前橋めぐり「萩原朔太郎賞」

前橋めぐり「萩原朔太郎賞」について掲載しています。

賞の概要

賞の名称

萩原朔太郎賞

趣旨

市制施行100周年を記念して、日本近代詩史に多大な貢献を残した、前橋市出身の詩人萩原朔太郎の業績を永く顕彰するため、現代詩の分野において最も優れた作品に贈り、あわせて日本文化発展に寄与するとともに、市民文化の向上に資することを目的とする。

組織等

主催

前橋市、萩原朔太郎賞の会

協賛

東和銀行

協力

新潮社

対象

  • 現代詩
  • 公募は行わない
  • 毎年8月1日から翌年7月31日までに発表された作品

選考委員(50音順)

  • 佐々木幹郎(詩人)
  • 建畠晢(詩人、美術評論家)
  • 松浦寿輝(詩人、小説家、東京大学名誉教授)
  • 三浦雅士(文芸評論家)
  • 吉増剛造(詩人)

選考

候補作品の中から選考委員会が受賞作品を選ぶ

表彰

正賞

萩原朔太郎像(ブロンズ像)、制作者は本県出身の彫刻家分部順治

副賞

100万円

受賞者

毎年1名

賞の発表

9月頃、文芸誌「新潮」11月号に選評を掲載

贈呈式

11月1日直前の土曜・日曜のうち1日、前橋文学館で開催

過去の受賞者

第1回 谷川 俊太郎(たにかわ しゅんたろう)

受賞作品『世間知ラズ』

1931年東京生まれ。1952年に詩集「二十億光年の孤独」刊行。 その後、現在まで数多くの詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書がある。 またほかに脚本、作詞、写真集、CD、カセットブック、ビデオなども手がける。
主な詩集に「六十二のソネット」(1953年)「旅」(1968年)「ことばあそびうた」(1973年)「定義」(1975年)「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」(1975年)「日々の地図」(1982年)(読売文学賞)「コカコーラ・レッスン」(1980年)「よしなしうた」(1985年)「女に」(1991年)等、著書に「世界へ!」(1959年)「散文」(1972年)「ことばを中心に」(1985年)、翻訳に「マザーグースのうた」(日本翻訳文化賞)「スヌーピー・ブックス」等がある。父は哲学者の谷川徹三氏。

第2回 清水 哲男(しみず てつお)

受賞作品『夕陽に赤い帆』

1938年東京生まれ。京大文学部哲学科卒。詩人。当初俳句を書いていたが、後に詩に転じ、在学中に詩集「喝采」(1963年)を発表。1970年には「水の上衣」を出す。日常生活の機微を軽妙、洒脱な語り口で表現する詩風を確立し、若い読者層の心をつかんだ。職歴は芸術生活社、河出書房などの編集者のあとフリーライター、FM東京のディスクジョッキーなど。「水甕座の水」(1974年)で第25回H氏賞を受賞し、読者層を広げた。その後「スピーチ・バルーン」(1975年)「掌のなかの映画」(1980年)があり、「東京」(1985年)では詩歌文学館賞を受賞。また、幅の広いエッセイストとしても知られ、評論集「唄が火につつまれる」(1977年)「詩的漂流」(1981年)「現代詩つれづれ草」(1993年)など著書多数。詩誌「ノッポとチビ」(京都)「唄」(東京)同人。

第3回 吉原 幸子(よしはら さちこ)

受賞作品『発光』

1932年東京生まれ。東大仏文科卒業。詩人。詩集「幼年連祷」(1964年)で第4回室生犀星賞を受賞し、「オンディーヌ」(1972年)「昼顔」(1973年)により第4回高見順賞受賞。詩集は他に「夏の墓」(1964年)「吉原幸子詩集」(1973年)「魚たち・犬たち・少女たち」(1975年)「夢あるひは」(1976年)「夜間飛行」(1978年)「花のもとにて 春」(1983年)など多数。
また、エッセイ集に「人形嫌い」(1976年)「花を食べる」(1977年)「ちどりあ詩」(1982年)童話集に「クモンの空」(1977年)など。
また、劇団四季で主役を演じたり、「昼顔」の舞踊台本や「血桜姫刺青」「高野聖」などの舞踊台本・演出を手がける。更に、ギタリスト・歌手とのジョイントコンサート「うた狂ひ」の公演など多彩な活動を行っている。2002年没。

第4回 辻 征夫(つじ ゆきお)

受賞作品『俳諧辻詩集』

1939年東京生まれ。明治大学文学部卒業。在学中に第一詩集「学校の思い出」(1962年)を出す。その後。「天使・蝶・白い雲などいくつかの瞑想」「かぜのひきかた」(1987年)で第25回藤村記念歴程賞を受賞し、「ヴェルレーヌの余白に」(1990年)では第21回高見順賞を、「河口眺望」(1993年)では第44回芸術選奨文部大臣賞・第9回詩歌文学館賞を受賞する。詩集はほかに「いまは吟遊詩人」(1970年)「隅田川まで」(1977年)「落日」(1979年)、「ボートを漕ぐおばさんの肖像」(1992年)、「絵本摩天楼物語」(1995年)、「辻征夫詩集成」(1996年)等、多数。
またエッセイ集に「ロビンソン、この詩はなに?」(1988年)、「かんたんな混沌」(1991年)があるほか、詩画集「かぜのひきかた」(1988年)などもある。2000年没。

第5回 渋沢 孝輔(しぶさわ たかすけ)

受賞作品『行き方知れず抄』

1930年長野県生まれ。東京外語大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。詩人・仏文学者・明治大学文学部(仏文専攻年)教授。同級生宮本徳蔵氏に誘われて同人誌「未成年」参加。1959年に第一詩集「場面」を刊行。その後「われアルカディアにもあり」(1974年)では歴程賞を受賞し、「廻廊」(1979年)で高見順賞、「啼鳥四季」(1991年)で読売文学賞などの受賞歴を持つ。詩集はほかに、「不意の微風」(1966年)、「漆あるいは水晶狂い」(1969年)、「星曼荼羅」(1997年)など、多数。
「蒲原有明論」(1980年)で亀井勝一郎賞を受賞するほか、「極の誘い」(1973年)、「詩のヴィジョン」(1984年)など、評論・詩論集も多い。1998年没。

第6回 財部 鳥子(たからべ とりこ)

受賞作品『烏有の人』

1933年新潟県生まれ。中国(旧満州)で育った。敗戦時に父と妹を失い、1946年日本に引き揚げる。立原道造の影響をうけて詩を書きはじめた。「歴程」同人。現代詩人会理事。日本文芸家協会会員。1965年第一詩集「わたしが子供だったころ」を刊行。1966年「いつも見る死」で円卓賞を受賞。以後詩集に「腐蝕と凍結」(1968年)「愛語」(1970年)「花鳥 45」(1975年)「西游記」(1984年・地球賞)「枯草菌の男」(1986年)「中庭幻灯片」(1992年・現代詩花椿賞)「アーメッドの雨期」(1994年)「財部鳥子詩集」(1997年)。NHKラジオ「四季のうた」レギュラーもつとめ、エッセイ集「詩の贈りもの12カ月」春夏編・秋冬編(1993年)を刊行。中国現代詩の翻訳にも力を注ぐ。訳書に「陳東東短詩集」(1996年)、共訳書に「億万のかがやく太陽」(1988年)「現代中国詩集・チャイナミスト」(1996年)など。

第7回 安藤 元雄(あんどう もとお)

受賞作品『めぐりの歌』

1934年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。詩人・仏文学者。1958年時事通信社入社。1965年明治大学政経学部助教授、1975年教授。 1958年ごろから詩作を始め、同人雑誌「PURETE」(のちに「位置」と改題)を刊行。第一詩集「秋の鎮魂」(1957年)を出版。その後、「水の中の歳月」(1980年)で高見順賞、「夜の音」(1988年)で現代詩花椿賞を受賞。詩集は他に、「船とその歌」(1972年)、「この街のほろびるとき」(1986年)、「カドミウム・グリーン」(1992年)がある。 エッセイ集に「フランス詩の散歩道」(1974年)、「椅子をめぐって」(1975年)、「イタリアの珊瑚」(1979年)ほか。翻訳に、ボードレール「悪の華」(1983年)、シュペルヴィエルの詩集(1970年)ほか多数。

第8回 江代 充(えしろ みつる)

受賞作品『梢にて』

1952年静岡県生まれ。広島大学教育学部ろう課程卒。杉並区立の小学校に赴任後、都立大塚ろう学校を経て、都立品川ろう学校講師。「ユルトラ・バンズ」同人。 学生時代に、萩原朔太郎の詩集や聖書にしたしみ、1978年、第一詩集「公孫樹」を上梓後、「白V字 セルの小径」(1995年)で歴程新鋭賞を受賞。詩集は他に、「昇天 貝殻敷」(1983年)、「みおのお舟」(1989年)、「黒球」(1997年)がある。

第9回 町田 康(まちだ こう)

受賞作品『土間の四十八滝』(どまのしじゅうはったき)

1962年大阪府生まれ。詩人、作家、パンク歌手。 高校時代よりバンド活動を開始。1979年に「INU」を結成。1981年「メシ喰うな」でレコードデビュー。 「くっすん大黒」(1997年)で第7回Bunkamuraドゥマゴ文学賞と野間文芸新人賞受賞。また、「きれぎれ」(2000年)で第123回芥川賞を受賞。 詩集に「供花(くうげ)」(1992年)、「壊色(えじき)」(1993年)、「町田康全歌詩集1977から1997」(2001年)がある。また、主な小説に「夫婦茶碗」(1998年)、「屈辱ポンチ」(1999年)、エッセイ集に「つるつるの壺」(1999年)「耳そぎ饅頭」(2000年)等がある。

第10回 入沢 康夫(いりさわ やすお)

受賞作品『遐い宴楽』(とほいうたげ)

1931年島根県生まれ。東京大学仏文科卒業、修士課程修了。筑摩書房、明治学院大、東京工大を経て明治大学教授となり、2002年3月同大学を定年退職。仏文学専門で「ネルヴァル全集」の翻訳など、多くの翻訳・論文がある。大学時代から詩作をはじめ、1955年「倖せそれとも不倖せ」を刊行。以後、詩集としては、「古い土地」(1961年刊年)、「季節についての試論」(1965年刊 H氏賞受賞年)、「わが出雲・わが鎮魂」(1968年刊 読売文学賞受賞年)、「死者たちの群がる風景」(1982年刊 高見順文学賞年)、「水辺逆旅歌」(1988年刊 藤村記念歴程賞受賞年)、「漂ふ舟」(1994年刊 現代詩花椿賞受賞年)などがあり、1998年には「入澤康夫<詩>集成」(1996年刊)及び「唄 遠い冬の」(1997年刊年)で毎日芸術賞を受賞する。そして、今回の受賞詩集は、20冊目の詩集にあたる。他に著書としては評論「詩の構造についての覚え書」(1968年刊年)、「ネルヴァル覚書」(1984年刊年)、「宮澤賢治 プリオシン海岸からの報告」(1991年刊年)などがある。
1971年以降、「校本宮澤賢治全集」、「新校本宮澤賢治全集」等の編集に携わり、宮澤賢治の詩作の研究でも知られ、1999年には賢治研究への貢献により宮澤賢治賞を受賞。

第11回 四元 康祐(よつもと やすひろ)

受賞作品『噤みの午後』

1959年大阪府生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1986年より製薬会社の駐在員として米国に在住。1988年から1990年ペンシルベニア大学大学院に留学、経営学修士号(MBA年)。1991年、詩集「笑うバグ」(花神社)を出版。ビジネスの世界をテーマとした詩で話題を集める。1994年、米国よりドイツへ転居。2002年、詩集「世界中年会議」(思潮社)。過去10年に書き溜めたもので、アメリカ、子育て、中年シリーズの三部からなる構成。第5回駿河梅花文学大賞および第3回山本健吉文学賞を受賞。2003年、詩集「噤みの午後」出版(思潮社)。2004年、詩集「ゴールデンアワー」出版(新潮社)。現在、ミュンヘン郊外に在住。

第12回 平田 俊子(ひらた としこ)

受賞作品『詩七日』(しなのか)

1955年島根県生まれ。立命館大卒業。詩集に「ラッキョウの恩返し」「夜ごとふとる女」「(お)もろい夫婦」「ターミナル」「手紙、のち雨」「現代詩文庫・平田俊子詩集」(いずれも思潮社刊)「アトランティスは水くさい!」(書肆山田)がある。数年前から小説や戯曲も手掛け、小説集には「ピアノ・サンド」(講談社)、戯曲集には「開運ラジオ」(毎日新聞社)がある。他にエッセー集「きのうの雫」(平凡社)など。第1回現代詩新人賞、第39回晩翠賞受賞。2004年8月、高村光太郎の「智恵子抄」をもとにした戯曲「れもん」を脱稿し、東京と京都で上演。出演は石田えりさん、柄本明さん、演出は佐藤信さん。

第13回 荒川 洋治(あらかわ ようじ)

受賞作品『心理』

1949年、福井県生まれ。早稲田大卒業。高校時代に詩誌「とらむぺっと」創刊。大学在学中に第一詩集「娼婦論」を出す。詩書出版の紫陽社を主宰し、新人を発掘。昭和五十五年、文筆活動に入る。読売新聞、産経新聞に文芸時評を執筆、朝日新聞書評委員も務める。また、ラジオのコメンテーターを務めるなど幅広く活躍中。平成十七年、「新潮」創刊百周年記念「名短篇」を編集した。主な著作は詩集「現代詩文庫・荒川洋治詩集」(思潮社)「あたらしいぞわたしは」(気争社)「坑夫トッチルは電気をつけた」(彼方社)「荒川洋治全詩集」(思潮社)、評論集「夜のある町で」(みすず書房)「世に出ないことば」(同)など。「水駅」で第二十六回H氏賞、「渡世」で第二十八回高見順賞、「空中の茱萸」で第五十一回読売文学賞、「忘れられる過去」で第二十回講談社エッセイ賞を受けている。

第14回 松本 圭二(まつもと けいじ)

受賞作品『アストロノート』

1965年三重県四日市市生まれ。福岡市在住。 三重海星高校卒業、早稲田大第一文学部中退。詩人。フィルム・アーキヴィスト(フィルム保存の専門家)。福岡市在住。2002年「重力01」(「重力」編集会議)、2003年「重力02」(「重力」編集会議)に編集委員として参加。2003年「ポエムの虎」(海鳥社)を共同編集。また1993年「男子高生のための文章図鑑」(筑摩書房)に「ロング・リリイフ」一篇を収録。
主な著作は詩集1992年「ロング・リリイフ」(七月堂)、2000年「詩集工都」(七月堂)、2000年「詩篇アマータイム」(思潮社)、2006年「アストロノート」(「重力」編集会議)

第15回 伊藤 比呂美(いとう ひろみ)

受賞作品『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』

東京都板橋区生まれ。のち縁があって熊本に移住。さらにカリフォルニア州に移住。青山学院大学文学部卒。
1970年代に詩を発表しはじめ、1980年代の「女性詩」ブームをリードする。1985年には「良いおっぱい悪いおっぱい」がベストセラーに。日本の母親たちの教祖的存在となる。1997年にアメリカ移住。
1998年、 小説「ラニーニャ」で第21回野間文芸新人賞。2006年、現代詩に復帰して「河原荒草」で第36回高見順賞受賞。

第16回 鈴木 志郎康(すずき しろうやす)

受賞作品『声の生地』

1935年(昭和10年)5月19日、東京・亀戸(江東区)に生まれる。本名、鈴木康之。1944年8月、小学校3年で、集団疎開。1945年3月10日、東京で戦災を体験。福島県の疎開先で終戦。翌年2月焼け跡の亀戸に戻る。
1952年頃から詩を書き始める。1961年早稲田大学文学部フランス文学専修卒。1961年から1977年までNHKに16ミリ映画カメラマンとして勤務。その内、 62年から 67年まで広島転勤。1968年詩集「罐製同棲又は陥穽への逃走」によりH氏賞受賞。1966年頃から個人映画を作り始める。1971年から1976年まで東京造形大学非常勤講師。1976年からイメージフォーラム付属映像研究所講師。1982年から1994年まで早稲田大学文学部文芸科非常勤講師。1990年から多摩美術大学美術学部二部芸術学科、1998年から2006年まで造形表現学部映像演劇学科教授。2002年詩集「胡桃ポインタ」により第32回高見順賞受賞。2006年造形表現学部映像演劇学科客員教授。2007年退職。

第17回 松浦 寿輝(まつうら ひさき)

受賞作品『吃水都市』

1954年東京生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。パリ第三大学で第三課程文学博士号取得。東京大学で博士号(学術)取得。東京大学名誉教授。詩人。小説家。
著書は以下の通り。
詩集として、「ウサギのダンス」(1982年)、「冬の本」(1987年、高見順賞)、「女中」(1991年)、「鳥の計画」(1993年)、「吃水都市」(2008年)など。
小説として、「もののたはむれ」(1996年)、「幽(かすか)」(1999年)、「花腐し」(2000年、芥川賞)、「巴」(2001年)、「あやめ 鰈 ひかがみ」(2004年、木山捷平賞)、「半島」(2004年、読売文学賞)、「そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所」(2004年)など。
評論・研究として、「口唇論 記号と官能のトポス」(1985年)、「平面論 1880年代西欧」(1994年、渋沢クローデル賞受賞)、「折口信夫論」(1995年、三島由紀夫賞受賞)、「エッフェル塔試論」(1995年、吉田秀和賞受賞)、「ゴダール」(1997年)、「知の庭園―19世紀パリの空間装置」(1998年、芸術選奨文部大臣賞)、「表象と倒錯 エティエンヌ・ジュール・マレー」(2001年)、「官能の哲学」(2001年)など。

第18回 小池 昌代(こいけ まさよ)

受賞作品『コルカタ』

1959年東京生まれ。詩人・小説家。
第一詩集「水の町から歩きだして」以後、現在まで選詩集を含む、11冊の詩集を刊行。主な詩集に、「ババ、バサラ、サラバ」(小野十三郎賞)、「地上を渡る声」、「夜明け前十分」、「対詩 詩と生活」(共著)、「もっとも官能的な部屋」(高見順賞)、「永遠に来ないバス」(現代詩花椿賞)など。最新詩集「コルカタ」が、第18回萩原朔太郎賞を受賞した。
5,6年前より、詩のほかに小説を旺盛に執筆。短編小説集に、「怪訝山」、「ことば汁」、「タタド」(表題作で川端康成文学賞)、「裁縫師」、「感光生活」、「ルーガ」などがある。
近年は長編小説に取り組み、2009年、初の長編「転生回遊女」を刊行後、2010年6月には、萩原朔太郎を愛する中学生女子を中心に、詩と人間の生きる場所を模索した長編「わたしたちはまだ、その場所を知らない」を刊行した。
詩や小説のほか、エッセイや書評、絵本翻訳や、詩のアンソロジーの編纂などにも取り組む。
主なエッセイ集に「屋上への誘惑」(講談社エッセイ賞)、「黒雲の下で卵をあたためる」、本をめぐる散文集に、「井戸の底に落ちた星」。このほか、「絵本 かがやけ・詩」(全5巻)を編纂し解説を執筆。昨年(2009年)刊行した、「通勤電車でよむ詩集」(2010年度新書大賞第9位)は、詩にごく短いコメントを付した新書版の詩のアンソロジー。好評を得て、版を重ねている。

第19回 福間 健二(ふくま けんじ)

受賞作品『青い家』

1949年、新潟県生まれ。東京都立大学(現、首都大学東京)卒。詩人、映画監督、文化研究者。首都大学東京名誉教授。 高校時代から文学と映画に熱中。大学在学中にイギリスと日本の現代詩に出会う。詩のほかに翻訳、映画批評など、幅広く活躍。作風は、日常の中に繊細に分け入る知的語法が、生の激しさと人々との対話への希求を表現している。詩集に現代詩文庫版『福間健二詩集』(1999年)、『侵入し、通過してゆく』(2005年)など。詩論集『詩は生きている』(2005年)、映画監督作品『わたしたちの夏』(2011年)など。

第20回 佐々木 幹郎(ささき みきろう)

受賞作品『明日』

1947年、奈良県生まれ。同志社大学中退。詩人。高校時代から詩を書き始め、1970年に第一詩集『死者の鞭』で詩壇にデビュー、詩集『蜂蜜採り』で高見順賞を受賞している。詩集に『砂から』、『悲歌が生まれるまで』があるほか、評論や随筆でも高い評価を得ている。評論『近代日本詩人選16 中原中也』でサントリー学芸賞、随筆『アジア海道紀行』で読売文学賞を受賞。

第21回 建畠 晢(たてはた あきら)

受賞作品『死語のレッスン』

1947年、京都府生まれ。詩人。美術評論家。早大文学部卒。多摩美術大学長。埼玉県立近代美術館館長。
1991年『余白のランナー』で第2回歴程新鋭賞、2005年『零度の犬』で第35回高見順賞受賞。

第22回 三角 みづ紀(みすみ みづき)

受賞作品『隣人のいない部屋』

1981年、鹿児島県生まれ。東京造形大学卒。詩人。
2005年『オウバアキル』で第10回中原中也賞受賞。2007年『カナシヤル』で第18回歴程新鋭賞、2006年度南日本文学賞受賞。
2013年、新藤凉子・河津聖恵との連詩集『連詩 悪母島の魔術師』で第51回藤村記念歴程賞受賞。

第23回 川田 絢音(かわた あやね)

受賞作品『雁の世』

1940年、中国・斉斉哈爾(チチハル)生まれ。武蔵野音大中退。詩人。
詩集に、『空の時間』、『朝のカフェ』、『雲南』、『それは 消える字』等。

第24回 日和 聡子(ひわ さとこ)

受賞作品『砂文』

1974年、島根県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒。詩人・作家。
2002年『びるま』で第7回中原中也賞、2012年『螺法四千年記』で第34回野間文芸新人賞。
他の詩集に『唐子木』『風土記』『虚仮の一念』。小説に『おのごろじま』『校舎の静脈』等。

第25回 岡本 啓(おかもと けい)

受賞作品『絶景ノート』

1983年、宮城県生。詩人。東京大学卒。
2014年現代詩手帖賞受賞、2015年『グラフィティ』で中原中也賞とH氏賞を受賞。

第26回 中本 道代(なかもと みちよ)

受賞作品『接吻』

1949年、広島県生。東京都杉並区在住。詩人。京都大学卒。
1985年、第2回現代詩ラ・メール新人賞受賞。2009年、『花と死王』で第18回丸山豊記念現代詩賞受賞。主な詩集に『春の空き家』、『春分 vernal equinox』、『黄道と蛹』など。

第27回 和合 亮一(わごう りょういち)

受賞作品『QQQ』

1968年、福島県生。国語教師、詩人。福島大学教育学部卒。福島県福島市在住。
1999年、第一詩集『AFTER』で第4回中原中也賞を受賞。2006年、第四詩集『地球頭脳詩篇』で第47回晩翠賞を受賞。2017年、第一回ニュンク・レビュー・ポエトリー賞を受賞。その他、主な詩集に『RAINBOW』、『詩ノ黙礼』、『詩の礫』、『詩の邂逅』、『廃炉詩篇』、『昨日ヨリモ優シクナリタイ』など。

第28回 マーサ・ナカムラ(まーさ なかむら)

受賞作品『雨をよぶ灯台』

1990年、埼玉県生まれ。詩人・会社員。早稲田大学文化構想学部卒。
2016年、第54回現代詩手帖賞、2018年に『狸の匣』で第23回中原中也賞を受賞。

第29回 岸田 将幸(きしだ まさゆき)

受賞作品『風の領分』

1979年、愛媛県生まれ。詩人。現在、農家。
2010年、詩集『〈孤絶-角〉』で第40回高見順賞受賞。2015年、詩集『亀裂のオントロギー』(思潮社、2014年)で第6回鮎川信夫賞受賞。その他の詩集に『生まれないために』、『死期盲』、『丘の陰に取り残された馬の群れ』、『現代詩文庫202 岸田将幸詩集』。

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更新日:2022年03月30日