第5回アーツ前橋あり方検討委員会 報告

審議会名

アーツ前橋あり方検討委員会

会議名

第5回アーツ前橋あり方検討委員会

日時

令和3年10月28日(木曜日) 午後2時~午後4時50分

場所

前橋文学館3階ホール

出席者

委員

中島委員長、渡辺副委員長、青野委員、大橋委員、金井委員、小山委員、島委員、中村委員、萩原委員、小坂委員、田中委員

事務局

関口副参事、徳野副館長、北澤主席学芸員、堺副主幹、狩野(泰)主任、狩野(良)主任

次第

1  開会

2  あいさつ

3  議事

・提言書(案)について・・・・・・・・・・・・・・・・資料

4  その他

5  閉会

 

会議内容

1 開会

2 あいさつ

会議開催にあたり、委員長からあいさつを行った。
委員長から冒頭のあいさつの中で、市民意見を取り入れた提言書にすべきか、提言書を市長へ提出した後、前橋市として市民意見を取り入れる方法を取ってもらうべきか意見交換をする提案、並びに紛失事案の着地点について、渡辺副委員長へ一般的な対応の考え方の説明を求めた。

(中島委員長)
早いもので今日が最後ということになった。
提言書(案)を配布して事前にご覧いただいたと思うが、今後のアーツ前橋のあり方の議論が尽くされたかというと若干疑問が残る。
委員の貴重な時間と高い見識をいただき過去4回ご審議いただいたことに関しては厚くお礼を申し上げる。
この状態で案を読み合わせし、訂正箇所をチェックすると思うが、それで提言書・最終案として市長に渡すのは、若干不十分ではないかという気がしてならない。
提案であるが、私のところに前橋内外からいろいろ意見が寄せられており、一度委員以外の方、前橋在住のアーツ前橋に意見を持っている方にお集まりいただき、5.5回、6回目の会議として、一度、広く意見を聞く会を設けたいと思っている。
皆さんの承認をいただければという前提であるが、提案させていただき、冒頭でご審議いただきたい。
さらに冒頭の委員長あいさつにそぐわないかもしれないが、いくつかの疑問、疑念がある。
今回の紛失事案に関して、最初に渡辺委員から、「初動の謝罪が遅すぎるのではないか」という指摘をいただいた。その通りだと思うが、では、いつまで謝罪は続ければいいのか。
なぜなら、この事案は解決をしていない。紛失したものが見つかってない。盗難である可能性もあるというグレーな状態をモヤモヤした状態でいる。
この状態で、こが終結点。謝罪はもうこの先必要ないというポイントはどこであるのか、専門の渡辺さんの意見を聞きたい。
第2回会議の時、私は館長の話を軽率にして、それが関係各方面から批判をいただき、議会からも質問が出される状況になっているが、館長の話を僕が持ち出した背景には、いち早く専門家の館長を招聘し、一日も早くアーツ前橋を正常の状態に戻す。その上で作品管理と収蔵と研究を進め、早い段階で発表できる状況が作れれば、そこが僕は、解決したわけではないが、所有者、遺族に対してきちんとした前橋市としてのメッセージが出せるのではないかという思いで館長の話をさせていただいた経緯がある。
提言書の審議に入る前に、専門家の立ち位置で「こういうことが一般的である」という話を共有したいと考えている。
アーツ前橋は現状、順風満帆で良い状況ではない。求心力となる専門家の館長がいないことによって発生していることが散見される。一日も早く解決するためには、専門家の館長を、そういう思いから発言した内容であると理解いただければと思う。
提言書の審議に先立ちこの2点をご審議いただきたいと思う。

(委員から特に反対意見無し)

「5.5回」という提案(市民に意見を聞く場)をこの委員会でさせていただきたいと思うが、意見ある方がいたらお願いしたい。

(大橋委員)
委員長の意見は、「この検討委員会の中で市民に開かれた意見を聞く場を設ける」ということで、それでもいいと思うが、私は検討委員会ではなく、前橋市としてこの問題に関して広く市民に意見を聞く機会を設けていただき、それに我々も参加し、提言書の草案も、その他の市民の皆さんの意見を聞いていろいろな調整をする箇所が出てくると思うので、それを含めてもう1回この会を開催するという考え方が良いのではないかと思う。

(中島委員長)
この件に関して他に意見のある方がいらっしゃるか。

(田中委員)
「市民の意見を聞く会」について前橋市として開く意見は賛成である。この提言書、委員会は今回が第5回目で素案に対して意見をいただくが、それを直しても今日終わらないと思う。
委員会で集まるのは今回最後にして後の修正は、何度かメールでやり取りし、そこからの微修正は、委員長と事務局に一任みたいな形にして、この委員会そのものは終わりにして提言書はこれで市長に提出する。当然、次の館長選びの必要が出てくると思うので、先程委員長も言ったとおり早い方が良いと思う。
「市民の会を聞く会」は、(今日の時点で)全然計画も立ってない。ただしやることは賛成である。だとすると提言書は早めに委員会で確定させて市に提出する。それから早いタイミングで「市民の意見を聞く会」を設ける方が良いと思う。

(中島委員長)
集約された意見は提言書にはどういう形で反映させることができるのか。

(田中委員)
提言書はこの委員会での提言になるので、市民の意見を聞いたものは、この提言書には盛り込まない。それは別のレポートとして作ればいいのと思う。

(中島委員長)
それはオフィシャルな状況、記録として残せるということか。

(田中委員)
はい。

(中島委員長)
という状況であるがそれでよろしいか。

(金井委員)
良いと思う。

(島委員)
田中さんとほぼ同じ意見で、この会は5回我々が集まってこれだけ意見交換してきたわけであり、十分盛り込まれていない部分があるかもしれないが、これはこれとして提言書としてまずは提出することが大事かなと(思う)。
それを踏まえた上で、館長像も我々の方でこういう形で(提言書を)作っているので、前橋市は館長選定に関する作業を進めていただく。
提言書が公になった段階で、市民の方と意見交換会みたいなものがあってもいいと思うが、そこに我々が表に立って出ていく必要性はあまりないような気がする。

(中島委員長)
我々の手から離れたところで、そのダウンミーティングや公聴会のようなものを開催するという理解でよろしいですね。
それからもう一点、次の「謝罪の件」ということで、館長の名前を出したところに繋がるが、渡辺さんからの意見を聞く時間を取らせてもらって良いか。
一般論としてお話しいただければと思う。

(渡辺副委員長)
今回の場合、謝罪は2回のタイミングがあったと思う。
一つは個人。持ち主、遺族に対する謝罪である。
次に、市民に対する謝罪。この2回あったと思う。
そのタイミングはあまり離れていない方が良かったと思う。
個人としての謝罪は、預かっていたものが出てこなくなったのだから「ごめんなさい」。人として当たり前である。
「一生懸命調べている。何とか手を尽くしてどこかにあるのではないかとやっている。少し時間いただくかもしれないが、出てこなくなってしまった状況について説明に来た。ごめんなさい」ということである。
それで、もう1回状況をご説明に来るが、そのタイミングで、公のものなので、市民に対しても説明しなくてはいけないと思っているので、その時には市民に対しても説明と謝罪をする。この2回かと思う。
(一昨年)暮れに無くなり、年が明けて(昨年の)早々くらいに親族の方に謝罪をするべきだったと思う。ごめんなさいは早ければ早いほど良い。
ただし、慌てて謝罪しに行って、何が何だかわからない謝罪をしても仕方がないので、「ここまでやったが、今、現状出てこない状況である。ごめんなさい」ということ。
市民に対しては「遅からず、早からず」というタイミングだが、きちんと説明するということだと思う。
謝罪をするということは、市長も知っていないときちんと謝罪できないので、市長にまできちんと情報が上がってないとおかしいわけである。
ということで、ダラダラとしたよく分からない経緯、市役所の方に情報が上がったタイミング、それから市長が知ったタイミング、遅すぎる、常識外という感じである。
それから、「これが終われるか」ということだが、盗難届は出てないのですよね。

(中島委員長)
出ている。

(渡辺副委員長)
警察は捜査したのですかね。

(小坂委員)
時間が経ち過ぎたから分からないということで。

(事務局(徳野副館長))
「遺失物届」は提出してあり、(警察による)現場の実況見分はしてある。ただし、それ以上のことは、去年9月(警察に)相談した段階では、「今の段階では(捜査は)難しい」ということだった。その時点で調べ切っていなかったこともあると思うので、継続して前橋市として調べているところである。

(渡辺副委員長)
「うっかりなくした」という「遺失」ですよね。

(事務局(徳野副館長))
今のところはそうである。

(渡辺副委員長)
警察の受けとめも(うっかりなくした=遺失)だから捜査していないので、犯人がいるかいないかは分からないということである。
(今の段階では)警察の捜査はされないので、その捜査の終結を持ってごめんなさいという説明することにならないので「遺失」。
その「遺失」をいつ謝るかというタイミングは、次のステップに進む時、もう一度、市長なのか誰が説明するのかわからないが、経緯についてもう1回説明し、「未だに発見に至っていない」「大変不手際で申し訳ない」ということを表明することにより「終わらないが一旦、次のステップに進ませていただく」ということを言わざるを得ないのではないかと思う。

(中島委員長)
渡辺さんに急な質問させていただき申し訳ない。
こういうグレーな状態で「ここが解決点」というところが見出せない場合、作品の調査研究、評価がきちんとした状況で進み、きちんとした保管がなされた、かつ見識のある研究者の下で展示が行われたというところが、最終的な帰結点、解決点になろうかと考えていた。

(大橋委員)
事務局に質問であるが、今年の1月か2月に市長がご遺族のところに行っていると思う。それは調査委員会の報告に行ったのか、その場で謝罪をしているのか教えていただきたい。

(事務局(徳野副館長))
作品紛失調査委員会の開催期間が去年の12月から今年の3月まで開催期間で、(紛失調査委員会から)発表された報告書を持って(今年の)4月に入った段階で(報告書発表の)翌月に市長と文化国際課、館長である田中課長と私の3人で行き、報告とお詫び、謝罪も含めてお話した。

(大橋委員)
謝罪と言うのはどのように謝罪したのか。

(事務局(徳野副館長))
今、紛失して無くなっている状態ということに関してお詫びをした。

(大橋委員)
まだ、原因が分からないということか。

(事務局(徳野副館長))
そうである。紛失調査委員会で調べたのはここまでだが、継続して、引き続き、現場としてできることを確認することになっている。紛失調査委員会が終わったときの発表や、市長定例記者会見もあったと思うが、そういった形で話をしていたと思う。

(大橋委員)
次のステップに行くのはそれがベースになると思うので、それを押さえておいた方が良いと思う。

(萩原委員)
前館長、当時の学芸員、スタッフ・市担当者は謝罪してないということか。

(事務局(徳野副館長))
紛失が分かったのは去年の1月、2月だったが、相手の著作権者に連絡できたのが半年後の7月だった。7月以降に当時の前館長と担当学芸員が、保管者のお宅と著作権者のところに行き、第一報はお詫びしている。

(中島委員長)
解決点というところでこれが正解かどうかわからないが、議事録として残しておきたいという思いから、シナリオには無い流れをさせてもらった。

(小山委員)
僕はギャラリーをやっていて、預かったものがなくなった場合、もちろん見つかるのが一番良いが、僕たちの仕事だと「弁償」というのが出てくる。それが社会的解決になるというのは言っちゃいけないのか。金銭的な問題として、無くしてしまった対価のお金を払うということがひとつの解決になるとは思うが。長い時間経っているので、いつ「紛失」というのが決まるのか分からないところである。

(事務局(徳野副館長))
「謝罪」という部分があったが、ここに至る経過の中で、(前館長と担当学芸員が)第一報を入れたときに説明が不十分な部分があって、新聞報道に出た時の11月に初めて全容を知った部分もあったようである。
そこも含めて、著作権者さん、保管者さんがアーツ前橋に対する不信感を持たれている部分があり、そこも含めて「作品紛失調査委員会」の調査結果を、先程のとおり「全体としてはこうだった」ということを4月になって(市長とともに)伝えに行った。
その状況を踏まえて「あり方検討委員会」が行われているわけだが、著作権者さんも「再発防止のためのことをきっちりしていただくことが第一」という話をいただいている。それは「作品保管」や「コンプライアンス・ガバナンス」のことをしっかりやるということ。
この「あり方検討委員会」の議事進行も見ていただいていると思うが、そうした(著作権者さんから話を)いただいたことを前橋市もしっかりしながら、当初、寄贈決定している作品をどうするのか。そのときに収蔵委員会にかけずお預かりしている作品があるので返却手続きを進める。しっかり条件が揃った中でどういう形でお詫びをするのかを、丁寧に話し合っていきたい。補償も含めてどういう形にするのかをこれから話していきたいと思っている。

(小山委員)
弁償ってこともあり得るということか。

(中島委員長)
私が知る限り、そういう話に移行していくということは聞いている。

(事務局(徳野副館長))
どこかでピリオドを打つということだが、まだ今の段階、盗難で、もしかして戻ってくる可能性があるのであれば、それは追及しなくてはならないと思っているが、そういう状態の中で、どういった形がお詫びになるのかを話し合っていきたいと思っている。

(小山委員)
わかりました。

(中島委員長)
この件はイレギュラーな質疑でごめんなさい。

3 議事 「提言書について」
資料 アーツ前橋あり方検討委員会 提言書(案)


(資料確認)
(議事に入る前に大橋委員から机上配布資料についての質問あり)

(大橋委員)
「次期アーツ前橋館長職に関する要望書」が(配布されていて)、その扱いの説明をしていただいてもよろしいか。

(事務局(徳野副館長))
こちらは封筒に入れて配布したが、4月に「アーツ前橋を応援する会」という皆さんから「次期館長に関する要望書」として、専門職の館長が必要ではないかということも含め、1000人を超える方の署名、電子署名や紙の署名も含めて集められて(市長あてに提出された)ものがあった。
今回、委員にも、この議論の場というよりは、こうしたこと(要望書)があるとことを頭に入れて議論いただきたいということで(代表から)お預かりしたので、会議資料としてではなく、封筒に入れた形で預かったままのものであるが配布させていただいた。
これまで過去5回の会議、議論の中でも「専門性を担保しよう」というところに関しては(趣旨は)変わっていないと思っている。

(中島委員長)
それでは、読み合わせながら提言書の審議に移行していきたい。

(事務局(徳野副館長))
提言書(案)は、事務局でこれまでの意見を踏まえて作成したもので過不足があると思う。現時点の案であることを了解いただき、内容を確認し提言書に反映をしていく作業をしたいと思っている。
前回会議で説明したとおり、概略、紛失調査委員会からの提言項目を受けて、あり方検討委員会の提言という全体構成になっている。

(金井委員)
「読み合わせ」とあったが、僕はメールで案を拝見したが、ちょっと問題がありすぎる。ここで読み合わせしても意味がないと思った。
その理由は、後でも今でも良いが。

(中島委員長)
今いただいた方が良い。

(金井委員)
これを読んだときにいろいろな不備な点がありすぎる。
特にこれからのアーツ前橋のあり方についての箇所が、誤解を招くというか、間違っていると思う。
一つは協議されていない項目があたかも決まったように表現されているところ。それから協議不十分な事項が提言として記されているところ。
提言書を拝見したとき、僕は最初から参加していて、2回目(の会議)は僕が欠席したが、どうもこの提言書を作るために、もう決まっていたような感じがする。それは、事務方から送られてきた資料とかメールとか、それから前回の話し合いでも、僕は疑問点を出したが、それが解決されてないところで、決まった案が出てくる。
非常にこれは、僕にとって問題だと思っている。
それで、我々は事務方のやりたいことに対する単なる正当化するためのお墨付き役になってしまうのではないかと、そういう思いもした。
例えば。つまらないことかもしれないが、大体において進行役の発言が多すぎる。本来、議長である委員長が進めていかなくてはならないが、かなり事務方の発言が多くて。
それから第2回の委員長の発言。先程、委員長が謝っていたが、それについても、それ(第2回検討委員会での委員長発言)を受け入れないで、市長にそれを問い合わせると言うか、それでもってなんか変わってきてしまった。
それから、この前に僕が質問したが、一部の委員や市議会議員、市長派と言うことを言われたが、その人の発言により、館長を決めること、話し合うことを我々は封殺されてしまった。
そういう感じが、そして提言にもそれが出ているところですよ。
それについては、僕は全く納得していない。
そんなようなことがあり、この提言書案は僕にとって読み合わせることは意味がないと思っている。

(中島委員長)
委員長としてお話させていただきたいが、審議会としての議事の進行方法として、資料の読み上げをする観点からいくと事務局でないとならなかったということが1点。それを言うと出来ない委員長であったとも言えるが、そこは僕から金井さんに対して謝罪する。僕の稚拙な議事進行がそこに至ってなかったと言うことで説明しておく。
それと、この提言書(案)に納得いかないという話だが、もちろん僕も両手放しで納得している訳ではない。随所に不備があると僕も認識している。
他の委員もここは譲れない、ここは承認できるがここがおかしいという意見を持っている方もいると思う。それを一度読み合わせして確認したい。
その上でどういう文言になるのか、最終案で同意が出来るのかどうか。他の委員の意見も聴きながら議事を進めていくのはどうか。
「納得いかない」という前提を受け止めた上で、この案を審議するという進め方をさせて欲しい。最後に「ここは譲れない」「ここは承認する」という話をもう一度聞かせて欲しいと思う。

(金井委員)
読み合わせが無駄ではないかと言ったのは、僕にとってこれだけ不備がある。不備があるものを読み合わせる時間がもったいない。それ以上のことを話し合った方が良いのではないかと思ったが、それであれば別に構わない。

(中島委員長)
早めに読み合わせしながら、訂正箇所、不備のあるところをチェックしていくという流れにしていきたい。

(事務局(徳野副館長)
金井委員から投げかけがあったが、他の委員もそのような進め方でいいのか確認の上で。提言書案の感想も含めて、どの程度の修正なのか、修正方法を確認したいと思った。

(中島委員長
読み合わせが必要ないと思われる委員がいたらご意見いただきたい。

(島委員)
口頭で読み上げるのではなく、項目ごとに意見交換をしていく。不備があればどこが問題点なのか各委員が手短に発言し、それを最終的に事務局、委員長でまとめいただくのはいかがか。

(中島委員長)
ただ読み上げるのではなく、ここがおかしいと思った箇所は、その場で議事を止めてください。そこを指摘していただき皆さんでチェックする。「ここはおかしい」「ここを訂正して欲しい」「ここは承認できる」というような場所で流れを止めていただいて結構である。

・「検討委員会の概略」「委員名簿」。修正箇所なし。

・「あり方検討委員会の提言」(前文)

(渡辺副委員長から標記上の修正を指摘)

(中島委員長)
記述上の問題なので、渡辺委員の指摘を修正しても問題がないと思うが。

(金井委員)
全体に言えるが、今、渡辺さんが言われたが、結構だらだらと書かれていて、分かりにくい。もう少し具体的に、後は、項目として箇条書きにするとか、誰が見てもわかりやすいような提言書にした方がいいと思う。

(中島委員長)
それを踏まえて、大きく内容が変わらなければ、文章表現の手法に替える共通認識をしておいていただければと思う。

(渡辺副委員長)
文章を整えていくとか修正していくところで、(私の方で)手を入れさせていただいてよろしければ、やり取りさせていただく。

(中島委員長)
分かりました。大きく内容が変わらなければ、それを前提として修正するという理解で、次に進めさせていただく。

(事務局(徳野副館長))
渡辺副委員長や金井委員からもあったが、一言一句(確認する)よりも、取りもらしているところ、加えた方が良い視点とかを、資料を見て思った点があったら、ご意見いただきたいと思う。

(中島委員長)
共有する上で読み上げは必要だろうと思うが、どなたか意見があるか。

(小坂委員)
時間の関係があるので、読み上げなくても良いと思う。議論の方で。

(中島委員長)
分かった。それでは冒頭、金井さんが指摘したような「ここは修正したほうが良い」「ここは異論がある」という箇所があれば、具体的に指摘いただければと思う。

(1)再発防止のための提言 1.作品管理 について意見交換

(小坂委員)
収蔵環境の部分、あくまでも現・収蔵庫が足らなくなった時、いきなり「近い将来、外部倉庫を借用すべき」というよりは、先に「市として、まず市有施設内に保管できる場所を確保する必要がある」という観点を入れた上で、それでも確保が難しい場合には外部を利用する。文学館も同じであるが、収蔵庫が必要という場合、市の中で確保するのが先かと思う。
そういうことを提言として入れた方が良いと思う。

(中島委員長)
現状、何箇所かにわたり保管している記憶があるが、「教育プラザ」であるとか、そこは基準を満たしている、美術品を収蔵するための管理体制が整っているところに収蔵している理解でよいか。

(事務局(徳野副館長))
きちんとと鍵はかかるが、温湿度管理などがアーツと同じかというとそこまではなくて、この状態が長期に続くことは課題である。総合教育プラザの保管はあるが、これが永遠ではなく、市有施設の中に他に(基準を満たした保管できる場所が)あるかどうか確認する必要はあるが、課題としてハードルは高いのではないかと思っている。

(中島委員長)
今後、アーツ前橋を継続的に運営していく上で、収蔵(作品)は増えていくと会議の中であったと思うが、それを前提にすると、もう手狭になっている、あるいは足らなくなることが十分予測できると思うので、「収蔵する施設が早急に求められる」という文言が必要になってくるのではないかと思うが。

(小坂委員)
そうである。だから、いきなり外部倉庫というのではなくて、委員会としては、当然アーツを続けるのであれば、アーツとして確保すべきというような考え方は、当然持つべきなのではないかと。

(中島委員長)
それを盛り込んだ修正をして展開する流れで進めたい。

(萩原委員)
「ネットをかけたり、縄で縛ったりしたり」(という文言があるが)、普通、芸術作品にネットをかけたりしないので、それを我々(美術関係者もいる委員会)が提案したとなるとちょっと嫌だな。

(青野委員)
私が(会議で)申し上げたが、旧学校の教育委員会の他の備品が置いてあるところに、額装された作品を「たとう」に入れて複数枚一緒に置いたという話があったので、その「たとう」の状態のままネットをかけて、「美術館のものだから他の人は触らないで」と仕分けをするための「ネットがけ」という表現を使った。それは実際にあることだと思う。作品にそのまま網をかけるという意味ではなかった。

(中島委員長)
ここだけ抽出すると「作品にネットをかけるな」となるが、保管する上で、他者と明確に分ける意味で「こういう手法が必要だ」というお話だった。

(青野委員)
そうである。簡単に外部の第三者が触れない状態にする、という意味でまとめて「ネットを掛ける」という表現を使った。

(中島委員長)
作品管理という観点からこういう文言も必要ではないか思うが。

(大橋委員)
青野委員の指摘の趣旨は、まず「何でこんな場所に置いたのだ」。(さらに)置いてはいけない場所に置いたのにも関わらず「最低限やっておくべきこともやらなかった」ということだったと思う。
「なぜここに置いたのか。それは問題外だ」というのがこの会の結論、「アーツ前橋が安全に管理できる場所に保管すべき」というのが趣旨で、今回、もし入れるのであれば、「判断を間違えた場所に入れておいた上、なおかつ、こういうこともやらなかった」という指摘なら、(ネットの文言を)入れても良いと思うが、趣旨とすれば「こういう場所に置くべきでなかった」というのが結論だと思う。再考の余地があると思う。

(中島委員長)
そのニュアンスも盛り込んで訂正するようにする。
「画像を撮ってなかったのか」「作品を置いた状況を誰もが共有できるように画像を撮ってないのは大失敗だ」と小山さんが指摘したと思うが、「画像を撮って状況を保存する」という文言も、今の青野さんの指摘からすると必要かと思う。

(萩原委員)
はい。あともう一つ、「寄贈・寄託借用中の作品の状態も可視化して」ということは、寄贈された状態というのをデータベース化し、ビジュアルにも見られる状態を作るという話か。それは現在はやっていないということか。

(事務局(徳野副館長))
(収蔵作品は)データベースにしてあるが、(寄託・借用作品も)今の状態がどこにあるのか、さらにきちんと分かるようにするということ。学芸員だけでなく事務職員もすぐ分かるよう改善をしたいということである。今までもデータベースはあったが、より改善したものにということである。

2.-1コンプライアンスについて意見交換
(渡辺副委員長から文言の修正)

(金井委員)
「学芸員と事務方の管理的職員」と記載があり、自分が発言したことで覚えているが、「そんなに学芸課長みたいなものを作らないほうがいいのではないか」と発言したと思うが、ここだとそれが決まっているということ。討議が決まっていないものをこういうふうに持ってくる。
それから、「リマインドプログラムを館内で」は、小池さんが発言した。それについて、すぐ(事務局の)徳野さんが「それいいですね。やりましょう」と言ったが、これは何も討議していない。それが提言書に明記されているというか、これが非常に問題だと思った。

(中島委員長)
指摘に対して僕はどう対応したらいいか言葉を選んでしまうが、金井さんの指摘に対する異論、肯定的な意見があればお話しいただきたい。
事務局から、訂正やここを強調した背景があれば説明しますか。

(事務局(徳野副館長))
(事務局である自分が)そこで「いいですね」と言い、(提言書に入れるのが)決まったように話したのは(委員に対し)申し訳なかった。
ただし「アイデアとして(アーツ前橋として実施する)一つの方法である」ことは間違いないことで、これは、ここで「(提言書から)外していいのではないか」とか(委員からあれば)。
「管理的職員のあり方」もそうだが、この「管理的職員がなくても」という話があったのも私は覚えており、またその後、他の委員からそれは「全体を管理するという意味ではなく、まとめ役として」という話もあったと思うが、そうしたことも総じて、「管理職」ではなく「(管理的職員として)まとめる」と書いてあるが、「これは取った方がいい」とか「入れた方がいい」とか、他の委員からもあれば、お考えをいただけたらと思う。

(島委員)
「リマインドプログラム云々」は、確かに違和感がある部分はあるが、新しく採用される人も今後出てくると思うので、紛失した作品の情報を学芸員の方々が共有する。今後、盗難の場合だったら見つかるということが結構ある。過去にいろいろな美術館で作品が盗難されて3年後に見つかったとか、いつの間にか返却されてきた、という例も実際にはある。
古書販売目録の中から時々版画類とかが出てくることもあるが、そういった作品の情報を共有し注視しておく。そういう目録が美術館にも送られてくるので、共有して情報を絶えず引き継いでいく。そういう意味でリマインドということであれば、その文言は盛り込めるのではないか。
「リマインドプログラム云々」という言葉ではなく、「情報を共有して引き継いでいく」という形をとっていくことは必要ではないかと思う。
「学芸課長」云々という話であるが、市役所だが美術館も役所の一部なので、基本的に肩書を付けざるを得ない。ある程度の年齢、キャリアを積んだ人は給与を上げていかなくてはいけないし、そうした意味で学芸課長的な人は必要だと思う。
それは「課長として管理をやる」とかの意味合いではなく、若い学芸員の意見を集約し、適切な助言を与え、館長とのパイプ役を担っていく。そういう存在は必要だと思うので、そうした意味で、管理的職員、リーダー的な人が必要になるのではないかということだと思う。

(中島委員長)
これは人事的なことだから、最終的に前橋市が決定しないとポストが新設されないと思う。委員会では、確かにこの協議がされて、「専門的な職が必要だよね」という議論はあったのだと思う。それを文言として残すか残さないかに関して、金井さんは異論があるということで。

(金井委員)
僕がこの件を発言したとき、これだけ小さい組織、美術館とすれば、そこに管理職みたいなものが必要かどうか。それで青野さんが言われた「まとめ役」、「柔らかい形でのリーダー」という、そういう位置づけでもいいのではないかという。役職として肩書をつけるまでもないのではないか。
横浜とか大きい美術館であれば必要だろうと、そんなところを思った。
ただ、島さんが言われたように「それは必要だ」と言われれば、「それはまあどうぞ」という形である。

(中島委員長)
「学芸員と事務方の管理的職員または副館長が」という表現があるので。

(金井委員)
それで最初に僕が発言した、事務方の意向によってそれが動かされている、という感じがしたの。その最初のやつがこの表だった。ここにもう管理職が点線で書かれている。こうにしなくちゃいけないのかと誘導されているような気がして、それでもって僕はちょっと気になったところなのですね。

(小坂委員)
「管理的職員」とか「副館長」という部分は、次の「3 組織運営」で入れれば良いのかと思う。ダブルチェックする体制は、管理的職員が絡まなくてもできることではないか。
逆に(管理的職員が)いなくてもやらなくてはいけないところなので、職員同士でやればいい。あえて「管理的職員」とか「副館長」という具体的な名称がなくても実務的にはいい。このあとの「組織運営」で議論していただいた方がいいのかと思う。

(青野委員)
この話は、作品の紛失という、起こってしまったことが学芸員マターだった。それを学芸の中だけで隠ぺいというか、学芸のいいように話を進めてしまわず、きちんと事務方と共有し、社会的視点に立って是非を判断し、解決の方向に持ってかなくてはいけない、という話だったと思う。

(中島委員長)
「管理的職員」という言葉に反応されているので、「リスクマネジメント」という項目の中で、ここを外しても文章的に成立する、学芸員と事務方あるいは副館長が状態をダブルチェックできる体制も必要になるという文章が問題ないと思うので、ここを削除するということでよろしいか。

(中村委員)
重要なのは、「その役割を担ってくれる人を入れることが必要だ」ということだと思うが、それがどこかに入っているのであれば。
「やわらかいリーダー」とか「パイプ役」とか「意思の疎通がしやすくなるような人」が必要なのではないかというのが言いたかったのだと思う。

(中島委員長)
「法令順守」という項目で全体的な情報の共有をしようという流れだから、事務方と副館長が、という表現で十分賄えると思う。

(萩原委員)
ということは、副館長は学芸員ではないということか。
「学芸員と管理的職員がダブルチェックする」ということは、副館長が学芸員だったらダブルチェックにならない。

(中島委員長)
副館長という役職であれば行政職であるような気がするが。

(小坂委員)
これは、その時その時のタイミングだからこういう言葉は無いほうが。要するに「学芸員と事務職がそれぞれチェックする」というのであれば、肩書がない方がスムーズにいきやすいというのが私の考え。「コンプライアンス」の項目ではいらないのではないかということ。

(中島委員長)
コンプライアンス、法令順守するための手法としての肩書(の記述)だから、肩書の羅列ではなく、肩書を意識しないで訂正する。
「副館長が学芸であるのかどうか」の指摘も、将来的にそういうポストが生まれるかもしれないが、肩書は抜きにして「事務職と専門職の情報の共有を図る」のように訂正する。

(事務局(徳野副館長))
(「紛失を思い出す日」をいいですねと言った会議を)思い出したが、「リマインドプログラム」という言葉が良いかどうかは別として、「アーツ前橋の職員もこれから先、入れ替わってしまうので、人が入れ替わっても、こうしたことが起きたことを忘れないようにして欲しい」というリクエストを著作権者の方からいただいている、ということが私の頭の中にあったということ。

(中島委員長)
「事故を風化させない」というところに繋がること。「リマインドプログラム」という表現を使わなくても、「この事故を風化させない日を記録しておく」という表現はできる。

2.-2リスクマネジメントについて意見交換
(前項目と同様、分かりやすい表現に整える)

(大橋委員)
「不幸にしてこういう事案が起こってしまったので、アーツ前橋に限らず、前橋市の庁内でも」とも申し上げたが、少なくともアーツ前橋館内で「リスクマネジメント講習」、「ハラスメント講習」等の研修会の実施は入れて欲しい。不可欠ではないかと思う。そのための再発防止なので。

(中島委員長)
追記することに関して何ら異論はないと思う。「リスクマネジメント講習」と「ハラスメント講習」は必要なことだろうと思うので「それを実施していきましょう」という文章は追記可能だろうと思う。
ここに関しては、講習を追記すること、わかりやすい文章表現にする。

3.組織運営・人材育成について意見交換

(中村委員)
「全国的に見ても奇異である」の「奇異である」という言葉は避けて、別の言葉にしていただければと思う。「全国的に見ても珍しい」とか。

(金井委員)
これを読んだときに、全スタッフというか、組織のやり方がこういう間違いを起こした原因になっているというか、二つものが一つにされてしまっているので問題になるのかなと僕は感じた。だから「奇異」って本当に奇異なのか、どうやって調べたのかわからないですけれど。
キュレーター館長がいけないみたいな感じも受けちゃうし。それから、未経験で年齢も近い数名の学芸員というか、これがいけないと感じちゃう。それと問題とは別物である。だから、二つのものを一つに一緒くたにして表現すること自体がおかしいかなと思った。

(小山委員)
この書き方だと、こういう人たちだからこういうことが起きたということになるが、今回みたいなことが起きたことと、こういう若い職員というのは全く関係ないと思うし、未経験で館長であったとしても関係ないと思う。
美術館の運営と、ここに書かれているような館長とか未経験の学芸員が駄目だということはないと思う。
それが面白いことを起こしてきたすごく良い例だと思うので。
そのことを、このように公のところに書かれるのは、絶対良くないと思う。

(中島委員長)
そのとおりだと思うので、ここは削除する。なんて委員長である僕が言うのもおかしいが、ここが無くても全体的な文章としては成立しそうである。

(萩原委員)
「美術業界は狭い」という一行が入っているが、それを僕ら(美術関係者が入っている委員会)が「美術業界は狭い」と(自分たちで)書くかな。
どこの業界も狭い。文学界も狭いし。だから僕ら(委員)があたかも言ったかのように書かれるのはつらい。

(青野委員)
これは、事前のレポートみたいなところに勢い余って書いてしまったかもしれません。狭いか広いかを言いたかったのではなくて、「信頼回復ということは、実績を積むしかない」ということが言いたかった。
いくら机上で、会議で我々が提言やもっともらしいことを言っても、それを実際にやっていく職員、学芸員だけではなく管理の方も含め、美術館の職員全員がきちんと一つずつ実践していかないと再発防止にはならない。
先程の「いつまで謝罪するのか」もそうだが、それは謝罪する側が決めることではなくて、被害を受けた側が「もういいです」というか、作品を無くされた遺族だけではなくて、市民も含めて「前橋市民として信頼を裏切られた」と思っている方たちもたくさんいるだろうから、その人たちへの信頼回復というのは、机上の空論ではなくて、「一つ一つの実績を積むことでしか得られない」ということを言いたかったところ。

(中島委員長)
美術業界そのものを表現したわけではなくて、情報のネットワークが最近発達しているから情報の伝達が早い。

(青野委員)
そうである。隠し切れないというか、紛失問題だけでなく、その他にも問題、些末なことがその前にもあったと聞いているし、一つ一つの懸案事項を丁寧にきちんと解決していかないと、こういう大きな問題に繋がったりするし、外部の信頼も取り戻せないということである。
(美術業界は狭いという)この言葉は強すぎるので、なくても良いと思う。
「外部の信頼を取り戻す手立ては実績を積んでいくことのみ」というところは残すべきだと思う。

(中島委員長)
朔美館長指摘の部分は削除ということで。
先程の「奇異である」というところまでの結び。非常勤のキュレーターというところから始まって、ここはどうするか。

(大橋委員)
「例が少ない」とかの表現にとどめておく。「奇異」はひっかかる。

(島委員)
「例が少ない」が良いかもしれない。例はそれなりにある。日本の美術館をそれなりに僕も経験しているので。頻繁に入れ替わる美術館もあれば、そこに長く勤めている美術館もあるので、そういったことはあると思う。
この3行は確かに少し唐突な部分はあるかと思うが、前館長と若い学芸員との意思疎通が必ずしもうまくいっていなかった部分があるのではないか。
「風通しの良い職場環境」という言葉が入っているが、そうした職場の風土は美術館で作られていくので、印象としては、分け隔てなく意見交換できるような、館長と学芸員、総務の方も含めて、職員の間の意思疎通、自由な意見交換が必ずしも十分ではなかったのではないかというぐらい。断定はできないが。大丈夫だったと言われればそれまでであるが、今回の紛失に至る一つのきっかけにもなったのではないかと感じているところである。

(中島委員長)
委員長として、個人的な意見を挟むのも気が引けるのが、これは事実。周囲の我々にとって悲しい状況だという認識はある。

(大橋委員)
そうである。

(中島委員長)
これは、むしろ意識付けする上で残しておきたいと思う。

(金井委員)
小山さんや僕も言ったように、非常勤のキュレーター、若い学芸員が悪いと感じちゃうので、そこの部分は削った方がいいと思う。

(中島委員長)
もちろんそうだが、学芸員の入れ替わりが多いというのは、アーツ周辺の大橋さん含め、なんとかしなくてはと思っている課題でもある。

(大橋委員)
金井さんが特に仰っているのは、非常勤のキュレーター館長とほぼ未経験で年齢も近い数名の学芸員という当初の人員構成は事実だった。
「ここに無理があったように見える」が問題だと。だから、そこの表現を変えたほうが良い。そうであっても成り立つ場合も考えられるし、別におかしくはないと思うので、我々の立場でそこを断定的に誘導しない方が良いということだと思う。

(金井委員)
僕もそう思う。こういう人がいなければ新しいことはできない。

(中島委員長)
いや。論点はそこではなくて、「なぜ退職者が多かったのか」というところは、今後のアーツに何らかの形で記録として残しておく必要があると思う。

(大橋委員)
そうである。そのように誘導しないで文章を作った上で、けれども、全国的に見ても若い学芸員が高い頻度で辞めていったのは事実なので、これは書いておいた方が良いと思う。

(中島委員長)
そのニュアンスを残しつつ、「キュレーター館長の」というくだりを訂正し、「奇異」という表現も変える。ですね、入れ替わりが激しい状況だということはきちんと残した上で、ニュアンスを変えていくということで。

(大橋委員)
「今後は正規雇用の促進を図りながら」というのが入っているが、この議論で私は「正規雇用すべきだ」という主張をした一人である。
ベースとして「学芸員の待遇は改善されるべきだ」というのが大方の皆さんの合意点だったかというもの。
待遇改善の一部として正規雇用もあると思うが、全員を正規雇用すべきなのか、正規雇用する人と、全国の美術館を、修行を積みながら渡り歩いていく任期付きの学芸員もいていいのではないか、という議論もあるので、そういう表現に変えていってもいいのかと。断定的にしない方が良いと思った。
それと前に戻るようだが、館長と学芸員の主張と、事務方及び前橋市の考え方が合わなかった。
なぜ合わなかったかは、「美術関係のことは専門職である私たちに任せて欲しい」という主張をされて、ご遺族には、館長と学芸員が説明することになっていて、前橋市はその一方で「それはもうそういう問題ではない」と。
意見の対立があり、その調整がさらに遅れ、持ち主への謝罪が遅れてしまった事実があるので、それをなくしていくために、専門性に関わる意見の主張や対立があった場合、調停できる組織が必要だと思い私は書きました。
相応しいのかどうかわからないが、「アーツカウンシル前橋」というのがあると思うが、こうした第三者機関が、調定とか、アーツ前橋の運営が適切になされているか評価をして、アーツ前橋を管理させるということが必要だと思う。そういうものは提言に含まれていいのかなと。私の個人的な意見だが、私は入れて欲しいと思う。

(中村委員)
運営も管理もそうだし、美術の捉え方、地域にとっての「アートの方向性」が本当に今のままで良いのか。「3つのコンセプト」が本当になされているのか検証されるべきと思う。
ただし、そのときに出てくるのが本来であれば「(アーツ前橋運営)評議会」があったり、「アーツカウンシル」があったりしたはずなのだが、わからない。機能していたのか、していなかったのかというあたりなのかなと思う。

(中島委員長)
端的に話すと、中村さんが仰った評議会も、当然、組織されていて見識の高い人たちが集まって機能していたと思う。
ただし、今回の事案が評議会にかけられたのはいつかというと、かなり状況が混乱して煮詰まってから評議会に報告されている。
評議会は外部組織だから、内部の人間が書類を作成し「こういう状況です」と提出した資料に基づき評議をする。この仕組みである以上、都合が悪かったり、公開できなかったりするものは外部に出ていかなかったのだと思う。
評議委員長とも話したが「全くもって知らなかった」という状況である以上、「評議会が機能しなかった」というのは、評議委員に対して失礼な話で、知らない話は評議できない。評議会に上程しなかったアーツ側に問題があるのであり、そこは論点が違うと思う。
ただし、評議会の機能そのものの再考は絶対すべきである。アーツから出された資料に基づいてではなく、アーツに入り込んだ情報を収集する仕組みがないと、評議会はいつまで経っても機能しないと思う。

(大橋委員)
そのようにまとめていただいて良いが、今回のようなことは普通起こらない。当然アーツカウンシルも評議会も想定していないわけである。
こういうことが起きてからの役割の見直しは必要なので、評議会なりアーツカウンシルなり、どちらが相応しいのかわからないが、「アーツ前橋を見る第三者機関が非常に重要である」ということは、この項目、ないし「今後のアーツ前橋」の中に入れなければいけない箇所だと思う。

(中島委員長)
指摘のとおり大賛成であるが、あくまでも評議会だったりアーツカウンシルだったりは、アーツ前橋の本来的な組織から外れたところにある組織。だから、内部で何が起きているかをリアルにつかむのは非常に難しい。
それで、書いてあるように、学芸課長のようなポスト、あるいは、それに近いポストにいた人が内部にいたならば、その人を通じて評議会、アーツカウンシルに情報がもたらされれば、側面からの支援は可能だと思う。

(大橋委員)
仰るとおり、アーツ前橋側からいかにアプローチするかが無かったので、それを作って欲しいということだと思う。

(中島委員長)
「新たに組織をつくる」ことはすべきでないと思っていて、「アーツカウンシル」あるいは「評議会」の仕組みを変えていくということに尽きると考えている。「アーツカウンシル」に関して言うと、私が中枢にいるので、アーツ前橋とどうリンクできるか今後の課題として捉えていきたいと考えている。
提言書の中に、事務方と打合せしながら明記するようにしたい。
「コンプライアンス」の項目で話があった「学芸課長」のようポストを設けることに関しては、事務方と打合せしながら、表現、肩書も協議した上でご報告差し上げる。

(青野委員)
もう一つ、学芸員それぞれの待遇、その任期。「任期じゃない」という意見もあったが、働く立場にある人たちにとって重要だと思う。
ただし、全員が正規雇用で普通の公務員として働き続けるのが望ましいのか。それとも企画を担当して、いろいろな美術館を経験している人がある期間だけアーツにいた方が良いのかという議論もあると思う。
今まで学芸員は頑張ってアーツ前橋の評価を築くことに貢献してきたということもコメントとして残しておきたいところではある。
そして、長時間勤務してかなり疲弊してきたと思う。そうしたことから離職者が多かったのかもしれないし、やりがい搾取になってはいけないと思う。
あるいは「ハラスメント」のようなことが実際あったのかもしれないし、そこまではこの会議では追及できないと思うが、何かしらの文言は残していただきたいと思う。

(島委員)
今、青野さんが仰ったこと。
それから、先程、評議会の話が出たが、どの美術館も運営委員会や評価委員会といったものがある。
ただし、今の提言の中に「そういった組織を新たに設けるとなる」と大変だと思う。
なので、委員会あるいは評議会を、もしも突発的な事故が起きた時に「臨時評議委員会」などを開催して方向性を確認する、とか、そうした文面で見直すことはできるのではないか。
文言とすれば「そういった『活動の評価のあり方』についても改善して欲しい」といったことも盛り込むことが大事かと思う。

(金井委員)
正規雇用のくだりだが、「学芸員の資格、経験重視の採用を実施する」というのが、これもちょっと無理かなというか、大げさというか、必要ないのではないかと思った。
簡単に「雇用の待遇改善を図りながら、より質の高い学芸職の確保に努めていく」だけでも良いのではないか。
その前のことは余分なことと思った。

(中島委員長)
それを踏まえて、訂正したいと思う。「3.組織運営と人材育成」は大幅に見直すことで認識しておいて欲しい。

(2)今後のアーツ前橋に向けた提言 の意見交換
(中島委員長)
(2)「今後のアーツ前橋に向けた提言」、冒頭の金井さんも仰った、ここからが本題的な肝である認識は皆さん共有いただいているところだと思うので、ここの詰めの議論をさせていただければと思う。

(金井委員)
これを読んだときに、なんか情緒的というか、そういう文言があるが、そういうのはあまり必要ないのではないかと思う。
より具体的な内容で。例えば、「初めの一歩から積み重ねていくことが望まれる」とか、なんていうか「豊かになり」とか「育まれ」とか、そういうのはいらないのではないかと思う。分かりにくくなって提言書には見えない感じがする。
あとは「3つのコンセプト」について、僕も随分前回発言した。この7年間を振り返ってということで。だから、この辺をどういうふうにやって。僕の提案したことなんか書かれていなかったですが、それは良いですが。

(中島委員長)
それだけ。金井さん。もっと山のようにあるでしょう。

(金井委員)
それは、次なのですが。

(中島委員長)
次か。では、大橋さんどうぞ。

(大橋委員)
全体的な印象は、ここをもっと重厚にすべき、厚くすべきだと。何を言っているのかわからない。抽象表現で終わってしまっている。
ここで書くべきことはいっぱいあると思うが、1つ抜け落ちていることは地域美術館として「3つのコンセプト」をこれからも守っていく、というのがあるから。それで言い尽くされてしまっているのかもしれないが、アーツ前橋は、商店街も含めて地域の力と連携してやってきたというのが1つの特徴になっている。
「これも大変重要な視点だった」「これまで以上に地域と協働していく、協力していく」というスタンスが皆さん共通の意見だったと思うので。
そして、地域の中のアーティストやアートスペースもたくさんあるので、こうした方々とも手をつなぎ連携していく姿勢を書くべきではないかと思う。
また、アーツ前橋というのは、アートの領域だけじゃなくて、(いろいろな)境界線にわたる、教育であったり食文化であったり、そういったところにかなり突っ込んで、特色を出して展示を頑張ってやってきた経緯があるので、そういったチャレンジの多領域とも関係性を持って行く。「地域の中の美術館」としてそういった面で特色を持たせていく視点も入れるべきではないかと思う。
それをやりながら一方で来館者数。島さんから「現代アートを扱う美術館というのは大体こんなものだ」という発言もあったが、客観的に見て来館者数は満足いく状況にはないと思うので、こういったことを目標に掲げながら、今後はコンセプトを守った上で、「前橋の美術」のように、いろいろな市民の美術活動の発表の場や、表現の場についても活用し、市民の広く深い理解を経て、来館者数を増やしていくということを謳わないと、何のための提言なのかわからなくなってしまうので、大事なことが随分と抜け落ちていると正直感じた。

(中島委員長)
不備があるのは僕の責任でもあると思うので、ここもさらに訂正を加え公開させていただくようにしたい。
僕の個人的な意見を一つ。
大橋さんと金井さんの意見に関連し、委員会でも何度か発言したことだが、「我々前橋市民がこの館を支える覚悟があるのかどうか」を強調したいと思う。
館長や学芸員、前橋市が発信する企画に対し、受身的な考え方で「良い悪い」「楽しかった」「面白かった、面白くなかった」「難しかった」というだけでなく、周囲にいる前橋市民が積極的にアーツを支えていくための手法を、何らかの形で表現できると良いなと、今回そこが肝だと考えている。
その覚悟を明確にしていかないと、こういう問題が発生したとき、また同じ批判の的にさらされる。そうではなくて、「ここは前橋市民全体が支えている」というところをもっと良い言葉で表現できればと思っている。
「さらに外にいる行政がその市民を支えていくという仕組みがアーツ前橋の基本的な手法だ」というような表現ができると良いと考えている。
それを一方的にこちらで作ったテキストを入力し、皆さんに配布するのが良いのかどうかがあるので、今ここで話をさせていただいた。
こういう考え方について何か意見がある方は。

(島委員)
大橋委員の仰るとおり、現代美術館だから少なくて良いわけではなく、アーツ前橋の来館者、地元の方にもまず来ていただきたい。それから県外の方々にも。
今回こういうことで、アーツ前橋の名前が不名誉な形で多くの人に知られるようになったが、それを逆手に取り、改めて再出発することで、この館の活動が活性化していくのではないかと思う。
大橋委員も仰られたように「地域との連携」は重要で、私が以前に金沢21世紀美術館、あそこは観光地でもあるので特殊性があるが、(前橋も)白井屋ホテルとか、文学館とか、回遊できる場所が随所にあり、私も今回(あり方検討委員会に)関わることで再発見、また来てみたいと再認識できた。
それから美術だけではなく、「食」や「環境問題」、いろいろなことに取り組んできた。横断的なジャンル、いろいろな視野も幅広く活動されてきたことは継続して欲しいと思うので、提言の中に盛り込むことは賛成なので良い形で記載して頂けたらと思う。

(大橋委員)
地域との関連の中で「アーティストインレジデンス」を前回も取り上げたが、アーツ前橋で特色のある事業だと思っており、地域との連携を促進して非常に良い効果を生んでいるので、「アーティストインレジデンスはぜひ継続するべきだ」というのを、提言の中にぜひ入れていただきたいと思う。

(萩原委員)
ここが一番大きな分量になると思っていたが、なかなかそうならず残念なのであるが、アーツ前橋というのは、建物の話ではないと思っていて。それは一種の「コンセプト」のようなもので、たまたまあの場所は一つの展示場所であるというだけの話であって、前橋そのものがアーツの発表の場所である。そういうイメージなのだと思う。コンセプトが重要である。
あらゆるものはアーツに転化できるだろうというイメージがずっとあったものだから、そういう提案をしたほうが良いかという気がした。
それから、やはり金沢(21世紀美術館)はすごすぎる。それは、前橋が「アーツ前橋を観光の目玉にする」というわけではない。予算的にも規模的にも無理である。
けれども、金沢行っていつも思うのは、ホスピタリティがすごい。徹底している。お迎えする。それは素晴らしいなと思う。お迎えする側の位置づけとして「アーツという建物があるか」というと、そうではない気がする。
それから「創造的であり、みんなで共有して、対話的である」。当たり前の話である。「共有できなかったし、対話できなかったから、こういう事例が起こった」という話。だから、この3つのコンセプトをさらにもう一回言うのはどうか。当たり前の話。
しかも、現代美術をやるという館はいっぱいあるが、予算が少ないから印象派なんかできるわけがない。予算が少ない現代美術になってしまう。
僕はそれでも良いから。それが正しいことだと思う。それで、「日本に1つしかない美術館を目指す」と提案したら、「それは良いな」ともしかしたら僕は共感したかもしれない。「日本に1つしかない美術館って何ですか」と言われたら、そこから議論が始まるのだと思った。
前橋は風がいっぱい吹いているから、「あらゆる美術に関する作品の中でも『風』 をテーマにしたものしかない」と誰かが言ったら、「おお、そうですか」となると思う。
アーティストブックが好きだから、本をテーマにした詩人がいっぱい出ているから、「あらゆる本のオブジェ、あらゆるアーティストブックが揃う美術館は前橋にしかないです。という美術館にしましょう」って誰かが言ったら、「おお、それも良いな」となる。
本末的に、あちこちに顔を向ける美術館ではどうかなという気がする。
アーツ前橋の提言でいろいろなアイデアを詰め込めるのは、この会議の素晴らしさだと思う。

(青野委員)
本当にもっともな意見がたくさん出た。
私も含め、アーツ前橋に多くのことを期待していると思う。
それは今までの活動の実績で、非常にユニークな、素敵なことをたくさんやってきたということに基づき、より一層の期待するのだと思うが、実際のアーツの学芸員の人数や予算を考えたとき、全部を期待されるのも大変だろうと思う。
例えば、「アーツカウンシル」という組織について、あるものは「民」の方でやってもらうとか、アーツ前橋以外に例えば「アーティストインレジデンス」や「教育普及」の部分を担う受け皿を別に作るとか、そういう可能性はないのか。
一回ゼロに戻すような、水を差すようで申し訳ないが、あまりにも多く、あれもこれもアーツにというのは負担が大きいという気がするがどうか。

(中島委員長)
ご指摘のとおりのこともあると思う。
来年度どういう形でアーツが出現してくるのか。そのアーツを我々が支えられるのかというところが興味のあるところでもあるし、それを考えると沸々とした部分もあるし、「盛り込みすぎ」という指摘はそのとおりだと思う。
まずは正常に戻す。普通に戻す。「普通って何」というと、従来の何も問題のなかったアーツ前橋に戻すというのが第一段階。
次に、「専門的な領域、アーツらしい領域を目指していく」という流れでいければとイメージしている。
金井さんの発言の前に僕、お話させていただければ。
前回、「ぶっとんだ企画をやっているアーツ前橋を前橋市が支えている。あるいは容認している前橋市ってすげえよな。そう思わせるようなアーツ前橋にするとかっこいい」と小山さんが仰った。
僕は「ぶっとんでいる」というそこにすごく反応していて。「訳が分からない」「入館者がいない」というだけの尺度で論ずるのではなく、館そのものを前橋市が支えている。行政が何も文句言わずに予算付けている。「これってすげえ街だよな」と言われるようなアーツにできればと考えている。
金井さんどうぞ。まとめのようなことを言ったが、まとめではなく僕の希望。

(金井委員)
以前もう随分前だが市役所に行ったらちょうど市長がいて、ちょっと話がしたい、それでアーツのことを言われた。「アーツって館長必要ですか」と。
僕は「別に必要ないです。必要ないというか無くても良いです。ただ、それなりのリーダーが必要です」と答えた覚えがある。
市長はいつもフェイスブックで言っているのは、市が全部請け負ってやるのではなく、「民」の人たちのことに市が援助する。そんな市長のコンセプト、すごくいいかなと思っている。青野さんの意見を聞いて、それを思い出した。
萩原館長の話から、「アーツ前橋は建物ではありません」というのは、1つのキャッチコピーになるような言葉で、良いなあって思った。
それで、ホスピタリティも大切だなって思って。前回「3つのコンセプト」のときに話したと思が、館長から事務員でもいいから美術館のギャラリーに出て来場者にご挨拶というか。

(中島委員長)
島さんが(退席しなくてはならない)時間なので、最後にお話いただければと思う。

(島委員)
以前勤めていた金沢(21世紀美術館)は「建物ありき」なのである。あの建物だからこそ人が来てくれる。
アーツ前橋も建物に魅力があり、もっと発信しても良いのではないかと思う。以前デパートだった特徴を生かした非常にユニークな建築だと思う。
そういった魅力もぜひ発信していって欲しいとと思う。
(館長選任に向けた提言は)私が箇条書きにしたものも反映していただいているので、特に横断的な部分。館長選任に向けて、全分野に詳しくなくて良いが、さまざまな視野広い視野を持っている方になって欲しいと思う。
あと職場環境。これは美術館だけでもないが、どこの美術館でもハラスメントの問題が非常に大きくなっていて、そういったことに関心を持っていらっしゃる方、配慮できる方が相応しいと思うので、ぜひそういった方を選んでいただける形で、前橋市で考えていただければと思う。

(金井委員)
先程ホスピタリティの話があったが、前回も話したが、もちろん学芸員がそうだが、事務方も全員が入場者をお迎えする、友達になるような、そういうような文言があったらいいなと思った。

(中島委員長)
この件、一応鬼門の場所だが、ここももう一考した上で皆さんに配信する。

(中村委員)
これから、館長に関する話が始まる前に、どうしてもこれだけはと思って言っておきたかったのが、提言書に入れることなのかどうか、私自身も解らないが、「物理的に無くなってしまった作品をどうやって見つけるのか」ということは、入れなくてもよいのか。
確かに紛失事件があった。その後、報告することを長引かせてしまったことについては、たくさんのことを反省しなければいけないし、検証しなければいけないし、私自身もアーツ前橋を支えてきたり参加したりという意味では責任があったと思っている。
ところが、どうしてもそこにフォーカスされて、「でもおおもとって何。その作品は最後に誰かが触っているよね」という部分が見失われているのがすごく気になる。
不可抗力で、誰かが、どこか別の場所に持って行ったのかもしれないし、もしかすると、意図的に盗難があったのかもしれない。それはまだわからないこと。わからないことだが、誰かが確実に物理的によそに動かしている事実があることに変わりはないと思っている。
「誰が紛失の責任で、悪かった、どうでこうで」という方にフォーカスしてしまって、それが前橋市役所だったり、マスコミだったり、それが大学の方にまで波及している部分があるようなので、その時に「確かにきちんと反省しなければいけないし、これからのことも考えなければいけない」けれども、これを誰かが持ち運んでいることは事実で、今、私は前橋に住んでいて、ヒリヒリした思いでこの問題と取り組んでいる。
この右往左往しているものを、どこかで見ている人がいるのではないかと思うと、私は、いたたまれない気持ちでいる。
物を動かしたのは一人なのか、複数なのかはわからない。けれども、確実に誰かがいるはず。その人たちは、今、私たちが右往左往しているのを見て、どう思っているのだろうと思う。
その部分について「作品が無くなりました。警察には届けたけれども時間が経っているから捜査してもらえなそうです。でも、引き続き努力していきます」で済ませてしまって良いことなのかどうか、自分の気持ちのつらさとともに、ここで出したいと思った。

(中島委員長)
それは僕も共通してずっと最初から思っていることだった。
「グレーな状態、状況をどう解決していくのか」を冒頭質問したのは、まさにこのことである。
これは僕のあくまでも印象だが、盗難の可能性がニュアンス的に強いと感じているのは僕だけではないかもしれない。これま全くグレーな。
ただ、このグレーの状態をなんとなくみんなの頭の片隅にありながら、こういう議論するのはすごくストレス。
遺族、所有者に対して、「じゃぁどういう対応を今後していくの」というところに冒頭の話が繋がっていくが、「こういうことなんだよと、こうしたほうがいいよ」という話があれば。

(渡辺副委員長)
不祥事が起こった後、一連のプロセスをした後、どうなっていくかというと、「許し」と「治癒」というプロセスがあると言われている。
「許し」というのは、持ち主である所のご遺族の方、それから、市民は持っていたわけではないが「こんなことをして」という(市民の)怒りとかそういう気持ちが「仕方がないかな」と(なる)いう許し。
「治癒」というのは、その先、状態が治って、普通の状態になっていくプロセスがあると言われています。
無くなってしまっている状態をこれからどうするかについては、先に「紛失調査委員会」が調査をして報告は出されている。
それから、徳野(副館長)さんから先程話があったが、今現在もアーツ前橋、前橋市は、どこにあるのかを気にかけ続け、探し続けている事実があって、それは「あり方検討委員会」が持たれる前から、それから今も、今後もずっと続いていくということである。
「あり方検討委員会」の役割は、そういうことも全部踏まえた上で、許してもらい、自分たちで「治癒」していくための方向をきちんと定めていくことを検討するということだと思う。
こうしたケースで大切なのは、そういうことを私たちは検討し、市民との意見交換会をやるのであれば、市民とも共有し、二度とこういうことが起こらないように仕組みもつくり、風土もつくり、人の教育も一生懸命やり、市民の皆さんとも情報交換、情報開示もやりながらやっていくので、私たちが治癒していくプロセスも一緒に見て、そういうことをやっていくための第5回目(の会議)ということなのだと思う。
提言書に書く、書かないがポイントではなくて、委員会は全部踏まえた上でやっているということ。それから委員会の提言書が公開されていくということ。さらに繰り返しになるが、「探し続けている」という行動、行為が合わさり開示され続けていくことが認識されることが大事だと思う。

(中島委員長)
「探し続けている」という機能は、僕が認識する限りはないわけで、ただ、盗難届(遺失物届)を警察署に出していることは事実としてあり、ではアクティブに誰かが何かをしているのかと言うとグレー。これを中村委員は「理不尽だ」という指摘。

(渡辺副委員長)
島さんが仰っていた「何年か後に美術品が戻ってくる」とか、そういうこともあるということだが、このあり方検討委員会の情報が開示され、前橋市もアーツ前橋もこういうことを反省し、新たな取り組みを始めていくということがわかると、(持ち出した人が)「持っていてはいけないんだ」という気になる人も出てくる(可能性がある)ということである。
モヤモヤしたまま、何もしないでいると「返そうかな」という気持ちにならないかもしれないが、「市民もそういうプロセスを見ている」ということが、何らかの形で作用し、「これはやはりあったところに返さなくてはならないんだ」という動機付けになるということもあると思う。

(中島委員長)
現実的に可能かどうかわからないが、作品に関して、どういう状況で何がというのを継続的、定期的に何らかの形で検証し合う、共有し合う仕組みは、前橋市は取り入れたほうがいいような気がする。
それが、例えばの話であるが、アーツカウンシルにその機能、一部機能を持たせて、定期的に今、どんなことが起きたか、どんな情報があったかというような検証をする仕組みは、前橋市は持った方がいいような気がする。
継続的に誰かが今、調査をしていることは全く無いわけで、一年に一回、あるいは、半年に一回くらい、作品の件に関して前橋市が検証をすると。まだ見つからない、警察に情報収集を依頼するとか、継続的な情報の積み上げをやっていく仕組みがあってもいいような気がした。

(事務局(徳野副館長))
作品の在りかという話もあったが、去年の9月(警察相談)以降に分かったこと、作品紛失調査委員会、それから作品紛失調査委員会が終わった後に分かったこと、ここで話すべきではないことも含め、その時に不明だったことをひとつひとつ潰していく作業は、継続してやっている。
どういう状態になったら警察が単なる遺失物届ではない次の段階に行けるのか。どういう状況が揃ったときに「被害届」として警察が動いてくれるのか。法律・法令とか警察内部の内規とかを調べながら、丁寧に進めていきたいと思っている。

(小山委員)
紛失作品の作家名や画像はオープンされていないのか。

(事務局(徳野副館長))
著作権者さんの意向から「出さないで欲しい」と言われている。「当事者のところに取材に来るのは避けて欲しい」ということがあるが、オープンにしないで探す方法があるのかどうかも含め、確認したいと思っている。

(小山委員)
美術作品で基本的にそれは不可能だと思う。

(事務局(徳野副館長))
逆にどういう状況であれば、著作権者さんもオープンにできるのか、丁寧に話をしていきたいと思っている。

(小山委員)
著作権者がそれをオープンにしないのならば、見つかることはないと思う。それだけは確かだと思う。
何かが無くなって、後から出てくるという可能性があるとしても、画像があって全部に公開してやる、そういった形にしなければ無理だと思う。著作権者の方がどう思うのか分からないが、それだけは無理だと思う。
その部分も含めて、持っている人と前橋の方は考えた方がいいと思う。

(事務局(徳野副館長))
小山さんからの意見も含めて話し合っていきたいと思う。

(中島委員長)
そういう意見を踏まえながら、継続的に「調査している」という意思表示をする意味でも、何らかのグループがある状況は作っていければ、それが社会的に説得力あることではないかと思う。
画像や作家さんの名前を出せないことも含めてこれは要検討。

(中村委員)
この活動の延長線上で出てくることがあればいいと思うが、あと、あり方検討委員会に相応しくないかもしれないが、最後に作品に触った方には、事情を話していただきたいと思う。意図的に、もし作品を移動した方がいるのであれば、お返しいただきたいと思う。よろしくお願いしたい。

(3)館長選任に向けた提言 についての意見交換

(金井委員)
先程、島さんが最後に仰って下さったが、「広い視野を持つ人」と「全部これを表現する必要はない」と言われたので、一つ引っ掛かっているのが、「国内外の現代美術の現状と今後について見識を持っている人」ということなのだが、「現代美術」というところに特化した名前を入れない方がいいと思う。

(萩原委員)
国内外の美術の現状。

(金井委員)
そうである。昔の美術も素晴らしいものがあるから。

(中島委員長)
了解。それはそのように訂正する。

(大橋委員)
冒頭ここが一番問題なだと思った。
議論の中で、我々の検討委員会に、館長を決める権限があるか無いか。
ここで決めたほうがいいという方もいるし、私は後者で、この検討委員会に館長を決める権限は無いと思っている。
あるとすれば、最初から館長を決めるための会議という位置づけ、我々が市民の付託を受けてなったという事実があればいいと思うが、それが全くない中で、突如館長を決めるというのはちょっと乱暴ではないかなと思っており、館長を決めるのは、あくまでも設置者である前橋市が当然なるべきだというのが私の考えである。
非常に重要だと思うので、最終的に結論を出し、今、進めているように、館長を選任する上での条件とか、館長に相応しい館長像とかを決め、また、選任するための方法についても、こういう方法もあるということも触れて、というのがいい方向だと思う。
こういう形でいいかという議論が先になされるべきかと思う。

(金井委員)
僕は、館長はこの委員会で「決める」のではなくて、「選ぶ」というのですか。そっちだと思っている。
「決める」のはもちろん市長。もちろん我々には権限はない。ただ、市長が見つけられるのかと言うとこれは無理である。
それで、市長が決めるとしたら誰が見つけるのかと言ったら、再三、前回、質問したと思う。それで結局、また別の委員会を作らなくてはならない。
そうやってもいいが、僕がこう見渡して、これほどの人たちが選ばれている委員会であるから、良い人を選ぶ条件というのは、これ以外にまた作って、またその委員会を作ってやるとなると、非常に何か効率が悪いというか、今の原時点では、私たちが、こういう人を見つけてきて、「市長、この人はどうでしょうか」とか提案するのが、これは全然間違えていないし、大橋さんは「我々にはその権限は持ってない」と言うが、権限はあるわけである。我々にはないが権限を持った人から付託されている。
そういった面で、これは税金を使っているわけですから、単なる話し合いで終わりたくない。僕はそれを市から託されていると思っている。
それで、「じゃぁ別の委員会を作ります」「それで私たちはこの提言書を出します」。であれば、我々はこの委員会は何だったのと。それは市民から認められない。僕がもし市民だったら「何いっぱい委員会を作ってやっているのだ」と言って。
それでこの提言書の案。これは前も僕が質問しましたが、「市が主体的に行い」って、「その市は誰ですか」と僕は前に言ったと思うが、その抽象的な「市」っていうのは名前。じゃぁ田中(委員)さんが決めるのか。じゃあ誰が決めるのか。結局はその委員会を作らなくてはできない。
その委員会を作るのであれば、僕はそれでもいいが、僕とすればそれは市長から任された責任があると思う。その責任を果たさないで、それをほっぽりなげるようなことはできない。僕自身も、そうしてもらうのが一番楽ですが。いくつか仕事を、責任を抱えてやっているものだから。
でも、こうやって、市からお願いしますと言われたら、責任を持ってそれを最後までやるべきだって思っている。

(小坂委員)
本日配布された「アーツ前橋を応援する会」からの「次期アーツ前橋(館長)の要望書」であるが、(提言書案に)「提出され」と記載されているが、今日(資料が)配られたもので、委員会の意見ではないのではないか。要望書が出てきたから沿った形で選ぶような一文に違和感がある。
この書面が出てくるのは何か理由があったのか。

(中島委員長)
館長の件に関して、冒頭、話したとおりアーツ前橋を正常な状態に戻したい一心で、第2回目の会議で話をさせてもらった。ところが、議員も含め大きな反響を呼んだことに関して反省するところである。
大橋委員、金井委員の両方とも、現段階において理解できる。「どこで決めるのか」という金井さんの質問に関しては、市長権限で市長が選任をするとなるのだろう。その具体的な名前を誰がどこでいつ市長に対し提案するのかに関しては、現段階、僕は全くノーアイディアである。
今後、その辺の進め方に関しては、田中課長を中心に行政側、市長を含めた状況の中で進めていくのだろうと思う。
そこは、僕は納得できていないが、そうせざるを得ないところである。
それと、「ある団体から出された要望書を委員会で」というくだりに関しては、市長に対し直接(要望書が)提出され、新聞にもセンセーショナルに報道されたものを委員会で無視して進めていくわけにはいかないだろうと。だから「参考意見として、こういう資料が出されている」という取扱いで配布することに関して何ら齟齬は無いと感じている。
この件に関して、意見がある方がいたら言って欲しいと思う。
「応援する会」から出された要望書に、具体的な名前が書かれているわけではなく、「専門的な見地の高いこういう館長にして欲しい」という話だったように記憶している。
そういうことを踏まえ、今後の館長選任のひとつになっていくのだろう、そのひとつの資料であると認識している。
この意見に引っ張られるとか、ここの委員会で扱うべき資料ではないというようなことに関して、「参考意見として扱う」ということである。

(小坂委員)
意図は分かった。要望書の内容そのものは否定するものではないが、せっかく委員があげたこと(提言)よりも、こちらのほう(要望書)も(引っ張られてしまう)状況になってしまうのかと。事実として新聞にも載っているから嘘ではないという部分もある。内容は了解した。

(小山委員)
どうやって館長が決まるのか自体はみんなすごく見ていると思う。誰が館長になるのか、どういう方法で館長を決めるのかは、この委員会が決めるにしても市が決めるにしても、それだけは興味を持つことだと思う。
それはきちんとやってもらいたいと思う。

(中島委員長)
館長人事に関しては、先程申し上げたように、ここでは決められない。
僕は、大橋さんが言うように「決めるべきではない」ということでは、そういう理解ではないが、残念ながら、この委員会で決められない。決まらない。ということしか現段階お話しできない。
金井さんが言うように「ここで決めるべきだ」という意見も、他の委員さんもお持ちの方もいるかもしれない。
ただ、この公開の場で、具体的な固有名詞を出して、良い悪いの話をするわけにもいかないし、別な委員会を作って、そこで審議するのも異論があるし抵抗もある。その手法が、現段階で説明できないし、わからないというのが正直なところ。
あとは文化国際課長を中心に、どういう手法で、みなさんに納得のいく形で決めていくのかは、もう課長に一任するしかないと考えている。

(中村委員)
「広く(市民に)意見を聞く」こととの関わりはどうなるのか。

(中島委員長)
そのタイミングは当然あるだろう。「広く意見を聞く」ことになってくると思う。「公聴会」や「タウンミーティング」「市民会議」のようなものを踏まえた上で、その後にという形が一番スムーズで納得いただける話かと考えている。

(田中委員)
市民との対話については、今日出た話なので、具体的に、いつ、どのようにやるのかは、まだこれから考えることだと思う。また、新しい館長も、やはり市が決めて、ただ、決めたからには結果を説明する責任があると思う。
そういったことはぜひ果たしていきたいと思う。

(中島委員長)
現段階ではそういう形である。

(中村委員)
田中さんが仰った「市の方が館長を」というのは、先程の「タウンミーティング」との関わりはどうなるのか。

(中島委員長)
「タウンミーティング」で具体的な名前を出して良い悪いなんていう議論はできない。

(田中委員)
その「タウンミーティング」を、いつ、どのように、どんなテーマでやるかは、まだ今日出た話ですので、今この場で「こうする」ということは言えない。「館長」と「タウンミーティング」がどのように絡むのかも、今この場では全く未定である。

(金井委員)
「こういう館長になりましたよ」と言うことは、市民に納得される説明が必要だということを先程小山さんが言われた。
だから、そこだと思う。三十何万人の市民が一緒に選ぶということは到底不可能な話で、やはり誰かが選ぶわけである。
それで推薦するという形で、それはもちろん、非公開の場でやるべきだし、だから僕とすれば、このまま、この人たち(あり方検討委員)がいるのであれば、「5.5」の後に非公開で持ってやってもいいかと思っている。

(中島委員長)
それも含め市と協議した上、委員には、アナウンスしたい。
ここの最後にも、「選定プロセスもさまざまな選択肢があるが、選任手法も含めて市が主体的に行い、任命責任の所在を明確にすることが大切である」という締めの言葉があるので、ここを尊重していければと思う。

4 その他
(今後の提言書整理・提出について事務局から説明)
(前橋文学館・アーツ前橋の展覧会、県民の日特典について、萩原委員、徳野副館長から説明)

(中島委員長からあいさつ)
第5回と言うことで、あり方検討委員会を終わりにさせていただく。
長きにわたりご審議いただきましたことに心から感謝申し上げる。
今後のアーツ前橋が、どのように意見が反映され再興していくのか注目いただきたいと思う。
それを支えていく地元にいる我々、金井さんや中村さん、大橋さん、地元にいてアーツ前橋を間近で見ている人間は、責任を持ってアーツ前橋を支えていかなくてはならない立場にあるのだろうと思う。
まして僕らは、8年前にアーツ前橋を作り出した張本人で、この人間たちが今後のアーツ前橋を支えていく覚悟は、少なくとも私はしている。
最後に1点。僕と前館長の関係性を揶揄する書き込みや中傷が来ている。僕と前館長の関係が濃いがため、かなりあり方検討委員会に影響を与えているのではないか、という憶測が流れているのは、非常にショックである。このあり方検討委員会が始まってから、彼とは一度もメールのやり取り、その他、電話をしている事実は全くない。ここは付け加えておきたいと思う。
公正に議事が進められた自負は持っているので一言申し上げておきたいのと、僕と前館長との関係は十年くらいになるので、今回の事案があったから彼との関係が切れるわけでもない。今後も友だちで、美術の専門家として尊敬しうる立場にあると僕は思っている。
こういう事案で彼との別れになってしまったが、今後の彼の活躍を期待せざるを得ない、声を大にしてエールを送りたいと思っている。これは紛れもない事実で、最後に話をさせていただければと思った。
今後のアーツ前橋に期待をしておいてほしい。ありがとうございました。

5 閉会

 

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更新日:2021年11月29日