定例記者会見概要版(令和5年9月27日開催)
令和5年9月27日に開催された定例記者会見の要旨です。
日時
令和5年9月27日(水曜日)午後2時~3時35分
会場
市役所 4階 庁議室
動画配信(前橋市公式ユーチューブ)
1 案件説明
(1) 市有施設を活用した宿泊事業を始めます
(市長)
まず、市有施設を活用した宿泊事業についてです。屋根の上に土が積もり、ぺんぺん草が生えている山の中の小さな朽ちた家を想像してください。そんな無価値な家が価値あるものへと変わっていく魔法を紹介します。それを実践しているのが株式会社LOOOF(るうふ)の丸谷さんです。丸谷さんからお話しいただきます。
(株式会社LOOOF 丸谷氏)
株式会社LOOFと株式会社プエドの2社で、富士見町にある前橋市が所有する空き家を一日一組限定の地域ホテルとして展開したいと考えています。まず、我々がどのような事業者なのか説明いたします。初めに、株式会社プエドの担当者より説明いたします。
(株式会社プエド 菅野代表)
私は元々、東京や大阪などで「パパブブレ」という金太郎飴屋を経営しており、その後、事業を売却し、福祉事業の幼児教室や投資事業などを行っておりました。この度、株式会社LOOFと出会い、前橋市内にある物件をよみがえらせるビジネスを展開しようと一緒に仕事をすることになりました。弊社はブランディングや小売りなど小規模ビジネスを得意としています。
(株式会社LOOOF 丸谷氏)
社名の株式会社LOOOFはローカルオフ、地域で休息しようという意味を表しています。6年前から事業化し、千葉県と山梨県に合計12棟の古民家の宿とグランピング施設を経営しています。企画、設計、施工、運用まで一貫して実施しているところに特徴があります。私たちは空き家となった負の遺産をホテル化することで、過疎地域の課題を解決するソーシャルベンチャーです。
私たちが前橋市でこのプロジェクトを進める理由は、市が掲げる「スーパーシティ×スローシティ」のコンセプトに共感したからです。弊社は既に山梨県や千葉県でITテクノロジーにより課題を解決する事業を実施しています。山本市長から空き家をご紹介いただき、前橋・赤城山の素晴らしい自然を生かして地域に貢献したいという思いでこの事業に取り組んでいます。
また、赤城山周辺には今回の市有施設以外にも物件があり、契約が進行中です。詳細はまだお伝えできませんが、3つの物件で6部屋の宿泊施設を整備し、関係人口を創出したいと考えています。地域の良さを生かすことを大切にし、地域で活動する生産者をつなぎ、小さな地域経済を生み出すことを目標にトライしています。
今回のホテルは、「トラベル&オフィス」というコンセプトで、地域や東京の企業が合宿できるような一棟貸しのホテルとして生まれ変わらせようとしています。この建物は元々西洋的な作りでした。ミーティングルームやリビングスペース、ワークスペース、小分けで泊まれる客室を設け、プライベート空間を確保し、一日一組限定のホテルとして生まれ変わらせます。既存建物の良さを生かしながら地域のショールームになるようなホテルを目指しています。来春の事業展開を目標にプランニングを進めています。
(市長)
市民の皆さん、壊す前に相談してください。空き家が生まれ変われるかもしれません。あるいは、その宿の支配人として東京から孫を呼び寄せることができるかもしれません。孫のために仕事を作る民泊経営者、格好良いと思います。あるいは、お切込み名人の近所のおばあちゃんを料理の担当に雇えるかもしれません。赤城に来て、そうした料理を食べたいのです。朽ちていた古民家から経済が生まれるのです。他の2物件が言えず残念ですが、計3棟の新しい民泊施設が株式会社LOOOFの力で赤城に整備されます。
(2) 片原饅頭がオープンします
(市長)
生まれ変わったもう一つのプロジェクトは片原饅頭です。キリスト教徒・新島襄の弟子である宮内文作が170年前に上毛孤児院を設立し、障害者を雇って片原饅頭を作ったというストーリーが現在に復活します。この復活プロジェクトについて、株式会社片原饅頭の星野代表からお話しいただきます。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
片原饅頭をより良く発展させリブランディングしました。片原饅頭の上と横から見たデザインに変え、ロゴも刷新しました。
9月9日に試験営業を開始し、1カ月も経過しないうちに本営業に移行します。営業日は火、水、木、土曜の4日間ですが、今後は5日間オープンできるようにしたいと考えています。当面は箱売りで、6個入り1,250円で販売します。営業時間は10時から13時までで、10月3日のオープンに先駆け電話予約を受け付けます。
店舗の場所は、広瀬川サンワパーキング1階東側です。ガラス張りで外から中がよく見える作りになっています。作業中の様子や使用している機械を見せたいという思いがあったため、市が実施する店舗の公募に申し込みました。
なぜ、片原饅頭を引き継ぐことになったか説明します。弊社は、株式会社ワークエントリーが100%出資する子会社で、ワークエントリーは高崎に本社を置き、20期目に入った会社です。群馬県や栃木県、厚生労働省、経済産業省などの官公庁と連携して就業支援を行っています。
求職者と企業とのマッチングをしている中で、5年前から事業承継の問題に取り組んできました。地域に愛されている商品やサービス、地域資源をどのように残していくかが重要と考えていました。そうした中で、産業支援機構の事業承継引継ぎ支援センターから片原饅頭についてお声掛けいただいたのがきっかけです。
片原饅頭を販売していた前任者である福島さんとの面会等を通じて、この伝統を守るべきだという使命感が生まれ、交渉の末2022年の1月に事業譲渡の締結に至りました。管理栄養士、調理師、製菓衛生師などからなるプロジェクトチームを組織し、福島さんからの伝承と研究開発を進めてまいりました。
承継者問題で経済が失われていく中、弊社にとって大きなチャレンジでしたが、今回こうして開業に至った次第です。
(市長)
本物の味ですよ。中学校の帰り道に毎日2個ずつ買っていました。冷えたら温めて、ちょっと炙ると焦げ目がついて、それがおいしいのです。保存剤が入っていないから大量生産できません。予約販売という形でスタートした、星野さんのガッツにお礼を申し上げたいと思います。
(3) こどもフードパントリー事業の開始に伴うクラウドファンディング型ふるさと納税を実施します
(こども支援課)
本市では、昨今の物価高騰の影響を受けている、特に一人親家庭の支援をするため、こどもフードパントリー事業を開始します。
この事業は、食品や日用品を一人親家庭に配布することをきっかけに、その家庭の困りごとがあれば、必要な相談や支援につなげていくことを目的として開始します。この点から、フードバンクやフードドライブといった言葉と区別する意味で、フードパントリーという表現を使っています。
配布対象者は、児童扶養手当を受けている方のうち住民税非課税の家庭です。最大で約1,300世帯を見込み、本日、利用希望に関するお知らせを郵送で配布する予定です。申請があった家庭に対して食品等を配布します。フードバンクやこども食堂などを利用することをためらっている家庭においても、食品等の物質的な支援にとどまらず、支援の思いやさまざまな相談窓口、支援制度などを利用してもらう取り組みにしていきたいと考えています。
この事業の仕組みですが、企業や団体からお米や常温保存可能なインスタント、レトルト食品のほか、ティッシュペーパーなどの日用品の寄付を募ります。そして、寄付をいただいた物品などと一緒に相談窓口等の支援案内を配布します。現在、受け付けを開始し、たくさんの企業・団体の方から協力の連絡をいただいております。なお、物品だけでなく、例えばお店での無料クーポン券や引換券など、協力いただける形でのご支援も受けられればと考えておりますのでこども支援課まで連絡をお願いします。
実施のスケジュールですが、1回目の配布を11月から始め、その後も継続的に配布する予定です。
次に事業費についてですが、令和5年第3回定例市議会において750万円の補正予算が可決されましたが、全国からこの事業に賛同いただける方を募り、一人でも多くの方への支援をつなげるために、クラウドファンディングにチャレンジします。実施期間は、本日午前10時から12月25日までの90日間で、目標金額は今回の事業費と見込んだ750万円に設定しました。
集まった寄付金の使い道としては、企業・団体から寄付いただいた食品や日用品を仕分け、梱包するための委託費や配送料、ダンボール等の関連資材の購入費などに充てます。目標金額に達しなかった場合でも、本事業のために有効活用したいと考えております。クラウドファンディング型ふるさと納税の概要は資料のとおりです。返礼品の設定はありませんが、困っている家庭や子どもたちのために何かできることはないかと考えてくださる方がいましたらぜひ協力をお願いします。
(4) 「新成人向けマイナンバーカード普及促進キャンペーン」を実施します
(市長)
マイナンバーカードがなければ、子育て・応援給付金をめぶくPayで支給することができません。多くの方にめぶくPayを使っていただくためにもマイナンバーカードの普及が必要です。成人された方に抽選で1万円分のクオカードをお渡しする仕組みを考えましたので、詳細については資料をご覧ください。
(5) 電子地域通貨「めぶくPay」を開始します
(市長)
世の中を変える本物が出てきました。「めぶく」の力で貨幣とは違う新しい価値を作っていくというお話です。めぶくグラウンド株式会社の福田さん、大野副市長から説明いたします。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
めぶくグラウンド株式会社は前橋市を筆頭に計57社を株主として、昨年10月6日から活動しております。めぶくIDについては、初年度目にデジタル田園都市国家構想交付金を含めて基盤づくりに取り組んでまいりました。そして2年度目の今年、最初の本格的な商用サービスとして「めぶくPay」という決済手段を投入いたします。
導入に至った背景から説明させていただきます。デジタルの力を使って市民生活を向上させていくスマートシティの動きについては、会津若松市と前橋市が連携しながら取り組んできております。国のデジタル田園都市国家構想においても2年連続でレベル3、全国のモデル地域に指定されています。昨年2月に他界された中村彰二朗さんは会津若松を牽引してきた方です。中村さんと私は共通の課題意識を持っていました。それは、世の中がデジタルでキャッシュレス化していますが、本来の方向とかなり逸れてしまっているため、根本的にやり直したいということです。
めぶくPayは、12月20日(水曜日)からサービスを開始します。めぶくグラウンド株式会社が提供する決済手段で、店舗や市民の方が使用できるサービスです。また、めぶくPayのサービス開始に合わせて、前橋市では、さまざまなキャンペーンや施策をご用意いただいております。私からは、めぶくグラウンドとして、めぶくPayがどのようなものかについて説明し、その後、大野副市長からは前橋市としての活用方法について説明いただきます。
国は地域循環型経済を重要視しており、お金が地域内で回る仕組みを構築しようとしています。昭和時代を考えていただくと分かりやすいかと思います。市民が店舗に行って何かを購入すると、そのお金が地元の金融機関に入り、再び地元で使われ地域内でお金が循環します。
しかし、キャッシュレス決済が広まると、金銭の一部がアメリカのクレジットカード会社やキャッシュレス決済事業者に流れ、手数料もそこに支払われることになります。加えて、問題としては、デジタル化によって消費行動データがすべて集められ、地域にはほとんど残らないことです。
例えば、10ポイント還元のような制度自体は悪いものではありません。ただし、誰が実際にそのポイント還元費を負担しているかというと、加盟店の場合が多いです。市場占有率が高くなると、加盟店が手数料負担を強いられる状況になり、地域にお金を循環させるためには、より良い方法を模索する必要があります。
したがって、めぶくPayを作る際に最も重要視したのは、データが地域に適切に残り、それが活用・分析され、地域に還元される流れを確立することです。これがなければ、前橋市民が前橋の店舗でお金を支払っているにもかかわらず、そのお金とデータの動きがすべて東京の会社に委ねられてしまうからです。この状況を変える必要があります。
地域に残ったデータの活用方法は主に2つあります。ひとつは、行政施策にデータを活用することです。全国のさまざまな市町村が地域通貨を導入していますが、多くの場合、データ自体は東京のメガバンクなどが提供しているサービスに依存しており、地元には何もデータが残っていません。行政は市民のデジタル決済の動きや購買履歴などを把握することにより、新しい政策を立案する際に有用な情報を得ることができます。もうひとつは民間です。データ分析から新たな事業領域が必ず生まれます。
一方でデータを利用することには怖さがあることも事実です。自身のデータがどこでどのように利用されているか分からない怖さです。めぶくグラウンドでは、データガバナンス委員会を設けて管理し、利用規約やデータの保護については、日本では最良のものを作っているという自負しています。
事業者はデータを積極的に活用したいと考えますが、過度にデータを利用することは市民のデータ保護を阻害することになります。このバランスをしっかりと保つことが重要です。データガバナンス委員会には慶應大学の国領教授に参画いただき、行政、市議会、弁護士、専門の技術者、消費者団体の代表者などの構成で、どのようなデータを残して、どう活用するかを議論し決定しています。
めぶくPayは、非常に堅牢なセキュリティが実装されている点でも特徴があります。スマートフォンのIDは、一般的にデバイス内で暗号鍵を生成、使用することでIDとして機能します。しかし、この方法ではソフトウェア上で鍵が保管されているだけで、ハッカーは簡単に鍵を盗むことができます。めぶくPayでは、より高度なセキュリティが導入され、IDはスマートフォン内の特定の領域に保存されており、外部からのアクセスや読み書きができないようになっています。これは、ICカードのように物理的な保護を備えた安全な領域に鍵が格納されている仕組みで、盗難のリスクが極めて低いです。また、鍵の生成においてマイナンバーカードを使用して本人確認を行います。したがって、めぶくPayのセキュリティは非常に高い水準で、銀行のような大口の取り引きにも対応できる安全性が確保されています。
次に今後の展望についてです。現在、既に多くのめぶくID対応アプリが存在していますが、今後も増えていきます。これらのアプリを利用して、例えば交通機関の支払いなどが行われる場面で、めぶくPayはアプリと連携し、ユーザーにシームレスな支払いを提供することができます。通常、支払い時には画面が遷移し、複雑な手続きが必要ですが、めぶくPayは画面遷移がなくワンクリックで支払いが完了します。
また、個人間送金の仕組みも実装したいと考えています。そして、将来的には顔認証を活用した決済も実現させたいと考えています。
江戸時代の前橋藩では地域通貨として藩札が発行されており、全国に流通するお金とは異なる二重構造が存在していました。このような本格的な地域通貨は、他国では見られないもので、実際には技術的に実現可能です。藩札のような本格的な地域通貨を、全国で初めて前橋市で導入し、地域経済を活性化させるモデルとなることを目指しています。ただし、法的制約や問題も多いため、政府と協力しながら慎重に進める方針です。最終的には、地域通貨が実際に循環し、経済活動を促進する段階まで進めたいと考えています。これには絶対的な安全性が必要です。他の地域とは比較にならない高い安全性を確保しながら、データの活用を進めていきたいと考えています。
また、めぶくPayの詳細については、本日中にめぶくグラウンド株式会社のウェブサイト上で公開します。以上で私の説明を終え、次に市の取り組みに引き継がせていただきます。
(大野副市長)
私からは、今年度に前橋市が電子通貨事業を実施する詳細について説明させていただきます。先ほど福田さんが説明した通り、安全で安心、かつ便利な仕組みを導入していきたいと考えていました。特に、市内経済の活性化と循環を促進したいという思いが強いです。このことを実現するために、めぶくグラウンド株式会社が開発しためぶくPayという仕組みを導入することになりました。
多くの人に利用してもらい、多くの店舗に参加してもらうことが重要です。そのため、今年度は前橋市として、めぶくPayの初期導入に伴い、大規模なキャンペーンを実施する計画です。このキャンペーンは「まえばし市民プレミアムキャンペーン」と題して、市民の皆様に特典を提供するものです。具体的には、以下の2つの特典があります。1つ目は、めぶくPayに登録いただいた方に対して最大1,500ポイントをプレゼントするキャンペーンです。これはめぶくIDの利用を促進する狙いがあります。また、マイナンバーカードで登録いただいた方には、1,000ポイントをプレゼントするキャンペーンも実施します。これにより、マイナンバーカードを持っている方にも利益をもたらす仕組みを整えます。2つ目の特典について、かなり大規模な特典を計画しています。めぶくPayに登録いただいた方の中から、抽選で1万人に1万円分のポイントを提供します。合計で最大11,500ポイントを差し上げることで、初期段階から数万人の利用者の獲得を目指しています。
そして、本人確認を行った上で利用できるというめぶくPayの特徴を最大限に生かして、今後、さまざまな公的給付は、めぶくPayを活用していく予定です。最初の取り組みとして、前橋市出産・子育て応援給付金をめぶくPayで給付する仕組みにしていきます。出産・子育て応援給付金は、今年度から始まった国の制度で、妊娠届時に妊婦さん一人あたり5万円、出産時にはお子さん一人あたり5万円を支給するものです。国としては、現金給付も認めていますが、地域の実情に合わせて商品券や電子地域通貨を推奨しています。前橋市としても、電子地域通貨で給付していきたいと考えています。今後、他の公的給付金についても段階的に拡大していく予定です。
初めての試みですので、利用開始に際して課題もあるかと思います。したがって、店舗側や利用者の皆様をしっかりサポートしていこうと考えています。10月16日からは加盟店登録を開始します。ホームページから簡単に申し込むことができますが、紙での登録やファクスでの手続きを希望の方にも対応いたします。また、10月25日には前橋プラザ元気21で加盟店募集説明会を開催します。参加いただける方は、会場での参加も、インターネット中継からのご視聴も可能です。利用者向けの事前説明会も11月に市内で開催予定です。登録支援窓口も12月20日の利用開始に間に合うように整えていきます。
本市では、まえばしデジタルサポーター、通称Mデジの取り組みを進めています。まえばしデジタルサポーターの皆様のご協力を得ながら、各地域でこの取り組みを広め、登録支援を行う計画です。当事業をしっかりと立ち上げ、市内の経済を活性化させ、持続可能な仕組みを築いていくため、積極的に取り組んでいきます。多くの市民や店舗の皆様にご参加いただき、従来の紙のプレミアム商品券よりもさらに多くの店舗で使用できることを目指していきます。
2 質疑応答
(1) 市有施設を活用した宿泊事業を始めます
(記者)
3物件6部屋は今回の物件以外ということでよろしいでしょうか。いつ開業予定かも教えてください。
(株式会社LOOOF 丸谷氏)
違います。今回の物件のほかに2物件を予定しています。2物件はそれぞれ、3組と2組が宿泊できますので、合計3物件、6部屋を創出する予定です。来年の春に3物件が同時オープンできるよう準備を進めています。
(2) 片原饅頭がオープンします
(記者)
リブランディングにより、より良くするという話がありましたが、どういう特徴があってどのように良くするということでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
事業承継問題において、職人の仕事は、職人から直接でしか継承できないケースが多いです。しかし、我々は職人に依存するのではなく、科学的なアプローチや最新の技術、管理方法を活用し、職人に限らず誰もが同じ品質で製品を生産できるようにしてきたということです。
(記者)
リブランディングを商品自体の特徴を高めるようなイメージで捉えたのですが、そのような取り組みはありますか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
片原饅頭は既に完成品と考えており、商品自体の特徴を高めるような取り組みは考えておりませんでした。
(記者)
饅頭の種類と製造方法を教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
こしあんの酒饅頭です。イースト菌や膨張剤は一切使用せず、複数の種類の小麦粉を掛け合わせ、さらに米麹から作られる酒種を使用して、小麦粉を発酵させています。完全無添加で製造しています。この天然の発酵が片原饅頭の美味しさの原点です。
(記者)
片原饅頭の片原とは地域名でしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
千代田町にあった片原という地名が由来となっています。
(記者)
平成8年に片原饅頭のルーツとなる志満屋本店が閉店していますが、理由を教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
後継者不在のためです。
(記者)
その後、福島氏が別の地域で片原饅頭を引き継いでいます。こちらも閉店しています。理由を教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
高齢で体力の衰えにより事業の継続が難しかったと聞いています。
(記者)
今回、再現するにあたってルーツの志満屋の関係者には接触していないのでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
接触していません。製法については、前任の福島さんより教えてもらいました。
なお、前任の福島さんは志満屋の職人頭と呼ばれる方から秘伝の技法を学び、再現したと聞いています。初めは断られたそうですが、福島さんの情熱で教えてもらえるようになったとのことです。
(記者)
片原饅頭の特徴を教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
添加物を一切使用せず、自然の力を用いて天然発酵させているため、口に入れた瞬間に普通の饅頭とは異なる味わいが感じられます。それぞれの饅頭が異なる表情や発酵の度合いを持っているため、湿度や時間、力のかけ方などを適切にコントロールしながら仕上げています。こしあんも自家製で、小豆の風味を感じてもらうため、通常の饅頭に比べて糖度を低めに設定しています。
(記者)
原料の小麦粉、酒種の麹、小豆の産地を教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
群馬県産にこだわって製造しています。小麦粉や米、もち米、米麹は県産です。唯一、小豆は県産にできませんでした。小豆も県産にしたいと農家さんと話を進めています。オール群馬で片原饅頭を製造することを目標にしています。
(記者)
店舗は元々何があったところでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
市の管理物件で空き店舗でした。
(にぎわい商業課)
令和3年の3月まで、おむつケーキなどを取り扱う小売店が入居していました。
(記者)
初代は後継者がおらず閉店、二人目も高齢で後継者いなかったから途絶えたという理解でよろしいでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
そのとおりです。
(記者)
今回の復活に当たって技術の承継を受けたというのは、2人目の福島さんからということでよろしいでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
そのとおりです。
(記者)
今回、実際に製造しているのはどのような方でしょうか。年代も教えてください。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
ワークエントリーのスタッフに管理栄養士や調理師、製菓衛生師がいましたのでプロジェクトチーム化しました。30・50・60代くらいの方です。
(記者)
星野さん自身は片原饅頭を食べたことはあるのでしょうか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
私は桐生市出身で前橋に転居してから20数年になりますが、前橋に来た時には初代の店舗は閉店していました。初めて食べたのは福島さんの片原饅頭です。
(記者)
地元の方々に長く愛されてきた味を復刻し、つないでいく中でどのような存在になっていきたいと考えていますか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
次の200年に向けて残していくことが最大の目標です。事業承継を通じて地域経済を下支えしたいと思っております。小さい時に本物の味を学ばせることが重要ですので食育にも使ってほしいです。
(記者)
予約販売優先ということですが、1日何個程度を販売する予定ですか。
(株式会社片原饅頭 星野代表)
400~500個の予定です。予約優先販売を導入したのには、フードロスを少なくしたいという理由もあります。
(5) 電子地域通貨「めぶくPay」を開始します
(記者)
自治体での電子地域通貨の導入実績、件数等を教えてください。
(大野副市長)
県内12市では9市が導入済みで、本市は10番目となります。
(記者)
地域内でお金が周るということですが、地元の金融機関に口座がないとめぶくPayは使用できないのでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
全国の金融機関の口座があれば対応できます。
(記者)
めぶくPayのIDがあるから地元にデータが残るという理解でよろしいでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
銀行に残る部分もありますが、決済の仕組み自体からすべてのデータが地元に残ります。IDの仕組みですが、一般的には認証時にIDとパスワードを使用します。通常はデータベースが存在し、そこにIDとパスワードが集中します。しかし、めぶくPayの場合、このデータベースが存在しないため、データが集中しないという利点があります。
(記者)
めぶくグラウンド株式会社がIDを管理するということでよろしいでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
そのとおりです。ただし、めぶくグランド株式会社自体は、IDとパスワードといった管理情報を保持しておらず、データベースを持っていません。データベースが存在せず認証の仕組みを利用していることが特徴です。この仕組みの最大の利点は、誰かが主導権を握り独占することがない点です。
(記者)
どの程度の加盟店舗数を目指しているのでしょうか。
(大野副市長)
昨年実施した紙のプレミアム商品券は、約1,700店舗で利用できました。それを超える店舗数を目指しています。
(記者)
めぶくPayのアプリが新しくできるわけではなく、12月20日にめぶくアプリからめぶくPayが使えるようになるという理解でよろしいでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
そのとおりです。12月20日から実際に決済できますので、それより少し前には決済機能が追加されます。
(記者)
地域に残るデータを活用していくということですが、活用方法について具体的に教えてください。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
例えば、市からの給付金がどこで使われているのかというようなデータをデータガバナンス委員会がどこまで使用したら問題ないか判断したうえで共有していく形になります。民間企業がデータ分析をして、事業に活用することも考えられます。年齢や時間なども含め、膨大なデータを分析していくと必ず何かいろいろな活用方法が出てくると思います。
(記者)
説明資料に記載のあるワンクリック決済とはどういうことでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
例えば、Eコマースでのショッピングなどでは、支払い時に他のアプリに移行して決済します。ユーザーとしては非常に分かりづらいです。画面を遷移することなく、めぶくPayで支払うという選択肢が出てきて、ワンクリックで簡単に決済できるような仕組みです。
(記者)
給付金だけではなく、クレジットカードや銀行口座からめぶくPayにチャージして使用することができるということでよろしいでしょうか。
(めぶくグラウンド株式会社 福田取締役)
そのとおりです。そうしたチャージのほかに、前橋市にこの仕組みを利用いただき、給付金の支給といった施策を講じていただくということです。
(記者)
紙のプレミアム商品券などは、この仕組みが普及すればなくしていくということでよろしいでしょうか。また、出産・子育て応援給付金は、めぶくPayのみで配るという方針ということでよろしいでしょうか。
(大野副市長)
そのとおりです。紙のプレミアム商品券は今後実施しない方向で、めぶくPayに統一していきます。出産・子育て応援給付金は、強い要望がない限りめぶくPayで支給していく形になります。
(記者)
加盟店登録が重要になると思いますが、今後、加盟店からの手数料は検討されているのでしょうか。
(大野副市長)
通常の仕組みでは加盟店から数パーセントの手数料が運営母体に入る仕組みになっていますが、当面の間は、市が立て替えることとし、店舗の負担はない形を想定しています。
(記者)
将来的にはいかがでしょうか。
(大野副市長)
今の段階では申し上げられませんが、多くの店舗に使ってもらい市内経済を回していくという意味で、長く当面の間は予算を確保し手数料は取らないこととしていきたいと考えております。
(市長)
私たちは町のための循環ですから、結果的に市内の店舗がもうかれば、結果的には税金として戻ってくることになります。我々の構想では無料の予定です。
(記者)
将来的に地域通貨で独自財源(藩札)というようなお話もありましたが、市としても検討しているということでよろしいでしょうか。
(大野副市長)
めぶくPayも一般的な電子地域通貨も、商店と消費者の間で使用されて換金される仕組みですが、ある店舗でたまったポイントが仕入れで使われて他の店舗で支払われるのであれば、地域内の循環効果が生まれある意味レバレッジが利く状態になります。そうしたところを目指していきたいと思っています。そこに藩札のような形で市としてのお金を投下できるかは、議会の理解も必要となりますが、それが本来の意味の目指すべき地域通貨だと考えております。
(記者)
例えば、市の財源も地域通貨で調達するということも考えられるのでしょうか。
(大野副市長)
にわかには想像できませんが、法的な縛りのない給付金等はめぶくPayを使うことで、さまざまな店舗で何回も使われるような状態になれば良いと考えております。銀行に預けられたときにそれを借りることができるのであれば可能性としてはあるのかもしれません。
(市長)
出産・子育て応援給付金10万円を10万めぶくPayポイントで給付すると、同じ金額であれば現金の方が使い勝手が良いと思われるかもしれません。めぶくPayを選択するとキャッシュバックがあるような仕組みを検討しています。現在、キャッシュレス決済は一般的に利用されていますが、地域内循環がありません。私たちは、地域で回すための通貨としての地域通貨を構築していこうというメッセージだと認識いただければと思います。オールジャパンのシステムに乗っかるのではなく、ローカルな前橋のエリア限定のシステムはめぶくPayだけだと自負しています。
(以上で終了)
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更新日:2023年10月26日