令和7年3月18日 前橋市地域公共交通活性化協議会

審議会名 前橋市地域公共交通活性化協議会

会議名 前橋市地域公共交通活性化協議会(令和7年3月18日開催)

日 時 令和7年3月18日

場 所 前橋市役所 議会棟 301会議室

出席者

20名(詳細は添付名簿参照)
※名簿中3番、10番、11番、12番、18番、21番は代理出席

欠席者

4名 ※名簿中7番、13番、15番、24番

議題

(1)本市における土地利用のあり方に関する検討について(報告1) 
立地適正化計画の実質化に向けて本市で検討している事項について、報告を行うものです。

(2)路線バス利用者アンケート調査結果について(議事1) 
市内の公共交通の現況を把握するために実施した標記アンケート結果について、報告を行い、その内容に係る各委員の意見を確認するものです。

(3)市内高校生、保護者アンケート調査結果について(議事2) 
市内の公共交通の現況を把握するために実施した標記アンケート結果について、報告を行い、その内容に係る各委員の意見を確認するものです。

(4)本市の地域公共交通を取り巻く現状・課題の整理について(議事3) 
次期前橋市地域公共交通計画(現況・課題編)の内容について報告を行い、その内容に係る各委員の意見を確認するものです。

(5)その他
本協議会の次年度の予定及びデマンドバス停の自治会による選定基準について報告を行うものです。

会議の内容

(1)本市における土地利用のあり方に関する検討について(報告1) 

(事務局(都市計画課)より報告) 

(森田副会長) 
立地適正化計画に基づく行動の結果として、大きな効果が見られていないことから、当該計画が実効性のある計画とはなっていなかったと思料する。 今後、立地適正化計画を検討する中で、公共交通を活用することを考えたものとしていただきたい。上毛電鉄沿線地域交通リ・デザイン推進協議会において、存続の方針が打ち出されたが、上毛電鉄の沿線をどのように活用していくかを考えていかなければならない。都市計画においても、公共交通を使って都市を運用していくことを考えていかなければならないと思う。 

(吉田会長) 
資料3ページを見ると、高崎市との引き合いも要因だと考えられるが、居住誘導区域内の人口密度において、県庁所在地の中では最も低密度だった記憶している。 
また、資料7ページを見ると、上毛電鉄の沿線の多くが市街化調整区域となっており、市内で最も利便性の高い上毛電鉄の沿線が都市計画上、市街化してはならないとなっており、まったく鉄道が活かされていない。他地域と比較しても、そのような地域が全く無い訳ではないが、異質ではある。市内で1,2を争う公共交通の利便性が高い地域が活用されていない。そのような土地利用であることから公助としての公共交通が利用しにくく、自助として、自動車で動かざるを得ない人が増えることにも繋がっている部分がある。 
これまで、バスやタクシー利用について、公費を使って支援策を講じてきているが、担い手不足の問題、今後の財源の問題等もあり、今後はそれも危うくなってくると思われる。公助が持続せずに、生活に自助の手段しか残らないとなると住みたい都市として選ばれなくなることにも十分な留意が必要である。いままで立地適正化計画と公共交通がうまく連動できなかった部分もあるかと思うので、今後、公共交通計画を改訂していくモチベーションの1つとなる。 

 

(2)路線バス利用者アンケート調査結果について(議事1) 

(資料について事務局より説明) 

(吉田会長)
1ページ目の回答者の属性を見ると、若い年齢層が多い結果となっている。配布方法などの理由により、年齢層の偏りがなかったか。まず最初に前提条件として重要であると思うので整理したい。 

(事務局) 
前橋駅において朝時間帯に手配りをしたり、車内掲示を行うなどにより実施したところであるが、手配りをした部分については通勤、通学時間帯に重なっている部分があり、実際の利用者よりも若い年齢層に偏っていると考えている。 

また、本市ではマイタクを高齢者対象に実施している。当該制度の実施が他都市に比べて高齢者のバス利用が少なくなっている要因でもあると考えている。 

(吉田会長) 
バス事業者の視点でみた場合、調査結果は皮膚感覚として合っているか。 

(小又委員) 
調査結果は、実際の利用者よりも若干若い人が多いと感じる。実際の利用者層は、もう少し年配の方が多い印象を持っている。 

(吉田会長) 
読み取る際は、サンプルの偏りがあることを念頭に置く必要があると思うので確認した。 

(森田副会長) 
前回の会議では市民アンケートの調査結果について、事務局が報告したが、アンケートの調査項目について精査が足りない部分があると考えている今回は、路線バス利用者アンケートの調査結果、高校生利用者のアンケート調査結果を報告するとのことだが、アンケートの実施前に本協議会に諮っていただきたい。 
また、アンケートを実施した以上はその分析も詳細に行ってもらいたい。まだまだ分析が足りない部分があると考えている。 
公共交通において、今までの議論の中でバスの話が中心に感じているが、鉄道やタクシーの議論はどこに出てくるのか。 

(事務局) 
タクシー利用については、前回の協議会で市内の運行状況を報告させていただいたが、市内のタクシー全体の利用が回復している中でマイタクの利用回数が戻ってきていない。来年度はタクシーのアンケート調査を実施し、その理由、利用実態を把握したいと考えている。 

(吉田会長) 
実際のアンケートの配布の方法によって高齢者のデータが取れているのかどうかが異なる。例えば、今日マイバスと通常路線を見ていたが、南北幹線については、利用者が若かったり、外国人の方が数名いたりという傾向があったり、マイバスは高齢者が多く、乗り降りに少し時間が係っていたのか遅延しているなど路線ごとに素性が違うということに対し、この調査方法であると偏りなくサンプルが網羅ができているのかということを本来は議論してから進めるべきと言う意見は当然である。来年度に向けて反省いただきたい。
そのうえで読み取る際に注意してもらいたいことは回答者が若い世代が多いということ、市外から来ている人が多いという意見が多くなっている。そのことから回答者の満足度が「自宅からバス停との距離」が高く、「夜の時間帯」の満足度が低い傾向にあるのではないかということも読み取れる。一般的に高齢者の方は駅やバス停までの距離が遠いという声を上げるがそれとは逆の結果が出ていると言えるかもしれない。 
利用するターゲットによって求めているサービスが違うということは読み取れそうである。どのような対象のデータが取れているのか、振れているのかについて注意して読み取ってもらいたい。 
例えば、バス利用の頻度が減った理由と増えた理由の部分を見ても、増加路線、横ばい路線、減少路線いずれでも増えた理由の方が回答数が多く、減った理由の回答数が少ない。これは、3ページ目の普段のバス利用頻度をみると、過半数の人が週4日以上利用しているとあり、通勤や通学利用が多いということが分かる。組み合わせると、恐らく、人事異動、進学先の変更でバス利用が増えたと回答している人も相当程度いそうである。事務局でも分析の深度化を図ってほしい。 

 

(3)市内高校生、保護者アンケート調査結果について(議事2) 

(資料について事務局より説明) 

(吉田会長) 
高校生の通学において、雨天時は、自転車通学から送迎にシフトしているとのことだが、悪天候時の市内の高校生の交通事故発生状況はどのような状況か。 

(川島代理) 
雨の日は送迎が主となることから、悪天候時の事故は少ない。 
警察としては、自転車のマナーアップに資する活動を実施し事故の防止に努めているところである。データ上においても、主に朝と夕方を中心に中高生が交通事故の当事者になっていることもあり、通学時の移動を公共交通利用に転換することができれば、送迎や自転車移動の減少などから交通事故も減るものと考えている。 

(小又委員) 
資料中の最後のページであるが、バスが分からない、乗り方が分からないといった声をいただいている。群馬県バス協会において、小学2年生を対象に公共交通教室を実施し利用啓発に努めているところである。 
今後、中高生に対しても同様な啓発活動を実施していきたいと考えている。 
なお、高崎市や玉村町は、県バス協会主催の公共交通教室に複数の学校から参加をいただいているが、前橋市からは1校しか要望が上がってきておらず、残念に思っている。 

(吉田会長) 
前橋市の実施校が少ないということに何か理由あるのか。 

(事務局) 
群馬県の主催事業として、群馬県から県バス協会に委託して実施している事業であるが、群馬県から各市町村宛に公共交通教室の実施について、要望調査を行い、県で実施校を決定するという方法を行っている。本市では本市の教育委員会が例年1校を選定し県に対して報告を行っているということが実態である。改善を図っていきたい。 
今後、高校入学前の中学3年生をターゲットとして公共交通教室を実施していきたいと考えている。 

(吉田会長) 
高校生対象に利用促進するためには、その入学前の中学生をターゲットにするのが良いと思われる。例えば、福島県ではバス無料デーを県立高校の入試の翌日に実施した。意図とすると、お試しでこれから通学するであろう県立高校にバスで通ってみようということである。交通系ICカードや整理券も通常利用どおり使用してもらうことで、利用方法に慣れてもらうと同時に乗降データの確認をしているようである。 

(関澤委員) 
地域公共交通計画を検討するにあたり、土地利用も念頭に検討を進めることは良い取組だと思う。土地利用についてもまとまりとなる地域の拠点をどこにするのかが今後、具体的に落とし込まれてくると思うので、バス利用者がどういった場所で増えているのか減っているのかについても、まとまりとなる地域の拠点の検討で活用するといいのではないかと思った。 
高校生を対象にアンケートを実施したというのは良い取り組みであるが、今後はアンケート分析の深度化をお願いしたい。 
また、個別路線別や個別エリアごとに今後の予測も含めて分析を深められれば、例えば居住誘導区域やバス停圏の濃淡もつけられ、より効果的な計画が策定できるのではないか。 

(滝沢代理) 
恐らくは女性の方が公共交通の利用が多いと推測をしているが、高校生の男女別のデータは取れているのか。 

(事務局) 
今回実施したアンケートではとっていない。 

(森田副会長) 
交通事故の発生状況について、中高生が加害者となっている事故はどの程度の割合か。 

(川島代理) 
おおよそ2割程度ではないかと思う。 

(森田副会長) 
そうであるならば、大体の事故では自転車は被害者になっているということが事故の実態である。自転車に乗っていると交通事故の被害者になる可能性もあるため、公共交通に転換してくださいと促していくことも大事になってくる。 
自転車側のマナーの話もあったが、自動車のマナーアップの活動も必要ではないか。茨城県でも自動車向けのマナーアップの取組を行っていると聞いている。交通上立場の弱い歩行者や自転車を守るために、コンビニエンスストアの駐車場を横切るような運転マナーの悪い人がいる本県の状況についても改善の取組も必要だと考える。 
資料3の中に市内高校の分布図があるが、郊外に高校が広がって分布している状況である。これでは公共交通が利用されづらい。土地利用も一体的に考えていくという報告が会議の冒頭にもあったが、高校の立地についても考えてもらいたいと思う。もし郊外に立地することが理由で公共交通で繋げないということであれば、長期的な視点を持って、学校移転の判断をしていくべきであると思う。一例では、ひたちなか海浜鉄道では義務教育学校を駅前に移してスクールバスではなく公共交通の定期券の支給により移動を担保しているという事例もある。 

(吉田会長) 
前橋市では駅前にあまり高校がない。駅前に高校がなければそもそも公共交通をなかなか使ってくれないし、他都市と比較して、駅周辺に人口が集中しておらず、市街化調整区域にも居住が広がっているという現状もあり、結果として自転車通学が多いということにも繋がっている。これらの課題の根本治療として高校の立地を変えるという意見には同意する。ちなみに青森県では高校を再編する場合は徹頭徹尾、駅の前とし、既存の公共交通を活用することとしている。 
上記の根本治療に至るまでは時間が必要であるから、そこに到達するまでの施策として、具体的には高校生を対象とした取組としてバス利用を促すという整理ができると良い。 

(新井代理) 
中学生までに対しては市から配付されているタブレットがあるのでアンケートなど実施する際はそれを活用するのも良いかと考える。 
また、前橋市から群馬県に対して、「交通事故を減らすために路線バスの定期補助を一緒にやらないか」と提案をしてもらいたい。市の負担も軽減しつつ、より多く生徒に路線バスを使ってもらう可能性があると思うので検討してもらいたい。通学時間帯の道路状況を見ていると危険だと感じるので公共交通に転換する施策を進めてもらいたい。 

(吉田会長) 
経済的な負担を減らすということについて、東京では通学定期の割引分をバス事業者が負担しているという事例があるが、高校生がいくらバスを利用しても割引率が高く、収益が低いから本当は他の路線に注力したいという事業者の声を聞いた。 
そういった声を踏まえると、県や市が定期補助を実施するのであれば、通常定期券の金額と利用者が利用しやすい金額の差額分を行政が負担するというのが持続可能な施策になりうるかもしれない。運賃施策については、この部分をもう少し議論しても良いかと思ったし、どのような施策を実施すれば路線バスを利用するかということも学校や住んでいる地区ごとにばらつきがあるかもしれない。より利用者層の分析を深めてもらいたいと考えている。 
これだけ分散した土地利用であると、鉄道・バスが運行している場所が限定的であり、定期代を安くしても全ての人が利用してくれるという訳ではないと思う。つまり、公共交通の選択肢が距離的に無理である市民は、そもそも利用ができない。市内のどの程度の人が公共交通を利用し通学が可能な圏域に住んでいるのかを確認する必要があると思う。 
栃木県では、県立高校から公共交通を1回の乗り継ぎで何時間で行けるか、到達圏の図面を作成している自治体がある。高校ごとに到達圏の分析を進められると具体的なターゲットが見えてくるので次年度の検討としていただきたい。 

 

(4)本市の地域公共交通を取り巻く現状・課題の整理について(議事3) 

(宮下委員) 
課題4の部分、公共交通を利用していない方に広めていくということは大切である。民間の企業と意見交換しても公共交通を利用しない方が多い。商工会議所でGunMaaSを周知してもなかなか登録につながらない現状があり、商工会議所でもどうやって登録や公共交通の利用を広めていくかと議題になっているが、例えば、街中のイベント時は車での移動は混雑していて不便であるが、公共交通なら早く到着できるということに視点をあて、利用促進のキャンペーンをするのはどうかという意見が出ていた。祭りもそうだが他にもブックフェスなどの新しいイベント、敷島公園でのスポーツイベントも盛んに実施されており、そういった際に実施できるとよいと思う。 
街中ではまちづくりを民間と公共が協働で進めている。車社会において街中に行くことは、郊外のショッピングモールに行くことに比較して不便であるにもかかわらず、街中に魅力が出てきて行く人が増えている。そのような状況も公共交通の利用のきっかけとしていただきたい。 

(事務局) 
イベント時の企画は、チケットのデジタル化などで容易にできる環境になったので積極的に実施していきたい。
街中に人が増えてきたと感じている。街中の共同運行として本町ラインを実施しているが、本町ラインに関する路線は特に利用状況が良い傾向が見られる。 

(吉田会長) 
早く目的地に到着できると公共交通が使ってもらえるようになるということは先ほどのアンケート結果でも示唆されている。速達性ということがメリットとして打ち出せる環境になれるかというのも重要だと思う。 

(森田副会長) 
県と市の政策をそれぞれ連携させ、また役割も明確にして施策を進めてもらいたいと考えている。 
課題1についてであるが、市内の南北バス幹線軸を見据えてのものだと考えるが、鉄道と南北のバス幹線軸により公共交通ネットワークを強化するということで取り組んでいってもらいたい。 
もう一つであるが色々な人に公共交通を利用してもらうという視点が大事だということだが、カーフリーデーの実施を提案したい。日本では金沢市やさいたま市などが実施している。世界規模で実施している公共交通のイベントであり、ヨーロッパを中心に多くの都市で実施されている。 
県の交通まちづくり戦略の中に「県市が共同してカーフリーデーを実施することを検討する」と書かれている。群馬県には、それを根拠に前橋市で同イベントを実施することを検討してもらいたい。県、市、市民団体が共同でイベントを実施し、特定の期間を様々な方に公共交通に関心を向けてもらうきっかけにしてもらいたい。 
前橋は公共交通での移動が約2.5%程度である。その小さいパイだけを狙っていても無理があり、公共交通分担率を倍にするというような取組が必要である。公共交通の利用者が多いとどのような生活になるか、前橋市が目指す姿を交通計画に描く必要がある。 

(吉田会長) 
どうやって公共交通に関心をもってもらうかということに世界水準のカーフリーデーという提案をもらったが、将来目指している街の方向性を知ってもらうためにも非常に重要だと思う。 
交通計画に基づいた事業を進めることでどういったライフスタイルが描けるのかということを知ってもらうためにも、交通計画に将来の街の移動の姿の絵を描くことは、重要だと思うので次年度に議論していきたい。 
ちなみに先ほど紹介した福島の路線バス無料の取組は通常に比べて利用者は4割増であった。運賃施策だけではやはり効果が限定的なところがあることも付け加えておきたい。 
総括であるが、事務局から提案があった課題と方向性について大きな異論はなかったがアンケート結果を更に分析することや、交通の将来像の絵を作成するべきという指摘、街中と公共交通を結びつける施策の検討などにご意見をいただいた。それらを踏まえて次年度も協議にご協力いただきたい。 

 

(5)その他 

(事務局より次年度スケジュール、デマンドバスのバス停設置要項(自治会によるバス停の選定基準)について説明) 

(森田副会長) 
自治会によるバス停選定は分かったが、バス停の設置については、計画的な視点も必要ではないか。 

(事務局) 
現時点では、原則、先程説明した選定基準に基づき、自治会の要望に基づいて設置している状況であるが、計画的視点も持って検討していきたい。 

(森田副会長) 
自治会の要望だけではなく、潜在的な需要やタクシーとの兼ね合いも考えて検討してもらいたい。 

(吉田会長) 
デマンドバスに関する市民アンケート結果では、乗り合いであるがために迂回することが必要となるが、そのことでデマンドバスの利用を忌避しているという声も一部にある。バス停の数を増やすと運行の効率性は下がるということもある、デマンドバスの在り方、位置付けを今後議論し、交通計画に反映した方がよいと思う。 

 

以上

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更新日:2025年01月25日