハット」と言う言葉は医療でも使われるが、「ちょっとしたミスが大きな事故に繋がる」として、些細なことでも提出させ、みんなで共有し、一人一人がそこに学び、自分も気を付ける。医療や製造業、いろいろなところでやっていると思うが、館にとってのリスク、ネガティブなことを本人が感じないことには何も進まない。まず、そこをどう感じてもらえるかが必要で、そのために研修が必要になってくる。
さらに、気軽に話せる雰囲気。学芸員同士ではあったかもしれないが、事務方と無かったのだろうと思う。館長と副館長と事務との専門性の壁や溝。前館長と酒を飲みながら話したことがあったが、傍から見てそういうものが少しあるのは薄々感じていたが、根底にあると思う。
コミュニケーションが全館的に必要だった。紛失は避けられなかったかもしれないが、その後の対応はスムースにできたのではないかと思う。
個人が問題として気づいたことを、どう話し合っていくか、分かった場合は早急に組織として対応するべきと思うし、不利益を被る方へ伝えるシステムがないとダメだし、今後の問題とすると市の中にあるシステムがどうして今回機能しなかったのか検証していく必要がある。それがスムースにいく手順、方法を考えないといけないと。

(小坂委員)
皆さんからいただいた意見について行政の立場からお礼申し上げる。
アーツだけではなく、事務職員と専門職、保健所もそうだが、コミュニケーション不足、立ち位置が違ったりするので、そういう難しさは感じている。アーツも意見をいただいたとおりコミュニケーションをとっていけると良いと思う。

(中島委員長)
行政管理課はリスクマネジメントが専門と言って良いのか。

(小坂委員)
このあたりが非常に曖昧なところがあり、リスクマネジメントの部分もあるが、職員課の部分と非常に微妙なところもある。組織間でも議論はするが、うち(行政管理課)でもやっているし、職員同士だったら職員課だったり、いろいろになっている。

(田中委員)
一般的なことを(事前資料に)記入しておいたが、今アーツで危機対応的な手順は火災と地震くらいだっただろうか。

(事務局(副館長))
日常的な施設管理はもちろん、それ以外のハードもソフトもいろいろやっている。

(田中委員)
美術館を運営していく中、美術館固有のさまざまなリスクがあると思う。そのリスクに対し平常時にどう備えるか、今回を機に考えていきたいと思う。


議題2-3. ガバナンスの強化(美術館における組織運営)について
(青野委員)
中間管理職的なポジションの人が必要なのではないかと思った。
非常勤のプレイヤー型館長と、経験の浅い学芸員のチームで今まででやってこられた訳だが、現場のまとめ役、事務方と連絡の取りやすい方が一人必要だったのかなと思う。
前館長の職域・権限が学芸員の雇用や待遇にどこまで及んでいたか分からないが、(館を)任せるのであれば、ある程度、館長が意見を言えることが必要なのではないかと思う。
行政と学芸の間の線引き、「この分野は管理」「この分野は学芸」という線引きができない仕事が多いので、その辺の舵取りが今後の課題と思った。

(大橋委員)
現状のアーツ前橋の組織図をもう一度考え直したら良いと思う。
前館長から学芸員の待遇について、もう少し学芸員の待遇を上げて力を発揮できるようにさせてあげたいということを聞いていた。
最終的に作品管理が館長に及ぶのであれば、現在の組織図では、部長がいてその下に文化国際課長、その下に館長と副館長が並列という組織図が(前回)示されたと思うが、文化国際課長の下に館長を置き、その下に副館長を置き、その下に上級学芸員・学芸課長、事務方の中間管理職を置く。そのような組織図に変えていくと、館長も労務管理や保管の責任を負う以上、関与せざるを得ないとなるので、そういう組織図の方が実態に合っていると思う。
今回の事案の遠因に、学芸員の待遇がかなり影響しているのではないかと思っている。
事務方は前橋市役所からくる方がほとんどで毎年同じくらいの定員だが、学芸員はここ5~6年、入ってはすぐに辞めるような長続きしていない実情があった。(更新には)もう一回試験を受けるとか、期間が決められているとか、待遇、条件が悪いと、何かのタイミングで辞めることになってしまう。
アーツ前橋が開館した直後からの学芸員が2、3人いるが、学芸員が居つかない状況が続くと、在職の学芸員に負担がのしかかり、大きい仕事を限られた学芸員でやらざるを得ない。そういう背景があり今回の事件の遠因になっているのかなと思う。
予算面、人事の縛りがあるかもしれないが、学芸員は、正規職員と同じ扱いにしていき、長い目で見て優秀な学芸員を育てていくスタンスが求められるのではないかと思う。

(中島委員長)
大橋委員のとおり。長くアーツを見て共通の意見を自分も持っている。深堀するのは少し控えて相対的な(意見交換の)中で触れたいと思う。

(金井委員)
(前回会議までの資料の中に)「組織的な構造の課題」として「行動規範、職業倫理から外れた行為を抑止できなかった」とあり、館長と学芸員の間に管理的な学芸員を置いたらどうかという提案だと思うが、自分は心配するところがある。学芸員を管理する学芸員がでてきてひとつのヒエラルキーを作ってしまう。
前橋の場合を見ると、何十人も学芸員がいるわけではないので、その中でこういう管理職を作るのが少し心配である。作るのであれば「まとめ役」とか「リーダー」という程度で良いのではないかと思う。
管理職を作るとすると別の問題が出てくる。
多くの美術館では市役所の人が来て館長になっている。退職寸前の人が来ると何も分からないこともある。その場合、丸投げになり、全部やるのが学芸員になってしまう。
学芸員は市の職員になっているわけで悪いことがあっても辞めさせられない。組織をがっちり固めることが果たしていいものなのか自分が心配するところである。
「ガバナンス」「コンプライアンス」の最初に「良いものを作り出す組織は、脇はしまっている」と表現されている。
自分とすると前館長はよくやったと思う。良いものを企画し皆さんに提示した。現状でも良いものはできる。だから組織的ながっちりしたものを、脇を締めてやるのは心配だと思う。
学芸員の雇用の問題について、市の常勤の職員として入れたらどうかということだったがこれも心配がある。良い人もいればそうでない人もいる。その人を育てていければ良いが、役に立たない人を職員としてずっと定年まで就職させるというのはいかがなものか。
その人のやる気が無くなってくるかもしれないし。(正規)職員と同等の(給与等の)条件は必要だと思う。辞めた学芸員もそのような格差があって辞めたのだと思うが、他の事務方と同じ条件でやっていくべきと思う。
いろいろ組織をがっちり固めてと言っても、立派な人でも悪いことも時にはしてしまうかもしれないし、人間的に弱いですから、あまり組織を信用してはいけないということ。

(島委員)
3つ目の美術館長をやっており、いろいろな職員がいることは金井委員のとおりだが、ここ十数年、任期付で採用するのが国立(の美術館)でも行われている。3年か5年(雇用して更新しない)場合もあるし、継続して無期雇用に転換するいろいろなやり方が出てきている。
学芸員が数年から十年ほど働き大学へ変わるとか、大学の職員が美術館に入るとか流動的なものがあれば良いが、一度(館を)出た人が戻るのはなかなか難しい。いろいろな職場で経験を重ねていくというのがやりづらい部分があると思う。
今の(アーツ前橋の)正規職員で言うと、事務系は5名のうち4名(が正規職員)に対し、学芸員は任期付・準常勤になっているので、この状況は正規の人と相応しい待遇が必要になってくるのではないかと思う。同じ仕事をしている学芸員の間に格差が生じないことが重要になってくると思う。
これまで職員が立て続けに辞めたりしているが、待遇の問題だけではなくて、前館長との関係、前館長だけではなく職場での人間関係も含めて、自分自身もそういう経験をしているので、少なからずそうしたところで感じる圧力、一般的な言葉ではハラスメントになるが、第三者委員会を作っても判定するのが難しい状況だったりして、そうしたことがアーツ前橋の中でどのような形であったのか検証するのは難しいが、そうしたことも背景にあったのではないかと思う。
中間管理職の件は、「学芸課長」という堅くるしいもの、「課長心得」でも良いが、管理職を置くというより「まとめ役」「リーダー」的なもの、リーダーと言っても管理するためのリーダーではなく、それぞれの考え方を尊重しながら、全体として館を良くしていく機運を高めるためにまとめるリーダーを、いずれにしても肩書が必要になってくるので、「学芸課長」が今作れるわけではないかもしれないが、早急に意思決定のプロセスを再構築していただければと思う。事務系においても(副館長の下に)担当課長(事務管理職)みたいな人がいても良いと思った。
これまでも学芸員の研修機会はあったと思うが、近隣に公立美術館もあるし、国立の館も研修を受け入れているので活用していただき、外の人間関係を作っていただくことが学芸員の資質、意識を新たにしていくきっかけになると思う。

(野本委員)
学芸員と事務方の処遇、前回、小坂委員さんの話では難しい部分があり簡単ではなさそうだが、(正規)職員でなくても身分的に同じような収入が得られるような人事体系をやらないことには(職員が)定着しないし、学芸員の身分は、もう少し待遇を良くするべき。
職員の位置づけをどうするのか簡単ではないと思うが、美術館を続けていくためにも、そこ(処遇)はやっていただいただき、長く携わっていただける方を作っていくということが今回の事故、事件をきっかけに見直す機会ではないかと思う。

(小坂委員)
学芸員を正規として雇っていくのは考え方としてはある。任期付職員が令和4年度末に(任期が)切れる方がいて、今年度の終わりには今後の方針をどうするのかは職員課も含めていろいろと(検討する必要がある)。
うち(行政管理課)の方も、組織として、正規の学芸員になったからすぐに「中間管理職」というより、繋ぎ役を期待するところもあると思う。その部分は、今後採用についても含め、職員課と話し合いはしていこうとなっている。いかに質の高い職員を得るかに重きを置きたいと考えている。

(田中委員)
全ての学芸員の任期が限られている現状は改善すべきという意見である。
美術館の運営は、特に「信頼されている」ことが重要だと思う。信頼される要素は、「施設のセキュリティ」や「適切な温湿度管理」はあるが、何と言っても「人」だと思う。
人に対する「信用、信頼」は、長い期間の活動の積み重ねによって後からついてくるものだと思う。学芸員が3年や5年で変わってしまうのでは、なかなか信用は得られないと思う。全ての学芸員の任期が限られている現状は、改善したほうが良い、改善してまいりたい、改善すべきだと思っている。

(中島委員長)
行政側の二人の意見は、次回からのアーツ前橋の今後のあり方について、大いに議論に参加いただいて共有していきたい内容だと思う。


・ガバナンスに関する横断的な意見について
(事務局)
議題はここまでであるが、横断的な意見について、発言し逃したことがあればお願いしたい。

(小山委員)
学芸員の人事について皆さん話していたが、アーツ前橋に関して前館長がやってきたこと自体は評価している。館長が求心的に引っ張ってきた場所であることが良いこととしてあると思うが、日本の美術館は歴史を持てば持つほどそうした部分が無くなっていく。
個性ある美術館をキープするために引っ張っていける有能な人、館長というのはすごく必要、大事だと思う。学芸員は、自分たちで企画もして欲しいが、組織が強くなりすぎてしまうとつまらなくなってしまうので、今館長が不在ですから、その状況が無い段階でそこ(学芸員の人事)まで行っちゃうのは、(もちろん)考えたほうが良いと思うが、面白い美術館をキープするために、そうした(館長の)ことも少し考えて欲しい。
学芸員の話だけではなくて館長のことを話さないと、顔の見える美術館にならない。

(中島委員長)
次回、時間を取って話をしたいと思う。

(小山委員)
そうではないところもあると思うが、歴史ある美術館がそういう形でなくなっていくことが多いので、前橋には残っておいて欲しいと思う。
前館長は40歳くらいで(館長に)なったと思うが、できれば若い館長、若い学芸員、経験は不足しているかもしれないが、みんなでやっていくくらいが良いと思っている。そんなことが許されるかどうか分からない、また問題が起こるかも分からないが、そうしたことが作っていける場所が、予算的にもそれくらいだと思う。それで面白い美術館ができるかも知れないというのは、いろいろな美術館の人たちにも聞きたいと思う。

(金井委員)
次回、皆さんが意中にある「こんな人が館長になったらどうか」という人がいれば、持ち寄ったらどうかと思ったが。

(中島委員長)
それも含めて次回に持ち越したいと思う。
「ガバナンス」「コンプライアンス」「組織運営」について議論を進めてきたが、そもそもアーツ前橋にそんなことがなかったはずはなくて、当然、機能していたであろうと思う。
中学や高校の会議をしているような面持ちで居心地が悪いと思いながらいたが、前橋市設置のアーツ前橋にそうした機能、法的なものが被さってはいなかったことは間違いなく「ない」と思う。「なかったはず」と信じたい。
何が問題だったかというと、それを扱う、理解する、現場にいた人間の理解度の問題に尽きるのではないかと思う。
理解力が欠落していたのかというと、そうでもなくて、難しい魑魅魍魎(ち・み・もう・りょう)とした人間関係やヒエラルキーがあったり、そうした状況の中で業務をこなしていかなくてはならなかった状況が、今回のような事象に繋がってしまった理解をしている。
前橋市設置の公設施設の館にガバナンスが届かなかったり、コンプライアンスが欠落していたり、そういうことは断じてない、無かったと僕は確信している。
そうしたことを踏まえ、今後のアーツ前橋をどうしていくべきかを次回議論していきたいと思っている。先程、「存続の危機」という話があったが、そんな話になるかもしれない。何の根拠もないが「そもそもそこから議論スタートしなくてはならないのではないのか」を、半年くらい前に議論をした経緯がある。「既にある館だからこのまま続けていこう」というスタートは、少し違和感がある気がしてならなかった。
これに関連して、横断的な意見等について意見があるか。

(大橋委員)
「これからどういう美術館にしていくのか」は少し広すぎて、もう少し絞ったほうがいいと感じているのと、委員長の心配は分かるが、アーツ前橋自体は、前館長の功績は大きかったと思うが、その下で各学芸員が苦労して一生懸命、企画を考えて前向きにやってきたのを見ている。これは「アーツ前橋の財産」だと思っていて、館長は変わったが、本質的な考え方や残っている各学芸員の資質、これを生かさなければ、前橋市、市民としても責任があると思う。
必要なのかという判断もあるのかと思うが、アーツ前橋はこれまで実績のあるものをやってきたのは確かなので、基本的にはその延長線上、今後もそれを上回る、美術館としての価値をどう高めていけるのかという議論に尽きるのではないか。悲観的な議論をしたくないと個人的には思う。

(島委員)
大橋委員の意見に同意である。(資料の)「横断的な意見」に大橋委員が書かれているように「3つのコンセプト」、アーツ前橋が掲げてきたものは非常にユニークなものである。
日本の美術館で言えば、前館長も以前(開館前に移ったが)金沢21世紀美術館にいた方で、金沢での活動も見てきたので近い要素がある。
展覧会をやるだけではなく、交流事業、「地域アートプロジェクト」もそうだし、教育普及事業、最近では「ラーニング」という言葉をよく使うが、こうした活動も最初から行ってきた。
これまで在職したいろいろな学芸員が尽力し、その蓄積が今日(のアーツ前橋)を作ってきたと思うので、そうした潜在力はアーツ前橋にあると思うし、その蓄積を今後も継続していただきたいと思う。
質問として、前館長の退任が決まった後、アーツ前橋内部でいろいろな改善点、反省して意識的に行ったことあったと思うが、どのような点に視点を向けて改善を積み上げてきたか、次回に向けて教えて欲しいと思う。

(事務局)
事前に用意できるようにしたいと思う。

(野本委員)
いろいろな方がいろいろな見方をして、いろいろな意見を出していただいてありがたいと思う。
先程「存続の」と言ったのは、アーツ前橋をやめて欲しいのではなく続けて欲しいので。「アーツ前橋不要論」も出てきているので、アーツ前橋がより良くなっていくための意見を委員から今後出していただける、そのうちのひとつが、どういう館長かということもあると思うので、いろいろまた出していただければと思う。

(渡辺委員)
立場上、少し厳し目の話をさせていただきたいと思う。
前館長に会ったことはないし、どんな方か存じ上げていない。話を聞く限り素晴らしいキュレーター、学芸員、館長だったと皆さんからお聴きした。
(一緒に)お酒を飲んだ話もあったし、長い付き合いという話もあった。
しかし、前館長がこれから先、もっと優れた学芸員、もっと優れた美術館の館長として、より成長していくことを考え、愛をもって厳しく意見するとか、お付き合いするということは、いかがだったか。

(中島委員長)
そのことに対しての意見は控えたいと思う。

(渡辺委員)
これはこれだけにする。
先程あった「退職間際の人が来ない方がいい」という話だが、サントリー美術館を作った佐治敬三氏と、文化財団をつくった山崎正和氏がいて、山崎正和氏が佐治敬三氏に求めたことが2つあると言われている。
ひとつは、一人一人の美術館職員の領域をなるべく大きく持って欲しい、隣の人の仕事に興味・関心を持ち合う。それで高め合う組織を作って欲しい。
もうひとつは、退職間際の人をトップに据えないで欲しい。これは年齢ではなく、心が退職間際の人ということ。興味・関心・好奇心があってということ。
それに対して佐治敬三氏は、3つの言葉をもって山崎氏に答えたと言われている。文化財団は、「夢大きく、愛深く、志高く」をモットーにして作りたいと言われている。
「マネジメントチームの革新」と(資料に)書いたが、文化国際課とアーツ前橋の館長・副館長・学芸員・一般職員全体の、「相互尊重」とか「認め合う」とか、特にマネジメントチームの人たちの相互信頼はどうだったのか疑っている。
今後、新しいアーツ前橋を作るにあたり、いろいろなキャラクターの人たち、多様な方々が集まりながら、多様な方々を尊重しあいながら高め合っていくよう、愛を持って厳しいことも言い合うような組織にして欲しいと思う。
「脇を締める」というのは「管理する」ことではないと考えている。
良いマネジメント、リスクマネジメントは日頃のマネジメントであるので、愛のあるマネジメントがあれば、欠落、今回のような落球のようなものも無くなっていくのだと思う。

(中島委員長)
貴重な意見だと思う。渡辺委員の話を長く時間を取って聞ければと考えているので、次回以降セッティングし、組織運営その他を詰めていければと考えている。

4 その他
・次回予定議題と開催日程

今回議論が尽くせなかった「今後のアーツ前橋の方向性」、これまでの議論を踏まえた「館長像」、条件設定の場として、事務局と委員長、市長を含めた共通認識の上で意見交換予定。

次回、9月30日(木曜日)で調整する。

(オンライン接続設定の件など意見あり)

5 閉会

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更新日:2021年09月24日