令和6年度第1回前橋市自然環境保全推進委員会
審議会名
自然環境保全推進委員会
日時
令和6年12月20日(金曜日)
午前10時から正午
場所
議会庁舎3階303会議室
出席者
(1)自然環境保全推進委員
大森委員長、金杉副委員長、久下委員、小西委員、紺野委員、
松村委員、森口委員
(2)事務局
真庭参事、伊藤副参事、羽鳥主事、阿部主事
(3)自然環境調査(昆虫類)業務受託会社
株式会社地域環境計画 岡島氏、寺下氏
欠席者
姉崎委員
議題
1.委員長・副委員長の選出について
2.前橋市自然環境調査(昆虫類)について
3.市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ、ツバメ、セミ、ヒガンバナ)」について
4.その他
会議の内容
1 開会
伊藤副参事
2 あいさつ
真庭参事
3 議事
議題に入る前に、自己紹介及び委員会の成立要件の確認を行い、委員8名中7名の出席により本日の会議が成立していることが報告された。
(1)委員長・副委員長の選出について
委員長には大森委員、副委員長には金杉委員が選任された。
(2)前橋市自然環境調査(昆虫類)について
議長(大森委員長)
それでは、議題(1)前橋市自然環境調査(昆虫類)について事務局から説明をお願いしたい。
事務局(伊藤副参事)、調査会社(岡島氏)
資料1「前橋市自然環境調査(昆虫類)中間報告」に基づき、業務概要、調査結果等の説明を行った。
議長(大森委員長)
それでは、各委員から質問や意見などがあれば発言をお願いしたい。
金杉委員
No.9の利根川河川敷でマミジロノミバッタは確認できなかったか。私自身は利根川河川敷で確認した。
調査会社(岡島氏)
発見していない。
金杉委員
イナゴ科やバッタ科等どう分類しているか。学名はどうか。
調査会社(岡島氏)
河川水辺の国勢調査のための生物リストに従っている。
例外としてガの一部や、取扱外については昔の九大目録や日本昆虫目録等、出来るだけ新しい様々なものに従っている。
金杉委員
九大目録は30~40年前のものであるため、可能であれば日本昆虫目録に従った方が良い。
金杉委員
ヒメイトアメンボはいなかったか。
調査会社(岡島氏)
水田はあったが私有地には入らないようにしており、湿地性のものを拾うのが難しく、漏れがあったと思われる。
金杉委員
どの調査会社もヒトスジシマカやイエバエ等、普通種のイエカの仲間やヤブカの仲間を入れてこないことが多々見られる。都市部にもいる衛生害虫も拾い上げた方が良い。
調査会社(岡島氏)
承知した。
金杉委員
情報として、前橋市内にもキマダラカメムシが入り込んでいる。県内ではアカギカメムシも出てきている。
金杉委員
トンボとチョウの比較について、どこで減っているのかが知りたい。住宅地で見られる種類が変化(減少)している。自然環境が豊かな山地というより、都市部でどう変化してしまっているか、一般市民に身近な環境の変化に気づいてもらうことが重要。自然環境の保全に繋がる。
調査会社(岡島氏)
承知した。環境要素ではなく、割合及び気温が変化していると思われる。
また、シカの食害について、このような調査で証明することが難しいが何かお考えはあるか。
金杉委員
どの植物を食害していて、どの昆虫が利用しているかがはっきりしないと一概には言えない。昆虫だけを見てシカの食害を調べることは難しい。
調査会社(岡島氏)
シカがムラサキケマンをよく食べるというものと食べないという論文がある。
また、今回ウスバシロチョウが確認できず、時期的な要因かもしれないが減っているのかと思う。
金杉委員
たしかにウスバシロチョウを見かける頻度は減ったように感じる。
議長(大森委員長)
まわりのものを食べ尽くした後、初期では忌避性だったものを集中的に食べ、嗜好性に変わることもある。ムラサキケマンの同族で乗り換えれば減少率は限定的になるかと考える。
松村委員
ムラサキケマンしか食べているのを見たことがない。地域の植生により、シカが何を食べるかは違いがある。
議長(大森委員長)
2012レッドリスト外や類絶滅危惧2類あたりから高いランクである絶滅危惧1Aに推移したものは、ほとんどがシカの嗜好性の変化により大幅に減少したものである。
松村委員
ミドリシジミがどうして見られなかったのか。
調査会社(岡島氏)
いないことは無いと思うが、過去の基礎調査・追跡調査でも確認されていない。初夏季調査には時期が早く、夏季調査だと遅い。ミドリシジミを重点的に確認するためには、時間帯も調整し調査をする必要がある。
松村委員
この調査の目的を考慮した調査方法になっているか。市からどのような調査を依頼したかによるが、例えばチョウであればトランセクト調査等、別な調査方法を入れ込まないと本当の目的は果たせない。
事務局(伊藤副参事)
網羅的な傾向になっている事は否めない。環境基本計画は令和9年度までとなっており、整理期間として今後考慮していきたい。
松村委員
特に調査が必要な山頂部分に対し提案ができるくらいの調査方法と結果があることを期待している。
議長(大森委員長)
地域の生態系を代表する種について、今後は調査の仕様の中に重点的に提言をお願いしたい。
紺野委員
水辺がある地点では水生昆虫がいると思うが調査したか。
調査会社(岡島氏)
許可を取っていないため、川は少し、水田は避けた。カタビロアメンボはライトトラップに入っていた。
松村委員
赤城白川の水質汚染が問題になっている。昆虫が変わってきてしまっていると感じるがいかがか。
紺野委員
赤城大沼の水質が変わってきている。上流域の環境の変化が大きい。
紺野委員
チャバネヒゲナガカワトビケラはいなかったか。
調査会社(岡島氏)
出なかった。ボックスライトについては全部拾い、水生昆虫を専門に同定している人にお願いしたので漏れはないと思われる。
紺野委員
○○科の一種という科の学名にsp.を付けている。本来、学名は属名と種名の組み合わせであるため、学術的にはよろしくない印象がある。sp.を付けないか、科があってsp.が良い。
調査会社(岡島氏)
リストのマスターが社内共通であるため一存では変えられないが、改善の余地はある。
紺野委員
アブラムシが一種だけなのは何故か。
調査会社(岡島氏)
アブラムシは同定が難しく、あまり入れていない。
紺野委員
重要種について、以前水生生物の調査を行った際に富士見地区にてエグリトビケラを確認した。水生生物の場合、ヤゴ等の幼虫が混ざっている。重要種の経年比較に関しては調査種目を越えて表をまとめた方が良い。
調査会社(岡島氏)
過年度の陸上昆虫類のデータの中には、水生生物での調査結果は含まれていないため、エグリトビケラは入っていない。全体の種類リストに入れ込むことは可能。
紺野委員
過年度と比較し、踏査ルートが変わっているのは市からの指示か。
調査会社(岡島氏)
大きく変わったのはNo.23で、道の入口が通行止めになっており、やむを得ずルートを変更した。その他はNo.14で、一部私有地と思われる20~30mを避けた。
紺野委員
補足でまわっている所はどうしているか。
調査会社(岡島氏)
大きい樹林や良い草地・湿地は各年の調査員の判断でまわっている。
紺野委員
高温だったという点について根拠に乏しい。気象庁のデータを持ってくるなどして欲しい。
議長(大森委員長)
エグリトビケラのように水生生物調査では確認され、昆虫調査では未確認といった場合もあるため報告書にも反映するように。考察しやすいよう、少なくとも重要種・外来種については水生昆虫のデータも提供をお願いしたい。
また、ルート変更理由も記載するように。
松村委員
調査員や調査方法によって結果が変わる。調査項目を絞り、この分類群に関しては完全にやっていますという方が重要である。
議長(大森委員長)
単純な比較は難しい。意味のある比較ができるようお願いしたい。
紺野委員
平成9年度の魚類水生生物調査でカワラバッタを20年ぶりに発見し、報告書に載せた。多項目であっても重要種あるいは外来種は取り上げた方が良い。
議長(大森委員長)
気候条件により虫の発生時期や時間帯の変化はあったか。
調査会社(岡島氏)
多々ある。
松村委員
今年の虫が少ないのは、去年の夏の影響であると思っている。それを考えるときに数年の傾向の中で議論した方が良い。
議長(大森委員長)
気候変化により花の時期がずれたことで、訪花昆虫の活動時期にも二次的な影響があるかもしれない。単純な虫のスケジュールの他に、花の傾向も考慮し考察するように。
金杉委員
仕様を固定し、トラップ法では手間でも個体数を出すと変化が見やすい。
調査会社(岡島氏)
トラップ法に関しては、個体数の用意はできている。データを残しておき、次回から比較可能。ベイトトラップはエサで違いが出るが、ボックスライトなら仕様があまり変わらない。
金杉委員
長年続けてきているので、経年変化を見ていけるように。
(2)市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ・ツバメ・セミ・ヒガンバナ)」について
議長(大森委員長)
議事(2)市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ・ツバメ・セミ・ヒガンバナ)」について事務局より説明をお願いしたい。
事務局(伊藤副参事)
資料2-1から資料2-4「市民自然環境調査「みぢかな季節かんじ隊(サクラ・ツバメ・セミ・ヒガンバナ)」について説明を行った。
議長(大森委員長)
各委員から意見や感想などがあれば、サクラから順に発言をお願いしたい。
議長(大森委員長)
開花が遅れたのは、2~3月まで気温が低い状態が続いたことが影響だと考える。開花から満開までの期間が比較的短いのが特徴。4月に入ってからは気温が高い傾向が続いた。ソメイヨシノで考えた場合は開花が遅いが、5~6月開花の山の植物は極端に早いものが多く、春先の暖冬傾向は変わっていない。
金杉委員
クビアカツヤカミキリが増えており、サクラを切ってしまっている。継続して調査されている木がなくなってきてしまうのが心配である。
事務局(伊藤副参事)
サイクリングロードのサクラは公園管理事務所管理だが、潔くどんどん切ってしまっており、寂しい限りだ。クビアカツヤカミキリの被害は増える一方で、モモ等の農作物への影響も悩ましい。
調査会社(岡島氏)
「サクラが見られなくなってしまいますよ」と、ある自治体が行ったクビアカツヤカミキリの啓発が効果的だったと聞いた。
議長(大森委員長)
広報や募集の仕方が重要。ターゲットを絞っていった方が良い。
議長(大森委員長)
セミの調査について、毎年調査期間は8月までとしているのか。9月末~10月頃にも鳴いている。猛暑の影響を考慮し、調査期間の終了日を延長し、鳴いている活動時間も入れた方が良い。
紺野委員
表紙の写真のエゾゼミが報告書に反映されていないのは何故か。
事務局(阿部主事)
今年は写真付きの報告がなく、表紙の写真は3年前の報告から引用しているため、報告書内には反映されていない。
金杉委員
昔、環境省で抜け殻の調査した際に大手町のあたりでエゾゼミの記録は出ている。珍しいがたまにいる。
金杉委員
隊員数が少ないことが一番の問題である。広報の他に調査隊員の募集をかけているか。サクラやセミ等、個別の募集なのか。
事務局(伊藤副参事)
広報のみ。隊員も暑さで減少している。個別で募集をしている。
金杉委員
個別でなく、全てまとめての調査隊員として、その中で気づいたものを知らせてもらうと良い。なるべく多くの情報が集まるよう、スマートフォンで簡単にお知らせできるようなシステムがあると良い。
議長(大森委員長)
スマートフォンを使うとGPSで正確な位置情報が出せる。調査地域に偏りがあるが、気軽に出せればもう少し調査報告が集まる可能性もある。
松村委員
報告書はどこへどのように報告しているか。もったいないので、もっと広報していい。
事務局(伊藤副参事)
基本的には本委員会と調査隊員及びホームページにて公開している。
小西委員
ツバメの調査について、調査隊員が少なくなっており寂しい。気象庁の生物観測を見てみるとサクラの開花は明らかに早まっているが、ツバメは多少早まっているかもしれないくらいの印象。今後心配なのは温暖化が進むと越冬ツバメが増えるかもしれないことだ。
金杉委員
昆虫が減り、エサ不足でツバメは減っていないか。
小西委員
エサよりも営巣地が減っている大きな要因だ。凹凸のない家が増えた。
議長(大森委員長)
ヒガンバナの調査について、調査を始めた令和3年からの記録があると比較ができるため良い。気象庁での生物観察は標本個体を使っていたため、みぢかな季節かんじ隊とは地点と生環境が異なり一概には比較できない。
松村委員
外来種と分けているか。
事務局(伊藤副参事)
特に分けていない。
議長(大森委員長)
クリーム色のシロバナマンジュシャゲはヒガンバナとショウキズイセン雑種と言われている。このシロバナマンジュシャゲの情報だけの際には種が違うため除いた方が良い。
金杉委員
涼しい方が咲くのが早いのか。
議長(大森委員長)
基本的には日かげや涼しい方が若干早い。気温そのものより、ガクンと気温が下がる方が影響する。開花が幾分早かった要因は猛暑から秋口にかけての不安定な気温の変動かもしれない。その点で、去年と比較してどうだったかというデータがあれば興味深い。
金杉委員
けやきウォ-クや前橋まつりの中央通り商店街等に調査結果を大きめのポスターで展示し、参加を呼びかけたらどうか。多くの市民の目に留まることで調査隊員が増えるのではないか。公民館ならお年寄りがいる。
久下委員
児童文化センターも、しっかりしたご両親やお子さんが来るのでどうか。
議長(大森委員長)
市の広報を見るのはある程度の年齢の方や世帯主である。なるべく若い人を取り込むことが課題であり、大学や専門学校、市立図書館や県立図書館もある。
(4)その他
議長(大森委員長)
議事(4)その他について議題等はあるか。各委員や事務局から何かあれば発言いただきたい。
議長(大森委員長)
クビアカツヤカミキリについて、前橋市や県内の状況はどうか。
金杉委員
前橋市は、ほぼ全域に広がっている。高崎から西にも広がり、今後も拡大していく見込み。ソメイヨシノが被害に遭いやすいが、ヤマザクラはあまり影響がないようなので樹種変換も一つの方法である。
松村委員
今のところサクラだけか。
金杉委員
ハナモモやウメもある。一番心配なのはウメ等農家の被害である。
議長(大森委員長)
一番戦々恐々としているのは、ウメ農家や特に商品対価の高いモモ農家である。場合によっては県と市の連携で調査が必要。
森口委員
クビアカツヤカミキリの被害に遭った際、自らの余命が少ないと察して、開花等に何か影響はあるか。
金杉委員
クビアカツヤカミキリでないが、自宅のグレープフルーツの木がゴマダラカミキリの被害に遭った。今まで花をつけてこなかったにも関わらず、一気に花を咲かせて子孫を残そうとした。
久下委員
クビアカツヤカミキリは最前線で防除していた。農家は早期発見し熱心に対策されるが、サクラに関心が集まるのは春先のみで拡散してしまいやすい。更に、クビアカツヤカミキリはフラスだけなので分かりづらい。買取をしている市町村もあったが覚悟が必要である。
議長(大森委員長)
カシノナガキクイムシによるナラ枯れ被害がみなかみ町で飛躍的に広がっている。沼田市迦葉山、高崎市榛名山や渋川市でも被害が出ている。前橋市としても赤城山のある富士見エリア等、準備を始めないとかなり厄介なことになる。体長が小さく、クビアカツヤカミキリのようには捕まえられない。
議長(大森委員長)
以上をもって議事を終了する。
4 閉会
伊藤副参事
配布資料
【資料2-1】みぢかな季節かんじ隊結果報告書(サクラ) (PDFファイル: 2.0MB)
【資料2-2】みぢかな季節かんじ隊結果報告書(セミ) (PDFファイル: 663.2KB)
【資料2-3】みぢかな季節かんじ隊結果報告書(ツバメ) (PDFファイル: 1.4MB)
【資料2-4】みぢかな季節かんじ隊結果報告書(ヒガンバナ) (PDFファイル: 671.7KB)
※ファイル容量が大きいため【資料1】令和6年度前橋市自然環境調査(昆虫類)中間報告は掲載していません。資料の確認については環境政策課までご連絡ください。
会議録
この記事に関する
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環境部 環境政策課
電話:027-898-6292 ファクス:027-223-8524
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更新日:2025年02月06日