第28回アーツ前橋運営評議会 報告

審議会名

アーツ前橋運営評議会

会議名

第28回アーツ前橋運営評議会

日時

令和3年3月22日(月曜日) 午後1時30分~午後3時30分

場所

アーツ前橋 1階スタジオ(オンライン併用開催)

出席者

委員

小島委員長、友岡副委員長、片倉委員、瀬谷委員、結城委員、長谷川委員、水沢委員、佐々木委員

事務局

川端部長、田中課長、住友館長、徳野副館長、今井学芸員、五十嵐学芸員、北澤学芸員、高山主事

議題

報告事項

(1)事業の実施結果(進捗状況含め)
・「聴く-共鳴する世界」
・「場所の記憶 想起する力」
・スタジオサポート
・滞在制作事業(海外)※変更:ジェミニプロジェクト
・多文化共生プロジェクト
・あーつひろば
・アーツナビゲーター研修
・表現の森継続事業
(2)令和2年度収蔵美術品専門委員会の結果
(3)関連記事/視察団体受入
(4)前回までの指摘事項
 

協議事項

(1)令和3年度事業について(非公開)
 

会議の内容

1 開会

2 報告事項
(1)事業の実施結果(年度末までの進捗状況を含め)
・展覧会事業(「聴く-共鳴する世界」、「場所の記憶―想起する力」)
資料に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
アンケートをなかなか回答してくれないのは重々承知の上であるが、アンケート取得サンプル数、回収率が少なすぎる。統計的な信頼性が弱いと言わざるを得ない。回答者へノベルティなどインセンティブを作り出すのが良いか議論の余地があるが、回答率を上げるための工夫、可能性を探っていただきたい。
【事務局】
アンケートの配り方、二次元コードをスマートフォンで読み込み、オンライン型で回答する方法など(他にも考えうる)方法がある。ご指摘のとおりだと思うので、アンケート抽出数を上げることを課題として捉え考えていきたい。
これまでの展覧会では受付で回答用紙を全入館者に配付していたため比較的回収数が多かったが、会場出口のアンケート記載場所で書いてもらう方式にしたところ少なくなった。数の問題は入口で配ることで解決できると思う。また設問内容についても検討の余地があるとこれまでの評議会でも意見をいただいていたが実現できていないので、調査統計のご意見も含め、委員さんにもご協力いただけたらありがたい。

【委員】
「場所の記憶」展の波及効果について、その反響の大きさに驚いている。前橋空襲の展示について、解説プログラムを市民学芸員が自主的に行ったことについて、すごく良いと思って事務局説明を聞いていた。公立美術館でそうした取り組みを行うのはあまり聞いたことがないが、どのようなスキームで行ったのか詳しく教えて欲しい。
【事務局】
市の「市民学芸員」の講座を受けた方々が、市内にある歴史建造物などへ出向いて解説会を行うような取り組みであるが、市民学芸員の中にアーツ前橋のアーツナビゲーターの方がおり、その方が前橋空襲に関心がある方を集めて解説会を行うことに繋がった。

【委員】
市民学芸員の方がギャラリーに入るときには、入場料は取らずに特別枠ということだと思う。市民学芸員が(一般入場者に)解説を行う可能性はあるのか。フランスなどでは展覧会で作品をみていると「解説しましょうか」と声をかけられることがよくある。市民学芸員は美術館に認められている制度と解釈してよいのか。他の方とどのように差別化を図っているのか教えて欲しい。
【事務局】
入館料の扱いについては、今回は無料の展示空間の場所だった。日時や人数の相談を事前に頂いていたが、その方が(アーツ前橋の)アーツナビゲーターでもあった。
直接連絡できる状況だったのですが、コロナということもあり参加人数はできる限り大人数にならないようお願いし、また土日だと他の来館者も多いので、平日昼間で開催していただけるようお願いした。市民学芸員については、他の一般来館者と同じ扱いで入館いただいている。

【委員】
そのような方に活動の場を提供していき、結果的に市民と繋がれることになり、最終的に必要に応じてスキームを作っていくという考え方と理解した。まずは「人ありき」で積極的な方もいるので連携をして欲しいと思う。
【事務局】
歴史的なものへのアプローチもアーツ前橋の一つの特徴であるので生かしていきたい。市独自の取り組みである「市民学芸員」制度は歴史文化関係の講座が多いが、アーツ前橋の学芸員が講師として参加し、市の収蔵作品やアーツ前橋の事業を説明する講座もある。そうした中で市民学芸員がアーツ前橋に来て解説される際の取り扱いを今後検討したい。

【委員】
「聴く展」ではサイト展開を図ったとのことだが、作家の了承は簡単に得られたのか。今後作家の了解が難しい場合も積極的にサイト展開を行うのか。また「場所の記憶」展は、「あたご資料館」が閉館となるタイミングでタイムリーな展示で効果があったと思う。
【事務局】
出品作家のサイトへの載せ方も何段階かあり、作品紹介の写真を掲載しただけの作家もいれば、会場に展示した動画や音をそのまま載せた作家・作品もある。動画まで載せてよいという作家、動画を載せるのは控えて写真だけにして欲しいという作家、それぞれの意向を汲み許可を取りサイトを作った。今回はコロナ禍における取り組みとして作家も協力的だった。今後どのような形で行うか模索していきたいと思っているが、作家と密にコミュニケーションを取り、作家の意向を反映しより効果的なサイトの運営ができるよう心掛けていきたい。

【委員】
会場で体験するより自分のパソコンで聴いた方がしっかり聞こえるような音の体験として内容の濃いサイトができていた。クオリティが高く相当経費もかかったと思うが予算上当初から組み込んでおいたのか。
【事務局】
展覧会の図録を作成することで予算を取っていたが、(コロナ禍で)来場者が減ることが予想される状況で、図録の作成費用をウェブサイト構築に回した。一般的に図録に載せるような外部執筆者の寄稿などもウェブサイトに載せ、図録の代わりになるようなものを作った。

【委員】
サイトしか見られなかったような人向けに、無観客状態で学芸員がオンラインでギャラリーツアーするようなコンテンツも作るような試みはあったか。
【事務局】
(作品の)音を聞かせながら展覧会の案内・ツアーを音で行うのが難しかったため、今回は行わなかった。ヘッドフォンをして作品を聞くような場所もたくさんあり、映像と音を編集するひと手間が難しく断念した。

【委員】
動きのあるダイナミックなコンテンツを組み込めるとさらに良かったと思う。

・地域アートプロジェクト
(スタジオサポート、キム・ジェミニプロジェクト、多文化共生プロジェクト)
資料に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
多文化共生プログラムを興味深く拝見した。在留ベトナム人の声を聴いてスタートし、アーティストが地域の方々と協働して行う点について意義のあるものだと思うが、このプロジェクトが一般市民や大学、自治体関係者に知られているのか気になった。内容を聞き及んでいたが大学全体にアーツ前橋側から周知されていた様子がなかった。多文化共生に関心が高い自治体等へ連絡するなど、多くの方々に知ってもらうための取り組みをしていたのか伺いたい。
【事務局】
今年度後半にプロジェクトを本格的にスタートさせ、配信は誰でも聞ける状態になっているが、広く知られていない状態である。3月に新聞に取り上げていただいたが、反響も意識しながら、どのように拡散させていくのか検討したい。次年度は大学や国際交流協会等にもアプローチし、協力や拡散していただけるよう努力を続けてまいりたい。

【委員】
多文化共生の分野は一方向的にしか理解が広がらないとう弱点もある。相互理解・相互尊重がキーワードになるため企画段階から関係者を巻き込むと良いと思う。巻き込まれた人たちも共感し、メッセンジャーとなって情報拡散してくれるような取り組みができるよう、参考にしていただけたらと思う。
愛知県豊田市の保見団地では外国籍の方が多いところに落書きがされている壁があったが、NPOの方が中心となり、地域の方や外国籍の方、日本の方が一緒になり、アーティストも関わりながら、その壁にアートを作り上げ、アートを尊重しキープされるよう育て上げていくというような取り組みをしていると伺った。先進事例として来年度の充実に役立てて欲しい。

【委員】
次年度に向け展開の余地、連携の可能性がある取り組みだと思う。在留難民などの支援や異文化共生のNPOとかと繋がってできる余地もある。私たちもシリア難民とトルコ人の分断をまたぐ共生支援をしたり、異なる民族とか分断された集団を「アート」で結び付ける取り組みをしたりしている。同様の取り組みをしている団体や地域も海外にもあり、コロナ禍において、そうしたところと繋がった展開も考えていただきたい。
【事務局】
地元コーディネーターとアーツ前橋の学芸員で行っているプロジェクトである。ベトナム難民受け入れをしている施設とアーツ前橋が関わるプログラムもあり、これまでの取り組みで顔見知りとなった方を多文化共生のプログラムに繋げていくことも今後の課題である。

・教育普及事業(あーつひろば、アーツナビゲーター、表現の森継続事業)
資料に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
デイサービスを対象に対話型鑑賞を行ったということであるが、デイサービスは要介護よりも軽度の方が多いと思うが参加者の反応はどのようなものだったか。
【事務局】
「えいめい」でのプログラムは、これまで特別養護老人ホームで活動してきたが(新型コロナウイルスの中、直接的なプログラムが難しい状況で)「対話型鑑賞」を行う場合に記憶がはっきりして会話もきちんとできる方でないとプログラム実施が難しかったためデイサービスの方に切り替えさせていただいた。
対話型鑑賞のオンラインプログラムを行った作品は、「場所の記憶」展に展示した旧前橋駅舎を描いた作品だったが、高齢者の中には旧駅舎を実際見たことのある方も多く、昔の記憶やエピソードを話した方もおり、もともと高齢者施設で記憶を刺激するケアの方法「回想法」とも連動するような形で、昔の記憶を話してくれるような反応があった。
 

(2)令和2年度収蔵美術品専門委員会の結果
資料に基づき、事務局から説明を行った。特に意見無し。

(3)関連記事/視察団体受入
資料に基づき、事務局から説明を行った。特に意見無し。

(4)前回までの指摘事項
前回評議会で指摘いただいた事項について事務局から説明を行った。
【事務局】
・親子連れ・家族連れなど幅広い方々に届く分かりやすい展示
体制も変わる中で、これまで良かった部分を引継ぐとともに、改善点など加えていく部分も検討し、評議会にも報告していきたい。

3 協議事項
(1)令和3年度事業について
【非公開】
資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

4 その他
【委員任期と今後の予定】

今年度末が任期終了。本来開催前に伺うところだが、今後、アーツ前橋あり方検討委員会が開催される。こうした方向性や委員の意向も確認しながら評議の場を改めて設けさせていただきたい。空白期間は小島委員長が話を受け、必要があれば旧委員に相談をする。

【住友館長退任あいさつ】
長きにわたり大変お世話になった。
第1回評議会は開館3か月前の2013年7月だったと思う。その時のメンバーも半分以下になっているが、初代委員長には高崎市美術館の巣山館長になっていただいた。初代委員長になっていただいた経緯は、前橋市では市長選により一旦美術館計画を止めることになったが、市民や議員にも美術館に賛成している方がおり、市長からも半年間の話し合い期間を設けていただき、開館が半年間遅れることにはなったが、ほぼ当初予定していたことを認めていただき進めることになった。
当初の予定通りでなかったのが館長人事で、火中の栗を拾うような状況で候補の方を呼ぶことが難しい中で私が就くことになった。当時42歳で館長になったが、そうした中、巣山館長がいろいろ心配してくださり、美術館運営のこともいろいろ教えていただいた。美術館の運営評議組織は年間1・2回開催し、かいつまんで報告するようなことが多い中、当初は年4回、詳細な報告をする評議会としてスタートした。その後年3回に開催回数は減ったが、多くの資料に目を通して活発な意見をいただき、個別の事業だけでなく美術館運営や大きな方針について意見や提案をいただいてきた。そういった点でも委員みなさんに感謝申し上げたい。
今後は東京藝術大学で芸術や美術館の研究、後進育成にあたるが、美術は個人が感じているものを表現する、美術館は社会に不可欠な場所だと思っているし、自分自身助けられたこともある。そういう人が前橋にもたくさんいると思うので、そうしたことを大事にする美術館であり続けて欲しいと思う。
期間は分からないが、ふさわしい後任の方に来ていただけると思う。さらにもっと良いアーツ前橋になることを願っているので、今後もご支援、ご協力をお願いしたい。
どうもありがとうございました。

5 閉会

主な意見等

・アンケート取得数、回収率が少なすぎる。統計的な信頼性が弱い。回答率を上げるための工夫、可能性を探っていただきたい。

・「聴く展」では展覧会のサイト展開が図られていた。自分のパソコンで聴いても音の体験として内容の濃いサイトができていた。

・コロナ禍でアーツへ来館できずサイトしか見られなかった人向けに、学芸員がオンラインでギャラリーツアーするなど、動きのあるダイナミックなコンテンツを組み込めるとさらに良かったと思う。

・「場所の記憶」展で「市民学芸員」が主体的に解説した事例を興味深く聞いた。積極的な興味を持つ方々に活動の場を提供することが結果として市民と繋がれることになる。「市民学芸員」と連携するスキームも必要に応じ検討して欲しい。

・「多文化共生プロジェクト」が一般市民や大学、自治体関係者に知られているのか気になった。関心が高い自治体等へ連絡するなど、多くの方々に知ってもらうための取り組みをして欲しい。

・「アート」で多文化共生にアプローチする取り組みをしている団体や地域は国内外にほかにもあり、コロナ禍でそうした団体・地域と繋がった展開も考えていただきたい。

・デイサービスを対象に行ったアーツナビゲーターの対話型鑑賞で、デイサービス側の参加者の反応がどのようなものだったか伺いたい。

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更新日:2021年08月06日