前橋空襲と復興資料館検討委員会令和4年度第1回会議

審議会名

前橋空襲と復興資料館検討委員会

会議名

前橋空襲と復興資料館検討委員会令和4年度第1回会議

日時

令和4年6月29日(水曜日)午後2時00分~4時00分

場所

11階南会議室、昌賢学園まえばしホール2階フリースペース

出席者

委 員:岩根委員、吉良委員、手島委員(委員長)、新井委員(文化スポーツ観光部長)

事務局:田中文化国際課長(事務局長)、原田生活課長、小田副参事(生活課)、大友副参事(文化国際課)、大島主任(文化国際課)

傍聴者:なし

報 道:群馬テレビ、上毛新聞社、朝日新聞社

欠席者

なし

議題

1.委員長選出

2.「前橋空襲を語り継ぎ、平和資料を収集展示の形の検討会」提言書の共有

3.本会の活動予定

会議の内容

1 開 会

2 挨 拶

山本龍前橋市長が検討会委員会設立に当たり挨拶した。

3 委嘱状交付

外部委員3人に対し、前橋市長から委嘱状を交付した。

4 委員挨拶

4人の委員が自己紹介を兼ねて挨拶した。

5 議 事

(1)委員長選出

「前橋空襲を語り継ぎ、平和資料を収集展示の形の検討会」からの取組の継続性に配慮し、当該検討会で座長を務めた群馬地域学研究所の手島仁代表理事が委員長に選出された。

(2)提言書の共有

手島委員長

お手元に提言書が配られています。これから資料館をつくるわけですけど、提言書に基づいて作るということが出発点になります。提言書を読んで、これからの方向性をというものをまず確認することから始めたいと思っております。7頁を開いて頂きまして、「公的資料館はなぜ必要か」というところから事務局に読んでいただいて、その都度、検討の方向性を確認させていただきます。

 

事務局

資料「提言書」抜粋を朗読。

 

手島委員長

この提言書を受けて、市当局で検討し、開設場所が決まったわけですけれども、その経過について、市当局を代表し、新井委員から説明をお願いします。

 

新井委員

AからF案までの提案を受けまして、庁内で検討させていただきました。一つずつそれぞれの案につきまして簡単にコメントさせていただきます。まずA案、新しく建設するという案でございまして、新築をするのは場所の選定、多額の費用が掛かるなど、かなり難しいと思います。B案の図書館、博物館が建設された場合に、その中に直接というものでございますが、これもかなり時間がかかります。C案の小・中学校など統廃合で廃校になった校舎を転用するというものですが、やはり校舎全体を利用するということは基本的に難しい。D案はまちなかの空店舗の利活用でございます。現状色々調べたのですが、適当な大きさの空き店舗が現実的にないようで、耐震性の問題もあり、課題が色々ありまあいた。E案の駒形町の「ぐんまマチダ戦争と平和資料館」を活用したらどうか、ということですが、耐震性に難があり、耐震に多額の費用が掛かることもあり難しいかと思います。最後F案でございますけれども、公共施設のあり方を見直す中でということでありますが、その中に空襲資料室を設けたらどうかという案です。これは、時間的にも比較的短時間でできますし、可能性が高いのではないか、というような議論になっています。議論した結果を踏まえて、早期に設置が可能でかつ財政的な負担を軽減できるということで、F案を選択し議論しました。では、具体的に何処に設けるかという議論があり、いくつか候補はでたのですが、例えば、総合福祉会館、前橋プラザ元気21、昌賢学園まえばしホール等々、その中で、展示スペースを確保、整備費、アクセス性、駐車場等々の観点を総合的に判断した結果、昌賢学園まえばしホール(市民文化会館)の二階のフリースペースが上がってきました。ここは、前橋駅からも近く、大型バスの駐車場もあり、社会を担う多くの子供たちに来室頂けるような場所で、位置的な場所からすると非常に恵まれた場所にあり、大規模な耐震工事も不要でございますし、短い期間で設置が可能であるというメリットがあるということで、設置を粛々と検討させていただきました。

 

手島委員長

続けて図面(資料「昌賢学園まえばしホール 2階図面」)の説明を。

 

新井委員

昌賢学園まえばしホール2階フリースペースと書かれたペーパーが一枚あると思います。上が北になっておりますけれども、一番上の所に太い四角で囲われたフリースペースという所がございます。その場所を選定しております。

 

手島委員長

提言書を受けて、市当局が市民文化会館のフリースペースに場所を決めたとのことです。これまでの説明の所で何かご意見等ありましたらお願いします。

全国の事例を読み上げていただきましたけれども各被災都市が色々工夫して設置されているということが分かりました。前橋市も色々工夫していただいて、市民文化会館の二階に設置場所が決まったということだと思います。

 

岩根委員

展示スペースとして、そのフリースペースを利用する。資料館として、機能させるためには、やはり収蔵庫、同時に資料の収集も並行して行う必要があるのではないか。市民の皆さんの中にもそれなりの資料をお持ちの方もいらっしゃるようですし、私どもでも幾つかは、お預かりしているものもあるのですけれども、その様なもの、あたご歴史資料館の資料も含めて、収蔵庫の問題は、スペース的にはこの中でいうと、これに併設するのは難しいでしょうか。

 

事務局

フリースペースの具体的な広さですが、現在フリースペースの地図を見ていただくと、右上に授乳室があり、こちらも含めて、174.93平米となっております。先ほど紹介した長岡の資料館ですと、200平米いかない位の広さになっています。このスペースの中では難しいのではないかと思います。

 

手島委員長

別途考えるということですか。

 

田中事務局長

一番いいのは、文化会館の何処かに借りることができれば、よいのですが、これから調整になると思います。収蔵庫は、現時点では決まっておらず、今後調整することになると思います。

 

手島委員長

収蔵については、検討して、並行して、開設までにはまだ時間がありますから、その間そういったことも設けていただくということを市当局にお願いしたいと思います。

他にありますか。

 

(3)本会の活動予定

手島委員長

なければ、これを踏まえて、今後この様な形で一年間進めていきますという日程等を事務局から説明していただきたいと思います。

 

事務局

前橋空襲と復興資料館検討委員会活動予定(案)をご覧ください。次のとおり3年度、3期にわたり計画しております。今年度令和4年第1期の活動内容は大きく4つを想定しております。1つに認識の共有です。こちらは、本日、1つに提言書の確認、またこれから行う設立予定現場の視察です。活動内容の2つ目、先進地視察です。現在候補として、高松こども未来館・高松市平和記念館、姫路市平和資料館、岡山シティミュージアム岡山空襲展示室の3施設を検討しております。後ほど、日程調整をさせていただきます。3つ目として、学習会です。1回につき2名の先生にご講義をいただく学習会を3回程度開催したいと考えております。講師の候補は、元県埋蔵文化財センターの菊池実先生、前橋学市民学芸員の大谷明應先生、元あたご歴史資料館調査員の田名網雅久先生、空襲・戦災を記録する会全国連絡協議会事務局長の工藤洋三先生、國學院大學講師の栗田尚弥先生、高崎経済大学助手・特定研究員の小林啓祐先生が候補として挙がっております。初回の学習会は7月に開催できればと考えておりまして、後ほど日程調整をさせていただきます。

また、今年度の予定の4つ目は、設計に向けての議論です。こちらは、学習会が終わりました、11月頃から年度末頃にかけ展示内容や、会場設計などの議論を進めていければと、考えております。

更に来年度令和5年度は第2期といたしまして前年度の議論に基づいた設計、展示物の制作などを行い、令和6年度、第3期には、展示物の制作を引き続き行うほか改修工事、開館という流れで、進めていければと考えています。

 

手島委員長

ご報告がありましたけれども、質問、確認等ありますでしょうか。

この後現場を見ていただいて、状況を理解していただき、高松、姫路、岡山と非常に優れた資料館ですので、そういった所を視察して、前橋空襲の定義という課題もあり、どのような内容を展示するか、研究者をお招きして、先生方の研究成果を使わせていただいて、中身を作っていきたいと思っております。ここで挙げられた先生方も交えて、我々委員と意見交換をして、といった形で徐々に展示内容を固めていきたいと考えるわけです。今、事務局から話がありましたように11月頃までに1の認識の共有、2の先進地視察、3の学習会を終わりにして、11月以降次年度に向けて内容を検討したいと思います。

 

吉良委員

いつもこういった施設を作る時に問題になるのが資料関連で、それをどのように保存をし、市民の人々に見てもらう、大まかに、資料的に収集の規模をどの様にお考えか。

 

手島委員長

使う資料ですか。ぐんまマチダ資料館の資料、あたご資料館の資料が市に寄贈されています。あと前橋市ですでに所有している資料、この3つの資料群をもとに、今後、市民から寄贈があったら資料を、展示していくということになります。

 

吉良委員

展示室です。今日の話は、展示室の概要がでています。問題は市の資料は沢山集まるのです。集めなければいけないのです。だからそれをどのように後で、どのような案で空いている場所を使っていくのかということを含めて、資料をどのように集めて保存をするということが後になければ、展示だけ見てもいけないのですね。そこはどのように想定して、計画しているのか。

 

手島委員長

先ほどの岩根先生の話にもありました様に事務局は、収集と同時に収蔵場所は確保していく。検討会でも収集は市を中心に市民に呼び掛けるということになっていて、整理については、市民学芸員という制度が8年前からありまして、その皆さんがカード整理をしてくれているので、あたご資料館の資料が市への寄贈、マチダ資料館からの寄贈、といった事を全部市民学芸員の方が全部カードをとって、整理をしてくれています。そういった人的な部分は準備ができています。

 

吉良委員

素晴らしい事ですね。前々からずっと前橋市はなさっていたのですね。

 

手島委員長

こういった事を想定して、市民学芸員という制度を作って、ボランティアのような形で活動していただけるようになっているので、人件費等がないからできないということはないわけです。

 

吉良委員

バックヤードは、十分準備を続けたのですね。資料を正式に記録保存していかなければならない、一番重要な事なので、安心しました。

 

手島委員長

資料が複数集まれば、寄贈を受ける時に、子供たちに触らせて、劣化したりしてもいいですね、ということを条件に受け入れて、戦争を知らない子供たちに触ってほしいですね。

 

岩根委員

少し欲をかくような話になりますが、前橋空襲そのものについては、前橋の場合、『戦災と復興』が編集刊行されたのが昭和39年、これは全国的にも早い時期でしかも画期的です。アメリカからの資料を取り寄せて掲載している。非常に画期的です。その辺を踏まえながら、前橋空襲の実像を明らかにするといった研究調査がある程度継続的に進められるようなシステムが併せてあるとよろしいのではないか。たしかに前橋空襲については、2007年に前橋で戦災を記録する大会がありまして、その時に今井清一先生や、菊池さんが報告されていて、15年前になりますが、そのレベル以上に前橋空襲の研究はいってないと思います。アメリカの前橋空襲の作戦任務報告書は作戦前の資料です。また空襲をした後にどれだけ被害を与えたのか、2つの資料は既に国立国会図書館にマイクロフィルムで入っています。私も直に見てはいませんが、インターネットで取り出せることができるとの事です。その様なものもできれば行政のほうで取り出して、英文ですからできれば翻訳して、そういった資料も蓄積しておくと、直接前橋に空襲をかけた側の資料は非常に重要だと思います。空襲を受けた市民の感想とかなりズレが出てくるということがあると思います。つまり艦砲射撃、直接撃たれたみたいなこと、しかし前橋空襲の8月5日の場合は実は破片集束弾という一種のクラスター爆弾を使って、消火に当たる人を狙い撃ちにする。それに当たった可能性が高いわけで、そのことを含めながら、やはり向こう側の資料をしっかりとこちらも受け止めて、あの「戦災と復興」の際に一部こちらに来ていると思いますが、できれば「戦災と復興」の原稿とかその時に取り寄せた資料とかが、何処かに保管されているのではないか。そういう物も非常に重要なものなので、是非資料として資料館の施設の中に保存しておく必要もあるだろうと思います。少し欲かきではありますが、前橋空襲そのものの研究も併せて進められるようなシステムを是非あの展示や資料の保管だけでなくて、加えるような資料館にしていただけると有難い、と思います。その辺は学習会の中で、たぶん菊池さんなどが一番前橋空襲についてもっとも先進的な研究をされていると思うので、そういった学習を踏まえながら、と思います。

 

手島委員長

本来ならば、「戦災と復興」を作った時に前橋市は資料館を作れたはずなのに、何故そのようにいかなかったのか不思議なのです。難しかったのでしょうかね。

 

岩根委員

あれだけの資料を作ったのも、すごい事ですね。

 

手島委員長

アメリカ側の資料が公開になったきっかけは、共愛女学校、群馬県で最も古い女学校が100周年を迎えるということで、前橋空襲で攻撃を受けた共愛女学校の写真が欲しいということになったのですが、なかった。その時の共愛学園の同窓会長が飯塚美枝子さんで福田赳夫総理の後援会の婦人部「若美会」のトップの方でした。福田赳夫元総理、康夫先生に依頼して見つけてもらったが、日本国内で見つからずに、アメリカに行って写真を見けられた。そうしたことが福田康夫元総理の公文書管理制度の創立に繋がったわけです。

市民学芸員は、15回講座があるのですが、必ず1回原田恒弘さんが前橋空襲の体験者で「前橋空襲」について語っていただいます。そのおかげで市民学芸員のみなさんも関心を持って研究される方もいます。岩根先生や吉良先生のいわれたことなどは、市民学芸員のみなさんがテーマとして研究していけば、研究者を越えるような色々な成果をあげられ、その成果を資料館で展示するようになるようにすれば、絶えず市民が作りあげるような資料館ができます。そうすれば、たとえ面積が小さくても充実した資料館ができるのではないか。立派な資料館ができるのではないかと、期待をしています。

 

吉良委員

資料の蓄積をずっとやり取りを続ける、ある意味では、第二次世界大戦1945年に終わる戦争、長い戦争の歴史の中での資料は継続して集められているが、取りこぼしが結構あって、それらを市民の協力で、どうにか最後の資料を集めて、それを未来に残していく、この作業をエンドレスにやっていくしかない。そのためのいいチャンスですから、箱もの行政に陥ることなく、市民と一緒になって資料を集め、次の世代の人々が何を考えるのかは、手渡していくことがすごく重要で、ただこれはエンドレスにやらなければいけない。

 

手島委員長

私も色々と研究者の方から聞くのですが、例えば証言とかが、ズレがあるのですね。戦争体験者の言ったことを記録する、これをきちんと資料批判にしていくことが、伝えていく事にとってはとても重要な事だと思っています。そのためにも沢山の資料を集めなければならない。誰もがすぐ見られるような形で整理していかなければならないと思います。

 

吉良委員

次の世代の事を考えると、学校教育にどう活かしていくか、社会教育も重要で、学校教育と社会教育の中にどう活かしていくかという事を何処かに考えて、盛り込んでいかなければ、集めただけで仕方ないから展示するという様なことに陥りやすい。そしてほこりを被って、みな興味が戦争から引いていく、そこがどの施設も抱えている問題だと思っています。8月15日が近づくと、学校教育の制度があるから、子供たちが、心ある人達が行ってみるけれども、やはり戦争は遠くなっています。遠くなっている戦争を、どのようにして未来への平和に活かしていくか、という未来平和学が後にないといけないと、この頃思います。実証だけで私達は頑張ってきたのですが、実証プラス未来平和学が今後の教育に必要だろうと思っています。それは学校教育だけでなく、社会教育も必要です。

 

手島委員長

社会教育は重要ですね。

 

吉良委員

博物館は社会教育だと私は思っております。

 

岩根委員

吉良先生がお話しした様に小中学校をはじめ高校含めて、一種の平和教育の材料として使える様なもの、そのためには現場の先生方がある程度前橋空襲について関心や学習をされないと、また小学校の先生をされていた方が少し調べてくれたのですけれども、3年生か4年生の20年くらい前の教科書には前橋空襲の頁が2、3頁ありましたが、最新のものには、ほんの半頁で、ほんの少しになってしまっているということに大変驚いたということを言っていました。段々と薄れてきているという部分もあるので、是非、教育委員会が小中学校の先生方に関心を持ってもらえるような機会を作る必要もあるのではないかと思います。

 

手島委員長

来年度の2年目の検討会では現場の先生方をお呼びして、どのような視点が良いのか、という事はお聞きしたっていいですよね。

 

新井委員

意識のある先生がいらっしゃると思うので、例えは、希望の生徒さんが見学に来ることを前提にして、どういう展示のやり方がいいのかみたいなものをお聞きするのはできるのではないか。

 

吉良委員

しかも今でもウクライナで起きている事ですからね。未来の資料館の展示の中でどう活かされていくかという事が問われている。他人事ではない。こういう施設を作る事はかつてあった歴史を勉強するのではなくて、勉強から何を考えて、どうするかという事をエンドレスにやるしかない。とウクライナで起きた事を思ってしまいます。そのことは重要だろうと思います。難しいですね。中々、教育の現場でどうやって現実化させるか。単に展示を見ている子どもたちが、「キャーワイワイ」と言っているだけではない、何かそれなりの工夫がいるのです。これは後に加害と被害の問題が起きる。自分が被害を起こす方と受ける方をいつも考えながら、戦争の向こうに何があるかということをどうやって教育に活かすか、社会教育を含めて、得てして学校教育だけに囚われがちですが、社会教育は難しいです。普通に平和に生活している中に戦争を考えろと、言われたら市民の方は引いてしまいます。今平和ですから。ウクライナで現実に起きている事を見るとそれはひょっとして自分たちがあの場にいたら、どうして生きているのだろうか、パンを求め、水を求め、安眠を求めということです。そう言う意味で、どうやって歴史研究、現実の歴史をどのように今生きている人々は自分の糧にするか、ということはいつでも問われることだと思っています。その努力をどうやって見せるのか。見せるという行為が起きる訳ですよね。そのことを考えなければならないから、この仕事はすごく難しい、といつも思いながら、それなりに関係しています。

 

手島委員長

ありがとうございました。それでは、この方向でということが確認されましたので、次は日程の調整をお願いします。

 

6 その他

(1)令和4年度第2回会議の開催日程

次回会議の日程

7月29日(金曜日) 午後3時 市役所11階南会議室

第1回学習会(講師2人)を候補者と調整し、実施する。

(2)先進地視察の開催日程

先進地視察の日程

8月25日(木曜日)~26日(金曜日)

【候補】

◇高松こども未来館・高松市平和記念館

◇姫路市平和資料館

◇岡山シティミュージアム岡山空襲展示室

7 設立予定現場視察

昌賢学園まえばしホール2階フリースペースへ移動し、視察した。

8 閉 会

以上

配布資料

更新日:2022年07月27日