第3回前橋市歴史まちづくり協議会
審議会名
歴史まちづくり協議会
会議名
第3回前橋市歴史まちづくり協議会
日時
令和6年5月21日(火曜日)9時30分~10時50分
場所
市役所本庁舎11階北会議室
出席者
小川市長(途中退席)
委員
手島会長、戸所副会長、村田副会長、石井委員、川端委員、日下田委員、小坂委員、飯塚委員、片貝委員
事務局(都市計画課)
塚田都市計画課長、高瀬副参事、原澤係長、齋藤主任、横山主任
庁内
大原課長、大友副参事(以上、文化国際課)神宮課長(文化財保護課)
欠席者
なし
議題
1 令和5年度事業の進行及び評価について
報告
1 現在進行中の事業及び令和6年度事業等について
配布資料
【資料1】R5年度進行管理・評価シート(案) (PDFファイル: 6.5MB)
【資料2】現在進行中の事業及び令和6年度事業等について (PDFファイル: 736.8KB)
マンホールデザイン案については諸般の事情により非公表
会議の内容
1 開会
(事務局)
・小川市長あいさつ
・小坂委員就任あいさつ
2 議事
(1) 令和5年度事業の進行及び評価について
事務局より、資料に基づき説明があった。
2(1)に係る質疑応答
(石井委員)
丸3‐1「大手門可視化・出土品活用事業」についてであるが、中々進まないという説明であった。大手門の石垣については、出土当時から大変話題になり、民間事業者も理解を示していたはずである。
市は各権利者との交渉と内部の検討を実施しているとのことであるが、進まない要因を教えていただきたい。
(事務局)
進まない要因であるが、諸般の事情により、交渉が長期化している。
ただ、隣地を取得するというのは発見当時の案で、今回の資料にはその当時の整備案を掲載している。大手門の石垣については、これまで協議会でも議題にしていなかったため、どう整備を実施するのかを始め、その上で、隣地を取得すべきということであれば具体的に手続きを進めていく、という段取りになると思う。
(石井委員)
おおよそ理解した。資料の中にある、整備を行わない場合の二次元コードによる対応は、かなりの逃げ道になってしまうのではないかと感じる。例えば、取得が難しいのであれば貸借等で対応するなど、前向きに検討していただければありがたい。
(事務局)
大手門の可視化については、次回又は次々回の協議会の議題に取り上げさせていただければと思う。
(戸所副会長)
国に提出する資料とすると、こういった内容でよいであろう。その上で何点か質問したい。
まず、丸2‐3の景観の関連事業についてであるが、これまでの前橋の整備について見ると、広瀬川も馬場川もかつて歩道は石で舗装して、旧建設省から景観に関する賞をいただいているはずである。ところが、少し足が引っかかる程度で、まだ傷んでいないにもかかわらずアスファルトに変えてしまった。前橋は、常に場当たり的にスクラップ・アンド・ビルドによる再整備を行っているという印象である。
今後、事業を進めていくにあたり、つみ上げ型というか、今までのものを活かしながら、整備していく方針が必要なのだと感じる。ヨーロッパに行っても、ガタついた石畳を整備しながら使い続けているが、そこに価値があるのである。ある意味、歩きにくさとバリアフリーをどう調整していくかは常に出てくるが、その時代によって異なる。そういったつみ上げ型という点を念頭に進めていただきたい。
次に、丸2‐4「天狗岩用水周辺環境向上事業」である。自治会などで掃除をしているが、草刈りや枝切り後にゴミの山ができている。そのゴミが遊歩道に1から2か月近く放置されている。人が来る時期に限って放置されがちなのである。その意味で、清掃局・自治会・河川管理者等関係機関間の連携がとれていないのではないかと感じる。せっかく世界かんがい施設遺産になっているので、これを機会にうまく連携していただければ、地域の景観の価値が向上すると思う。
また、天狗岩用水沿いの街路灯についてであるが、街路灯の付根が錆びて穴が空いている場所がある。そのメンテナンスのシステムづくりをしていただきたい。さらに、遊歩道と川の間のフェンスの色は良く考えられた色であるが、後から入れ替えたフェンスの色が鮮やかすぎ、統一感がない。こういったことは、メンテナンス時によくあることであるので、前橋市全体でも変えていければよいと思う。
丸3‐3「ヒストリックランドマーク整備事業」であるが、「ランドマーク」というのは、地理学では、1つはナビゲーション的な役割と、もう1つは、その地域を特徴づけるシンボルとしてのもの、この2点を満たすものである。今回は、案内板など、歴史分野のサイン計画にとどまっている。事業の内容自体は重要なものであると思うが、ランドマークと言うには違和感がある。
丸3‐4「群馬総社駅西口開設事業」は、住民としての立場からすると、逆に不便になるように感じる。西口の開設も、吉岡町のための整備にも感じ、東口は整備されない印象だ。
また、ここで申し上げることかどうかわからないが、市全体の交通政策についてである。ようやく最近「みどりの窓口」の廃止について取り上げられているが、要するに、ハード面は整備されても使いにくさが残るのであれば意味がないので、機能的な面も併せて検討し、JR等に要望をしていってもらいたい。例えば、歴まちで言えば、総社の重点区域は東口方面である。西口となった場合に、市外からの訪問者の動線をどう作っていくかなど、全体として歴史まちづくりを進めていってほしい。
丸4‐3にある文化財保存活用地域計画はいつ頃できるのか。できるだけ早く作成し、歴まち計画とリンクしていくことが重要である。私は県の文化財保存活用大綱を作成する際の委員長を担ったが、市町村には、計画を早めに作成していただきたい、というのが実際のところだ。取り壊されてしまう歴史的建造物に手を打っていく意味でも、計画の策定はできるだけ早くお願いしたいところである。
(事務局(塚田課長))
私自身、広瀬川の整備には長年携わってきた。元々広瀬川は戦災復興で土地を確保し、その際は土の状態であったと思う。昭和53年頃、レンガやアスファルトの前であるが、鉄平石の乱張りや大理石で整備が行われた時代がある。その後は、平成に入ってからであるが、脱色アスファルトの整備を行ったのが、私が携わったころである。そして今、レンガ調になったということで、確かに一貫性がなかったかもしれない。ただ、個人的には、現在のMDCによるレンガの整備は民地、道路、公園との境界というのもなくなってとてもよくなったと思っている。
鉄平石の乱張りも中々よかったが、厚さが2センチ5ミリであり、車の通行によりガタついたり、欠けてしまい間にアスファルトを入れなければならなかったりなど、修繕も大変である。その意味でも今回のレンガによる整備が、市民の合意を得て継続して、よりよくなっていけばいいのではないかと感じている。
(事務局)
丸2‐4に関し、天狗岩用水についてであるが、場所ごとに管理者が異なるという事情があり、連携がうまくできていないのではないかと思われる。また、清掃団体も場所を限定している可能性がある。まずはその点についてヒアリングを行ってから何がうまく行っていないのかを洗い出し、皆さんにご報告したい。
丸3‐3ヒストリックランドマークについては、今回はマンホールと案内板という形であり、確かにサイン計画の面もある。本来想定しているのは、失われた建物や思い出、記憶を象徴する何か、ということなので、必ずしもサインだけでなく造形物や銅像なども考えうる。その意味で、広めに「ランドマーク」という言葉を使用している。
丸3‐4群馬総社駅の関係では、機能性の面からも検討するよう、担当課につながせていただきたい。
(文化財保護課)
丸4‐3文化財保存活用地域計画については、本市としても早めに進めたいと考えている。先月も県の担当者と協議を実施し、今年度については専任の担当を1人置き、来年度当初あたりで、協議会の設置や悉皆調査の整理を進めていきたいと考えている。
(村田副会長)
2点ある。1つは丸4‐3、丸4‐4の文化財の事業を早めにスタートしていただきたいということである。総社山王地区の養蚕農家も調査ができていない中で、歴史的風致形成建造物の指定も行っているが、ある意味問題と言えば問題である。その意味でも、これらの事業は早めに着手していただきたいということである。
また、厩橋地区においても、登録有形文化財の候補が2件ほど出てきている。それが、歴まち計画には入っていないので、すでに登録が済んでから後追いで厩橋地区の歴史的風致形成建造物に指定するというのもおかしい、ということになってしまう。また、調査が済んでいるものは、早めに市が文化財に指定し、あるいは登録をしていく、ということも必要である。
本来は、この2つの地域の調査が済んでから歴まちがスタートすべきであったのが、逆転している。すでに動き始めているので、この点の対応と、今後県の登録制度が動いてくる中で、実際に登録の希望があった場合、市はなんの手の内も持っていないわけであるから、これらの調査を進めていくことは喫緊の課題であることをきちんと認識すべきだ。
文化財保存活用地域計画については、おそらく6月には高崎市と嬬恋村がリリースするであろう。全国でも希望自治体が大変多くなっている。策定は2年とする自治体が多いが、前橋で3年かけて策定し、そこから流れを決めていくとなると、その時点で歴まち計画はすでに半分経過してしまっているのである。国補助等を受けられるかという事情もあるだろうが、市が単独費で調査を早めに進めていかないと、全て後追いになってしまう。その点、今後の対応と進め方をお聞きしたい。
2つ目は、国の文化財登録の調査費に対し、市が支援を行っているが、必ずしもそうでなく、本人が手を上げて費用も負担する場合が多い。今まで前橋は個人に対して登録文化財への補助は行っていないと思う。今回、国登録の調査費を出すわけであるから、相当な理由がないとまずい。
そこで1つ感じているのは、そのことを地域の方々がどう思っているか、ということである。今後、住民の方々が自ら、歴まちが終わったあとに最終的に伝建群を目指すというような流れをどう作るか、民意をどう醸成するか、などが重要だと考える。
今回、特定の家だけが国登録になっているだけで終わりでは、何を目指しているのかわからない。その意味では、今後の住民の意識向上のための研修会が相当必要で、あまりお金はかからないと思うのでもっと積極的に開催していただければと思う。この住民の民意向上のためにどういったことを考えているのかお聞きしたい。
(事務局)
まず1点目の今後の事業の対応についてであるが、文化財保存活用地域計画は、先ほど文化財保護課からお答えしたとおりである。
未指定建造物の調査については、村田副会長から再三にわたりご指摘いただいたため、令和6年度当初予算要求で800万円余り要求を行ったが、すべて削減されたという事情がある。来年度についても予算が確保できるよう、文化財保護課とも協調し、文化財保存活用地域計画が早く策定できるよう動いていきたいと考えている。
2点目の総社山王地区の住民の意識醸成については、この後もお話させていただくが、先日、総社山王地区における養蚕農家の価値づけについて、戸所副会長にご講演をいただいた。これを1回目と位置づけ、今後2回目、3回目と開催していくことで、住民自らが住宅を保存、活用する意向となるよう機運を高めていきたい。
(飯塚委員)
戸所副会長からご指摘いただいた群馬総社駅に関してであるが、確かに総社の歴史的な資源は東口に多いが、整備計画に携わって調査した中では、吉岡町など西からの利用者が多いという結果であった。
現在の計画では、西口開設による混雑緩和のため、最低限駅前広場と吉岡バイパスまでの道路の拡張を行う必要があり、そこまでが令和12年度までの事業予定である。
ただ、当然東口についても、昔からの重要な玄関口であるので、駅前広場設置や観光面を含めたアクセス道の整備について、都市計画部と交通担当とで引き続き取り組んでいくことを考えているので、ご理解いただきたい。
(手島会長)
大正時代に群馬総社駅を造る際に、どちらに改札口となる駅舎を置くかという議論があり、総社の街なかは線路の東側であったのも確かであるが、前橋のために東口に設置したのである。当時の前橋は利根橋しかなかったため、陸の孤島であった。そこで前橋の人のために大渡橋を造って、前橋の人のために群馬総社駅の東口を開けた。それが、現在東口に駅舎がある理由である。
(戸所副会長)
これは要望であるが、丸5の効果・影響に関する報道で掲載された記事についての記述がある。歴まちのイベント等は、可能な限り新聞社にリリースしていただきたい。先ほどの総社山王地区の話ではないが、歴まちによる補助金が出ているときだけ動いて、そのあとはやらない、というのではなく、今後も自ら動いていく流れを作るためにも、市の広報だけでなく、マスコミをうまく利用して欲しい。
私が以前務めていた私立大学では、何かあれば常にマスコミに流していた。うまくいけば全国ニュースになり、広告費が節約できる場合がある。単に記者クラブに投げ込むだけでなく、新聞社に行って説明し、取り上げてもらうよう頼むくらいでよい。それは決しておかしいことではなく、市民のため、地域のためでもある。せっかく「歴まち」というお墨付きがあるのであるから、うまく使っていってもらいたい。それが10年後に響いてくるのではないかと思う。
(手島会長)
事務局は、これまでただいた委員さんの意見をよく反映し、国への提出とホームページへの公表をお願いしたい。
3 報告
(1) 現在進行中の事業及び令和6年度事業等について
(事務局)
事務局より、資料に基づき説明があった。
3(1)に係る質疑応答
(村田副会長)
文化財登録については、現在、総社山王地区では金銭的な支援を行い進めているわけであるが、今後厩橋地区でも出てくるということは先ほど話をしたとおりである。厩橋地区では自費で行っているが、この点について後から指摘があった場合、どのように所有者の方に理解をしていただくか、また、今後厩橋地区で支援が開始した場合、総社山王地区と差が出ることについて、事前に説明が必要なのではないか。さらに、今後県の登録制度がスタートするが、希望者が出て登録された場合いその扱いはどうするのか。
(事務局)
自費で手続きをされる方には説明をし、一旦ご理解をいただいている。今後説明が必要になれば、行っていきたい。
(手島会長)
令和6年度事業については、市長選の影響で多少遅れが出ているので、円滑に事業が進むよう頑張っていただきたい。
4 その他
【今後の予算の確保について】
(手島会長)
市長が在席していれば言おうと思っていたが、歴まちはこれまで積み上げてきたものであるので、市長にもよく理解していただきたいし、協議会からもお願いしたいと思った。できれば事務局から協議会からのお願いということで伝えていただきたい。
(石井委員)
手島会長自ら、直接話をしていただく方がいいかもしれない。
(手島会長)
機会があれば、話をしてみたい。
(戸所副会長)
建造物調査の800万円の削減は、市長が交代したからなのか、それとも単純に財政的な事情のためか。
(事務局)
財政的な事情によるもので、市長交代によるものではない。こちらについては、先ほども申し上げたが、文化財保護課と一緒に、粘り強く要求していこうと考えている。
(村田副会長)
県下の市町村における文化財調査において、年間50万円から100万円程度の金額が、10年以上要求し続けても予算を付けてもらえない例を見る。背景としては、埋蔵文化財は所有者が実施するものであり、文化財保護課が予算を確保していないことがある。県の文化財保護課が今回実施した近世寺社建築総合調査の2,000万円についても、建造物では初めてのことである。最近では、文化財保護課は教育委員会に属すことが多く、市庁部局に比べ比較的予算がとりにくい現状があることから、市長部局に移したほうがよいという議論が出てくる。これが、文化財の置かれた現状なのである。
予算確保には相当粘り強くやらないといけないわけであるが、歴まちで全庁を巻き込んでやろうという事業で800万円がつけられない前橋か、という話である。ここは手島会長から市長に、これがないと進まないのだ、ということを強力に言っていただきたいと思う。
(戸所副会長)
先日、総社山王地区の講演会のときに市長にお会いし、市長が代わっても事業をガラッと変えないようお願いした。その際、市長からは、私も歴史が重要であると思っている、できるだけそうしたい、というニュアンスの返答を受けた。
その意味では、手島会長もしくは事務局から市長に対し、きちんと事業の重要性をお話しいただいて、新しい流れの中でうまく調整をお願いできればと思う。
(片貝委員)
教育委員会としては、文化財に予算をつけることについて、かなり苦労をしてきた経緯がある。どうしても高崎と比較されてしまいがちであるが、商業ではかなわない中で、前橋が何を誇れるかといえば、「文化」である。その意味で、こどもたちに、郷土愛やシビックプライドをどうやって醸成するかを重視している。
例えば、街なかに新しい図書館を整備する予定であるが、そこでは「シビックプライド・プレイス」を設置することを決定している。まさに、前橋の歴史をどのように扱っていくかというところで、戦争で焼け野原になってしまった中でも、先生方がおっしゃっているように、現存する貴重なものをしっかりと調査すべきであるし、そういったことに予算を付けていくことは重要であると感じている。
教育委員会としても、しっかりと対応していくとともに、手島会長からも是非市長へお話しいただくことをお願いできればと思う。
文化財保護課でも、ようやく専門職の採用ができるようになってきた。まさに歴まちの取組みがそういった機運を高めてくれているという認識である。今後も厳しいご指摘でもいただき、ご支援いただければありがたいと思っている。
(村田副会長)
色々厳しいことも申し上げたが、前橋でも龍海院など、調査を終えているところもある。しかし、それを文化財に指定できていない。県下でもそうであるが、調査を行うがその後の動きがないことが非常に多い。活用するという意識が抜けてしまっているのである。
その意味で、前橋が調査した建物だけでも市の指定文化財になっていれば、流れが全く変わっていたと思う。なぜそういった状況かと言えば、専門家がいないからである。今後も多様な人材がいないと文化財は保護できないと思う。特に建造物に関しては、県内では自治体に専門職員がいない、というのが現状で、現在歪みが生じているのである。
前橋はやっていないのではなく、やっているのであるが、指定まで結びつかないのである。今後は、調査後の文化財への指定についても目を向けていただきたい。
(手島会長)
村田副会長の話の中にもあったが、文化財部門が教育委員会にあることで中々予算がとりづらいということもある。国の法改正により首長部局に移して良いことになったが、その首長部局の都市計画課が予算要求をして削減されるとなると、財政課の理解が足りないのではないかと思ってしまう。
その意味では、市長が財政部門に直接言わないと変わらないと思う。安中市は、岩井市長のリーダーシップで、文化財を首長部局に入れていって、歴史によるまちづくりをどんどん進めているので、できないことはないのである。岩井市長とお会いした時にその点を高く評価していると伝え、意見交換する機会があった。機会があったら小川市長にも働きかけてみたい。
5 閉会
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更新日:2024年06月24日