食品検査(収去等)について

食品の収去検査について

収去検査とは、食品衛生法に基づき食品等の安全性を確認するため、食品衛生監視員が製造所や販売店舗等から検査に必要な最少量の食品等を採取し検査することをいいます。前橋市保健所では、毎年作成される「前橋市食品衛生監視指導計画 」に基づいて、市内の食品製造業や飲食店、小売店などの監視・指導(検査を含む)を実施しています。
食品や添加物、容器・包装等には、以下のような基準が定められています。

 

規格基準
規格基準とは、食品衛生法に基づき食品・器具及び容器包装等について、成分規格や製造、加工、調理及び保存に関する基準を定めたものです。
各食品の規格基準についてはコチラ(厚生労働省ホームページ)

衛生規範
衛生規範とは、食中毒の原因になることが多く、その製造時において衛生上の配慮が必要である食品について、厚生労働省が作成した営業者の食品の衛生的な取扱等の規範のことです。

上記の規格基準や衛生規範などの基準値をもとに、前橋市保健所では、市内の製造所や小売店などから収去した食品等の検査をおこなっています。
検査結果はHPで公開しています。

検査項目について

以下のような項目の検査を今まで実施しています。
各項目をクリックすると、その検査の説明にリンクします。 

理化学検査

検査項目 主な対象食品

〔食品添加物の使用基準等〕

・保存料

・発色剤

・甘味料

・着色料

・漂白剤

・品質保持剤

・酸化防止剤

・指定外添加物(サイクラミン酸)

食肉製品、魚肉ねり製品、漬物、

いくら・たらこ、煮豆・甘納豆、

魚介乾製品、味噌、清涼飲料水、

佃煮・でんぶ、生めん、ゆでめん、

菓子、乾燥果実、あん類、氷菓、輸入菓子

〔規格基準〕

・シアン化合物

・重金属

生あん、清涼飲料水

〔乳等の成分規格〕

・乳脂肪分

・無脂乳固形分

・比重

・酸度

牛乳

〔農薬の残留基準検査〕

・農薬

生鮮野菜及び生鮮果実、輸入加工食品

〔有害汚染物質の検査〕

・抗生物質

・PCB

・水銀

乳等、鶏卵、魚介類

〔畜水産食品等の残留有害物質のモニタリング検査〕

・合成抗菌剤等

食肉、養殖魚

〔アレルゲン(特定原材料)〕

・卵、乳、小麦、そば、落花生

加工食品(弁当・そうざい・菓子等)

〔器具及び容器包装〕

・溶出試験

容器包装

〔放射性物質〕

・放射性セシウム134及び137

加工食品

微生物検査

検査項目 主な対象食品

〔食品の規格基準、衛生規範等〕

・細菌数(生菌数)

・E.coli(大腸菌)

・大腸菌群

・黄色ブドウ球菌

・サルモネラ属菌

・クロストリジウム属菌

・セレウス菌

・腸炎ビブリオ

検食(保存食)、弁当・そうざい、調理パン、洋生菓子、冷凍食品、

生食用鮮魚介類、魚肉ねり製品、生めん、ゆでめん、清涼飲料水、

豆腐、食肉製品、漬物

〔乳等の成分規格等〕

・細菌数

・大腸菌群

・低温細菌数

・リステリア

牛乳、発酵乳、アイスクリーム類、ナチュラルチーズ

〔食品の実態調査〕

・細菌数

・大腸菌群等

加工食品

生あんのシアン化合物

 海外から輸入されるアオイマメ類の中には、シアン化合物(青酸配糖体)が含まれる種類のものがあります。
豆に含まれるシアン化合物が加水分解によってシアンを生じ、食中毒を起こすことがあるため、輸入や製造が規制されています。
生あん中のシアン化合物については、食品衛生法で「シアン化合物の検出されるものであってはならない」と定められ、製造工程で除去されています。

アオイマメ類…サルタニ豆、サルタピア豆、バター豆、ペギア豆、ホワイト豆、ライマ豆アオイマメ類のイメージイラスト

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清涼飲料水の重金属

清涼飲料水は食品衛生法上、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料、原料用果汁及びこれら以外の清涼飲料水に分類され、
成分規格と製造基準が定められています。 

 

成分規格
食品の種類 成分規格(重金属)
清涼飲料水
(ミネラルウォーター、茶、果汁等の飲料
ヒ素 検出してはならない
カドミウム
スズ 150.0ppm以下

乳等の成分規格

牛乳は、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により次のことが定められています。
1.成分規格
(無脂乳固形分、乳脂肪分、比重、酸度、細菌数、大腸菌群)
2.製造方法の基準
3.保存方法の基準 

牛乳のイメージイラスト

牛乳の種類と成分規格(理化学検査により確認するもの)

種類別 牛乳 特別牛乳 成分調整牛乳 低脂肪牛乳 無脂肪牛乳 加工乳 乳飲料
無脂乳固形分 8.0%以上 8.5%以上 8.0%以上 乳固形分
3.0%以上
乳脂肪分 3.0%以上 3.3%以上 1.5%超 1.5%以下
0.5%以上
0.5%未満 .

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農薬の残留基準検査

農作物等の栽培、保存時に農薬が使用された場合に、農作物等や環境中に残る農薬やその代謝物を残留農薬といいます。
この残留農薬がヒトの健康に害を及ぼすことがないよう、食品衛生法により食品に残留する量の限度(残留農薬基準値)が定められています。
この残留農薬基準値を超えた農薬が残留する食品等は、販売することができません。
本市では、食品衛生監視指導計画に基づき、市内産の農産物を中心に検査しています。

ポジティブリスト制度って?

原則禁止されている中で、禁止していないものを例外的に一覧に示す制度のことです。
以前の食品衛生法では、残留基準の設定されている農薬では、その基準を超えた量を含む農産物等の流通を禁止できましたが
基準の設定されていない農薬については、たとえその農薬が農産物に残留していても、これらの規制が困難でした。
そこで平成18年5月から食品中に残留する農薬等についてポジティブリスト制度が導入されました。
このポジティブリスト制度では、農薬等の残留量と食品の組合せを一覧に示すとともに、
この一覧以外の農薬等が一定量(一律基準:0.01ppm)を超えて残留する食品の流通を禁止しています。

上記ポジティブリスト制度を図で説明しています
【従来の規制】

上記ポジティブリスト制度を図で説明しています
【ポジティブリスト制度施行後】(平成18年5月29日から)

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有害汚染物質の検査

水銀

水銀は天然に存在する成分で、その多くは地殻に存在しています。
この水銀が微生物の作用などにより有機水銀の一種であるメチル水銀に変化したものは、
食物連鎖を通じて魚介類に取り込まれます。
平均的な日本人の水銀摂取量は、健康に害を与えないと考えられる最大量の57%です。
また、からだの中に取り込まれた水銀は、徐々にからだの外に出ていきます(2ヶ月で半分になります)。
そのため、平均的な食生活をしている限り、水銀が過剰にからだの中にたまっていくことはなく、
健康への影響を心配することはありませんが、一部の魚介類については
食物連鎖を通じて水銀の濃度が高いものが見受けられるため、
食品衛生法に基づき暫定規制値(総水銀として0.4ppm以下)が定められています。
本市では、食品衛生監視指導計画に基づき、市内を流通する魚介類を検査しています。

魚たちが泳いでいるイメージイラスト

PCB

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は不燃性・絶縁性などの化学的特性から、工業製品に幅広く使用されていました。
しかし、発がん性があり皮膚障害等を引き起こすなど、ヒトに対する毒性があり
昭和43年に発生したカネミ油症中毒事件をきっかけに製造・輸入が禁止されました。
それとともに、環境汚染を経由した食品によるヒトへの健康被害を防止するため、
食品衛生法に基づき暫定規制値が設定されました。
本市では、食品衛生監視指導計画に基づき、乳製品や魚介類のPCBを検査しています。

食品中に残留するPCBの暫定的規制値

食品の種類 暫定的規制値
遠洋沖合魚介類(可食部) 0.5ppm

内海内湾魚介類(可食部)

3ppm
牛乳 0.1ppm
乳製品 1ppm
育児用粉乳 0.2ppm
肉類 0.5pmm
卵類 0.2ppm
容器包装 5ppm

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畜水産物食品中の残留有害物質

畜水産食品中の残留有害物質モニタリングは家畜、養殖魚介類等に対して、生産段階で使用される動物用医薬品及び飼料添加物等が
食肉、魚介類等の畜水産食品に残留している実態を把握し、適切な行政対応を図るために実施されています。

動物用医薬品

家畜や養殖魚等の病気の治療や予防のために使用される医薬品のことです。
作用別に、抗生物質、寄生虫用剤、ホルモン剤等に分けられます。

飼料添加物

家畜や養殖魚など にエサとして与えられる飼料に品質保持や栄養補助等のために使用されます。

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アレルゲン

食物アレルギーは、人によってはごく微量のアレルギー物質によって発症することがあるため、健康危害防止の観点から
これらを含むことを表示することが義務づけられています。 

アレルゲン
表示が義務付けられたもの えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の計7品目(特定原材料)
表示を奨励するもの

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば

大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの計20品目(特定原材料に準ずるもの)

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器具・容器包装の成分規格

食品衛生法において「器具」とは、飲食器、割ぽう具( 包丁、まな板など食品を調理する際に使う道具)
その他食品または食品添加物の製造、加工、飲食等に用いられ、かつ、
食品または食品添加物に直接接触するものであり、 「容器包装」とは、食品または食品添加物を入れ、または包んでいるものです。
容器包装の具体例としては、食品または食品添加物を入れ、または包む瓶、缶、箱、袋、包装紙などがあります。 
食品に使用する器具、容器、包装材などは、直接食品と接触して使用されることから、
重金属や化学物質等の溶出により食品が汚染される可能性があります。
これらの安全性を確保するために食品衛生法により材質・使用用途別に規格基準
が設定されており、その規格基準に適合していなければなりません。

割りばしに係る監視指導

割りばしについては、過去に防かび剤や漂白剤の残留が確認されたとの報告があること等を踏まえ一膳あたりの含有量の指導値が定められています。

箸を持っているイラスト

防かび剤等の1膳当たりの限度値

検査対象物質

1膳当たりの限度値

オルトフェニルフェノール

チアベンダゾール

ジフェニル

イマザリル

不検出

二酸化硫黄又は亜硫酸塩類

4mg(二酸化硫黄として)

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微生物検査

微生物検査
主な検査項目 概要
一般細菌数

食中毒菌が検出されなくても、細菌数の多い食品は、保存中や販売後短時間で腐敗が進み変味、異臭などの原因になります。

細菌汚染状況を確認することができるので、食品の安全性や衛生的取り扱いの良否などの総合的な評価判断に使うことができます。

大腸菌群

一般細菌数と同様に汚染指標菌の一つです。

大腸菌群には、多くの菌種が含まれています。

食品衛生細菌学上の用語であり、大腸菌群という名前の細菌は存在しません。

腸管出血性大腸菌/td> 食中毒の原因(腸管出血性大腸菌)
黄色ブドウ球菌 食中毒の原因(黄色ブドウ球菌)
サルモネラ属菌 食中毒の原因(サルモネラ属菌)
セレウス菌

土壌などの自然界に広く分布している菌で、耐熱性芽胞を形成します。

セレウス菌による食中毒には、この菌が増殖する過程で産生する毒素による嘔吐型食中毒と

増殖したセレウス菌の付着した食品を摂取することで発症する下痢型食中毒があります。

クロストリジウム属菌

クロストリジウム属菌には、ボツリヌス菌およびウェルシュ菌などの食中毒菌が含まれます。

また、タンパク質や糖分解など品質劣化作用の強い菌種が多く、食品衛生上重要な菌群です。

土壌、下水など自然界に広く分布し、食肉および魚介類などの食品は本属菌に汚染される機会が多く、

これらを主原料とする食品がウェルシュ菌やボツリヌス菌による食中毒の原因になりやすいと言えます。

低温細菌

食品の検査では、低温(通常5~7度以下)で増殖可能な細菌群を言います。

低温細菌は食品成分を分解し、異臭、苦味並びに着色などを生じ、食品の品質低下の原因となることがあります。

乳酸菌

ヒトや動物の腸管、自然界並びに各種食品等に広く分布しています。

乳酸菌飲料等に規格基準が定められており、例えば発酵乳では1000万/ml以上 とされています。

細菌検査のイメージ写真

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この記事に関する
お問い合わせ先

健康部 衛生検査課 食品衛生係

電話:027-220-5778 ファクス:027-223-8835
群馬県前橋市朝日町三丁目36番17号
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更新日:2019年02月04日