アニサキス症
アニサキスの成虫はクジラやイルカ等の海棲哺乳動物の胃に寄生し、幼虫はサバやイカ等の体腔や筋肉中に寄生します。
人がこれらの海産魚介類を生で食べると幼虫が胃壁(胃アニサキス症)や腸壁(腸アニサキス症)に穿入し、激しい腹痛をおこします。
日本では刺身や寿司等、海産魚介類を生食する習慣があるため、多く見られる寄生虫症です。
病原体
アニサキス(寄生虫の一種)
終宿主
クジラ・イルカ・アザラシ等の海産哺乳動物
待機宿主
サバ・ニシン・アジ・タラ・スルメイカ等の海産魚介類
中間宿主
オキアミ
原因食品
海産魚介類(サバ・イカ等)
調理法
生食・酢じめ
料理名
刺身・寿司・しめさば
主な症状
激しい腹痛(急性胃腸炎)、嘔吐
潜伏期間
食後数時間
治療
胃内視鏡を用いて虫体の場所を特定し、鉗子で摘出する。
予防・対策
海産魚介類の生食を避け、加熱調理する。
生食する場合には、魚介類の内臓を除去し、冷凍処理後に解凍したものを食べるようにする。
補足説明
- アニサキスの幼虫は、待機宿主である海産魚介類に寄生し、人がこれを生食することで感染します。人に感染してもアニサキスは幼虫のままであり、人の体内で成虫になることはありませんが、幼虫により急性胃腸炎症状を示します。これがアニサキス症です。
- 一般にアニサキス症は冬に多く、夏には少ない傾向があります。これは感染源として重要なタラ、オヒョウ、サバ、イワシ等の漁獲期が冬であるためです。
- アニサキスの幼虫は様々な種類の魚から見つかります。その中でもサバは、内臓よりも身の方に多くアニサキスが寄生し、加えて生食されることが多いため、特に問題となります。
- アニサキスは体長が2センチメートルから3.5センチメートルと充分肉眼で確認できる大きさなので、魚の身を薄くそぎ切りにしていけば、見つけ出して取り除くことも可能です。アニサキスが1匹でも見つかれば、他の部位にも寄生している可能性があるため、その魚は加熱(60度、1分以上)してから食べる方が安全です。
- アニサキスの幼虫は冷凍(マイナス20度以下、24時間以上)にも弱く、冷凍により感染力を失うことが分かっています。したがって海産魚介類を冷凍してから生食することも、アニサキス症を予防するのに有効です。しかしアニサキスの幼虫は、食塩、醤油、各種調味料や薬味に抵抗性があり、通常の料理で用いられる量では死滅しません。
参考
しめさばを作るのに用いられる酢の量は、身の重量の50%程度です。
(さば一尾は600グラムから700グラム)
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更新日:2020年10月07日