定例記者会見概要版(令和5年5月24日開催)
令和5年5月24日に開催された定例記者会見の要旨です。
日時
令和5年5月24日(水曜日)午後2時~3時20分
会場
市役所 4階 庁議室
動画配信(前橋市公式ユーチューブ)
1 案件説明
(1) 「おから」を再利用したバイオマスペレット開発
(市長)
相模屋食料株式会社では、豆腐の製造過程で大豆から出る「おから」を再生素材としたプラスチック用途への実用化に取り組み、おから51%を含む「おからペレット(バイオマスペレット)」を開発しました。
ごみの減量化や資源化に積極的に取り組んでいる本市としても、民間事業者によるリサイクル推進の観点から、相模屋食料株式会社の取り組みについて紹介させていただきます。
詳細については、鳥越代表取締役社長から説明をお願いします。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
前橋発のおから51%削減バイオマスプラスチックについてご紹介させていただきます。
私たちの会社である相模屋は豆腐屋です。豆腐業界ではトップの地位にあり、この19年間で売り上げが13倍に増えています。また、前橋市は実は豆腐の生産と出荷において全国トップの地域です。私たちは豆腐の町だと思っています。
豆腐は日本が誇るプラントベースフードや植物生食です。日本人は古来から大豆たんぱく食品でタンパク質を採ってきました。SDGsフードだと思っています。私自身も国連のニューヨーク本部で18年と19年の2年連続で3分間のスピーチの機会をいただき、豆腐に関する取り組みを紹介させていただき、今回の取り組みについても国連で説明しています。
豆腐業界は伝統食品の業界であり、伝統を守り変えるものではないという考え方が一般的です。業界が変わることは難しいと思われていました。しかし、私たちはネガティブな考えではなく、誰もやらないことに挑戦し、必ず勝てると信じています。
本日ご紹介する話も、終わってみれば誰でもできると言われるようなことです。ただし、実際にやった人はいないという試みです。これまで、伝統的な豆腐の新たなマーケットのカテゴリを創出させることや、破綻していく豆腐メーカーの救済と再建など、挑戦的な取り組みを行いました。これらは失敗すると言われましたが、結果として私たちは成果を上げ現在は豆腐業界でトップとなり、19年で13倍、グループで367億円の売上を達成しています。
次の私たちのチャレンジは、おからを使ったバイオマスプラスチックです。前橋市が推進する循環型社会の実現を目指し、一緒に取り組んでいこうと考えています。その中で重要なポイントとなるのがおからです。豆腐を製造すると必ず出るおからの処理方法が私たち豆腐屋の最大の課題となっています。
弊社は創業72年になりますが、創業当時から豆腐の製造方法と同時におからの処理方法を考えてきました。
どうやっておからが出るのか簡単に説明します。大豆を加工して豆乳とおからにします。豆腐は豆乳を使って日本が誇るSDGsフードとなりますが、おからは産業廃棄物です。おからは食べることができますが、膨大な量が発生しますので、食べきることができません。従来の処理方法では、産業廃棄物や食用、飼料、猫砂にしていました。1キロの大豆に対して1キロのおからが出ます。私たちは1年で5万3,000トンの大豆を使っていますので膨大な量のおからが出ます。
今回のバイオマスプラスチックの挑戦は豆腐屋の悲願と言っても過言ではありません。バイオマスプラスチックの製造方法は簡単です。おからとポリプロピレンを混ぜておからのペレットを作り、それをもとにバイオマスプラスチック製品を作ります。ただし、おからは非常に水分を含んでおり、プラスチック製造には適さず、変色やカビの発生も問題となります。プラスチックを作るのにおからを選択することはまず考えられません。
しかし、私たちはおからの問題に取り組んできたため、5年の歳月を経て全国初の取り組みとなる51%以上のおからを含むバイオマスプラスチックを製造することができました。バイオマスプラスチックの含有率は、10%から30%くらいですので、この50%いうのは、ものすごい数字だと思っていただければと思います。50%を超えると、プラスチックがプラスチック区分ではなく、おから化合物という区分になります。おからが51%入った段階で、プラスチックでなくなるとご認識いただけたらと思います。循環型社会を目指す中で、どういったことができるのだろうと、まずはおからのポット作りに着手しております。
また、途中段階ではありますが、ゴミ袋や豆腐パックをこのバイオマスプラスチックで作っていくことにも取り組んでいます。
このような弊社の取り組みを前橋市でご関心いただき、道の駅まえばし赤城の開駅セレモニーやG7の会合で展示したり、桃瀬小学校での環境学習に使用したりしています。このような形で、前橋発のおから51%混合のバイオマスプラスチック、まさに日本の伝統食品のお豆腐やおからの常識を変える取り組みです。産業廃棄物つまりは負のものであったおからをバイオバス原料、必要なものにしようと大転換を起こしています。そうした中で、循環型社会の実現に貢献していこうと考えております。まずは、全国にあるグループ会社で展開を広げていきたいと思っています。引き続き挑戦し続けたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
(2) まえばし市民ミュージカル「灰になった街」公演チケットの販売を開始します
(市長)
本市の最も忘れてはいけない過去の記憶、戦争についてお話しします。前橋空襲によって大勢の市民の命が奪われたことを、私たちは次の世代に引き継いでいく責任があります。こうした中、「灰になった街」というミュージカルを市民に届けます。ミュージカルの総監督である新陽一さんにお越しいただいております。
(同実行委員会 新総監督)
前橋市民ミュージカル総監督の新陽一です。前橋市民ミュージカルは戦後70年の年である2015年に、535人もの犠牲者が出た前橋空襲の悲劇をミュージカルとして上演してほしいという山本市長からの肝いりの要請により始まりました。
2014年に発足し、1年間の練習を経て2015年に「灰になった町」、2017年に「我愛你(ウォーアイニー)」、2019年に「鎮魂歌」と、前橋空襲3部作を前橋市の主催事業として上演しました。
その後、市の共催という形で市民の自主事業として続けられてきました。この3部作は2年ごとに上演する予定でしたが、コロナ禍により2年間延期となりましたが、今般8年ぶりとなる8月5日・6日に上演が予定されています。
この作品は2008年に前橋女子高校の音楽部で上演したオリジナル作品で、脚本は私が担当しました。作曲は前橋市出身の新進気鋭の作曲家・神山奈々さんが手がけており、3時間ほどのミュージカルとなっています。舞台は前橋高等女学校(現在の前橋女子高校)や桑町商店街(現在の千代田町アーケード街)、理研前橋工場(現在の理研鍛造)など、前橋市内の様々な場所が舞台となります。
このミュージカルでは、堤ケ丘飛行場での特攻隊の出撃などを盛り込み、クライマックスは比刀根橋防空壕で多くの方が亡くなった惨劇の様子となります。
こちらは4月23日に実施したプレ公演の写真です(モニターに写真を表示)。真珠湾攻撃の大勝利の知らせを受けて、前橋市民が喜んでいるシーンを捉えたもので、たくさんの人がポーズを決めています。次の写真は桑町商店街のシーンで、小学生を含む63人の老若男女が参加しています。次の写真は桑町商店街のダンスの場面です。このミュージカルでは若い人だけでなく、50代や60代の方も一生懸命にダンスをしています。次の写真は理研前橋工場の研究室のシーンです。これはフィクションであり、実際の前橋工場では行われていません。ドラマでは風船爆弾の開発をしている設定となっています。実際には女学生たちが和紙をこんにゃくのりで貼り合わせて風船を作ったという史実があります。次の写真は最も華やかなシーンです。前橋高等女学校の生徒たちがミュージカルをしたいと夢見て踊っている場面です。
空襲をミュージカルで表現しようとする町は全国で前橋だけだと思います。史実を基にフィクションを織り交ぜミュージカルで表現しているのは前橋だけです。前橋市民ミュージカル実行委員会では、今後もこの3部作を2年おきに上演し、前橋の文化として定着させたいという希望を持っています。本公演は8月5日と6日に予定されており、8月5日は78年前に前橋空襲があった日です。チケットは昌賢学園まえばしホールで販売されています。電子チケットの購入も可能です。公演のための練習も行われておりますので、ぜひ取材にお越しいただければと思います。
(3) 「MAmore(マモーレ)-前橋愛-」を実施します
(市長)
本市の活性化を目的に「MAmore(マモーレ)‐前橋愛‐」というプロジェクトが始まります。このプロジェクトは、地域おこし協力隊のパーベル フョードロフ隊員と(一社)アートリンクジャパンの皆さんを中心に、本市に暮らす外国人と地域の人達との交流を通じて、本市を国際交流の拠点として盛り上げていただく取り組みとして実施される事業です。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ隊員(通称パーシャ))
市内には約7,000人の外国人が住んでいます。しかし、地域の人との交流が極めて少なく、出会いのチャンスがなかなかありません。そこで、外国人と前橋市民が一緒になって前橋をどうやって盛り上げていけるのかを考えた結果、「MAmore(マモーレ)」というコンセプトが生まれました。「MAmore(マモーレ)」の“マ”は前橋の“マ”。“アモーレ”は愛。つまり、共に分かち合い、巡り合い、共に行動を起こす、行動を取る、前橋を愛するというコンセプトです。
私が前橋に来たのは去年の10月です。夕方や夜に町を歩いてみると、照明が少なく空き家が多く、ゴーストタウンというイメージがかなり強かったです。それは意外と良いチャンスだと感じました。このまま生かせれば、街自体をアトラクションにできるのではないかと思いました。
そのために必要なことがストリートアートです。国籍関係なく、お年寄りでも子どもでも、アマチュアでもプロでも、誰でも参加できます。外国人が参加することによって、SNSの発信で前橋のことをもっと知ってもらえるのではないかという極めて簡単な発想です。
当初、ビルを選びこのプロジェクトを始めようとしたところうまくいきませんでした。日本は「やらなきゃいけない」という概念よりも、「やってはいけない」という概念の方が強かったためです。つまり、様々な規制や規定、制限、ルールがありました。私たちが選んだビルは窓が多く、窓の周りにはペイントができず、そもそも、壁面1枚をそのままペイントすることもできませんでした。絵を分けなければいけません。こうした中、新しい発想として生まれたのがストリートアートで、まだ誰も実現していないコンセプトであるパズルです。パズルは分かれているかのように見えますが、うまくつなげれば一つの絵になります。
ご覧いただいているビルは立川町通りにあるチサビルです。窓が少なく使える面積が多くなっています。このプロジェクトは子どもやお年寄りなど誰でも参加できます。ビルの上部は安全面からプロが作成することになりますが、基本的には誰でも自由に参加できます。コンセプトを実現するために、クラウドファンディングやスポンサーが必要です。
「MAmore(マモーレ)」のもう一つの意味として“Am”を取ると“More”。追加、もっと、拡大の意味です。「ストリートアート+α」。ストリートアートにふさわしいその他のアクションが必要になるのではないかと思います。例えば、ヒップホップダンスのコンテスト、またストリートフードとしてファーストフードのコンテスト、短編映画祭など。これらを同時にやれば参加者も増えるし、街自体ももっと盛り上がるのではないかと考えています。また、ウクライナとロシアが戦争している中で、国籍関係なく、我々が一つの作品を作る価値はすごく高いと思います。これは前橋、「MAmore(マモーレ)」だからできることです。多様性が求められている現在において必要不可欠なプロジェクトです。皆さんの力を借りて、「MAmore(マモーレ)」という言葉をどんどん宣伝していただき、生活の一部になっていただければ嬉しいです。
(4) 「WONDER NATURE LABO」キックオフイベントを開催します
(市長)
小学生を対象に非認知能力を育む自然探求プログラム「WONDER NATURE LABO(ワンダーネイチャーラボ)」のキックオフイベントを開催します。
まえばし暮らしテック推進事業で構築した「Wonder Watch(ワンダーウォッチ)」のアプリを活用します。
(東邦レオ株式会社 和田ディレクター)
東宝レオの和田と申します。「WONDER NATURE LABO(ワンダーネイチャーラボ)」は、子どもたちの非認知能力を高めることを目的とした教育プログラムです。非認知能力とは、テストで高得点を取るための勉強ではなく、社会人になった際に求められるコミュニケーション能力や想像力、課題発見力などです。こうした能力を子どもの時から育まれる環境が整っていることが重要との認識が世界中で持たれています。日本においても文科省や群馬県でも同様の方向性が打ち出されています。
この非認知能力の身につけ方については、まだ試行錯誤の段階で、テストの点数では測れないため、何をすれば良いのかが分かりづらい状況です。一方、自然体験の多い環境で育つことが、この能力の向上に繋がるという研究結果もあります。私たち東宝レオは、都市緑化に40年以上携わってきた会社です。緑をきっかけとした非認知能力を高めるサービスを作れるのではないかという考えから、令和4年度暮らしテック推進事業の中で提案させていただきました。
なぜ自然体験が多いとその能力が身につくのか私たちは考えました。自然界は都市部と比べて圧倒的な情報量があります。この情報量に触れることで、様々な気づきや探求心が刺激され、そのような能力が鍛えられるのではないでしょうか。そこで、今回は前橋の豊富な自然環境をフィールドにした教育プログラムを作る取り組みとなります。
アーティストや映像クリエイター、建築デザイナー、微生物研究者など様々な分野で活躍している方々が講師として参画し、子どもたちの非認知能力を高めるというテーマでプログラムを作っています。子供たちは本気で一つの分野を突き詰めて取り組んでいる大人と対話したり、体験を共有したりすることで、様々な気づきや感動を体験することができます。
また、令和4年度暮らしテック推進事業の中で、デジタルを活用した非認知能力の向上を目指し、「U-GREEN walkまえばし」と「ワンダーウォッチ」という2つのアプリケーションを開発しています。「U-GREEN walk」は、まち歩きのアプリですが、あえて道草を食うルートが提示され、偶然性から新たな出会いや発見を体験することができます。
もう一つの「ワンダーウォッチ」は、生き物や植物の写真を撮り、AIがそれらの名前を判定してくれます。ただそれだけでなく、その撮影時の感動を自分自身で記録し、感情を記録することができます。このようなことを繰り返すことで、前橋の子どもたちはどこで何に感動したのか、感動ポイントがたくさん見えてきます。これによって、町の新たな価値を共有することができるのではないかと思っています。
6月4日にキックオフイベントを予定しています。楽歩堂前橋公園で、先ほど紹介した講師の一人である平井文彦さん(日本代表の昆虫映像クリエイター)と共に、超スローで超ミクロな写真を撮影することで、肉眼では確認できない自然の神秘を体験します。このイベントは虫取りが目的ではなく、虫を撮影し新たな発見があるかどうかを体験することを目指しています。
その他
・生活困窮世帯の子どもに対する宅食事業の検討について
(市長)
先般、NHKの放送に取り上げていただきましたが、本市では4,000人の子ども達に対して支援を行うことになりました。一人親世帯や生活困窮世帯の子ども達、物価高騰によって所得が激減し、急遽、生活困窮に陥った家庭の子ども達が含まれます。
本市はフードバンクを設置し、子ども達のために新たな食糧支援の形を模索し始めました。頑張っているこども食堂やフードドライブの関係者には感謝していますが、まだまだ行き届いていない部分もあります。そのため、4,000人の子ども達の保護者に対してアンケートを実施し、新しい食料支援のニーズを把握したいと考えています。
具体的な対象人数は、食品関係者の方々からの提供物資の量によって変わってくるものと思われます。食材だけでなく、生理用品や保存食品などの提供も考えられます。OECDの調査によると、ひとり親世帯の貧困率で日本は最下位に位置しています。困った時に相談できる人がいないと感じているひとり親の保護者は4人に1人もおり、現代社会の厳しい現実となっています。このような状況に向き合い、取り組んでまいりたいと思います。先日、NHKからの単独取材を受け、皆様からも問い合わせがあったため、会見の冒頭でこの旨をお伝えしました。
2 質疑応答
(1) 「おから」を再利用したバイオマスペレット開発
(記者)
おからバイオマスプラスチックのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
長年の課題としておからの問題をどうしたらいいか、あれこれ考える中で出てきたアイデアだと思っていただければと思います。
(記者)
これまでのおからの処理方法を具体的に教えてください。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
大多数は産業廃棄物として処理を行っています。あとは、食用で販売しているほか猫砂の原料として猫砂メーカーに引き取ってもらっています。
また、大量に出るおからの処理方法としてはあまり適していませんが、鳥の餌として引き取ってもらっています。
(記者)
おからバイオマスプラスチックをなぜポットにしようとしたのでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
おからを使うことのメリットとして、栄養価が高いことが挙げられます。その点を生かそうと思い立ったのがポットであり、もう一つは農業用シートです。既存の生分解の農業用シートにおからを加えると、土に還りつつ、おからの栄養価で土が復活するようなことができればいいなと思い取り組んでいます。
(記者)
おからを産業廃棄物や食用として処理しているとのことですが、それぞれどのような割合でしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
3分の1が産業廃棄物で、残りのほとんどは猫砂の原料になっています。
(記者)
御社のケースでは食用にしているのはわずかということでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
私どもだけでなく豆腐業界の課題として、ほとんど一部しか食用になっていません。
(記者)
年間4万トンのおからが出ていると資料にありますが、御社の数字ということでよろしいでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
私どもと群馬県内のグループ会社で出ている量です。全国のグループ会社では5万トンを超えています。
(記者)
そのうちの3分の1を廃棄しているということでよろしいでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
相模屋食料という会社本体では、およそ3万6,000トンのおからが出ています。そのうちの約1万2,000トンが産業廃棄物に回っています。
(記者)
生分解性があるということでよろしいでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
生分解性は別の話で、私どもはおからだけです。生分解性があるという実証はできていません。
(記者)
おからにポリプロピレンが混ざることによって生分解性があるということでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
私どもはその段階に達していませんが、プラスチック業界では進展していると聞いています。
(記者)
ポットにするのはおからの栄養分が土に溶け込むという認識でしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
土に溶け込んでよく育つのではないかということです。実施しながら検証していきます。
(記者)
資料ではペレットと記載されていますが、御社はペレットを販売していくということでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
二通り考えています。
ペレットを販売することと、ポットや袋にして販売することです。どちらに比重を置くかと言われれば、ペレットメーカーになりたいと思っています。
(記者)
ペレットを外販して消費財メーカーに売って加工してもらうのと、御社自身でもポットや袋を作ったりすることを両立するということでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
内製化という意味では、ペレットの製造までを確立しています。その先についてはOEMで委託をしてポットや袋を作っていただき、私どもで買い受ける図式になっています。プラスチックの製造に関してはプロの方にお任せして、私たちはおからからペレットを作るまでに集中して取り組みたいと思っています。
(記者)
普通のプラスチックと比べてコストはいかがでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
現状ではコストが少し高くなる傾向にあります。まだ小規模で実施しているため、大規模展開ができるようになればコストは下がると思います。おからは産業廃棄物としてお金を払って引き取ってもらっていますので、簡単に言えば原材料費はゼロとなります。
(記者)
御社だけで年間1万2,000トンのおからを廃棄しているということですが、将来的に事業が軌道に乗れば、おからの廃棄物処理量はどの程度になる見通しでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
目標としては、全て無くしたいと思っています。袋や豆腐パックの成功は非常に難しいと思いますが、成功すれば大幅に減らすことができます。1キログラムのおからから1.46キログラムのペレットが作れます。1万2,000トンに1.46をかけた量のペレットができると考えられます。したがって、事業化できれば今まで負だったものが完全に正のものになります。
(記者)
この取り組みは、豆腐業者にとっては廃棄物の量を減らすことにつながり、利用者にとっては環境負荷の少ない製品を使用できるというメリットがあるかもしれません。他にもメリットがあれば教えてください。例えば、プラスチック100%のものに比べて分解しやすいというようなことがあるのでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
今のところ、そのような内容は持ち合わせておりません。おからがどのように有用に作用するのかは研究したいと思います。現時点では産業廃棄物を有益なものに変えることに集中しています。
(記者)
本格的な事業化はいつ頃から始まる予定でしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
テスト販売は既に始めています。おからポットは1,400円程度の価格で一部販売をしています。
なお、3年後に1億5,000万円程度の売り上げになれば良いと考えています。5年後に一気に広げられれば10億円の規模になるのではないかと思っています。
(記者)
おからポットはどこで購入できますか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
道の駅まえばし赤城で購入できます。
(記者)
全国展開するとのことですが、全国のグループ会社内で展開、製造するということではなく、全国に向けて販売していくということでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
その通りです。おからは捨てるものでなく、金の卵であるという認識を豆腐業界中で広めたいと思っています。新しい挑戦に対して冷ややかな反応があることが予想されますので、私どもで範を垂れるという姿勢でやっていきます。全国に売ることは可能だと思いますので、ペレットの販売先は全国規模考えていますが、まだスタートしたところです。
(記者)
おからを廃棄処理する際にかかる概算費用を教えていただくことは可能でしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
具体的な数字は持ち合わせておりませんが、年間で1億円から2億円の範囲ではないと思います。
(記者)
相模屋食料本社の工場でペレットの製造をしていくということでよろしいでしょうか。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
その通りです。小さな設備で3億5,000万円ほどかけて取り組んでいますが、大規模に展開する際にはしっかりとした工場を持つことになると思います。
(記者)
問い合せ先を教えてください。
(相模屋食料株式会社 鳥越社長)
相模屋食料の本社にお問い合わせください。
(市長)
様々な形での活用が可能だと思います。前橋発の新しい取り組みであることを嬉しく感じます。市としても積極的に活用を考えていきたいと思います。
(2) まえばし市民ミュージカル「灰になった街」公演チケットの販売を開始します
(記者)
今回公演する「灰になった街」は、2015年の公演から変更されている点はあるのでしょうか。
(同実行委員会 新総監督)
基本的には変わりませんが、演出がだいぶ変わっています。また、メンバーの数も若干変わっており、大多数は初めて出演するメンバーです。
(記者)
演出の変更点を具体的に教えてください。
(同実行委員会 新総監督)
前回の公演では、子どもたちは物語における主要な扱いではなかったのですが、今回は物語の前面に立って引っ張っていく役を演じています。小学校高学年の子どもたちが期待に応えて活躍してくれています。
(記者)
コロナ禍により、8年ぶりの再演とのことですが、改めて再演への思いなどをお伺いできますでしょうか。
(同実行委員会 新総監督)
ミュージカルで空襲を追体験してもらうという試みは極めて珍しいと思います。8年前と違い、現在はヨーロッパの戦争の情報が連日伝わってくる中で、平和の大切さが8年前以上に重要になっている状況です。そのような中で、この作品の意義がさらに大きくなっていると考えています。
(記者)
「我愛你(ウォーアイニー)」や「鎮魂歌」のオーディションの予定は決まっていますか。
(同実行委員会 新総監督)
まだ決まっていません。
(記者)
今回の公演は昨年の8月7日にオーディションを実施したということでよろしいでしょうか。何人が応募して最終的に何人に絞られたのでしょうか。
(同実行委員会 新総監督)
その通りです。70名以上が応募して、最終的に63人に決定しています。
(記者)
選ばれた人たちは1年間にわたり練習に励んできたということでしょうか。
(同実行委員会 新総監督)
はい。その通りです。
(3) 「MAmore(マモーレ)-前橋愛-」を実施します
(記者)
アートペイントを行う立川町通りのビルの名称を教えてください。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ隊員)
チサビルです。元々はファッションビルでした。
(記者)
クラウドファンディングの目標額は決まっていますか。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ隊員)
目標額は50万円です。その他の費用は協賛で応援していただきたいと考えています。
(記者)
アートペイントについて、パズルの形のパネルに描いてもらい、それを貼り付けるイメージでよろしいですか。
((一社)アートリンクジャパン 担当者)
デザインを担当する平子と申します。初めは壁に直接描く案でしたが、上の方は足場の問題など危ないため、脚立で届く範囲は参加者の皆さんが直接描いてもらい、後は下に置いたパネルにペイントなどして、仕上がった状態で上に貼り付けることを想定しています。
(記者)
外国人と前橋市民が1日か2日集まって一緒にイラストを書くようなイメージでしょうか。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ隊員)
現在もデザインを考えるなど毎日のように会議をしています。実現するときはみな集まって仕事を分担して進める予定です。
(記者)
一般の参加者は、アーティストが描いたパネルの中に書き込むイメージでしょうか。それとも真っ白なキャンバスのパネルの中に絵を描くのでしょうか。
((一社)アートリンクジャパン 担当者)
基本的にはテーマが決まっているため、アーティストがコンセプトに従った絵を描き、その絵の中に自由に描ける範囲があったり、色の指定があったりして描いていただきます。
(記者)
アーティストが下絵をある程度完成させているイメージでよろしいでしょうか。
((一社)アートリンクジャパン 担当者)
そのイメージが近いです。一方で、自由に描けるスペースも設け、両方により絵が仕上がるような段取りを予定しています。
(記者)
デザインのコンセプトは決まったテーマがあるのでしょうか。
((一社)アートリンクジャパン 担当者)
大きなテーマはパズルです。人と人のつながりやみんなで力を合わせて1つのことを仕上げるパズルというコンセプトを設けています。1枚ずつのパネルには、外国人にも馴染みのある群馬や前橋にちなんだものが描かれます。例えば左上の例では、赤城山の風に乗ってサーフィンをしている人を描いています。このように、前橋に関連する要素を取り入れつつ、ボランティアが集まった際に様々なアイデアが出ると思うので、会議をしながらデザインを固めていきたいと考えています。
(記者)
原案に携わっている外国のアーティストは何人いますか。アーティストとしての仕事をしている方でしょうか。
((一社)アートリンクジャパン 担当者)
4人います。現在もアーティストとしての仕事をしている人のほかに、母国ではアーティストとして活動していましたが、今は日本で別の仕事をしており、このプロジェクトに関わりたいという人もいます。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ隊員)
少し付け加えますと、去年の5月からウクライナ人のアーティストが何人か住んでいて、ロゴの制作などに取り組んでいます。先ほど申し上げたゴーストタウンというイメージをプラス思考で考えてほしいです。ゴースト・幽霊は日本の象徴というイメージが自分にはあります。モニターに表示した案では、上から吹く赤城おろしがビルの中央で幽霊の顔になっていくイメージです。
(市長)
いつ頃に展示が始まる予定でしょうか。
(地域おこし協力隊 パーベル フョードロフ氏)
これからクラウドファンディングを行い、8月の中旬から2か月間のイベントを予定しています。10月頃に展示が始まる予定です。
(市長)
ちょうど10月は、アーツ前橋の10周年の特別展とも重なります。前橋がアートに染まり、皆で連携しながら実施できるのではないかと思います。
(4) 「WONDER NATURE LABO」キックオフイベントを開催します
(記者)
このキックオフイベントは7月に開講するワンダーネイチャーラボの先駆けになるかと思いますが、ワンダーネイチャーラボ自体は、先ほど紹介いただいた2つのアプリを活用して自然に親しんでもらうということでしょうか。
(東邦レオ株式会社 和田ディレクター)
アプリありきではありません。デジタルは目的ではなく手段として扱うことにしています。アプリを使ったプログラムを考える講師もいれば、使わない講師もいます。
(記者)
7月に実施するイベントは今後発表されるということでしょうか。
(東邦レオ株式会社 和田ディレクター)
7月中旬から全10回のプログラムを予定しています。
(記者)
和田さんは、このイベントの企画者ということでよろしいでしょうか。
(東邦レオ株式会社 和田ディレクター)
はい。その通りです。暮らしテック推進事業のデジタルを活用した教育サービスを提案した事業者の担当者です。
(市長)
ソーシャルインパクトボンドを通じて資金を調達し、その社会的な効果を幸せという指標で評価することが求められています。金融機関としてはその評価指標の数値化が難しいと言われていますが、今回の企画でソーシャルインパクトボンドつまりは幸せの向上、ほほえみ係数みたいなことが出てきてくれればいいなと考えています。
その他
・南スーダンのサッカー選手の受け入れ
(記者)
明日25日の夜に南スーダンから17歳と18歳の二人のサッカー選手が日本に来て、半年間滞在すると思います。東京オリンピックで選手を受け入れたことを踏まえた事業だと思いますが、二人に望むことやどのような経験を積んでもらいたいか期待をお聞かせください。
(市長)
以前の5人の選手たちは、1年の予定が1年8か月滞在してくれて、市民からすれば南スーダンという国とオリンピックのホストタウン以上の連携が生まれたと思います。その時に沢山の人の寄付が残り、それを使ったレガシー事業をパリオリンピックまでしていこうということで、二人のサッカー少年をザスパクサツ群馬さんにお預かりいただくことになりました。
私とすれば前回のように新しい友情が生まれれば面白いのではないかと期待しています。
・台湾訪問を通じた新たな取り組み
(記者)
5月に市長が台湾を訪問されたか思いますが、その訪問を通じて新規の取り組みに繋げるような予定はありますか
(市長)
台南市長の方からは発表されていると思いますが、本市と台南市は歴史的な縁があり交流を始めています。6月30日から7月2日までの3日間、台南フェアという台南の農産物の紹介や、本市の農畜産物を台南に送るなどの交流を行うことを約束しました。そのため、台南市長さんが本市を訪れ、台南フェアを開催する予定です。
・マイナンバーカード関連の誤登録
(記者)
マイナンバーカードの関係で、昨日、河野太郎デジタル担当大臣が6自治体での公金受取口座の誤登録について発表しました。加藤厚生労働大臣は保険組合によるマイナ保険証の誤登録について発表しています。市内で同様のトラブルを把握していますでしょうか。把握していない場合でも今後の対応について教えてください。
(市長)
現時点ではそのような情報は把握しておりません。問題があった場合は報告いたします。
(記者)
基本的には国が調査していると思うのですが、市独自での調査の予定はないでしょうか。
(市長)
そういう課題が出れば私どもに報告がありますので、会見などで報告させていただきます。
・生活困窮世帯の子どもに対する宅食事業の検討について
(記者)
冒頭で発言された食料支援の実施の狙いや思いについて、改めてお聞かせいただけますでしょうか。
(市長)
冒頭に申し上げました通り、OECDの中で一人世帯の貧困率が最も高いのが日本です。今回は4,000人の子どもを対象に支援給付を行うこととなっておりますので、その機会を捉えアンケートなどを行い、我々の支援物資のお届け方式である子ども宅配の必要性を確認しながら進めていきたいと思っております。本市はデリカ産業都市ですので、相模屋食料株式会社や様々な食品製造業者がここに集っております。いろんな方々からすでに支援の申し入れをいただいております。この事業は我々の熱意と受けたいという人たちの気持ちが繋がれば、必ず事業を実施できるものだろうと考えております。
(記者)
事務方にも話を伺いたいのですが、今日は来ていますでしょうか。
(市長)
今日は来ておりません。
(以上で終了)
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更新日:2023年06月28日