令和5年度自殺対策推進協議会

審議会名

自殺対策推進協議会

会議名

令和5年度自殺対策推進協議会

日時

令和5年8月30日(水曜日)午後3時~5時

場所

第2コミュニティセンター 3階ホール

出席者

委員:福田会長、大谷副会長、小保方委員、都所委員、狩野委員、櫻井委員、仲道委員、津田委員、山田委員、大友委員、小林委員、中山委員、滝沢委員、新島委員、高木委員、田島委員

 

前橋市:宮坂健康部長、大西保健所長、三田保健予防課長ほか

欠席者

直田委員、秋元委員、大小原委員

議題

(1)本市における自殺者数の状況 資料1

(2)自殺総合対策大綱のポイント 資料2

(3)令和4年度主な関連事業の実績 資料3

(4)令和5年度自殺対策の取り組みについて 資料4

会議の内容

1 開会 三田保健予防課長

2 自己紹介

3 会長及び副会長の選出 三田保健予防課長

・設置要綱に基づいて委員互選により選出する旨説明。 ご意見無し。

・事務局案「会長:福田正人委員(群馬大学大学院医学系研究科)。副会長:大谷雅昭委員(群馬弁護士会)」拍手多数により決定。

 

福田会長(就任あいさつ)

ご指名いただきました福田でございます。よろしくお願いいたします。今日は前橋市の会議ですが、前橋市が運営する会議として、これだけ重い会議は少ないと思います。前橋市民の命がかかっております。後から数字のご紹介もありますが、前橋市では5日に一人、市民が自殺で亡くなっています。1ヵ月間では6人の方が亡くなられているというような数字を背負っておりますので、是非実感を持っていただければと思います。2週間前に県の自殺対策の協議会がございました。その中で私も担当しておりますので、前橋市の対策についてご紹介をさせていただきましたところ、とても関心を持っていただけました。前橋市は先進的な取り組みを行っていますので、是非とも活発なご議論をお願いいたします。

自殺対策は市に任せておけば全てうまくいくということではありませんので、ご出席されている委員の皆様にそれぞれのお立場でできることを行っていただくことが、自殺を減らすために大事なことですので、行政の報告を聞く会議ではなく、それぞれの委員さんができることを考えていただき、ご提案いただくような会議にしたいと思っております。是非とも皆さんのご協力をお願いいたします。

 

大谷副会長(就任あいさつ)

弁護士の大谷でございます。副会長として会長を補佐して、進行をお手伝いさせていただきます。本協議会の前身の自殺対策ネットワークの時から、弁護士会からは私が参加しております。ネットワークを始めた初期は、市や県の対策等で新しい取り組みが次から次に出て来て、それが今でも続いていますが、確かに今日配られた資料を見ると、全体的に自殺は減少傾向できていますが、このように色々なお立場の方々が集まって、長いこと話を続けてきたことを考えると、もう少し自殺が減っても良いのではないかと思うのが率直なところです。実際弁護士の仕事をしていて、自殺関連の事案は多く存在します。無力感というわけではありませんが、一定の効果は出てきているとは思いますが、あと何をすれば自殺者をゼロに近づけられるのかなと思います。ネットワークの最初の頃、自殺の減少の話の時に、私は目標をゼロにしてみてはどうかと言った記憶がありますが、表を見ますと、令和3年から4年にかけて増えております。この会議において新しいお知恵が出て、自殺をされる方を減らしたいと考えております。よろしくお願いします。

 

4 議事

三田課長 福田会長に議事進行を依頼。

福田会長

自殺のことについて、今交通事故で亡くなる方に比べると、自殺で亡くなる方は全国で約8倍です。時々ご紹介させていただいていますが、交通事故で亡くなる方で、自動車1台当たりの死亡者は、一番多かった時に比べると、減らすことに50年間かかりましたが、現在は当初に比べて30分の1です。もちろんそのためには、警察を始め多くの人手と、色々な予算がつぎ込まれてできたわけですが、当時にしてみれば30分の1に減らすのは全く非現実的で相手にされないような話だったかと思いますが、対策を積み重ねて行けば、だんだん減っていくということでございます。もちろん交通事故と自殺は違います。しかし、同様に自殺防止においても、人手をつぎ込み、予算を費やすようなことが大事であると考えます。前橋では5日に1人、群馬県ですと1日1人の方が自殺で亡くなります。先ほど校長先生のあいさつの中で、2学期が始まって非常に心配されたというお話しがありましたが、何年か前には9月1日には小中学生の自殺が多いということが、新聞やテレビで大々的に報道されました。結果として自殺は増えました。なぜかと言いますと、小中学生が「学校に行きたくないなぁ」「辛いなぁ」と思って、悩んでいるお子さんがその報道を見ると、「あっ、自殺をすればいい」と思い、かえって増えてしまいました。メディアの方は決して悪意があったわけではないのですが、そのように逆効果になってしまいました。そこで、メディアの方もきちんと対策をとってくださっていて、今年の記事も見ていただくと分かりますが、そのような報道の仕方はしておりません。「辛かったら学校に行かなくてもいいんだよ」、「辛かったらこのような相談窓口があるんだよ」などの報道になっています。そのようにして、善意で行っても、逆効果のこともありますので、是非色々なお知恵を拝見させていただきたいと思います。

前橋市の自殺関連のクリアファイルを初めて拝見しましたが、素晴らしいと思いました。「話してみたら少し楽になった」と書いてあります。「話してみたら少し楽になりますよ」ではないのです。上から目線ではなくて、当事者の目線ですね。「少し」と書いてあります。話すだけでは全ては解決しないかもしれないと思う方がいらっしゃるかもしれません。配慮があります。その下に、「人に悩みを打ち明けるのには勇気がいります」と書いてあります。「そうか、他の人もそうなのか」と「悩みってなかなか打ち明けられないんだ」というメッセージが届くように、きちんと考えられた文章だと思いまして、自殺を思いつめた方の心理に配慮したような、素晴らしいクリアファイルの文章であると感動しましたので、ご紹介いたしました。

・「本市における自殺者数の状況」について事務局に説明依頼。

 

(1)   本市における自殺者数の状況

住谷補佐

資料1「本市における自殺者数の状況」について説明いたします。

表紙をめくっていただきまして最初の表は、平成25年から令和4年まで過去10年間の自殺者数の推移です。上の段が前橋市、下の段が全国で、それぞれについて、各年の人数及び前年との比較人数、また、自殺死亡率です。

前橋市の推移は令和元年までは減少傾向にありましたが、コロナ禍が始まった令和2年は増加に転じ、令和3年は一旦減少しましたが、昨年の令和4年は前年比17人増と急増しました。全国的にも令和元年に2万人を下回った以降増加に転じ、令和4年まで2万人以上で推移しているところです。

下の表は、男女の自殺死亡率を全国・群馬県・前橋市で比較した折れ線グラフによる推移です。赤色の前橋市の男性は令和3年に一旦大きく低下しましたが、令和4年は全国・県を上回る率に戻りました。ピンク色の前橋市の女性については、平成30年以降上昇傾向にあり、特に令和3,4年は全国・県を大きく上回る状況が続いています。

ページをめくっていただきまして、こちらの表は、年齢別の人数にです。男女ともに40代の人数が最多の割合を占めています。直近の令和3年と4年を比較しますと、30代を除いて全ての年代で増加しています。特に40代、50代、60代で増えており、この3つの年代で前年よりも13人多くなっています。全体の増加人数が17人ですので、その割合の高さが伺えます。

また、女性に限定して比較すると、過去5年間で人数が一度も減っておらず、平成30年に15人だったところが令和4年では30人となり、5年間で2倍となっている状況です。

下の棒グラフは、上の年齢別の表のうち、令和2年から4年までの3年間の自殺者数について、男女別、年代別の割合を示したものです。左側のグラフで、青色の前橋市の男性については、灰色の全国との比較で50代、60代の割合が3%ほど低くなっていますが、右側の緑色の女性をご覧いただきますと、逆に40代と70代の割合が高くなっており、特に40代は11.7%と全国の5%程度と比較しますと倍以上の割合を占めています。このように、自殺者数全体に占める女性、とりわけ40代以降の年代の方の割合が高くなってきていることが、現在の前橋市の特徴として見えてきます。

この女性の割合が高い本市の状況に対する分析ですが、自殺に至る原因は、精神保健上の問題だけでなく、過労・生活困窮・育児や介護疲れ、いじめ、孤独・孤立などの様々な社会的な要因があると言われており、特定することは難しいところです。そのため、「生きることの阻害要因」を減らす取り組みに加えて、「生きることの促進要因」を増やす取り組みを行い、双方の取組みを通じて自殺リスクを低下させる方向で、生きることの包括的な支援として推進する必要があると考えております。

それでは、ページをめくっていただきましてこちらの表は「職業別」のものです。大きく「有職者」と「無職」に分けています。また、男性・女性それぞれを見ますと、男性は有職者と無職の方は令和2年を除くとほぼ同じ程度ですが、女性については無職の方が有職者のほぼ3倍以上の割合であり、特に令和4年は有職者4人に対して無職の方が26人と、6倍以上の差となっています。なお、無職者の内訳で年金・雇用保険等生活者の項目ですが、こちらの8割が老齢年金・遺族年金の受給者で、残り2割が雇用保険、生活保護、障害年金の受給者とのことですので、こちらの項目の多くは高齢者ということが言えると考えられます。

下の棒グラフは、「職業の有無」と「無職の内訳」で過去3年間のそれぞれの割合を男女別で示したものです。左側の「職業の有無」ですが、男性だけで比較しますと、人数が減った令和3年は、青色の有職者が減った分であり、緑色の無職の割合に大きな変化はありません。また、女性については、3年間とも青色の有職者の割合が低いことが見て取れます。

右側の「無職内訳」ですが、学生等を除いた「無職者」内訳を示しています。男性・女性の比較で大きな違いは青色の「主婦」が女性の中で一定の割合を占めているところです。また、直近3年間では、無職者に限れば、男性よりも女性の人数が多くなっている状況です。

続いてページをめくっていただきまして、こちらは「原因・動機別」の表です。原因・動機は統計上3つ、令和4年からは4つまで計上していますので人数の合計と合致しませんが、自殺に至った方の半数以上には大きな枠で捉えると「健康問題」を抱えていたことが伺えます。ただし、原因・動機はいくつかの問題が積み重なることで自殺に至ることが多いとされていますので、性別や年代別などでひとくくりの分析を行うことが難しいのが実情です。

下の表は今年の自殺者数の暫定人数です。上の段が前橋市ですが、2月が7人と多かったのですが、5月は男女ともに0人、6月は5人で昨年同月から5人減っており、1月~6月の半年間で前年比較では19人少なくなっています。下の段の全国を見ましても、前年比較で6月までは減少傾向が続いている状況です。なお、お配りたしました資料には記載することができませんでしたが、最近の情報として7月の人数が発表されましたのでお伝えいたします。前橋市の男性が3人、女性が2人の計5人です。 また全国の状況ですが、男性が1,082人、女性が540人、合計1,622人で月別の増減がマイナス197人となりました。今年の自殺者数は今のところ減少傾向ではありますが、これまで説明させていただいたように、近年の本市における女性の自殺者数の増加は顕著であり、非常に厳しい状況が続いていると認識しています。本市としましても各種対策を講じながら、関係部局や機関と協力しながら、自殺者の減少となるよう努めていきたいと考えています。

資料1の説明は以上です。

 

福田会長

詳しいデータは細かいところに目が行きますが、全体的な傾向を見ることが大事なことだと思います。ご指摘の中で大事な点が2つあります。一つは自殺の原因のことで、自殺はなかなか原因が分かりにくいということがございます。交通事故の死亡者ですと、スピードの出し過ぎや、シートベルトをしていないなど、原因がわかりやすいのですが、自殺については、原因が分かりにくく、しかも、一つの原因で自殺に至ることはまずなくて、複数の原因が重なり合って起こってくる。しかもこの原因については、警察が忙しい中で、短時間で集めたものですので、これだけでは深いことが分からないという限界があります。もう一つ大事なことは、自殺対策を考える場合、健康問題、貧困問題などの自殺を引き起こす要因ばかりに目が行きがちで、逆に大事なことは自殺をさせない、自殺から守る、保護するような要因に目を向け、マイナスの要因だけではなくて、プラスの要因を増やすような発想も大事かと思います。ただ今の説明につきまして、ご質問等がありましたらお願いいたします。

 

狩野委員

資料1を一枚めくって、自殺死亡率の比較というグラフについて、令和3年の男性のところがぐっと棒グラフが下がっていて、一気に減少した要因があれば教えてください。

 

福田会長

事務局いかがですか。

 

住谷補佐

市の対策がうまくいって下がったということは、はっきりとは言えないと思います。コロナ禍が令和2年以降いったん少し落ち着いたところで、ある意味で安定したということも考えられるのかとも思うのですが、はっきりしたデータがないのが現状です。

 

狩野委員

コロナ禍は令和2~4年だと思いますが、3年だけデータ上で数値が違うので、ここをすごく時間をかけて追究して分析すれば、何か見えることがあるのかなと思ったもので、もし時間があるようであれば、是非データを取っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

福田会長

自殺の原因というのはなかなか分かりませんので、このグラフでも令和3年のことが目立ちます。ではなぜなのか、全国レベルでは下がっていないわけですから、前橋だけ特徴的なことは何かということは残念ながら、分からないということが現状です。原因につきましては、警察が忙しい中で、短時間で聞き取った中から出ていますので、それ以上のデータを得ることが難しく、また、プライバシーに関する困難さもございます。それに比べ、前橋市の女性については、2年連続で多くなっていますので、これはたまたまではないのかもしれません。何か要因があるのかもしれませんが、それについても、原因が分からないことが辛いところでございます。自殺対策は原因も分からない、対策を行った場合、どの対策が有効であったかということも分からないといった、非常に難しさがございます。他にご意見やご質問はございますか、よろしいでしょうか。

・「自殺総合対策大綱のポイント」「令和4年度主な関連事業の実績」について事務局に説明依頼。

 

(2)  自殺総合対策大綱のポイント

住谷補佐

資料2について説明いたします。こちらは、国が昨年10月に5年ぶりに見直しました「自殺総合対策大綱」のポイントです。上段2つ目の丸の項目の下線部についてですが、「女性は2年連続の増加、小中高生は過去最多の水準」と現状分析されており、これらを踏まえて、その下の1~4の項目が示されています。特に2の「女性に対する支援の強化」は「当面の重点施策」に新たに位置付けて取組みを強化するとされております。

ページをめくっていただきまして、こちらは大綱の概要です。注目する部分としましては、右上段の「第4 自殺総合対策における当面の重点施策」の一番下、赤文字になっていますが、13の「女性の自殺対策を更に推進する」と新たに位置付けられました。この部分が先ほど申し上げました「女性に対する支援の強化」の部分に当たります。

下のページに行きまして、こちらが重点施策1~13の概要の資料です。概要は、施策の1~7と8~13でページが分かれていますが、ポイントとしました施策の13は、資料をめくっていただきまして、4ページ目の右下の部分ですが、具体的な項目としましては、それぞれ「妊産婦への支援の充実」「コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性支援」「困難な問題を抱える女性への支援」と定められたところです。

下のページの資料は自殺者数の推移のグラフです。自殺者総数や男女別の推移、小、中、高校生の自殺者数の推移はご覧のとおりです。自殺者の総数が微増傾向にある中で「子ども・若者」については増加割合が高い傾向であり、国としても「大綱」のポイントで一番目に掲げている通り、対策の更なる推進・強化を図っているところです。

この国の大綱見直しを踏まえ、本市の「自殺対策推進計画」の取組みの方針ですが、現在の計画は2018年から2028年までの11か年計画であり、社会情勢の著しい変化や国・群馬県の政策の変更があった場合、計画の進捗状況等から見直しが必要と判断される場合には、計画の見直しを行うこととされていますが、今回示された国の大綱のそれぞれの項目を確認、分析したところ、先ほど申し上げました重点施策の13番目の項目「女性の自殺対策を更に推進する」を含め、基礎自治体が行うべき項目については、既に計画に盛り込まれているところであり、また、女性に対する支援についても既に取り組んでいるところですので、計画見直しが必要なほどの大きな変更点はないと判断し、女性に対する支援を更に充実していくこととして、現在の計画をこのまま推進していければと考えております。具体的に本市事業と大綱との関係を示したのが資料2の後ろの方にあります「別紙1」になります。「別紙1」は国の大綱の重点施策の概要の資料に本市計画の「具体的な取組み」の各項目の該当する部分を示したものです。また、次に説明します「資料3」の主な関連事業の該当箇所する項目を青地に白抜き文字で示しています。これらを見ていただきますと国が大綱でまとめた項目について、既に本市の事業で取り組んでいることが分かるかと思います。次に「別紙2」ですが、こちらは国の大綱の項目の13である「女性への支援」に該当する事業について、本市の事業をまとめたものです。各事業についている番号は「資料3」の表の番号と一致しています。ご覧の通り、思春期から高齢期までそれぞれのライフステージを切れ間なく支援している形となっております。このように、女性を含めた支援は本市の計画の中に含まれており、また、具体的な支援や事業については、次の資料3や資料4にもあるとおり、市の各部局や保健予防課において既に取り組んでいるところです。

資料2の説明は以上です。

 

(3)  令和4年度主な関連事業の実績

住谷補佐

続きまして、資料3を説明させていただきます。こちらは市役所各課が令和4年度に実施しました「主な関連事業の実績」です。本市の自殺対策推進計画に基づき、7つの項目に分けて整理したものです。

7つの項目とは、本市計画の枠組みである「計画の具体的な取組み」の中の項目でありますが、資料3の枠の上の文言がこれに当たります。

1.「子ども・若者への支援を充実する」、

2.「市民一人ひとりの気づきと見守りを促す」、

3.「悩みに寄り添える人を養成する」、

4.「こころの健康づくりを推進する」、

5.「社会全体の自殺リスクを低下させる」、

6.「勤務問題による自殺対策を推進する」、

7.「自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ」の以上項目を分けております。

事業の数が多いので個別の取り組みを紹介することは割愛させていただきます。全体として、昨年度はコロナ禍が続いていた状況でしたが、概ね事業を実施できており、実績としましてもこれまでと同様の内容でできたところが多数でありました。これらの事業の中で国の大綱のポイントで上がりました「子ども・若者」に対する支援は、教育支援課、こども支援課、障害福祉課、保健予防課の事業で実施しており、「女性にも」対する支援は先ほどの資料2の別紙2でもお示ししましたが、こちらの資料3の中では表の左側に「大綱13関連」と付箋マークを付けましたので、確認いただければと思います。

自殺は複数の悩みが原因で心理的に追い詰められた末の死と言われておりますので、引き続き、生きるための包括的な支援として関係部局の連携を図っていければと考えておりますので、自殺対策の重要性を伝えつつ市役所全体で引き続き取り組んでまいります。

資料3の説明は以上です。

 

福田会長

資料2の国の大綱は、重点のことだけでも13もあるということで、それだけ包括的なことを行わないとなかなかうまくいかない。一つ、二つの対策だけでは十分ではないということだと思います。その中で女性と、子どものことが焦点になっています。女性のことについては、世界的に見て男性の方が多く、女性の方が少ないのです。日本は世界に比べて、男女差が大きい、つまり男性の方がより多いということが日本の特徴です。しかし、前橋については、2年連続で女性が多い、日本全体に比べて多いわけですから、コロナ禍で説明できるということではなくて、何かしら前橋に要因があるのだと思うのですが、それがなかなか分かりにくいということがございます。もう一つ大綱には妊産婦への支援への充実ということがありますが、これは比較的最近分かったことです。妊娠している方、あるいは出産後の方が亡くなるというと、以前はお産の時に出血をしたり、そのようなことで亡くなると思われていたのですが、実は自殺で亡くなるということが一番多いということが比較的最近になって分かりました。なぜずっと分からなかったかと言いますと、産婦人科で統計を取っていたものですから、自殺で亡くなった方は産婦人科に来なくなりますので、統計から漏れていましたので、妊娠している方、出産後の方が、自殺するということが非常にクローズアップされまして、今では産婦人科の先生方が自殺について、焦点を当てているところです。子どもについては、ここにグラフがありますが、子どもの自殺の数について、現在少子化が進んでいますが、子どもさんの数は減っている中で、自殺率にすると自殺が増えているということは、自殺者数で言うと、もっと増えているということがございますので、対策が大事ということになります。コロナ禍ということがございますが、コロナ禍で我々は人と人同士のふれあいが少ないということを経験しました。そのことが子どもに影響する可能性があります。我々大人は生活の中で少し我慢しただけですが、子どもはコロナ禍で人と人との接触が少なくて、人間関係を経験することが少なくなる。人に相談するとか、人を頼るといった機会が少なかったわけです。少なかったことがコロナが明けて、回復するかどうかは誰も分からないのです。コロナが明ければ、それは回復することはできるかもしれませんが、成長期にそのようなことを経験したことが、ずっと後を引きずってしまうかもしれなくて、世界中誰も知らないことでして、これからどうしていくのか、もしかすると、成長期に人との接触が少ないということを経験した子どもさんは、大人になってもSOSを人に出すことが苦手になってしまうかもしれない。そのままになってしまうかもしれないということで、今までとは違った視点の対策、取り組みも子どもにとっては必要かもしれないということがございます。資料2~3についてご説明いただきましたが、是非委員の皆さんから、ご質問やご意見をいただけたらと思います。お願いいたします。自殺については原因やどのような対策が有効であったかということが分かりづらいので、委員の皆様の実感が大事であると思います。そのようなことをご紹介いただくと役立つかと思います。

 

狩野委員

自殺、いじめ、不登校、ひきこもり、若者のそのようなことを意識してきた中で、感覚にはなりますが、自殺を防ぐということが、協議会の先生方の話を聴くと、データを検証して対策をすることが難しいとのことで、何をすればいいかというと、助けを待つしかない。ただ、周りに気づきがあれば、少しサポートできる可能性がありますが、心を開いてもらえなければ、本当の話を聴き出すことはできないので、待つしかないと。これだけ生きるようなシステムを前橋市が構築しているにも関わらず、なかなかいい方向に行かないとなると、新しいことに取り組むしかないと私は思いました。立場的に保護者の代表と、自治会長をやっていて、一人暮らしの方々から突然連絡が来て、相談を受けたりすることも昨年からあります。二つの観点から、学校と地域での対策のご提案ですが、もう少し敷居を下げて、相談する場所があるということを定期的に発信したり、クリアファイルのような、癒されるような言葉をもう少し日常的に目にするような状況を作ってあげたらどうか。まずは学校で定期的に資料やデータで各家庭に流す。特別なことではなくて、このようなことは日常的にあるから、もう少し気軽に相談したら良いということを提案して、情報をもっと出していくことが大事かなと思います。相談しづらいとか、ちょっと変わったことをやっているんじゃないかと思ってしまうと、心を開かなくなってしまいます。地域でも一人暮らしの高齢者で、衰弱して残念ながらお亡くなりになる方もいるのですが、自殺をすると死を早めます。せっかく生まれて、命がなくなったら全てが終わってしまうということですので、周りの方の支援として、民生児童委員、保健推進員の方々や、地域の各団体の方々の言葉の投げかけもそうですが、資料を持って色々なところに足を運んでいくということが大事かなと思います。大変だとは思いますが、今やっていないことをやらないと、この集まりが無駄になるのではないかと思いました。よろしくお願いします。

 

福田会長

ご提案ありがとうございました。事務局から何かございますか。

 

住谷補佐

学校や地域に対し、当課を始めとして、市の関係部局と連携ができればと考えております。

 

福田会長

自殺について、「困っている」「苦しい」という方に対して、助けを求めたり、SOSを出してもらえるように啓発しますが、それらができる人は自殺をしないわけです。 助けを求められない、SOSを出せない人が自殺に至ってしまいますので、そのような方へのアプローチが大事なことです。これはとても大事なことでして、お仕事をされている方は、職場でのストレスチェックが始まりました。過労な方、ストレスを抱える方を把握できるようにしようということです。その一番の効果は、ストレスについてきちんと取り上げていいということが文化になったことが一番大きいのです。ストレスというのは自分で解決するものだとか、我慢したりするもんだというような社会の文化がありましたが、そうではなく、ストレスチェックということで社会の制度としてできたもので、だから、ストレスということは話題にしていいんだというものができたということが大事なことであると私は思います。

去年から高校の保健体育で精神疾患の教育が始まりました。精神疾患の教育ということで、知識が増えることも大事ですが、精神疾患、こころの健康について話題にしていいんだという文化が学校で根付くということが、一番大事なことだと思います。そのようになっていけば悩んでいる方も声を上げやすいとか、周囲の方も声をかけやすくなります。普段からそのような文化を作っていく、地域でも職場でも、民生委員の働きの中でも、文化を作っていって、ご自身からSOSを出せない方に周りの方が気づいて、ちょっと声をかける、ちょっと背中を押してあげるということが、そのような取り組みができればいいと、ご意見を聞く中で思いました。他何かございますか。

 

高木委員

相手の身になって親身に傾聴し、「誰かが私のことを考えてくれている」「思ってくれているんだ」と思ってもらえると、2~3分の会話でも心が和やかになると思います。顔が見えるお付き合いとして、地域の支え合い会を私どもの地域では立ち上げています。その中で、ちょっとした仕草、例えば普段と歩き方が違うとか、普段は「おはよう」と言ってくれるのが、「最近はダメなんだよ」と言ったりするのを耳にすることがあります。不調になる前の気づきというものが非常に大事になると思います。気持ちが沈む前に、自分のことを考えてくれているとか、心を開いて誰かに話せるように、私も民生委員をしているのですが、そのようなちょっとした関わりを大事にしたいと考えています。それと、孫が小学校なのですが、その会話の中には「おばあちゃん、今日誰々ちゃんが泣きそうだったんだよ」とか、色々と言ってくれます。孫がかわいそうだと思って「大丈夫?一言声かけてね」と私は言うのですが、学校の先生も分からないようなことを子どもが学校の先生に話してあげるとか、優しさというか、相手の身になって、「もし自分だったら」とかを頭に入れて、「あの子大丈夫かな」とか、おせっかいではだめだと思いますが、そのたった一言で心がとても温まると思います。そのような感じで少しずつ進歩して、自殺対策が役に立てばと良いとお話を聞いていました。そのような気持ちで自分はいます。

 

福田会長

とても貴重なご意見ありがとうございます。地域の中での人間関係が大事であること、その中での気づきというものが役立つというご意見だったかと思います。自殺の非常に大きなリスクとして、孤立・孤独というものがございます。独りぼっちだということが自殺につながる。必ずしも一人住まいということに限りません。家庭においても、家族と仲がうまくいかなくて、家庭にいるけれど、孤立しているということもありますので、孤立・孤独がないような家庭を築いていくことも必要があります。地域社会でお年寄りとか障害者が孤立しないような状況を作っていくことが大事なのですが、それは一朝一夕にできるということではなく、地道な積み重ねが大事です。それは自殺だけではなくて色々なことに対しても役立つかと思います。地域社会を良くする良い方法というものはありますでしょうか。

 

高木委員

居場所づくりが非常に大事だと思います。高齢者の方が何もしなくて留守番をしていればいいということほど、かわいそうなことはないとよく聴きます。居場所づくりは家庭の中でも同じで、その人がここにいて何か役に立てるとか、役割を持てるということが、高齢者も子どももそうですが、自分がいて何か役に立っているという意識が芽生えるような体制が必要だと思います。小さい社会は家庭ですので、家庭から大事にしていただいて、その人の役割や居場所があるということが一番大事だと思います。

 

福田会長

相手が自分が役に立っているとか、役割があるんだ等の実感ができる場所、そこまでいかなくても、自分がここにいてもいいんだというようなことが感じられる居場所があると良いということが言われております。最近では少しずつ街中に何をするでもない居場所を作り、昔の子ども食堂もその一つかもしれませんが、子ども食堂というネーミングでみんなが集まる、子どもだけではなくてもいいのでお年寄りも、みんなが集まれるようなことがあります。その場所についても最近は自治体によっては空き家対策の一つとして、空き家を上手く活用すれば、色々権利関係で難しいこともあるようですが、何か新しい建物を作る必要はないので、前橋市も残念ながら空き家はたくさんありますから、そのようなことを行い地域社会を作り、人と人とがつながりがあるような、前橋市を作っていただきたいと思っております。他ご意見いかがでしょうか。

 

大谷副会長

今学校でも特に中学校は校内にスクールカウンセラーを配置したり、相談窓口を案内したり、教職員に対するゲートキーパーの教育の実施など、いわゆるゲートキーパー的対応が可能になっていたり、例えば自殺に関するアンケートではなくて、日頃から月一で生徒にアンケート書いてもらったり、日頃から考えていることを日記のようにして出して教職員がチェックするとか、色々工夫をされているようです。それでも、ある時突然生徒さんが自殺をしてしまうということがあって、いじめだったりすると、早期に見つけて対策を取ったりできる可能性もあるのですが、予兆が特になくて生徒さんが自殺をしてしまうと、担任の先生は日ごろ工夫をしていたのに、私は力不足だったとか悩んでしまうことがあります。何をしたらいいのか、原因を見つけられない、では自殺をしそうな時に止められればということですが、自殺をしそうだということも分からない。生徒に日頃から何かを書いてもらったり、話をしているのになかなか教師側も分からなくて、実際そのような事件も担当していますが、それに対して、何か対策などの考えがあるわけではないのですが、そのような現状で学校の方が悩んでいらっしゃるということです。また、最近は各学校に弁護士を派遣するようなことも始まっております。ご紹介させていただきました。

 

福田会長

学校は無記名のいじめアンケートなどを頻繁に行っていて、それに対して対策を立てていますが、なかなか予防ができないということで、校長先生コメントございますか。

 

都所委員

小中学校ともに、毎月一度、学校によって名称は異なりますが、生活アンケートやいじめアンケートで子どもが抱えている悩みなどを、学校の教職員が吸収、把握できるような機会を設定しています。私は4年ぶりに学校現場に戻り、現在1学期間過ごしましたが、4年前よりもはるかに様々な子どもたちが増えています。さらに言えば、多様なご家庭があったり、厳しいご家庭もあります。子どもたちも保護者の方の様子に影響を受けながら、非常に苦しみながら毎日生活をしているのだなと伝わってまいります。今は表に出てくるような非行とか、校内暴力のような暴力的になるようなケースは少ないのですが、その分、子どもたち自身が心の中を表に出せないような 苦しみや悩みを抱えて生活をしているというような印象を強く感じます。担任や各学年の教育相談担当が日々子供たちの様子を見ながら、みんなで共有をし、様々な支援の方法を考えながら、対応しています。東京の方かどこかスクールカウンセラーが毎日常駐していて、子どもたちの変化を見ているという学校もあります。前橋市も中学校は毎週1回スクールカウンセラーが来て、子どもや保護者の方が相談に来ることもあります。小学校は、2週間に一度にはなりますが、スクールカウンセラーが学校に心の面のケアということでいらっしゃっています。できれば常駐していただけるような体制ができると、学校としても助かると思います。

 

福田会長

今教員の働き方改革ということで、教員の方も疲弊している中で、子どもの対応をしているということがございますが、その中で、子どものことだけではなく、家庭の中も見ていかなくてはいけないということですと、スクールカウンセラーだけでは足りなくて、スクールソーシャルワーカーが、子どもを取り巻く社会環境、家庭環境についても、サポートしなくてはいけない時代になってきておりますので、本当に学校が大変だと思います。悩んだ生徒さんが駆け込むのは保健室だと思いますので、養護教諭さんもいらっしゃいますから、何かお感じになっていることがございましたら、ご紹介いただけますでしょうか。

 

櫻井委員

自殺からは離れていますが、コロナ禍のせいか、不登校とか、教室に入れない子どももとても増えました。その中で、私も対応しきれずに後悔が残ることもありましたが、生徒数に対して、教員数が足りないという現状があります。別室で登校してくれる子も、一日いられる子もいれば、何時から何時ということで登校してくる子、人に会いたくないという子もいるので、登校する教室を確保するといった対応がなかなか難しいと感じました。現在はサポートの先生が来てくださり、別室登校の生徒の対応をして、だいぶ私達が対応できない部分もカバーしていただいているようになりましたが、たった一人なので、まだまだ対応が足りない部分はあるなと日々感じています。

 

福田会長

なかなか生徒さんをサポートする方が足りないということですが、コロナが五類になりましたが、多くの方は良かったと思っていますが、良くなかった方もいるわけです。元々人付き合いや、集団の中に入るのが苦手な生徒さんはコロナ化でオンラインであるとか、オンラインでなくてもあまり人づきあいが少ない方が楽でよかったと、その後、五類になってしまいかえって辛いという生徒さんもいて、4月、5月は実は子どもさんの自殺未遂は多かったのです。そのような子どももコロナがなければ普段登校していて、苦手ではあるけど段々馴れたのでしょうが、3年間自粛生活が続いてしまいましたので、なれるチャンスを失ってしまい、人になれるチャンスを引きずってしまい、今後克服できるかもしれませんし、引きずってしまうかもしれないということで、今後ますます学校側の保健室の対応というのは大変になってくる可能性があります。また、教員の働き方改革をどう両立するのか、とても学校現場は大変であると思います。

 

狩野委員

先日校長会であった、ある小学校の校長先生のお話を紹介させていただきます。五類に下がり、それまでは自粛ということで、みんなで遊ぶということはなかったのですが、だんだん小学生がマスクを外して校庭で遊ぶようになってきた。そうしたら校庭から声が聴こえるようになってきた。その途端に、転んだり、ぶつかったりして、子どもたちの小さな怪我やトラブルが増えてきた。その話を聴かせていただいたときに、このようなことは小学校の時に経験し、中学校ではなかなか経験することではないのかなというような友達同士の関わり方が、中学校でも小学校のような友達同士のトラブルが起こることがあります。コロナの3年間というのは、子どもたちの成長の機会を奪ってきていたと感じています。五類になったことで、小学生が本来の子ども達同士が校庭で元気に遊ぶことから、色々なことを身につけながら、成長していく、多少のトラブルはつきものかとは思いますが、自分たちの力で解決しながら、よりたくましく育っていってもらえることも期待しております。ありがとうございます。

 

福田会長

  ありがとうございます。教育現場でいろいろなことが生じているわけですね。他にございますか。

 

新島委員

資料3の最後に「7自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ」とありますが、行政の効果的な自殺対策を考えた時に、やはり自殺未遂を経験された方は、再度自殺を図るリスクが高いと言われていて、自殺未遂者に対して支援ができると良いと思います。資料には警察からの情報提供があった場合に対応される事業が掲載されていますが、地域からの話や、日赤の先生からも未遂者の話があったかと思いますが、前橋市の中では未遂者に対してどのような対応をされているのかがお伺いします。

 

福田会長

自殺未遂者に対する支援についての取り組みについて、事務局ではどのように行っておりますか。

 

事務局

自殺未遂者に対して、保健所で行っている精神保健福祉相談において対応しています。自殺の状況にもよりますが、ソーシャルサポートが少ない方や、状況が深刻な相談については総合的に相談ができるように当事者や関係者と連絡を取り合ったりします。「この相談が終わったら自殺をします」というような緊急度の高い相談については、最近は保健所まではきていない状況です。他に精神保健福祉法上の23条通報等の中で、保健所までつながるケースもありますので、そのような場合も、通常行っている精神保健福祉相談の中での対応をさせていただいております。以前日赤さんから自殺に関する相談がありましたが、最近は少ないという状況です。

 

新島委員

警察や病院で自殺未遂について把握できたときに、うまく支援に乗る様に連携ができればいいと思っていて、県全体のことを考えた時に、警察や病院からの連携を強めていただきたいと考えています。

 

福田会長

自殺未遂を図って、幸いにも助かった方について、助かってよかったねで終わりではなくて、再度同じことが起きないように、支援につなげたいということですね。それは、警察や、病院や、近所の人かもしれませんが、支援につなげられる体制を行政としても作っていければというご意見だったかと思います。自殺の場合にはご本人が支援を拒否するということもあるので、難しいこともあります。ただ一方で自殺未遂者は自殺のリスクが高いのは明らかですので、そこは取り組みを進める大事なポイントかもしれません。自殺の場合には前橋市の中で自殺をしたい人がどこにいるのかが分からないということが難点なわけです。分かっていれば対策ができますが、分からない。その中でも自殺未遂を図った方、税金を滞納していた方とか、一人暮らしで誰とも関わっていない方、そのような方についてはリスクが高いということが分かりますので、そのような方にアプローチができることがいいわけです。他よろしいでしょうか。

 

田島委員

40代男性について、仕事や家庭など色々な悩みがある年齢だとは思います。相談ができる友達とか、色々関係機関があるということは分かるのですが、SOSを出して、眠れない、食欲がないとかでも、個人としては話を聴くことはできると思うのですが、そこから医療につなげていきたいと思ったときに、直ぐに受診ができればいいわけなのですが、病院に電話をしても2~3か月待ちであったりしていて、ハードルが高い状況があります。前橋市における医療の受けやすさについての取り組みを伺います。

 

事務局

精神科・心療内科の予約がなかなかとれないという相談は多いです。相談の中で、クリニック・医院の予約待ちの状況を把握し、共有するようにしていて、また、実際に病院に連絡をして、予約待ちの状況を確認しておいて、ピンポイントでここの医療機関に行くと良いという話はできませんが、相談があったときには、把握している情報を活かして相談に対応したり、こころの健康センターに確認をして予約がなくても受診ができる医療機関を案内したりしています。また、受診をするのに急ぎでない場合、医療機関に受診した方が良いかどうかを、保健所の嘱託の精神科医師や医師会委託の精神科医師の相談において、対応することもあります。

 

福田会長

精神科に受診がなかなかできないということは全国的な事態でして、精神科に受診しようと思っても、1週間、2週間、1か月待ちという風になってしまいます。精神科以外の例えば内科とか、耳鼻科とか眼科というのは、当たり前なのですが、行けばその日のうちに診てもらえますが、精神科はそのようになっていないということがございます。それは本当に申し訳ないと思っています。その事態を何とか解決できないかということで、現在、群馬県では群馬県保健医療計画というものを作っていますので、その中でもそれが問題となっていて、何とか解決策はないか相談はしています。子どもの場合、子どもの精神科では、ますます待ちがあって、全然受診できないということがございます。全体としてはニーズは高いのですが、医療の提供は少ないというギャップに基づくものと思っております。申し訳ございません。

・「令和5年度自殺対策の取り組みについて」について事務局に説明依頼。

 

(4)令和5年度自殺対策の取り組みについて 

住谷補佐

資料4について説明いたします。資料4の1ページ目ですが、こちらは保健予防課の今年度の自殺対策の取組みです。こちらの資料にも、先ほどの資料3でご説明いたしました大綱13関連の付箋マークをつけておりますので、併せてご確認ください。

まず、ゲートキーパー研修の実施状況及びこれからの予定です。ゲートキーパーとは、「悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人」のことですが、研修を受けた方が職場や家庭において学んだことを実践していただき、支援が必要な人に対して専門的な相談機関につながるきっかけの一つになればと考えております。こちらの一覧は今年度の予定や実績となっております。

資料をめくっていただきまして、こちらは、YouTube動画によるゲートキーパー研修です。前橋市の公式YouTubeチャンネルにおいて引き続き動画を公開していきます。また、表のとおり6つの動画を公開していますが、動画時間に対して平均視聴時間がいずれも半分以下となっており、お伝えしたい内容が伝えきれていない状況でもあると考えております。

そこで、今年度は現在の若者の動画視聴スタイルの中心であるショート動画に焦点を当てて、少しでも多くの人に目にしてもらえるよう、メッセージを絞って発信する動画を作成し、YouTubeやインスタグラムで公開していきたいと考えております。

下のページにいきまして、今年度の新規事業として「心のサポーター養成事業」に取り組みます。こちらは、厚生労働省が令和3年度から試行的に実施している事業でありまして、今年度の応募枠に申し込みをしたところ、前橋市が採用されたものです。「心のサポーター」は、「メンタルヘルスに問題を抱える家族や友人、同僚など身近な人に対して、傾聴を中心とした支援を、正しい知識に基づいて実践する方」としており、自殺対策に内容が特化している「ゲートキーパー」が対象とする状況よりも手前の状況での対応を想定しています。こちらは10月31日に一般市民の方を対象に実施の準備を進めているところです。

資料をめくっていただきまして、ここからは、自殺対策の具体的な周知啓発にかかる取組み事例を紹介いたします。

一つ目は、自殺予防相談カードの設置です。お手元にも置かせていただきましたが、こちらは市役所1、2階のほかスーパー「フレッセイ」の市内12店舗のトイレなどに設置しているもので、悩みがある方やその家族などが手に取って相談するきっかけになるよう令和4年11月から始めました。今年度は、「クスリのマルエ」の市内8店舗にも設置いただけることになり、更に多くの人の目に触れる機会が増えることを期待しています。また、参考データとして実際にカードを見て連絡をくれた方もおりまして、対応した方の状況はご覧のとおりです。

下のページに行きまして、こちらは、大学や企業への働きかけですが、市内にある4つの大学の保健室などに、例年通り保健予防課の職員が出向いて、各学校の担当者と健康相談体制を確認します。またその際に、本市の精神保健相談の案内や相談機関一覧の情報提供を行うこととしています。

資料をめくっていただきまして、自殺予防やメンタルヘルスに関連する本をまとめて紹介するブックキャンペーンですが、例年通り自殺予防週間や自殺対策強化月間に合わせて、9月に図書館分館のうち2か所(永明、清里)で、3月に図書館本館で実施いたします。そのほか、デジタルサイネージを使った啓発については、今年度も引き続き実施していきます。また、相談機関一覧が入ったクリアファイルを作成しましたので、例年通り配布していきます。

下のページに行きまして、今年度新たな取組みとしまして、うつ病の相談を実施します。これは、自殺の原因で上位にくる病気の悩み・影響の中でもうつ病に起因するものが多いこと、また女性が罹患する率が高い病気ですので女性への支援の強化につながることなどを踏まえ、より多くの方が相談するきっかけになるよう実施するものです。9月から開始するもので市の広報にも9月号で周知予定です。日程としては第2火曜の午後で設定しますが、相談があれば随時対応していきたいと考えています。

資料4の説明は以上です。

 

福田会長

継続のものを含めまして、色々新しい取り組みを勧めていただいているということで、いずれもなかなか魅力的なことだと思いますが、ご質問やご質問はございますか。

 

新島委員

こころのサポーターについて、こころのサポーターやゲートキーパー、メンタルヘルスファーストエイドなど似たようなものがあって、県でもどのように使い分けていけばいいのか分からないとか、対象者をどのように絞っていくかとかについて困っています。こころのサポーターは地域のどのような方に受けてもらいたいとか、ゲートキーパーは違う方に受けてもらいたいとか、全部をみんなに受けてもらいたいとか、お考えをお聞かせください。

 

住谷補佐

難しい問題と思いますが、まだ実際にどのような方を対象にという具体的には想定はできていませんが、今回は初めての試みですので、まずは一般市民の方を対象にしたいと思っております。内容は確認している限りですと、こころのサポーターはゲートキーパーよりも、間口を広くするということにシフトしていくのではないかと思います。自殺対策として考えると、ゲートキーパーという言葉が若干重めになっているとも思います。それよりはもっと手前のメンタルヘルス全般というところで捉えられるこころのサポーターの方が、より重要になっていくのかとも考えています。

 

福田会長

ゲートキーパーは不調に気づくという役割で、こころのサポーターは気づいた後に少しサポートをする、メンタルヘルスファーストエイドは一般の方々が誰にでもできるということで、そのように違いはありますが、違いに注目するよりは、共通点に注目して運営してくと良いかと個人的には考えております。他に何かございますか。

 

小保方委員

日赤病院は自殺未遂者が運ばれますと、救急の先生が診ますが、12時間以内に精神科医が関わり、現在は自殺未遂者の全員の方と会っています。その方に精神疾患があれば、自分が診たり、かかりつけ医につなげています。さらに、生活の悩み、借金や生活困窮等があれば市の方にも相談ということになっています。実際にはこちらの数にはカウントされていない気がしました。そのようなことを平成16年ころからずっと続けていますが、以前はリストカットが多かった気がしますが、最近はリストカットの人はそんなになくて、15歳、16歳くらいの方の薬物乱用、寂しさからSNSで同じような境遇の方とつながっているうちに、その方達が薬をドラッグストアで風邪薬とか咳止めをたくさん買って、少し意識を飛ばして楽にするみたいなことがあるみたいです。友達関係からそのやり方などを教わって、そのグループでいるということがあります。また、最近は時々1年間に何件か運ばれてくるという以前にはなかったことがあります。大体15歳から17歳で、15歳の場合は小児科と救急と精神科で話し合うのですが、話し合う機会が以前よりも増えてきたと感じることがあります。それから精神医療につなぐ時に、確かに精神科クリニックにつなごうとすると、2~3か月予約待ちですというのがざらで、以前よりもつながりにくくなっているのは確かであると思っています。

 

福田会長

前橋赤十字病院に自殺未遂で運ばれた方については、もちろん自殺未遂の治療はするわけですが、その後で精神科が必ず関わって、精神疾患があれば、精神疾患の対応はしますが、例えば借金苦ですと、医師では解決できないことですから、行政の方につないでいるということですね。今の薬物乱用のことも確かに大きな問題でして、薬物乱用と言いますと、違法薬物ではなくて、薬局で普通に売っている処方薬を乱用して、場合によってはお酒と一緒に飲むということが増えていると、私も実感しております。今後はそういう形で生徒さんでも、薬局に行けば買えますので、そのような形の自殺未遂ということが、起こってくるかなということが心配です。ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。

 

中山委員

こころのサポーターの養成事業について、養成した後どうするのか、サポーターをサポートするということをしっかりしておかないと大変かなと思います。うつ病のココロの相談の相談時間が第二火曜の13:30から15:30というのは、仕事をされている方だと、電話をかけにくいところがあります。夜間はうつ病の方は寂しくなったりするので、時間を検討していただけると良いのかと思いました。

 

福田会長

事務局何かございますか。

 

住谷補佐

うつ病の相談については、これから実施してみて、どのような電話があるのかどうか、タイミングによってはご希望の日時が変わってくることもあるかと思いますので、できる範囲では対応したいと思っております。時間について設定はしますが、標記の日時以外では対応しないということではなく、臨機応変に対応できればと考えています。

 

福田会長

ゲートキーパーやこころのサポーターも養成した後どうするのかということが確かに、以前から課題になっていまして、フォローアップ、さらに、グレードアップも大事かもしれませんが、とりあえず、まず、人数を増やすということが優先であるということです。うつ病につきましても確かにこの時間ですと、なかなかお勤め人の方は、できないのではないかということなのですが、それを周知する中で、どこの時間帯でも実施できますというような取り組みということでしょうか。

この取り組みを拝見いたしまして、このショート動画というのは、印象的でして、このYouTubeの動画の視聴時間を見て短いということで、確かに今の若い人は、動画も長時間見てくれなくて、15秒しか見てくれないとか、文章も150文字しか読んでくれないとかもありますので、今の若い人に向けた取り組みも大事かもしれません。そもそも、今の若い方はYouTubeもあまり見なくてTikTokしか見ないとか、だいぶ時代も変わってきていますから、どんどん社会状況に合わせるということが必要かもしれません。

だいぶ時間がきましたが、他に何かございますか。

 

高木委員

こころのサポーターの役割で、誰かがそばにいるというのは、基本は家庭だと思います。こころのサポーターの役割は、各家庭に必要になるのかと思います。一番気づくのは家族だと思います。その家族の関わり方で夫、子ども、妻なりが少し心が和らぐというような、段階になるのではないかと思います。こころのサポーターというのは、一番小さな社会である家庭から、見いだせるようなそのようなホットな家庭にみな様していただければ、学校に行っても悩みを親には言えるし、また、親もこのように言っていたよと学校に相談はできるので、こころのサポーターは家庭の中から芽生えたらいいなと思いました。

 

福田会長

とても大事なご指摘で、家庭というのは人間関係の基本ですので、そのようなことが実現できれば大事かと思います。ただ難しいのは家族というのは、実は一番難しい人間関係なんですね。一番親しいので親しいときはいいのですが、うまくいかなくなると、一番難しい人間関係になります。それがなかなかうまくいかない家庭に対しても、アプローチできるような他人と言いますか、そのような方がアプローチできるようなことも併せて考えていく必要があると思っております。

よろしいでしょうか。まだご発言あったかもしれませんが、時間がまいりましたので、これで議事は修了とさせていただきます。委員の皆様には、ご活発に意見を述べていただきました。色々なお立場によってそれぞれ、ご意見がありますので、このように力を合わせて、各委員さんが身近なところでできることを重ね合わせることで、前橋市の自殺が少しでも減る、ゼロという大胆な目標を上げていますので、それに近づけられるように、取り組んでいければと思いますので、是非今後ともご協力をお願いいたします。それでは、議事の方を事務局の方にお戻しいたします。

 

5 その他

・事務局よりショート動画の放映

動画1 ゲートキーパーって、動画2 気づく、動画3 聴く、動画4 つながる、動画5 見守る

福田委員

動画の視聴者を代表いたしまして、感想を言います。素人っぽいところが癒し系でいいなと思っていまして、どこまでが意図的に素人っぽくて、どこからが本当に素人のものなのかといった感想を持ちましたが、とても素晴らしいと思いました。

6 閉会

大西保健所長

前橋市自殺対策推進協議会の閉会にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

本日は、ご多忙の中、本協議会にご出席をいただき、活発なご議意見をいただきまして、誠にありがとうございました。

また、福田会長及び大谷副会長につきましては、専門の知識やご経験から、話題提供や議論を促進していただきまして感謝申し上げます。委員の皆様からも色々なご意見や身近な前橋市の現状、あるいは気付きをいただきまして、ありがとうございます。

本日のご議論を基に、本市の自殺対策をより充実していきたいと思います。今後とも皆様のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

以上、簡単ではございますが、閉会のご挨拶とさせていただきます。

本日は、誠にありがとうございました。

配布資料

この記事に関する
お問い合わせ先

健康部 保健予防課 こころの健康係

電話:027-220-5787 ファクス:027-223-8856
〒371-0014 群馬県前橋市朝日町三丁目36番17号(保健所1階)
お問い合わせはこちらから

更新日:2023年11月08日