第33回アーツ前橋運営評議会報告
審議会名
アーツ前橋運営評議会
会議名
第33回アーツ前橋運営評議会
日時
令和7年10月24日(金曜日)午後1時~午後3時
場所
アーツ前橋 1階スタジオ
出席者
委員
郡司委員長、前山副委員長、天野委員、大橋委員、奥西委員、小林委員、櫻井委員
事務局
南條特別館長、片貝文化スポーツ観光部長、出原館長、上田副館長、庭山学芸担当係長、辻主任学芸員、高橋学芸員、井波学芸員、東学芸員、根岸副主幹、関主事
欠席
青柳委員、加藤委員、藤井委員
議題
1 アーツ前橋の運営について
(1) 前回の意見等
(2) アーツ前橋の概況
2 令和6年度・令和7年度事業結果について
・令和6年度事業
(1) 「はじまりの感覚」展
(2) 「うすい店」展
(3) マームとジプシー
(4) あーつひろば
(5) アーツナビ
・令和7年度事業
(6) 「石田尚志 絵と窓の間」展
(7) 「新収蔵作品展」/「コレクション+」展
3 令和7年度 今後の事業内容について
(1) 「ゴースト 見えないものが見えるとき」展
(2) 「向井山朋子 Act of Fire」
会議の内容
1. 開会
【南條特別館長】
今までを振り返って、皆さんご承知のとおり2020年から2022年くらいにかけていろいろ問題もあり、美術館としての信用を失っていた時期もあった。前橋市文化芸術戦略顧問として呼ばれたのが2023年、美術館の立て直しというのをやった。
委員の方々は、今回から全員が2023年新体制になってから就任された方で構成されることになった。また気持ちを新たに来年以降の活動に向き合っていきたいと思う。
【片貝部長】
本協議会は、アーツ前橋の運営方針等について意見を聞くことを目的としている。特にここ2年間は諸問題の発生に伴い、皆様には特に真剣な議論をいただいたと伺っている。本日は新たに3名の委員をお迎えして新体制での評議会となる。短い時間ではあるが、忌憚のないご意見をいただければと思う。
2.委嘱状交付・委員紹介
任期は本年度と来年度の「2か年度」令和9年3月末までとの確認を行った。
3.委員長・副委員長選任
郡司委員が委員長に、前山委員が副委員長に互選された。
(委員長あいさつ)
【郡司委員長】
日頃は群馬大学共同教育学部の立場で美術の活性化というのを担っている。そういった立場からも地域の芸術・文化の拠点となるアーツ前橋との連携、連帯が欠かせないと思う。また、昨今ウェルビーイングの観点から、美術館をはじめとして色々な施設への期待が高まっている。一市民としてもアーツ前橋を多角的に変えていくため、この運営評議会の重要性を再認識している。前委員長、副委員長からのバトンを引き継ぎ、役割を果たしていきたいと考えている。
4. 議事
1 アーツ前橋の運営について
(1) 前回の意見等
(2) アーツ前橋の概況
(事務局説明)
【委員】
第32回で出た意見について、これらに関する改善等はされたのか。
【事務局】
先ほどの説明と被る点もあるかもしれないが、まず正規学芸員の増員について、令和7年度から任期のない正規職員を1名採用している。
グローバルな視点、ローカルな視点というところで、現在開催しているゴースト展、夏に行ったコレクション展がそれぞれあたると考え、両視点を継続しているのではないかと考えている。
美術品の収蔵については、先ほどの説明にもあったが、少なからず購入費用は予算計上しており、購入できるようにはしている。
中高部活動レベルの招待については、連携をとり進めている最中で、視察見学の件数に当該数値が含まれているとご理解いただきたい。
【委員】
直近5年度の決算額について、記載されているのは支出額だと思うが収入面の話を伺いたい。
【事務局】
正式な数値を後ほどお伝えする。入館者収入に関して手持ちの資料を基にお伝えすると、2020年269万円、2021年73万円、2022年92万円、2023年1,053万円、2024年779万円となり、直近2年間で収入が伸びている。その他、補助金や交付金等も歳入として取り込んでいるところである。そういった点を含め、データを整理してご提示できればと思う。
【委員】
来館者の推移について、総来館者と展覧会観覧者数とあるが、この総来館者数はどのような意図を指しているのか。また、アーツ前橋には無料スペースがあるが、そこはどちらに計上されているのか。
【事務局】
本来であれば年報等お渡ししての説明がわかりやすいかと思う。総来館者数というのは、展覧会観覧者に加えて、カフェやショップ、アーカイブスペースといったアーツ前橋の館内を利用した全体の数となっている。
2 令和6年度・令和7年度事業結果について
・令和6年度事業
(1) 「はじまりの感覚」展【1/25~3/23】
(2) 「うすい店」展【1/25~3/23】
(3) マームとジプシー
(4) あーつひろば
(5) アーツナビ
(事務局説明)
【委員】
小学生などの子供たちと実際に触れ合っていく中で、物事の決め方一つとっても時代による変化を感じていて、ファシリテーションを学んできているなと感じる。そういった子供たちの場面を見て教育が変わってきていると思った。アーツナビゲーター研修が、アートを通してファシリテーションを感じられるものになるのではないかと期待しているので、引き続き頑張ってほしいと思う。
【委員】
展覧会の成果についてはかなり順調にいっていると思った。一方で、あーつひろばやアーツナビゲーター研修については、ナビゲーターの高齢化が進んでおり、県内どの美術館も同様だとは思うが、研修の課題といったところで、学校団体(部活動)を誘致しながらもというのは現実的に難しいのではないかと個人的には思う。中学校美術部を呼ぶとしてそれを引率できる先生がいるかとか土日に来てくれるかとか、先生の負担を減らす動きがある中で課題に書かれている形を実現しようとすると難しい。
最近、群馬立近代美術館のほうでもサポーターの高齢化が進んでいて募集をしていたが、数人応募があった。やはり募集がないと希望する人が応募できないので、受け入れ態勢が整ったタイミングでもよいので、募集は年に1回でもあったほうがいいかと思う。
アーツナビゲーター研修についての提案としては、同じく茨城県近代美術館で高校生特派員のような感じでかかわってくれている館の情報だったり、展覧会の面白かったところだったりを漫画にして発信したりしている。スタッフに教育経験者が多いというのもあると思うが、中高生に来館を促すだけではなく、主体的に盛り込んでやってもらうというのができればよいのかなと考える。
【委員】
サポーターについて、私のところではもともと30人くらいで活動をしていて、追加募集という形で集めていた。活動を希望する方には必ず活動を見てもらうようにしていた。例えば解説を1つ聞いたら1つハンコがもらえるなど。それで応募の資格が得られるような形にしていたので、ぜひおすすめしたい。
インクルーシブアートについては、一過性というか単発で終わってしまう可能性もある。継続して当事者の方とつながっていく必要があるので、ぐんまインクルーシブアート環境創造プロジェクトなどを介してそういった仕組みになるとよいなと思う。
【委員】
この説明の前のところで来館者数の推移というのがあった。コロナ禍よりは確実に増えていると思うが、前橋市の都市の規模、そしてアーツ前橋の素晴らしい展示内容をもってみると、個人的にはまだまだ少ないと感じる。ではどうすればよいのかと考えると、学校への訪問だったり前橋市内の中高校生を展示に招待して解説をしたりすると、子供たちにとっても教育になると思う。こういった庁内で連携をとることの実情についてご説明願いたい。
【事務局】
学校教育の問題については、現状子供たちを美術館に連れてくるというのが難しくなっている。金沢などでは学校からバスでというような形をとっているところもあるが、前橋市ではそれが厳しい。学校の体制で難しいのであれば、徐々に進めていくしかないのではというのが結論。アーツ前橋の評価を高めることによって、周囲の皆さんに魅力が広がり、子供たちにも興味を持ってもらえるようになるのではないかと考えている。
まだまだ正規職員が少ないということは前提で、この2年間に関しては基本的に展覧会をメインにやっていかなければいけない。それができてから地域アートプロジェクトや教育普及に広げていきたいと思っている。まだ途中というだけで、非常に難しい問題が多いが、少しずつ前に進んでいきたいと考えている。皆さんのご意見を粛々と反映させながら、少しずつ改善させていきたい。
【委員】
入場者数に関して、運営に直結するため、有料入場者の割合というのも大きな問題になる。活動の報告を見ると、館内だけでなくこれに加えて館外の活動も含まれている。アーツ前橋の場合は、広範囲な活動をしているので、専門性の高いスタッフを増やしていかないと厳しいのではないか。
それから、現在900数十点の収蔵品があると記載があるが、データベース化されている割合はどれくらい達成しているのか。
【事務局】
アーツ前橋に収蔵されているものはデータ化されていて公開できる。開館前(2013年以前)に前橋市が収蔵していたもので移管されたものについては、今年度にすべて公開できるようにしている。
【委員】
予算の体制について、国公立も含めて美術館の財政状況というのが表立って発表はされていないが、かなり厳しくなっているのが実情。独立行政法人の美術館などでは、財務省がらみで来年度以降の予算について数億削減されているところもある。これからの5年、10年のスパンでどのようなビジョンを考えているのか。例えば国立西洋美術館など、プロフィット(営利を目的)のパートナーを水面下で探している美術館が増えている。税収だけではプログラムを賄うのが厳しくなっていくと思う。未来の話にはなるが、そのあたりをどのように考えているのか。
【事務局】
まさにご指摘の通り、市の財政はかなり厳しい。さらに市長が交代したことによって目指すべき政策の方向性が多少変わってきた。市全体でそこに投資をするために、他は我慢しろといった余波が来ている。5年先、10年先というと回答が難しいが、今できることとすると、国からの交付金や入館料収入の増、ふるさと納税のチャネルの新規作成など、どうにか多くのお金が集まる仕組みをとりながら運営していきたいと思っている。しかし昨今人件費がかなり高騰しており、管理費が増えてしまっている状況。5年先、10年先の計画については必要性を感じているが、すぐにお答えするのは難しい。
【委員】
アーツ前橋の展示室内の火災に対するシステムについて教えてほしい。
【事務局】
展示室内については消火器対応となっている。文化財を展示する可能性のあるギャラリー3や収蔵庫ではハロン消火となる。
【委員】
最近、某美術館でファシリティレポートを提出したときに、展示室内でスプリンクラーのあるところに作品を飾っていたということがあった。アーツ前橋では作品を借りる際、所蔵先に対して消火器対応というのはクリアされているのか。
【事務局】
地下の展示室ではスプリンクラーもなく、消火器のみで提出して国立の美術館から許可は得たことはある。
【委員】
今まで許可が下りなかったことはあるか。
【事務局】
過去すべてお借りできている。
・令和7年度事業
(6) 「石田尚志 絵と窓の間」
(7) 「新収蔵作品展」「コレクション+ 女性アーティスト、それぞれの世界」
(事務局説明)
質疑応答特になし
3 令和7年度今後の事業内容について
(1) 「ゴースト 見えないものが見えるとき」展【9/20~12/21】
(2) 「向井山朋子 Act of Fire」 【1/24~3/22】
(事務局説明)
【委員】
11月15日、16日に「前橋学校フェスタ」が開催される。一昨年開催した際に、パンフレットを400から500部配布したところあっという間になくなった。去年の開催時には、「今年は何をやっているのか」と声をかけてくる人もいた。来場者は主に小中高生の親が来ている。初めて元気21に来る人も多く、アーツ前橋の宣伝になる良い機会だと思う。またパンフレット配布の要望があれば協力するので、ぜひこの機会にこういった場を活用していただければと思う。
【委員】
中心商店街では企画展ごとに紹介するということもあり、商店街のメンバーが解説を受けながら展覧会を観てまわることになっている。我々も中心商店街から前橋を発信していく必要がある。個人的に、過去ほとんどの展覧会を見ているがゴースト展には感銘を受けた。商店街をあげてまた活気がつくようにしてまいりたい。
今年度、来年度に向けてのアーツ前橋の活動の中で、アートインレジデンスのスタンスはどうかを伺いたい。過去のアーツ前橋あり方検討委員会があった際に、アートインレジデンスについてもっと積極的になってもよいのではという話をさせてもらった。特にアーツ前橋は地域(前橋の街中)と一体となって発展していくパートナーであるという風に考えている。以前は海外(国外)作家を年に3、4人を呼んで2か月程度滞在制作をしてもらっていた中で、まちなかとも良い交流ができ、商店街にとっても個人にとってもかなり有益で非常にいい事業だったと思っている。予算の関係や人員の関係でほとんど行われていないと思うが、今後アートインレジデンスについてはぜひ積極的に復活していただきたい。「シェアフラット馬場川」についても滞在場所としてご協力できると思うので、アートインレジデンスについて現状の考え方について教えていただきたい。
【事務局】
先ほどの説明と被るかもしれないが、人員が少ない中でアーツ前橋を前進させようという目標として考えている。すべてを急に新しくはできないが、堅町スタジオが来年一年間くらいは使えるので、そのチャンスを逃さないようにとは思っている。また、美術館としてまちなかとの交流が必要だと考えている。市の考え方にも影響されるとは思うので明確にお答えできないが、来年度予算取りはしようとしている。
【委員】
インフルエンサー活用について、ある展覧会記事をインドネシア在住の若手アーティストがSNSで投稿をした際に、その週末からどんどん来館者数が多くなった。SNS、特にインフルエンサーの投稿を見て来場したという人が8倍くらいになった。来場に起因する内容も時代が変わっていると感じた。そういうタッグを組むという効果は歴然としてあると感じたので、アーツ前橋でもぜひ検討してほしい。
アーティストインレジデンスは、日本語が不自由な方と地域が繋がるのになかなかうまくいっている例がないが、中之条ビエンナーレに行った際、この20年の間でかなり作り込まれていると感じ、地域の人たちもお土産を作ったりなどしていた。非常にいい例だと思うので、ぜひ参考にするといいと思う。また中之条の面白いところは、会期関係なく一年中活動していること。日常的に取り組んでいる好例が近くにあるので良い参考になるのと思う。
5. その他
【事務局】
冒頭にも伝えたとおり委員の任期については、令和9年3月末としている。評議会の開催回数は、年間2回程度を考えており、次回は、来年3月頃開催を目指し、委員長と改めて相談していきたい。
【出原館長】
貴重な意見をどんどん出していただき、大変参考になった。私たちも色々考えながら前に進んでいるところではあるが、今回出してもらった意見を参考にしながら、今後に活用していきたいと思っています。次回は過去の問題も含め、より明確な答えを出していきたいと考えているので、ぜひまたご出席いただきたい。
6. 閉会
主な意見等
・アーツ前橋の場合は、広範囲な活動をしているので、専門性の高いスタッフを増やしていかないと厳しいのではないか。
・他館の事例として、プロフィット(営利を目的)のパートナーを水面下で探している美術館が増えている。税収だけではプログラムを賄うのが厳しくなっていくと思う。
・予算の関係や人員の関係でほとんど行われていないと思うが、今後アートインレジデンスについてはぜひ積極的に復活していただきたい。
・アーティストインレジデンスは、日本語が不自由な方と地域が繋がるのになかなかうまくいっている例がないが、中之条ビエンナーレは非常にいい例だと思うので、ぜひ参考にするといいと思う。
・サポーターについて、他館の事例ではもともと30人くらいで活動をしていて、追加募集という形で集めていた。活動を希望する方には必ず活動を見てもらうようにしていた。
・学校への訪問だったり前橋市内の中高校生を展示に招待して解説をしたりすると、子供たちにとっても教育になると思う。
・インフルエンサーとタッグを組む効果は歴然としてあると感じたので、アーツ前橋でもぜひ検討してほしい。
関連書類
委員名簿(令和7年度) (PDFファイル: 106.2KB)
アーツ前橋運営評議会設置要綱 (PDFファイル: 84.0KB)
資料1-(1)_前回の指摘事項等 (PDFファイル: 123.8KB)
資料1-(2)_アーツ前橋の概況 (PDFファイル: 666.4KB)
資料1-(2)追加_直近5年の収入 (PDFファイル: 429.0KB)
資料3-(1) 前回の指摘事項等 (PDFファイル: 177.6KB)
資料2-(1)_はじまりの感覚展(評価調書) (PDFファイル: 245.1KB)
資料2-(2)_うすい店展(評価調書) (PDFファイル: 251.3KB)
資料2-(2)_はじまりの感覚展/うすい店展(アンケート) (PDFファイル: 850.3KB)
資料2-(3)_マームとジプシー(評価調書) (PDFファイル: 302.3KB)
資料2-(4)_あーつひろば(評価調書) (PDFファイル: 259.8KB)
資料2-(5)_アーツナビ(評価調書) (PDFファイル: 268.3KB)
資料2-(6)_石田尚志展(評価調書) (PDFファイル: 269.1KB)
資料2-(6)_石田尚志展(アンケート) (PDFファイル: 972.9KB)
資料2-(7)_新収蔵作品展/コレクション+展(評価調書) (PDFファイル: 252.0KB)
資料2-(7)_新収蔵作品展/コレクション+展(アンケート) (PDFファイル: 990.6KB)
この記事に関する
お問い合わせ先
文化スポーツ観光部 文化国際課 アーツ前橋
電話:027-230-1144 ファクス:027-232-2016
〒371-0022 群馬県前橋市千代田町五丁目1番16号(アーツ前橋・2階)
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更新日:2025年12月16日