平成29年度第2回前橋市文化財調査委員会議録
審議会名
前橋市文化財調査委員会
会議名
平成29年度 第2回前橋市文化財調査委員会議
日時
平成30年2月2日(金曜日)午前10時~12時
場所
市庁舎3階31会議室
出席者
(文化財調査委員)
村田敬一委員長 大森威宏委員 岡田昭二委員 能登健委員 右島和夫委員
(事務局)
塩崎教育長 橋本教育次長 田中課長 登山係長 神宮係長 小島専門員 大澤副主幹
江黒副主幹 大野副主幹 吉田副主幹 小川副主幹 本舘主任 宮川主任
議題
- 報告
- 今年度の主な実施事業について
- その他
会議の内容
1 開会
2 あいさつ
教育長
会長
3 議事
(1)報告
今年度の文化財調査の結果について
(事務局)
次第に基づいて説明
1.樹木調査
2.建造物調査
(委員長)
ご質問等、ありますか。
(委員)
樹木調査の沼の窪のザゼンソウの補足ですが、オタカラコウはシカが増えている場所で繁茂する。イノシシ以外にもシカが増えてきていることが考えられる。イノシシの被害については修復されてきているが、回復した所にまたくるので、イノシシとシカと両方の対策が必要である。
(委員)
ここには沢水が流れているが、少し汚れている。基準値の範囲であるとのことであるが、観光地としてはいかがか。そのことも頭に入れておいたほうがいい。
(委員)
ソメイヨシノについては、報告の通りです。
(委員)
飯土井公民館について、事前に価値があることが分かっていれば違う方法もあったと思う。事が起きてから調査に入る。その段階では間に合わない。動かない文化財はいいと思うが、建築関係は不動産であるが、実は動産である。日本では古い建築を大事にしていこうという思想が定着していない。事前にめぼしい物はきちんと価値付けをして、文化財指定になっていなくても価値があるということを発信しないといけない。この建物のおもしろい所は隠居寺であるが、そこで葬儀もやっている。本堂と庫裏が一体となっている。県下でも例が少ない。明治になって廃仏毀釈でこの地区は仏教から神道祭になっている。仏壇があったところで神道としての祭をやっている。この建物は、寺子屋としても使われていた。寺子屋としても県下でも残っている物は少ない。玉村に嚮義堂(きょうぎどう)という郷校がある。伊勢崎藩の指導を受けていた学習館であるが、全国的に見ても建物がそのまま残っている例は少ない。飯土井公民館は、二之宮小学校の開校時に使われていたという記録もある。教育史的に見ても価値がある。残念ながら、今回は止むを得ないと思う。事前の把握が大事だと思う。
(事務局)
こちらで、事前に把握できていればよかったが、補助金の申請をして設計が変えられないということである。地元との話し合いで、できるだけ部材を残す、使えるものは使うということで残念ではあるがそれが、これが精一杯である。
(委員)
今回、関係部局からの連絡で分かったということであるが、そういうことがよくある。気付いている人がいて、本当に壊していいのかと連絡が入ってくる。繰り返しになるが、事前の把握が重要である。
(委員)
実は地元では有名であった。寺子屋や学制について教育史を考える上で重要である。明治期のことを教育委員会で調べていく段階に来ている。寺子屋、筆子塚、教科書などもチェックしたほうがよい。寺子屋と初期の学校は一体化している。悉皆調査してもよいかもしれない。
(委員長)
前橋市は近代の民家調査は一通りやっている。古い民家の名主クラスの家はほとんど寺子屋をやっている。お寺でもやっている。太田のさざえ堂は床を張って小学校として使っていた。県の教育センターでも古い教科書は集めていない。やるとしたら市町村でやるしかない。
(委員)
日本は、明治・大正時代の遺産に無頓着である。富岡製糸場も世界遺産を受けて国宝にした。同様に教育遺産、産業遺産も意識が低い。橋梁、築堤も文化財としての意識がなく取り壊されたり、改修されたりしている。教育遺産や産業遺産も明治・大正まで意識して残す必要がある。
(委員長)
建造物は戦後まで対象になってきている。橋などの土木遺産は重要であるが、県でも指定できていない。今まで県指定の民家はなかった。入沢家住宅を指定したが江戸時代の養蚕農家が指定されていないので、それより新しい近代養蚕農家も指定したいが難しい。神保家住宅を指定してやっと視野に入ってきた。身近にある普通のものが文化財となる。昔の概念ではいけない。調査委員が分野別に調査していくしかないと思う。
(委員)
筆子塚については、県の教育史、前橋市の教育史で調査されている。基礎資料を元に再確認し活用していくことが必要である。
(2)今年度の主な実施事業について
(事務局)
次第に基づいて1.~14.の概要説明。
- 国指定天然記念物「岩神の飛石」ガイドマップ作成
- 国指定史跡「女堀」保存活用計画策定事業
- 総社古墳群範囲内容確認調査事業
- 県及び市指定重要文化財「臨江閣」保存整備事業
- 東日本鉄道文化財団補助事業
- 里山学校事業
- 「大室古墳の教室」事業
- 前橋城絵図図版作成事業
- 市指定重要文化財「大徳寺総門」保存修復事業報告書作成事業
- 月田近戸神社の獅子舞保存修理事業
- 三夜沢赤城神社のたわらスギ保存事業補助
- 「岩神の堤」遺構測量及び発掘調査事業
- 前橋の蚕糸業に係る建造物群等調査事業
- 上野国府等範囲内容確認調査事業
(委員長)
ご意見、ご質問等、お願いします。
(委員)
遠見山古墳の調査をしてみてよく残っていると感じた。正確な範囲も分ってくると思う。総社古墳群や前橋の古墳時代のターニングポイントになると思う。来年度以降の調査に期待ができる。主体部についても収穫があると思う。
(委員長)
臨江閣の改修において、設計監理や施工を地元の業者も行った。意義のあることである。建築士会では、古い建物を設計監理できる人を養成する講座を実施している。100名を超える修了生がいる。富岡高校の御殿の国登録に係る調査及び書類作成を、その講座の修了生が担当している。今後、地元の人の活躍を期待している。
(委員)
女堀の記述について、伊勢崎市田部井町のあとに必ず(旧東村西国定)と入れて欲しい。送水地域については、渕名荘説と新田荘説がある。旧東村西国定が伊勢崎市に合併して田部井になったのだが、西国定は渕名荘地名で、田部井は新田荘地名なので混乱している。峯岸先生もいろいろな所で、必ず伊勢崎市田部井町のあとに(旧東村西国定)と入れて欲しいと言っている。ならったほうがよい。
(委員)
前橋城絵図作成事業について、よい図録が出来上がった。それに伴い、粕川の資料館で展示を行ったり連続講座を行ったり、また「前橋城をあるく」をテーマに文化財探訪をしたりしたとのことである。普及啓発していくのに大変よいことである。そこで、図録を見た人が現物、本物を見たいといった場合、どのような対応ができるのか。また、連続講座に参加できなかった人への対応として、講演録を残して欲しい。
(事務局)
原資料については、写真図版としてデジタル化してある。デジタルデータの活用を考えている。図書館と協議していきたい。国絵図について4回の連続講座を行った。講演録は今後考えていきたい。
(委員長)
沼田城にも関わっているが、ほとんど基礎資料がない。そこへいくと画期的でよい資料だと思う。
(委員)
植物の世界では、標本を大学や博物館でもデジタルデータ化してネット上に公開している。解剖やDNAサンプル等、本物でないとだめな物は要望があった時以外は公開しない。今回のような貴重な古いものについても、同様にどうしても実物でないといけないという場合以外は、デジタルデータでの公開がよいと思う。拡大すれば細かいところも十分に見られる。また、事務方の手続きも軽減されると思う。
(委員長)
国立公文書館での富岡製糸場の図面もデジタル化されており、ボイラーなども拡大するとよく分かる。
(委員)
たわら杉について、樹齢、年代は調べられるか。
(委員)
カーボン14や重水素での分析、成長錐での解析があるが難しいと思う。
(委員)
たわらスギの正確な年代が知りたいと思っている。樹齢はおよそ700年と言われている。818年に大きな地震があったが、赤城神社はその時の山崩れの抜けた土の上に立っている。たわらスギの樹齢が分れば赤城神社の年代が分るという事を頭に入れておいて欲しい。
(委員)
岩神の堤についての質問。所有者と指定の関係について。
(事務局)
所有は岩神の自治会と北側は市有地。調査後は指定も視野に入れていく。
(委員)
上野国府について、だんだん確信に迫ってきた。国府関連の遺構は見つかっているのか。
(事務局)
元総社小での調査で掘立て柱跡が出ている。今年度も掘立て柱跡は出ている。また西側からは、柵列、ピット群が出ている。22日の上野国府等調査委員会でその性格等、協議していく。
(委員)
開発目的の調査について、出てきた時に困るのではないか。市として、基本的な対策を考えておいた方がよい。
(事務局)
区画整理で出てくれば担当課と相談する。
(委員)
市として、基本的な対策を考えておいた方がよい。
(委員長)
それでは、よろしいでしょうか。
(3)その他
次の(3)来年度の主な実施事業について、今後の文化財調査について、説明をお願いします。
(事務局)
来年度の主な実施事業について、概要説明。
継続
- 国指定史跡「女堀」保存活用計画策定事業
- 総社古墳群範囲内容確認調査事業
- 里山学校事業
- 前橋の蚕糸業に係る建造物群等調査事業
- 上野国府等範囲内容確認調査事業
新規
- 大胡城跡ガイダンス施設整備
- 上細井中西部地区土地改良に伴う発掘調査
今後の文化財調査について、
- 旧一の鳥居 (富士見小暮)
- 桂萱小学校のアカメヤナギ
- 赤城神社参道の松並木 (宮城 三夜沢)
- 沼の窪ザゼンソウ現況調査
(委員長)
ご質問やご意見等ありましたらお願いします。
(委員)
赤城神社参道の松並木について、市の指定になってないと県の指定にならないという内規はないと思う。県の指定になっていなくても国の指定になることはある。市として指定する意図があれば主体的にしていくものである。
(委員長)
文化財を指定するときに調査ができているかが鍵になる。県も調査する余裕がないので市で進めるしかないと思う。建築の方でも、中島知久平邸を市で指定して、その後すぐに県指定、国指定になった。市で文化財の価値付けをして欲しいということだと思う。
(委員)
赤城参道松並木について、自然環境という観点では県の調査をしている。良好な自然環境を有する学術調査書報告書が出ている。指定するとすれば、名勝か史跡だと思う。赤城神社に付随するので史跡が妥当だと思う。松の太さやツツジなどから見ても天然記念物にはなりえない。景観から見れば名勝でもよいと思う。
(委員)
赤城神社の松並木は、元禄の国絵図などにも描かれている。1700年ごろにはすでに存在していた。歴史的に見るには、文献等で調べると確かなものになる。
(委員)
現道がよけて通っている。古い道が残っている可能性がある。
(委員)
参道としての道が2本あったと思う。地元で聞いてみるとよい。
(委員長)
草津の湯畑が名勝になったが、名勝となると文化財としての含む価値の範囲が広くなる。歴史的な経過や変遷を明らかにしていくことも求められる。県の文化財保護課にどういう方向に進めるのか相談したらよい。
(委員)
日光杉並木の例もあるように、二重指定もできる。歴史的な価値があると思うので、名勝と史跡で指定するとよいかもしれない。
(委員)
桂萱小学校のアカメヤナギについて、川に近い場所でしょうか。
(事務局)
桃ノ木川が近くにある。
(委員)
ここにあるということは、この場所にかつて湿地帯があったということが分かる。木が大きいということと共に、元植生、元地形を知ることができる重要な資料だと思う。
(委員)
旧一の鳥居について、撤去ということか。
(事務局)
傾いているので補修がしたい。市の指定になっているので補助を受けたい。
(委員長)
一度、鉄輪でとめる修理をしている。
(委員)
一時、赤城山頂にあったものでだいぶ痛んでいる。台座にある銘文と角田無幻の額は価値がある。室内に移すことも考えたらいかがか。
(委員長)
文化財的な修理はしていないようだ。やるとすれば、根継ぎをしたり耐震補強をしたりしなけらばならない。今後現地で検討したい。
(委員)
再度、桂萱小学校のアカメヤナギについて、指定するかしないかを考えた時に学校にあるということで管理をどうするか。ヤナギは折れやすいので管理責任がどうなるか心配。
(事務局)
木の大きさは十分であるが、学校の中にあるので見に来る人が校内にふらっと来ることにも問題が出てくる。今後一年間様子を見て、地元と学校と相談していく。
4 閉会
(事務局)
閉会の挨拶を教育次長より申し上げる。
-閉会の挨拶―
以上をもって、平成29年度第2回前橋市文化財調査委員会議を終了する。
以上
関係書類
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更新日:2019年02月01日