熱中症を予防しましょう!

熱中症の発生は、年齢を問わず、症状が重くなると生命の危険が及びます。しかし、適切な予防方法を知っていることで熱中症を防ぐことができます。

熱中症は梅雨明け後の7月下旬に多く発生しますが、近年ではヒートアイランド現象や地球温暖化により気温が上昇傾向にあるため、4月頃からの発生もみられています。梅雨の時期に、急に気温が上がる日なども熱中症のリスクが高まります。熱中症について正しい知識を持ち、早い時期から予防に努めましょう。

【熱中症になりやすい時期】

  • 5月の暑い日 :5月でも急に気温が25℃以上となることもあります。身体が暑さに慣れていないため、熱中症になりやすくなります。
  • 梅雨の晴れ間:梅雨の晴れ間で気温が上がる日は、温度も湿度も上がる可能性があるので、熱中症になりやすくなります。
  • 梅雨明け: 梅雨明け後は、晴れて気温が高くなる日が続くことが多くあるので、熱中症になる方が急増します。
  • お盆明け: 長期のお休みで、身体が暑さに慣れていない状態に戻りやすくなり、お盆明けの活動で熱中症になりやすくなります。

 

【早期からの対策】

  1. 日頃から汗をかく習慣をつけましょう。 日頃から汗をかくようにしていると、身体が暑さに慣れやすくなり、急な暑さにも耐えられるようになります。
  2. 日頃から食事や睡眠など、しっかり体調管理を心掛けましょう。
  3. 暑くなる前に、エアコンの稼働チェックをしておきましょう。
  4. 窓際の日よけ対策の準備をしましょう。 すだれやサンシェード、グリーンカーテンなどで、窓からの直射日光を避けるようにしましょう。
  5. 身近な人にも、声をかけあいましょう。

もくじ

1.熱中症の症状と重症度

熱中症は、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能がうまく働かないことにより、体内に熱がたまり起こります。                                       

暑い環境にいる時やその後に起こる体調不良は、熱中症の可能性があります。                                      重症化すると死に至る可能性もありますが、軽度の症状でも見逃さず正しい知識と行動で防ぐことができます。

熱中症の症状は、3段階(軽症・中等症・重症)に分類されます。

軽度

めまい、立ちくらみがある、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、手足のしびれ、気分の不快など

中等度

頭痛、吐き気・嘔吐、倦怠感、体の力が入りにくい、意識が何となくおかしいなど

重度

意識がない、けいれん、呼びかけに対し返事がおかしい、まっすぐに歩けない、体温が高い

2.熱中症が起こりやすい環境

時期

熱中症の発生が多い時期は、梅雨明け後の7月下旬以降ですが、身体が暑さに慣れていない時期に急に暑くなる日でも多数の熱中症が発生しています。

昨年は7月から8月にかけて気温が高い状況が続き、さらに9月も日最高気温が30℃を超える真夏日が多くみられました。そのため、令和5年度の熱中症による救急搬送人員は非常に多く326人となりました。

前橋市月別熱中症搬送人員の年次推移

熱中症を引き起こす条件

以下のような条件により、熱中症が引き起こされます。

環境

  • 気温が高い
  • 湿度が高い
  • 風が弱い
  • 日差しが強い
  • 照り返しが強い
  • 急に暑くなった日
  • 閉め切った室内

行動

  • 激しい運動
  • 慣れない運動
  • 長時間の屋外作業
  • 水分補給がしにくい

からだ

  • 高齢者・子ども・障がい者
  • 持病のある人
  • 脱水状態にある人(下痢・発熱等)
  • 体調の悪い人(食欲不振・寝不足・二日酔い等)
  • 普段から汗をかいたり運動をしていない人

年齢によって熱中症の起こりやすい環境が異なります

年齢別・熱中症の起こりやすい環境

  • 乳幼児 : 車内(注意)
  • 18歳以下 : 運動中
  • 18~64歳 : 仕事中・運動中
  • 65歳以上 : 自宅

車内の温度は急激に上がります

車内は締め切っただけでも短時間で温度が上がってしまいます。
特に乳幼児は体温調節機能が十分に発達していないため、数分でも車内に残すことは非常に危険です。

気温が25~27℃の晴れた日の車内の温度を測定した実験結果
  • 10分後の温度 :約40℃
  • 30分後の温度 :約50℃
  • 1時間後の温度:約60℃

ベビーカーや子どもの生活空間は大人が感じている温度よりも暑い

小さな子ども

地面に近いほど気温が高いため、同じ場所にいても子どもは熱中症になる危険性が高まります。
通常気温は1.5メートルの高さで測りますが、子どもたちの生活空間である0.5メートルの高さでは3℃ほど温度が高くなります。

3.熱中症になりやすい人

子ども

子どもは汗をかく機能が未発達なため、身体にこもった熱をうまく発散できません。
環境温が皮膚温より高くなるときは、特に注意が必要です。

子どもの熱中症予防のポイント

  1. 顔色や汗のかき方を十分に観察しましょう。
  2. 適切な飲水行動を学習させましょう。
  3. 日頃から暑さに慣れさせましょう。(適度に外遊び)
  4. 服装を選びましょう。(ゆったりとした涼しい服装、環境に応じた衣服の着脱)
  5. 短時間でも車内に子どもだけを置いて離れないようにしましょう。

高齢者

熱中症による救急搬送者のうち、約半数が65歳以上の人です。
加齢に伴う変化により、熱中症の危険が高くなります。
熱中症は、室内や夜間でも多く発生していますので、油断せず注意が必要です。

加齢に伴う変化

  • 体温を調節する機能が低下する
  • 暑さやのどの渇きを感じにくくなる
  • 水分が失われやすくなる

高齢者の熱中症予防のポイント

  1. 喉が渇かなくても水分補給しましょう。
  2. 部屋の温度をこまめに測定しましょう。
  3. 室温を28℃に保つよう、我慢せずエアコンや扇風機等を使用しましょう。
  4. 1日1回汗をかく運動を行いましょう。

その他

  • 障害のある人
  • 持病のある人
  • 脱水状態にある人(下痢、発熱等)
  • 体調悪い人(食欲不振、寝不足、二日酔い等)
  • 普段から汗をかいたり運動をしたりしていない人

4.熱中症の予防方法

日常生活での注意点

暑さを避けましょう

  • 室内では、我慢せず冷房や扇風機を積極的に活用しましょう。
  • 湿度の高い日は、除湿機能の活用や、扇風機で風の通りを良くしましょう。
  • 窓からの日差しを遮る工夫をしましよう。(すだれ、緑のカーテン、サンシェード等)
  • 服装はゆったりしたものにし、素材は通気性がよく吸湿・速乾性のものを選択しましょう。
  • 外出時は帽子や日傘を使いましょう。
  • 暑い日は決して無理をしないようにしましょう。

こまめに水分を補給しましょう

  • のどが渇く前に、こまめに水分を補給しましょう。
  • 1日あたり1.2リットル程度を目安に。
  • 水分は、お水や麦茶などのノンカフェインのものを。
  • アルコールやコーヒーは利尿作用があり、飲みすぎはかえって逆効果になりますので、控えるようにしましょう。
  • たくさん汗をかいたら、塩分や経口補水液等で補いましょう。
  • 入浴時や睡眠時も汗をかくため、入浴前後や睡眠前後も水分補給をしましょう。

暑さに備えた体づくりをしましょう

身体を暑さに慣れさせることを、『暑熱順化』と言います。本格的な暑さに備え、日頃から汗をかく習慣をつけることで体が暑さに強くなります。暑熱順化には個人差もありますが、数日から2週間程度かかります。暑くなる前から余裕をもって以下のような活動を始め、暑さに備えましょう。

  • 「やや熱い環境」で「ややきつい」と感じる強度の運動(ウォーキング、サイクリング等を週5日以上で30分程度)
  • 室内で軽く汗をかく程度の筋トレやストレッチ。(週5日以上で30分程度)
  • 入浴で40度位のぬるめの湯船に。(2日に1回程度)

(注意)実施時は熱中症に注意し、その前後に水分や塩分を適宜補給し、体調に無理のない範囲で行いましょう。

急に暑くなる日に注意しましょう

人が上手に発汗できるようになるには、暑さへの慣れが必要です。
急に暑くなった日や、久しぶりに暑い環境下で運動や作業をする場合は、身体が暑さに慣れていないため、熱中症に注意が必要です。

  • 可能な限り、こまめに涼しい所での休憩や水分をとりましょう。
  • なるべく無理のない範囲で、行動しましょう。

【特に注意が必要な時期 】

  • 5月の暑い日
  • 梅雨時期の晴れ間
  • 梅雨明け
  • お盆明け

上記のような時期のおよそ2週間前頃から暑熱順化をするための運動や入浴を行うようにしましょう。

人それぞれの体調を考慮しましょう

その日の体調や暑さに対する慣れなどが影響します。

夏バテで低栄養や朝食欠食、二日酔いや寝不足の人は、熱中症になりやすくなります。日頃から、規則正しい体調管理にも心掛けましょう。
また一人ひとりが離れて住む家族や周囲の人の体調にも気にかけ、声を掛け合いましょう。特に高齢者や子ども、障害者などへは周囲が注意して見守るようにしましょう。

運動の注意点

スポーツ活動では、暑くなり始めの7月下旬から8月に多く発生しています。
しかし、暑さにまだ体が慣れていない梅雨時期でも、熱中症が発生することがあります。また、運動開始から熱中症発生までの時間は必ずしも長時間とは限らず、激しい運動では、30分で発生することもあります。

対策

  1. 暑さ指数を確認し、環境条件を把握しましょう。  
  2. 休憩は30分に1回以上程度とり、冷たい水分を補給し、大量に汗をかいたら塩分の補給も必要です。
  3. 暑さに徐々に身体を慣らし、体調の悪いときは無理をしないようにしましょう。
  4. 具合が悪くなったときは、早めに運動を中止して必要な措置をとりましょう。
  5. 日頃から、食事や睡眠をしっかりとることを心がけましょう。

熱中症の予防に暑さ指数(WBGT)を活用しましょう

暑さ指数(WBGT)とは、『気温』だけでなく、『湿度』『輻射熱』の3つを基に算出した指標です。
同じ気温でも、湿度が高ければ熱中症になりやすくなります。気温だけでなく、暑さ指数予測を活用して熱中症を予防しましょう。

【暑さ指数(WBGT)】 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

特に、暑さ指数が33以上になると予想される地域には、前日夕方と翌日早朝に熱中症警戒アラートが発表されますので、その際はより一層の注意が必要となります。

令和6年度より『熱中症特別警戒アラート』が発表されます

気温が特に著しくくなることにより熱中症による重大な健康被害が生じる可能性がある場合に、現行の熱中症警戒アラートより一段階上の『熱中症特別警戒アラート』が発表されることになりました。 都道府県内において、すべての暑さ指数情報提供地点における翌日の暑さ指数が35に達する場合に、前日14時に発表されます。 広域的に過去に例のない危険の暑さ等になり、人の健康に係る重大な被害が生じるおそれがあります。熱中症に対する十分な準備と対応を心がけましょう。

下記のリンク先から、暑さ指数に応じた注意事項が確認できます。

5.熱中症を疑ったときの対処方法

現場での応急処置

熱中症を疑ったときは、現場ですぐに応急処置を始めることが重要です。
ぐったりしている、意識がない等の重症の場合は、迷わずに救急車を呼び、待っている間も現場ですぐに身体を冷やし始めることが大切です。

現場ですること

  1. 涼しい場所へ移動(日陰やクーラーが聞いている室内等)
  2. 衣服をゆるめる(ボタン、ベルト等を外す)
  3. 身体を冷やす(身体に水をかける、脇や太ももの付け根を氷で冷やす)
  4. 意識がない場合は、いかに早く身体を冷やすことができるかが重要となりますので、3以外に全身に水をかけ続けることが推奨されます。
  5. 意識があり、自力で飲水できる状態の場合は、冷たいスポーツドリンクなどを飲ませる。
  6. 吐気や嘔吐で水分補給ができない、処置をしても症状が良くならない場合には、病院に搬送します。

応急処置のフローチャート

まわりの人が熱中症になってしまったら、落ち着いて状況を確かめて対処しましょう。

救急搬送フローチャートの画像R6

熱中症情報へのリンク

環境省

「熱中症予防情報サイト」

      「新しい生活様式」における熱中症予防行動

       熱中症警戒アラート発表時の予防行動    などが確認できます。

「前橋市の暑さ指数(WBGT) の実況と予測」

       本市の暑さ指数が確認できます。

「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020」

       イベント主催者向けに イベント運営上の工夫等が掲載されております。

 

気象庁

「熱中症から身を守るために」

      群馬県の気象情報 などが確認できます

 

前橋市からのお知らせ

   前橋市の 「まちの安全ひろメール」に登録すると、群馬県の熱中症警戒アラート発表時にメール配信にてお知らせします。

 

この記事に関する
お問い合わせ先

健康部 健康増進課 健康づくり係

電話:027-220-5784 ファクス:027-223-8849
〒371-0014 群馬県前橋市朝日町三丁目36番17号
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更新日:2024年03月28日