第29回アーツ前橋運営評議会報告

審議会名

アーツ前橋運営評議会

会議名

第29回アーツ前橋運営評議会

日時

令和5年9月29日(金曜日)午前11時00分~午後1時00分

場所

アーツ前橋 1階スタジオ

出席者

委員

友岡委員長、片倉副委員長、青柳委員、畔上委員、天野委員、加藤委員、郡司委員、小林委員、櫻井委員、前山委員

事務局

南條特別館長、阿佐美部長、大原課長、出原館長、徳野副館長、上田総務担当係長、庭山学芸担当係長、辻学芸員、宮本チーフキュレーター

議題

(1)令和5年度事業内容(終了分)

・コレクション+「手のひらから宇宙まで」
・「403architecture[dajiba]/椅子の場所は決めることができる」          

(2)令和5年度事業内容(今後実施事業) 
・「ニューホライズン 歴史から未来へ」
・前橋の美術2024

(3)関連記事/視察団体受入 

会議の内容

1 開会

2 あいさつ


【南條特別館長就任あいさつ】
アーツ前橋では2年前から問題があったが、今日に至る過程の中である程度処理できてきたという認識である。私は、今年の前半にアーツの立て直しということで市長から誘いを受けた。その際に市の文化戦略顧問という形で文化戦略のプログラム等にアドバイスをするという立場で参加したが、あわせてアーツ前橋の特別館長も拝命した。
5月に出原氏に館長を引き受けてもらったことで、体制が整い再スタートを切った。過去に問題はあったが「未来に向かってこの美術館を進めていこう」ということで、ちょうど今年が10周年ということもあり、フレッシュな気持ちで再スタートを切るというメッセージを発信したいと考え、「ニューホライズン」という大きい展覧会を開くこととした。
そして、「街とともに歩む美術館にしたい」、「将来的には美術館をもっともっと発展させたい」という思いで取り組んでいる。
この運営評議会では、報告、議論、そして、前に向かって進むべき道を定めていきたいと思うのでよろしくお願いします。

【出原館長就任あいさつ】
5月1日から館長に就任した。まだ5か月ほどだがアーツ前橋の職員であるという意識と自覚が芽生えてきた。
これまでアーツ前橋には5、6回訪問したことがあるが、良い印象であり、街の中にある美術館として先進的な取り組みを行っていると感じていた。一方、残念ながら、走りながら考え過ぎたと思っている。歩みをゆっくりにして考えるということができなかったために問題があったように感じる。これからは歩みをゆっくりにしたり、立ち止まったりも意識しながら、この美術館を次の10年に繋げていきたいと思っている。
南條特別館長のもと、経験はまだ足りないが、能力が高く優秀なスタッフもたくさんいるので、みんなで頑張っていきたい。
委員の皆様には温かい目と厳しい目の両方の目でこの美術館を見守っていただき、たくさんの意見を頂戴できたらと思う。どうぞよろしくお願いします。

3 委嘱状交付・委員紹介
任期は本年度と来年度の「2か年度」令和7年3月末までとの確認を行った。

4 委員長・副委員長選任
これまでの経過も踏まえ、前評議会にて副委員長を務めていた友岡委員が委員長に、委員として参加していた片倉委員が副委員長に互選された。

【友岡委員長就任あいさつ】
委員長の就任にあたり2つの話をしたい。
それは躊躇い、戸惑いがあったということである。
1つ目は、アーツ前橋では事件があり体制が刷新されたことで、委員も刷新すべきということで、再任を受けることに逡巡があった。それでも前の状況を知る委員がいたほうがいいだろうというのが1つ。前回までの委員会の反省を生かして委員会を運営することができればいいのではないかと決めた。
2つ目は、私は、アーツカウンシル前橋の統括責任者も兼ねている。アーツカウンシル前橋は特殊な組織で、公募型助成はなく文化審議会のようである。つまりアーツ前橋の事業をアーツカウンシルが評価しており、評価者と被評価者にも関与することとなる。利益相反ではないが組織運営上疑問を持ったのも事実である。しかし、マイナスよりもプラスの面が多いと考えた。その理由としては、アーツカウンシルの事業は複数の評価者により評価しているということ、あくまでも提言の範囲内であるということから、そこまで影響はないだろうと考え、また、アーツ前橋の活動の詳細を理解することで、アーツカウンシルとしても前橋市の文化活動への提言に寄与するだろうと考えた。
よって委員及び委員長を引き受けたが、今後運営評議会が進んでいく中では、新陳代謝が進んで他の方が就任することが望ましいと思う。あくまでも暫定的な存在として、むしろアドバイザーとして貢献できたらと考えている。今後ともどうぞよろしくお願いします。

5 議事
(1)令和5年度事業内容(終了分)
・コレクション+「手のひらから宇宙まで」【令和5年7月29日 ~ 9月24日】
・「403architecture[dajiba]/椅子の場所は決めることができる」【令和5年7月29日~9月24日】

資料に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
「椅子の場所は決めることができる」展は、鑑賞の後に興味を持って街なかに行きやすいということもあるが、日ごろから街なかに親しんでいる子ども達にも伝わるものとしても良い展示だった。周知について、子ども達も街なかが面白くなってきていると感じているので、ぜひ学校にも行ってもらいたい。

【委員】
子ども達に届くということは、家族に届くということでぜひ周知してもらいたい。
アンケート項目、満足度の「分かりやすさ」は疑問に感じる。「分かる、分からない」を超えた展覧会の魅力、親しみやすさのような言葉でもいいと思う。美術館として問い直しが必要だと感じた。

【委員】
収支のバランスや考え方について教えてほしい。

【事務局】
もともと美術館は図書館と考え方が同様で収支を気にしてこなかった。2000年代に地方財政が苦しくなって大きく変わり、一般の人にも分かりやすくし、入館者を増やして収益を上げる努力をするようになった。収支のバランスについては、明確にはなんとも言えないが、収益を上げる努力をしなければならないと考える。

【委員】
「椅子の場所は決めることができる」展について、街なかの店舗から椅子を貸りているということを知らなかった。例えば、街なかの店舗にサポート隊のようなものを募り、メール等による連絡手段が確立できれば、連携も深まり街なかがより盛り上がるのではないかと思う。

【委員】
最近は、積極的に招待券を配らないという風習がある。金券という考え方によるものだと思うが、宣材物として数万枚を配付している例もある。収益を上げるよりも来館者を増やすという展覧会があってもいいと思う。そういった意味で、無料の日を設けたことは良いと感じる。配布先のバランスを考えるなど配付の方法は難しいと思うが、子どもや学校関係には配ったほうがいいと思う。

【委員】
感想だが、仮説として考えるならば、事件のネガティブな影響が残っており、休館していた時期も長かったので入館者が少ないのは当然だと思っている。
むしろ敢えて来てくれた人の意見を積極的に取り入れることが重要ではないか。
投げかけのみに留めておくが、前の運営評議会の反省として、予算や組織運営の質問や提言が出来なかったことは気になっている。それを踏まえ、評価シートの「準備時間が足りなく遅滞」という評価は、人員が足りないという問題なのか、システムの問題がなかったのか組織内で議論してほしい。

(2)令和5年度事業内容(今後実施事業)
・「ニューホライズン 歴史から未来へ」【令和5年10月14日 ~ 令和6年2月12日】
・前橋の美術2024【令和6年3月2日 ~ 3月26日】

資料に基づき、事務局から説明を行った。

【事務局】
いままでの議論に意見をしておくと、どこの美術館でもコレクション展は盛り上がらないのが常である。目標数値の根拠も明確に設定している訳ではない。しかしながら、魅力的な展覧会だったと思っているので、数値目標等は再検討したい。
(議案1質疑の)収支の話を補足すると、昨年は2つの展覧会が無料で、有料展覧会は1つだったが、歳入は100万円未満(令和5年度決算928,200円、事務局追記)だった。来館者総計はショップやカフェの重複も含め6万人(令和4年度:6万5730人、事務局追記)で、コロナ前に戻ってきた印象である。
入館者が増えるように今後もっと頑張っていきたい。PR方法も研究を続けていきたい。

【委員】
「ニューホライズ」展は、ちょっとした国際展やビエンナーレ規模と感じる。予算規模はどれくらいか。

【事務局】
実行委員会形式として市からの負担金は7600万円であるが、さまざな方法で資金集めを行い、総額1億円を切るくらいで地域の皆様に理解をいただいている。

【委員】
欧米の美術館は給料が安くて学芸員が辞めているということも起きている。
多額の予算を扱うこともそうだが、体制をしっかり整えることが重要であると考える。
ノンプロフィット(非営利)のパブリックスキームが主だと思うが、プロフィット(営利)のスキームを入れていかないと持続性が担保できないので、新しいビジネスモデルを検討していくべきと感じる。

【委員】
子どもの頃から美術に親しむ場を作ってほしい。子どもが感じる企画をもう少し考えてもらえると有難い。
市立の学校にはタブレット配信が有効なので積極的に行うと良い。11月の前橋学校フェスタでは図工美術作品展あるので、連携、繋ぎを作ると効果的だと感じる。
学校へのアプローチはどのようなことを行っているのか。

【事務局】
「前橋の美術」に参加するアーティストが学校等を支援する「アートゆい」、学校等にアーティスを派遣する「アーティストインスクール」、「先生のための展覧会無料招待ウィーク」のほか、「おしゃべりアートデイズ」、「あーつひろば」等を行っている。

(3)関連記事/視察団体受入
資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

6 その他

【委員】
学校フェスタは毎年5,000人以上来るので、活用できると思う。広報協力できることもあるので利用してほしい。

【委員】
「アーツ前橋という組織が全体として何を目指していくか」という基本や指標がどのようなものか、それに基づく柱が何なのかが分からない中での議論だった。また「組織体制がどのようになっていて、今後どこに力を入れ、どのように進めていくのか」という役割分担が見えない。
今後、評議会がどのような議論を行うのかなど、全体の見取り図や基本情報が見えない中では意見が言いづらいと感じている。

【委員】
まさにその通りと感じる。ウェブサイトに詳細な情報は掲載されていると思うが、基礎資料を共有していただきたい。

【事務局】
次回プリントアウト等により提示していきたい。

【委員】
それに基づいて評価していきたい。

【委員】
事務局としても受け止めていただき、話し合っていただきたい。

【委員】
スタッフもそのようなことを自覚されたほうが、仕事のやりがいも方向性も見えてくると思う。

【委員】
「アーツ前橋あり方検討委員会」の提言を拝見したが、学芸員と事務職での調整が必要と書かれていた。今回、そのことについて改善されたか見えなかった。

【事務局】
手探りの状況でもあるので、時間をかけて検討していきたい。
次回の委員会では体制について示していきたいと思っている。
学芸員が足りておらず追加の余地があると思っている。
「ニューホライズン」展では、別途専門スタッフを委託している。

【委員】
館外の展示はリスクが上がるのでより注意が必要だと思う。

【委員】
評議会運営がこれまで通りでいいのか問題提起をしたい。事業の進捗等に時間がかかり過ぎてしまい、組織等の議論がなくなってしまう。前回からの反省を踏まえ事務局とも相談していきたい。
「ニューホライズン」展は純粋に凄いなという印象。センスの良い市外の大学生は前橋に遊びにいく傾向が強い。高崎等に広報していくというのも効果的だと思う。

【事務局 】
次回は、今回の宿題も踏まえて年度内に開催したい。

【阿佐美部長 】
全ての課題に対する解決策を公表できる段階ではないかもしれないが、これからの10年に向かって新しい歩みをスタートさせたい。次回、十分なご議論ができるように事務局と準備するとももに、「ニューホライズン」展にも足を運んでいただき、感想をいただきたい。本日は大変ありがとうございました。

7 閉会

主な意見等

・周知について、子ども達も街なかが面白くなってきていると感じているので、ぜひ学校にも行ってもらいたい。

・投げかけのみに留めておくが、前の運営評議会の反省として、予算や組織運営の質問や提言が出来なかったことは気になっている。それを踏まえ、評価シートの「準備時間が足りなく遅滞」という評価は、人員が足りないという問題なのか、システムの問題がなかったのか組織内で議論してほしい。

・多額の予算を扱うこともそうだが、体制をしっかり整えることが重要であると考える。ノンプロフィット(非営利)のパブリックスキームが主だと思うが、プロフィット(営利)のスキームを入れていかないと持続性が担保できないので、新しいビジネスモデルを検討していくべきと感じる。

・「アーツ前橋という組織が全体として何を目指していくか」という基本や指標がどのようなものか、それに基づく柱が何なのかが分からない中での議論だった。また「組織体制がどのようになっていて、今後どこに力を入れ、どのように進めていくのか」という役割分担が見えない。今後、評議会がどのような議論を行うのかなど、全体の見取り図や基本情報が見えない中では意見が言いづらいと感じている。

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更新日:2023年12月19日