第26回アーツ前橋運営評議会 報告

審議会名

アーツ前橋運営評議会

会議名

第26回アーツ前橋運営評議会

日時

令和2年7月13日(月曜日) 午後1時30分~午後3時30分

場所

前橋市中央公民館507会議室

出席者

委員

小島委員長、友岡副委員長、片倉委員、結城委員、長谷川委員、水沢委員、間々田委員、佐々木委員、黛委員

事務局

川端部長、田中課長、住友館長、徳野副館長、堺副主幹、高山主事、辻学芸員、五十嵐学芸委員、大井田学芸員、宇田嘱託員

議題

報告事項

(1)アーツ前橋の新型コロナウイルス対策
(2)アーツ前橋の臨時休館中の対応について
(3)令和元年度決算について
(4)令和元年度入館実績について
(5)関連記事
(6)その他
・委員報酬の改定
 

協議事項

(1)令和元年度事業評価について
(2)令和2年度アーツ前橋の事業変更案について

会議の内容

1 開会

2報告事項
(1)アーツ前橋の新型コロナウイルス対策

資料に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
新型コロナウイルス対策として観覧者の一方通行表示は行っているか。
【事務局】
今のところ、そのような対策はとっていない。
【委員】
アーツ前橋では入館制限をかけているので自主的に間隔を開けていれば大丈夫ではないか。監視員に(館内基準を)伝えてあるので、何かあったら監視員から事務局に連絡し対応するということで良いと思う。
【委員】
うちの館では一時間あたりの入場制限をしている。間隔を2m以上開けることを監視員から促している。アーツと同様鑑賞する上での導線はない。まばらな状態で鑑賞してもらうことに気を付けている。
【委員】
入館行動ポリシーにある「感染流行地域」はどのように捉えているか。
【事務局】
通常往来することはないと思うが、入国制限地域、特別警戒区域、緊急事態宣言地域を指している。

(2)アーツ前橋の臨時休館中の対応について
資料に基づき、事務局から説明を行った。
【委員】
資料記載の対談は誰か。名字だけでは判別できない。
【事務局】
椹木野依さん、中村政人さん、村上隆さんである。記録用資料は修正する。

(3)令和元年度決算について
資料に基づき、事務局から説明を行った。特に意見無し。

(4)令和元年度入館実績について
資料に基づき、事務局から説明を行った。
【委員】
休館は3月5日からであるか。
【事務局】
そうである。
【委員】
資料記載の3月月間来館者数の約1000人は5日間で来た人数であるか。
【事務局】
交流スペースの利用者などを含んでいる数字である。カフェは休館中も続けて営業していためカフェの人数も含まれている。
3月だけで考えると約5000人減と考えられる。平成30年度は館内外で5周年の行事を行ったため入館者数が多かった。

(5)関連記事
資料に基づき、事務局から説明を行った。特に意見無し。

(6)その他
今年度からの委員報酬額変更について事務局から報告。

3 協議事項
(1)令和元年度事業評価について

資料に基づき、事務局から説明を行った。
【委員】
「やなぎみわ展」の他巡回館の入場者数は分かるか。
【事務局】
5館巡回し、高松市美術館は3,982人、福島県立美術館は4,416人、神奈川県民ホールは3,130人、静岡県立近代美術館が8,032人であった。
【委員】
静岡県立美術館の来場者が多い要因は何が考えられるか。
【事務局】
静岡県立美術館は、現代美術の展示を定期的に開催しているので入りやすいと聞いていいた。他3館は、やなぎみわ氏との関係性やこれまでの展示経験があったため、もう少し伸びる可能性があると思っていたが、このような結果だった。
静岡県立美術館の内訳は、有料入場者が3,000人ほど、無料入場者が5,000人近くだったようである。静岡は巡回の最後だったので、関東圏で見逃した人や最後に関係者などが行った可能性も大きいと思う。

【委員】
前橋文学館と土屋文明記念文学館で萩原恭次郎の展覧会をやっていたが、とても素晴らしかったので、「やなぎみわ展」とも連携できたらよかったのではないかと思った。
【事務局】
「萩原恭次郎展」は11月頃だったので直接的な連携ができなかったが、「やなぎみわ展」をきっかけに萩原朔美館長のトークにやなぎ氏が呼ばれたことがあった。
3年後くらいまでの展覧会スケジュールを前橋文学館ともお互い共有しながらできたら良いと考えている。
【委員】
結果的に間接的な連携はできたが、もう少し積極的な交流もできたと思う。

【委員】
「アーティスト・イン・スクール」について、新型コロナウイルスでやりたくないという学校と積極的に取り組んでいる学校では何が違うのか。
【委員】
昨年度、関東甲信越静地区造形教育連合前橋大会が11月に行われ、第六中の研究事業として公開授業が行われた。
第六中、勝山小、桃川小で「アーティスト・イン・スクール」を実施しているが、新型コロナウイルスの状況で、学校現場は外部の方を学校内に入れることに敏感になっている。今年度は希望する学校は少ないと思う。
【事務局】
担当の先生により受け止め方が違う。続けていかないと実績が積みあがらないので、映像等を使った非接触型の提案を引き続きやりたいと思う。
「アーティスト・イン・スクール」は目標4校としていたところで実績が3校と減っているが、昨年度は一つの学校で回数を重ねる方法で実施したため、要望があっても応えられなかった。新型コロナウイルスの状況下でも手を挙げてくれる学校もあるので、少しずつ浸透していると思う。実績ゼロの年があると次の年に繋げにくいのでぜひお願いしたい。
【委員】
積極的な学校があれば是非やってもらいたい。

【委員】
アーツ前橋らしい個性的な事業、展覧会はどんどん進めて欲しい。他の美術館、地方の美術館にも励みになると思う。

【委員】
展覧会の入館実績をみると、どの展覧会も入場者目標に到達していない。目標をより適切で実態に近い数値に近づけることが必要と考える。
【事務局】
開館5年目に向け年間10万人を目指してきたが、5年目で実績を作れたのであれば、今後は正確、現実的な数字にしなければいけないと思っている。目標値に到達できていない理由を検証し、次年度以降の目標値に反映させていきたい。
【委員】
(企画展の)事業収入と支出は連動していないのか。
【事務局】
入場料収入とは連動していないが、助成金など外部資金を獲得する努力はしている。
【委員】
財政部局への予算要求の際にも、企画展の内容に対する入場料収入の目標があり、収入を確保するためどの程度集客すべきかと目標を立てるべきではないのか。
【事務局】
歳入予算として計上している目標の数値はあり、達成できなければ歳入不足になるので、そこはきちんと確保していく必要があると考えている。
【委員】
実績に近づけた目標を掲げた方が良い。
【事務局】
助成金は獲れなかったその分事業費を削減することにしている。助成金を獲れた時の事業費を確認し、獲れなかったら削減する確認をしている。

【委員】
「表現の生態系展」は内容が良かった。入館者数の問題だけでは測れない質的評価も大事である。メディア上で発表された批評を記録に残しておくことも大事だと思う。
単純な画像としてのクリッピングだけでなく、テキストとして保存しデータ化すれば、美術館の評価が違ったものになると思っている。
【事務局】
「表現の生態系」がSNSでどのように語られているか検証する予定であった。
関連記事の報告で示したようなクリッピングは、目に留まったものは記録している。
【委員】
定量的なものだけでなく定性的な評価も表に伝えられるか確認する必要がある。
【委員】
全ての事業でアンケートを取るのは困難で、客観性を担保するのも大変だが、「表現の森」は、アーツ前橋にとって大事な事業だという意識で取り組み、年間プログラムの中で分析対象として位置付け、アンケートやSNSなどをデータ化、価値評価し、成果として説明できるようにしておくことが必要である。
メディアの反応、批評家の文章、来場者やSNSの感想のデータを集積するとアーツがやりたい事業を今後守ることにもなるし、予算要求するときに説得力を持つ。
評価をしながらスペシャルなものを作りあげていくだけの価値が「表現の森」という連続プログラムにあると思う。そのために自己評価の仕組みを強化する工夫が必要である。
【事務局】
全ての事業は難しいかもしれないが、今まで注力できなかったので、記録すべき重点事業決めていくことからやった方が良いと考える。
【委員】
同業評価という意味で「表現の森」は数値以上に評価されていると思う。
【委員】
数だけではなくいろいろな基準を設けることが大事。掲載記事など件数で表せるが、専門家の評価、一般の評価、媒体の読者層と数なども確認することができると思う。

【委員】
「廣瀬智央展」はファッション誌にも取り上げられ、「映え」が今求められているとしたら、戦略として次に繋げることができると思う。新型コロナウイルスでいろいろ制限される中、廣瀬氏の作品は嗅覚に反応したい、行きたいと思わせることができるのではないか。
細かい評価を行いPDCAサイクルがうまく回るようなものにできるとよいと思う。
【事務局】
評価調書はそのように考えていた。評価とPDCAを機能させなくてはいけないと思う。

【委員】
収蔵作品展の当初目標は5000人だったが、変更後の「ビヨンド展」の評価調書は目標4000人、達成率86%となっているが、当初の5000人は集客目標に含めていないのか。
【事務局】
「ArtMeets06」と「ビヨンド展」という当初2つの企画展と収蔵作品展の3つの展覧会を併存させる予定だったが、2つの展覧会になった。収蔵作品展の5,000人分は実質なくなっている。

(2)令和2年度アーツ前橋事業変更案
資料に基づき、事務局から説明を行った。
【委員】
アーティスト支援の公募は、アーティストがやりたい内容を募集するのか。
【事務局】
毎年公募でイベント実施を助成していた仕組みがあるが、今年はアーティストの活動自体に助成を出すという仕組みにする予定である。内容審査は行うものである。
【委員】
新型コロナウイルスが問題になっているので、ソーシャルディスタンスを楽しく考えるような内容をやってもらうのはどうか。
【事務局】
美術だけでなく、演劇や子供向けにワークショップをやっている人、広いジャンルを想定している。東京都の映像作品制作に対する10万円支援など、内容を決めてしまうと対象が狭まるので、公募する内容はどんな形でもよく、意見をいただいたような事業提案をでも良いし、現在の自分の活動を継続していく提案でも、考え方を広く持っていきたい。
【委員】
アーツ助成の予算枠を使って行うということか。予算規模はどれくらいか。
【事務局】
そのとおりである。例年と同額、300万円ほどを想定している。
例年は助成事業の運営委託費も予算に含んでいたため、助成金に充てる額はもっと少なかった。今年はその分アーティスト支援額は増える予定である。また昨年度までは各団体の活動の自立化を促すため自己負担金があったが今年に関してない。予算の全体枠が多くなることと、団体の負担が少ない形を目指している。
【委員】
アーツのような小規模な事業主体が全般的なことを行うのは難しいのではないか。市が積極的に行う事業の一環としてやるならいいが、支援事業の全てみたいに誤解されると良くない。市の別のセクションではこうした事業を考えていないのか。
【事務局】
市全体では経済対策とか教育関係などに資源をつぎ込んでいる。全額単独予算で補助している自治体もあるが、今のところ市単独で全体的な文化支援に広げていく動きはない。

【委員】
「表現の森」プロジェクトの説明で「手紙」や「文通」という言葉があるが、電子メールではなく物理的な手紙でやり取りするイメージか。
【事務局】
電子メールでもよいが、手紙を出す、受け取るという実感を覚える上で紙の方が良いのではないかと思っている。
【委員】
芸術活動という意味で捉えたとき、その方が意味あると考える。

【委員】
若者のフリースペースに絡む取り組みなどはネットが良いこともある。オンラインの遠隔授業が思わぬ副次効果をもたらしており、不登校の学生が遠隔授業で教員が出す課題に対しリプライしやすい状況になっている。声を上げられない学生が声を上げるチャンネルを持つことができた。電子的なオンラインツールだからこその声の上げ方だと思う。
【委員】
オンラインコミュニケーションは可能性がある。オンラインによる描く、伝えるコミュニケーションはこの数カ月で学生たちはとても鍛えられたと思う。一方で教育者側は取り扱いに慣れていなかった分とても疲れてきている部分もある。
アートを使ってインスタント感覚、画面ですぐに繋がれることができるのは素敵だと思う。表現することで繋がりあえるモデルができたらよい。
留学生の授業を行う中で、社会から孤立してしまう人たちと常にコミュニケーションをとることで、その人たちの居場所があったと感じた。難しい日本語でコミュニケーションとなると離れていってしまうが、多文化共生プログラムによりアートでコミュニケーションをとるモデルが成り立つのならば、学校や企業の中でもPCの中の閉ざされたコミュニケーションに疲れた人たちを支えるモデルケースが生まれてくるのではないか。
【事務局】
事例のような層の方とアーツでも関わりがあるので、担当者と共有したい。

【委員】
「手紙」と「文通」ということに意味があると思う。オンライン設備を整えるのが難しい人もいるし、オンライン画面に自分の姿を映したくない人もいる。
アーツが取り組む「文通」は普通の文通とはちょっと違うというイメージもある。新型コロナウイルスの状況でオンラインが身近になった部分もあると思う。オンラインとリアルなコミュニケーションをうまく組み合わせるのがベストだと思う。
【委員】
小学校の授業が休校中オンラインに変わったが、休校が続く中、映像で先生やいつもの友だちの顔が見えることで伝わる子どもなりの感覚がある。
書道教室で年に一度手紙を出そうという取り組みがあった。手紙で返事をもらうことで気持ちがほっとするし、文章を読みなおせる、噛みしめられる手紙の良さもある。手紙もオンラインもお互いに役割があり、小さい頃から両方経験できるのは良いことだと思う。
アーツのプログラムでも、小さい子供たちに良い影響を与える取り組みにしていただければ親御さんたちも参加するものになると思う。
【事務局】
相手によりオンライン、手紙、ふさわしい使い方があると思う。これまで選択肢を増やしてこなかったのも事実で、対象者や対象施設に対するコミュニケーションの選択肢を検討する時間がこの機会に持てたのは良かったと思う。

【委員】
文部科学省が進める「ギガスクール構想」では、前橋市教育委員会も一人一人の子供がタブレット端末を使えるような準備を進めており、現在中学3年生全員に持たせている。実証実験が8月から始まりタブレットで授業を受けるような形になる予定。ZOOMを学校に入れているおり、どのように授業に取り入れるか検討中である。
「アーティスト・イン・スクール」の派遣が中止になるということは、「多文化共生プロジェクト」で繋がる人たちとZOOMで授業ができるのではないかと思っている。
【事務局】
前橋に住んでいる外国人が授業をするということか。
【委員】
仲介役もやってくれれば学校として授業に取り入れやすい。美術の先生と実際来ている方だけだと難しい気がする。
オンラインで教育現場の人が考える会を開催するのは難しい。参加者が確保できないのではないかと思う。美術教員の主任会でオンライン会議をやり、そこにアーツが入るのは可能だと思う。学校現場は対応に試行錯誤している状況なので、すぐに提案を受けいれることは難しいと思うが、将来に繋がる感じはする。

【委員】
新型コロナウイルスで中断した事業を再度続編として実施することは可能性としてありか。
【事務局】
次の展覧会の準備があるので難しい場合もある。「前橋の美術2020」は残り2週間で休館となったが、再開後次の展覧会の作品が入るので続けられなかった。休館前の展覧会を継続している美術館もあるが、(準備の都合で)夏の展覧会ができなくなった美術館もある。前橋文学館は休館前と同じ展示で再開した。
【委員】
今後の展示も(新型コロナウイルスの影響を受けて)同じような形(途中で休館)になる可能性があると思う。
【委員】
新型コロナウイルスによる臨時休館中の反応について整理しておくことが大事だと思う。
【事務局】
休館中に取り組んだ事業の反応は、ガラス面での展示はウォーキングの歩行者からガラス越しでも作品を見られてよかったという声をいただいた。また新聞に掲載されるなどメディアの反応もあった。SNSについては、定期的に火曜日と金曜日に配信していることでフォロワーが増えているようだ。
今後同じような(休館となった)時、反応がどうだったのか確認しておくことは大事だと思う。

4 その他
【事務局】
次回の開催予定であるが、第27回については11月下旬を考えている。

 

 

主な意見等

・前橋文学館と土屋文明記念文学館で萩原恭次郎の展覧会をやっていたが、とても素晴らしかったので、同時期に開催していた「やなぎみわ展」とも積極的な連携ができたらよかったのではないかと思った。

・新型コロナウイルスの状況で、教育現場へ外部の人が入りにくくなっているが、積極的な学校があれば進めてもらいたい。

・アーツ前橋らしい個性的な事業、展覧会はどんどん進めて欲しい。他の美術館、地方の美術館にも励みになると思う。

・展覧会の入館実績をみると、各展覧会とも目標に到達していない。目標を適切で実態に近い数値に近づけることが必要である。

・展覧会に対し入場料収入の目標があり、収入を確保するためどの程度集客が必要かという目標を立てるべき。

・「表現の生態系展」は内容が良かった。入館者数の問題だけでは測れない質的評価も大事である。「表現の森」は、アーツ前橋にとって大事な事業だという意識で取り組み、年間プログラムの中で分析対象として位置付け、アンケートやSNSなどをデータ化、価値評価し、成果として説明できるようにしておくことが必要である。

・「廣瀬智央展」はファッション誌にも取り上げられ、「映え」ということが求められているとしたら、戦略として次に繋げることができると思う。新型コロナウイルスで制限される中、廣瀬氏の作品は嗅覚に反応したい、行きたいと思わせることができるのではないか。細かい評価を行いPDCAサイクルがうまく回るようなものにできるとよいと思う。

・新型コロナウイルスの状況でオンラインが身近になった部分もあると思う。オンラインとリアルなコミュニケーションをうまく組み合わせるのがベストだと思う。

・今後も新型コロナウイルスの影響を受けて途中で休館になる可能性があると思う。臨時休館中に行った取り組みの反応もきちんと整理しておくことが大事である。

関連書類

この記事に関する
お問い合わせ先

文化スポーツ観光部 文化国際課 アーツ前橋

電話:027-230-1144 ファクス:027-232-2016
〒371-0022 群馬県前橋市千代田町五丁目1番16号(アーツ前橋・2階)
お問い合わせはこちらから

更新日:2020年09月07日