定例記者会見概要版(令和6年1月12日開催)

令和6年1月12日に開催された定例記者会見の要旨です。

日時

令和6年1月12日(金曜日)午後2時~2時50分

会場

市役所 4階 庁議室

動画配信(前橋市公式ユーチューブ)

1 案件説明

(1) 「北斎漫画で笑おう!」を開催します

(市長)

新年早々、能登半島地震が起き、翌日には航空機の事故も発生しました。本市からも被災地に消防隊員を派遣していますが、未だ悲惨な状況が続いているとの報告を受けています。震災被害者の方々を共に悼みたいと思います。

それでは、案件の説明に入ります。初めに「北斎漫画で笑おう!」というアートイベントについてです。本市の観光大使である三遊亭竜楽さんとお弟子さんのスウェーデン落語家・三遊亭好青年さんにお越しいただいております。竜楽さんからご説明いただきます。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん)

「北斎漫画で笑おう!」の説明をさせていただきます。私がこの「北斎漫画で笑おう!」の企画者兼出演者です。

まずは企画の成り立ちを説明いたします。市長からも話があったとおり、私はまえばし観光大使を拝しております。外国語落語を始めたのが2008年で、フレンツェのフェスティバルでイタリア語で落語を披露しました。そこから、ヨーロッパ、アメリカ、中国、台湾など海外の60都市で、7カ国語で落語を行いました。そのような文化発信活動をする中、落語がほとんどの方に知られていないことが分かりました。落語をより広く発信するために思いついたのが、世界で最も有名な日本文化である浮世絵でした。デジタル浮世絵を大画面に映し、落語とコラボさせるというプログラムを2016年、パリの日本文化会館大ホールで行い大好評でした。浮世絵という平面のものに語りを加えることで、そこに暮らす人たちの暮らしや思いを浮かび上がらせることができます。

外国だけでなく日本でも実施したいと思っていましたが、予算やコロナ禍により実施できませんでした。そうした中、昨年、山本市長の仲介で凸版印刷さんとお会いする機会があり、凸版印刷さんがいろいろな芸術作品のデータ化を行っており、北斎漫画で美術展のようなことをしたいという話があることを知りました。そのようにして「北斎漫画で笑おう!」という企画が立ち上がったわけです。

葛飾北斎は「偉大な業績を残した世界の100人」に選ばれた唯一の日本人です。最盛期には弟子が200人いたそうで、とても教えきれないということでデッサン帳を作り、江戸の人が目にする全てのものを書き込みました。この絵がまさに生きていて素晴らしい迫力があります。このため、今回のコンセプトは「北斎が動く!北斎が色づく!北斎が飛び出す!」としました。北斎漫画の中には落語の登場人物や落語家が語る物があります。私が人物に語りで命を吹き込み動かします。デッサン帳の色づきを実際に見せ、さらには北斎漫画の世界を舞台で再現してお客さんに参加してもらう。これが「北斎が飛び出す」ということです。また、北斎漫画の研究者である浦上満先生に解説いただく講演会を行います。さらには本物の作品を展示します。

また、英語解説を加えます。外国の方にも楽しんでいただけるように、日本語知識を補うための解説をヨーロッパ人初の落語家・三遊亭好青年にお願いしました。そうした点からも国際都市・前橋をアピールできると思います。

この企画は落語とデジタルの浮世絵をコラボさせる、どこも実施したことのない最先端の企画です。この企画が実施できるのは、品格のある落ち着いた教育文化都市、さらには国際都市にしようという市長の強い意思があったからだと思います。そしてもう一人のキーパーソンが、亡くなられた6代目円楽です。円楽を偲ぶ会で私が市長とお会いし、このような話が立ち上がったわけです。円楽は前橋の釈迦尊寺にお墓を立てました。前橋愛が強い円楽がこの企画を導いてくれたのだと思っております。

(スウェーデン落語家 三遊亭 好青年 さん)

どこの国の方でも仲良く暮らせる多文化共生を目指し、竜楽師匠と「めにかる」というユニット組んでおります。私はスウェーデンで生まれ、日本の漫画が好きで交換留学生として日本に来たところ、落語に出合い落語家になろうと思いました。竜楽師匠の兄弟子である三遊亭好楽に入門し、三遊亭好青年という名前で活躍しております。

(2) 『青猫』刊行100年記念展「BLUE MELANCHOLIE」『青猫』が『定本青猫』に辿りつくまでを開催します

(市長)

続いて、「青猫」刊行100年記念展です。「青猫」が刊行されたのは、大正時代の末期で、定本になるまで15年から20年程度かかったでしょうか。私は加筆して「定本青猫」ができたのだと思っていたのですが、そうではなく削ぎ落しながら定本化されたことを今回初めて知りました。面白い話だと思います。前橋文学館の萩原朔美館長にご説明いただきます。

(前橋文学館 萩原朔美館長)

不思議な意味のある偶然を思い出しました。この企画を計画している時には能登半島地震が発生するとは思っていませんでした。「青猫」が刊行された1923年に関東大震災が起こっています。

昭和に向かっていく中で朔太郎が何を削ったかというと戦争の詩です。最後にある軍隊という詩が抜かれています。そして、第2次世界大戦が始まります。「青猫」の本をなぜ黄色にしたのかと不思議に思います。青と黄の色を思い浮かべた途端にウクライナ国旗を思い出させ、これがまた不思議な偶然でぞっとしました。

詩人は未来を察知するような感覚があり、その感覚が作品に向かわせるということを最初に書いています。陰鬱な感じの詩が多く、時代を察知していると思います。詩人の感性をもう1度見直すチャンスになるのではないでしょうか。

展示の目玉として、2メートルの「青猫」の本を作りました。文学館に入ると、いきなり2メートルの初版本があり、耳を付けると「青猫」の詩を朗読している声が聞こえます。壁に向かって耳を近づけるという行為を私達は忘れているのではないかと思います。印刷文字よりも声の発声によって人は心を動かすということを味わってもらうため、展示以外に声で伝わることを体験してもらう仕掛けを作りました。

このほかに朗読会やワークショップを実施します。糸がたくさん吊るされている展示は、言葉と言葉の間をつなぐことが詩の本質であることから糸を絡めました。それから絹を合わせる職人さんに合わせ着の手法で展示空間を作ってもらいました。言葉と言葉が重層的に重ね合うことが詩の本質ではないかと思います。それに合わせて職人さんと小さな障子を作ったり、音がするようなキーフォルダーを作ったりするイベントを行います。

ついでにお話しさせていただきます。新幹線の車内で無料配布しているトランヴェールという雑誌がありますが、2月号は前橋が18ページの特集で、新しい前橋と古い前橋が一挙に紹介されています。前橋は市長と共に攻めまくります。

(3) 赤城山南麓エリアに新しい宿場町が生まれます

(市長)

スローシティエリア内の新しい宿泊事業と、それと連携した赤城山の新しい可能性の発信を、昨年9月27日の記者会見で株式会社LOOOFの丸谷副社長と株式会社プエドの菅野代表取締役が説明しました。彼らを紹介してくれたのは前橋移住コンシェルジュの鈴木正知さんです。鈴木さんから前橋で起きているスローシティエリアの民泊という新しい価値の創造についてお話しいただきます。

(移住コンシェルジュ 鈴木 正知 さん)

昨年9月27日の定例記者会見では、4カ所の宿泊施設がオープンする話がありましたが、具体的な場所は説明できませんでした。お手元の資料をご覧いただきながらお聞きください。

実際に地域としてどうするかというと、いよいよ地域づくりの出番だと思います。これまでは、受け皿として情報交換などができたらという感じでしたが、宿を見守るのではなく、地域の方々が育てる必要があると思います。何をするのかというと、それぞれの地域づくりが必要です。前橋市は現在、23の地域で地域づくり協議会が立ち上がっています。地域の暮らしや文化を発信し、地元の良いものを残していこう。良くしていこうという動きがたくさんあります。その一つに、歴史や文化を大切にする動きです。最近完成した「田口町の歴史散歩」は地元の人たちが作成しています。これをガイドブックにして、宿に泊まった人たちが地域に足を運んで、どういう暮らしをしているのか、どういう文化が根付いているのかを楽しんでもらいたいと思っています。旅行に行くと、宿の印象が強く残ります。そうではなく、地域の印象が残るようにしたいと考えております。そこに泊まって、あの場所に行って、あの人にもう一度会いに行きたい。それが、ゆくゆくは地域愛や移住につながっていくストーリーだと思っています。産んで終わりではなく、我々はしっかりと育て、連携していきたいと思っています。

(市長)

LOOOFの宿のテーマは、失われている、捨てられている地域や山村の文化を掘り起こして磨くことです。前橋市民の皆さん、磨きましょう。いろいろな文化があり、手間暇を掛けてうどんを作っていたのにそれを忘れています。それが宝物なのだよというメッセージを、市外の方であるLOOOFの丸谷副社長が実践しています。そして、彼は全国に40以上の古民家で改修ビジネスを始め、若者の働く場所になっています。文化を守ってきたけれども、打ち捨てられてしまったと諦めていた高齢者の方たちが、こね鉢を納屋から取り出してみる。それが大切だというメッセージを鈴木さんが発信していると思っております。鈴木さん、どんどん覚醒させてください。地域の文化を若者に伝えてほしいと思います。

(4) マイタクが介護タクシーでも利用できるようになります

(市長)

最後の案件は交通政策です。出かけたくても出かけられないシニアの方のために、車椅子やストレッチャー、介護資格を有する乗務員が同乗できる介護タクシーがマイタクに加わりました。

今までマイタクは一般タクシーのみの補助事業でした。したがって、一定の活動が難しい方はタクシーの乗車ができませんでしたが、今回、ストレッチャーや車椅子の方も利用できることとなり、外出が自由にできるようになりました。

外出は私たちが当たり前に持っている人権と同じです。誰かと出会って交流する権利を担保するための当然の施策としてマイタクを始め、さらにさまざまな課題を抱える方にもチャンスを広げてまいります。

2 質疑応答

(1) 「北斎漫画で笑おう!」を開催します

(記者)

ロビーに実物を展示するということですが、実物の展示作品やスクリーンに映す漫画の点数などを教えてください。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん) 

点数は凸版印刷に確認してからお答えいたします。浦上先生は1,700冊の北斎漫画を所有しており、その中でも美しいものをお持ちいただき、本物に触れることを重視して、コーナーを作っていただきます。浮世絵については、30点から40点程度は展示すると思います。

スクリーンについてはいろいろな出し方を考えています。ワンショットで出したり、私の語りに応じて背景に江戸の人を出したりします。お客様と交流しながらアートショーとして進め、最後はピシッとした古典落語を新しい形で聞いていただきたいと思っております。

(記者)

「動く、色づく、飛び出す」の解説が先ほどありましたが、「色づく」はモノクロの漫画に色をつけ表示するということでしょうか。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん) 

デッサン力があったから1枚の浮世絵ができたわけです。白黒の北斎漫画の絵が浮世絵にもあり、そこと語りをつなぎます。また、北斎の浮世絵をたくさん展示する意味でも「色づく」という表現にしました。

(記者)

動くと飛び出すというのは、語りによって動いているように思えるということでしょうか。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん) 

皆様の想像の中で動きの世界を描くということです。今、何でも分かりやすく命を吹き込んでしまいますが、動き方というのは千差万別で、動かさないことによって自在にありとあらゆる動きを想像の世界で作れます。そちらを重視したいと考えています。

(記者)

落語は北斎漫画にある情景に沿ったストーリーを展開するということでしょうか。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん) 

落語にある内容が北斎漫画にもあります。北斎の絵の前段の世界を短く語って、語りの結果を絵で表示し、オチを付けるといったことを行いたいと考えています。

(記者)

英語の翻訳というのは、歌舞伎の同時通訳のスピーカーのようなものを希望者に配布するイメージでしょうか。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん) 

三遊亭好青年にほとんど任せています。物語の展開を理解しやすくするための手立ての1つとして、想像力を阻害しない範囲で、外国人が理解できない言葉などを説明してもらいます。三遊亭好青年が音声でアナウンスをしたり、時には登場したりしながら、2・3回外国語の解説を入れます。最後には彼も舞台に出てもらおうと考えています。

(記者)

スピーカーではなく、舞台上で英語などで解説するということでよろしいでしょうか。

(まえばし観光大使・落語家 三遊亭 竜楽 さん)

舞台上や影アナウンスなどを考えています。

(市長)  

凸版印刷からアーツ前橋に対して、葛飾作品の展示企画の話があったのですが、そのときは断ってしまいました。そうした中、7カ国語でヨーロッパ公演等を行っている竜楽さんに頼んだというのが開催するに至ったストーリーです。

(2) 『青猫』刊行100年記念展「BLUE MELANCHOLIE」『青猫』が『定本青猫』に辿りつくまでを開催します

(記者)

100 年前に初版が刊行され、刊行後に関東大震災が起きたということですが、チラシには当時の倦怠感や疲労感が現れていると記載されています。「青猫」 が生まれた時代背景を教えていただけますでしょうか。

(文学館学芸員)

朔太郎は裕福な家に生まれ、割りと恵まれた生活をしていました。当時の前橋は養蚕関係で最初は上り調子だったのですが、段々と暴落してくるような中で、ちょっと浮いたような感じというか、みんなが働いているところで、文人はあまり働いていないように見られていたので、そこのところが憂いにつながって、「青猫」の世界が出来上がっていく感じになっています。

(4) マイタクが介護タクシーでも利用できるようになります

(記者)

現在の介護タクシーの利用状況と、実験中の利用数の見込みがあれば教えてください。

(交通政策課)

現在の介護タクシーにつきましては、前橋市内で約32社の事業者がおります。利用の状況につきましては、今回、マイタクに参入していただく8社の介護タクシー事業者から聞き取った結果、ひと月に20件から80件程度の依頼を受けていると聞いております。実証実験中の利用見込みですが、ひと月に使われる回数はそれと同程度を見込んでいます。

(記者)

マイタクに加わる前の現状でも、利用する際に行政の支援等は入っているのでしょうか。

(交通政策課)

介護タクシーに乗った時にご利用いただける現行の制度として、重度の障害をお持ちの方に対して発行している福祉タクシー利用券という制度がございます。マイタクに加わることで、福祉タクシー利用券の割引とマイタクの割引を併用いただけることになります。

(記者)

これまでの一般タクシーでのマイタク利用状況を教えてください。  

(交通政策課)  

現在のマイタク登録者数が約2万9,000人で、延べ利用者数は年間約20万回です。

(記者)  

制度を拡充するにあたっての予算を教えてください。

(交通政策課)

マイナンバーカードを読み取るシステムを介護タクシーに導入するためのシステム改修費が約300万円で、新たに介護タクシーで使用する方の割引分の支援額が約60万円です。合計360万円程度の予算を見込んでおります。

(記者)

いつの予算でしょうか。  

(交通政策課)

システム改修費については3月補正予算に計上しており、割引分に対する支援については既決予算内で対応できればと考えております。

(記者)

対象は8事業者で段階的に広げるということでよろしいでしょうか。

(交通政策課)

4月以降、段階的に拡大できればと考えています。

(記者)

1月15日から3月までと、4月以降の変更点が分かれば教えてください。

(交通政策課)

1月15日から利用を開始し、タクシー事業者さん側のシステムの使いづらさや、利用者の意見などを聞き、システム改修に反映した上で、4月からより使いやすい形で本稼働できればと考えております。

(記者)

利用するにあたって用途の制限はありますでしょうか。

(交通政策課)

身体障害者手帳をお持ちであるとか、要介護認定を受けているとか、介護タクシーを利用するための要件を満たしていれば、使用用途の制限はありません。

(記者)

一般タクシー向けのマイタクの運賃補助制度が始まったのはいつからですか。  

(交通政策課)

マイタクの制度は平成28年からスタートし、令和4年度から現在のマイナンバーカードを利用した形に1本化しています。

(記者)

福祉タクシー利用券が配布されている方は何人程度いらっしゃるのでしょうか。

(交通政策課)  

令和4年度、福祉タクシー利用券を利用した回数の実績は300回程度です。

(記者)

32事業者のうち8事業者が参画するとのことですが、どのような基準で選定されたのでしょうか。

(交通政策課) 

全32事業者に介護タクシーへの拡大や説明会への参加についてお知らせさせていただきました。そこで手を上げていただき、最終的に実施に至ったのが今回の8事業者です。

(記者)

利用者に対する事業者名等のお知らせは、通知などで実施するのでしょうか。

(交通政策課)

個別の通知ではなく、広報まえばしや市のホームページのほか、障害や介護等の関係部署にお知らせさせていただいております。

(以上で終了)

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更新日:2024年02月02日