第30回アーツ前橋運営評議会報告

審議会名

アーツ前橋運営評議会

会議名

第30回アーツ前橋運営評議会

日時

令和6年3月25日(月曜日)午後1時30分~午後3時30分

場所

アーツ前橋 1階スタジオ

出席者

委員

友岡委員長、片倉副委員長、青柳委員、畔上委員、加藤委員、郡司委員、小林委員、櫻井委員、前山委員

事務局

南條特別館長、阿佐美部長、大原課長、出原館長、徳野副館長、上田総務担当係長、庭山学芸担当係長、辻学芸員、酒井副主幹

欠席

天野委員

議題

1 アーツ前橋の運営について
(1) 前回の指摘事項
(2) アーツ前橋の概況
(3) 職員体制の推移
(4) 運営評議会の役割
(5) 今後の方向性

2 令和5年度展覧会の実施結果(進捗状況含め)について
(1) 「ニューホライズン」
(2) 「前橋の美術」

3 令和5年度収蔵美術品専門委員会の結果について

4 令和6年度事業概要について

会議の内容

一 開会

【南條特別館長あいさつ】
昨年4月の就任にともない、出原館長にも来てもらい新しい体制を組んだ。アーツ前橋が10周年を迎えるにあたり、次の10年にふさわしい大きな展覧会として街なかに進出するとともに、これまでの問題に取り組むことで、イメージを一新しようと大変頑張ったと自負している。
本日はこれまでの活動の報告とこれからの活動についての提案をし、ご検討いただきたいと思うので、よろしくお願いします。

【友岡委員長あいさつ】
半年ぶりの開催かと思う。前回、各委員から活発な意見をもらい、事務局ではそれを踏まえて対応いただいているし、いろいろな検討をしてくれている。本日の会議では引き続き皆さんのご協力をお願いしたい。皆さんの意見を頂戴できたらと思う。どうぞよろしくお願いします。

二 議事

1 アーツ前橋の運営について

(1) 前回の指摘事項
(2) アーツ前橋の概況
(3) 職員体制の推移
(4) 運営評議会の体制
(5) 今後の方向性

資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

【委員】
職員体制の整理について、事務職員と学芸員では正規の事務職員に比べて学芸員の任期付きや準常勤が多い。素朴な疑問だが、今後は学芸員の正規を増やしていくということで良かったか。

【事務局】
事務職員は他部署への異動がある中でこの定数となっており、学芸員は異動がない中での整理としている。少し経緯を説明すると、開館5年をきっかけに運営を指定管理か直営かの議論を行い、直営との判断をした。それを受けて取り組んでいく予定だったが、令和2年に事案が発覚し議論が止まった。今回もう一度議論を仕切り直すということで総務部と調整していきたい。

【委員】
お願いしたいと思う。これを飲食店で例えるとプロフェッショナルなコックとホールスタッフという図式と捉えることができる。そのコックが非常勤という状態かと思うので是非頑張っていただきたい。

【事務局】
話をいただいた学芸員の任期付きについて、文化国際課としては任期付きとなっている学芸員の状況を見直したいと考えている。学芸員の正規化に向けて総務部門と調整を進めていく。

【事務局】
館長としては学芸員を正規にしたい。任期付なしにしていきたい。学芸員の仕事とは、展覧会のための資料を購入する、私生活でも展覧会を観に行くなど、仕事自体が公私一体化している生活をしている。その中で、任期付きだったり非常勤だったり良くない環境にあると十分な将来像が描けない。どうにか解決していきたいと思っている。一番ネックとなっているのが、異動がないことのようだが、担当部署と話を続けていく努力をしていきたい。

【事務局】
あり方検討委員会の提言をみると不安定な雇用の問題が書いてある。また、ゼネラリストとして他部署を回らないと、と言われているが、他の国でそのようなことを言っているのを見たことがなく、私には理解できない。専門家が雇われていけないというルールはどこにも書いていない。日本が世界に向き合っていこうというのであれば、前橋から改革してもらいたいと思う。

【委員】
日本における専門職の扱いは理解が進んでいないと感じており、この件に関する調査研究を行ったこともあるように個人的にも問題だと思っている。今後に期待をしている。

【委員】
ミッションについて、美術館の位置づけに関して経済的にも寄与するというのはこれまでと相反するのではないか。

【事務局】
経済的に寄与するという意味はたくさんあるし、方法もたくさんある。純粋なアートの発展に弊害があると言っているのはアートだけやっている人の恐れだと思う。専門家ではない一般の人たちの感覚が重要だと考えている。アートのメリットは何だろうと考える人もいるだろう。さまざまなメリットがあるが、例えば会社のイメージを印象付けることにつながるだろうし、教育を受けるときの創造性にもつながる。
あえてここに書いているのは、美術館とは研究機関としてだけではなく、一般の人をつなぐ結節点でもあると思っている。街の役に立つ、街の発展につながると書くことに意味がある。美術館の未来を考えたときに、日本の公立美術館というのは出来た時の予算を頂点とし年々減っていく。それはおかしいと感じており、いい美術館は発展させるべきだと思っている。発展させるためにもっとお金を使う必要が出てくる。街が美術館を所有したならばそれを支えて発展させる必要があり、街とともに発展させる必要がある。それができたとき街のイメージは文化的として輝いていく。
経済的にも経営的にも街の人たちのことも視野に入れて一緒に発展していくことが、最終的には一番の持続的な美術館の成功した形になっていくと考えている。

【委員】
賛同できる話だと思う。美術館の現場でどのようにつながっていくかということを取り組んでいる身としては半年や一年で結果は出ない。これには5年から10年が必要で、どのように市の発展に寄与してきたかを判断する必要がある。それを踏まえてどのような人員が必要でどのように整えていくかということを長いスパンで視野に入れることが良い結果を生んでいくのではないか。つまり、長期的な視点をいかに持てるかが成功の鍵ではないかと思う。

【委員】
長期的な視点でいけば、群馬県が文化基本方針を策定した際にも20年くらいのタイムスパンで文化行政のビジョンをつくろうということだった。知事が良く言っているが、バックキャスティング(ゴールを見据えて)を意識して動いている。前橋市でも意識しているとは思うが、アーツの運営もそのような視点で進んでいくことを期待している。

2 令和5年度展覧会の実施結果(進捗状況含め)について

(1) 「ニューホライズン」

資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

【委員】
感想だが、規模感はちょうど良かった。半日で全部観ることができ、映像だけでなく他の形式も含め良かった。知り合いでは宿泊したという声も聞いたという意味からも、市への経済効果もあったと思う。

【委員】
アートを詳しくない自分としては、これを楽しみにしていた一般のお客さんと同じ感想かと思うが、まち全体がアートになっていて面白かった。ただ、回遊できるイベントだったが、会場が分かりづらかったのと、会場内の案内が分かりづらかった。さらに、もう一回観たいと思ったので、二回目割引があると嬉しい。

【委員】
11月の学校フェスタでチラシを配布した。たくさんの方が持っていってくれたり、声をかけてくれたりと反応があったのは珍しい。裏を返せば、宣伝力に課題があるのかもしれない。市全体として宣伝力の弱さがいつも気になっているので、私も含めて考えていかなければならないと改めて思った。

【委員】
美術に興味のない人間を連れていったが、多様な展示で満足してくれたようでいい展示だったと思う。館外の展示に対してセキュリティ面などを心配していたと思うが、実態はどうだったか、今後の館外活動の視点も含めて教えてほしい。

【事務局】
事務的な観点では、美術館のレベルまでと言わなくても監視や保険など予算を確保し対応した。館外会場の借用も含めトラブルはなかった。

【事務局】
外でも行う展覧会なので、館外も館内も学芸チェック体制を整えた。かなり費用をかけないと館外ではできないと改めて感じた。

【委員】
お金のことを確認したいが、収支比率が100%となっており、係った費用に対して企業協賛などをもらったということか。

【事務局】
企業協賛や市の負担により費用を全額支出した。

【委員】
子どもたちのワークショップがありがたいと思った。満足度が93%ということで、時間の都合で全部見られなかったのが残念と改めて思う。この活動は素晴らしいので、世界に向けての発信についても、今後考えていく必要があるのではないかと思った。

【事務局】
教育委員会との連携に関して、美術の主任会議をアーツの近くで行う計画もあるようだ。当館としても先生や子どもたちが来たくなる仕掛けを行っていきたい。

(2) 「前橋の美術」

資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

【委員】
ニューホライズン展がエッジの利いたものだとすると、前橋の美術は前橋にゆかりがある作家で構成しているということで地域に根差したもの。入館者も常連なのか監視員と対話するなどさまざまなつながりという点で良さがあると感じた。グローバルな視点と、ローカルな視点を継続してどちらも大切にしていくことが必要だと思う。アートゆいなど実行委員会としてもインクルーシブな視点を持っているようなので、全ての人に開かれている展覧会として伝わってくると感じた。

3 令和5年度収蔵美術品専門委員会の結果について

資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

【委員】
確認だが、収集のための購入予算はしばらく計上されていないのか。

【事務局】
来年度少し計上される予定である。

【委員】
それは継続的に確保される見込みなのか、一時的なものか。

【事務局】
継続的なものと理解している。

【委員】
まったく0円が続くのはよくないので念のため伺った。

【委員】
絵画作品のみのようだが、立体作品はないのか。

【事務局】
寄贈者の意向である。

【事務局】
立体作品を集め始めると収蔵庫のスペースの問題が出てくるかもしれない。収蔵庫をなんとかしないといけないと思っている。

【事務局】
これまでの収集の経過の中で立体作品であったり、メディア作品であったりも収蔵している。

【委員】
収蔵庫は一杯になっているのか。

【事務局】
現在は8割程度である。

【委員】
8割ということは余裕があるということではないと思う。もう収集しなくてもいいのではないかという意見が自治体で出やすいが、美術館が収集するということは美術振興であり作家の支援であり、周辺の経済効果にもつながるということを踏まえて、購入を続けていくための条件として収蔵庫も含めて環境をどう整えるかということをお考えいただけたらと思う。

【委員】
悩ましい状況かと思うが、可能な限りの善処をお願いしたい。

4 令和6年度事業概要について

資料に基づき、事務局から説明を行い意見交換を行った。

【委員】
昨年の8月に街なかのカフェを中心に「ひらく」という障害者アートをやった。まさに今回の「感覚をひらく」と同じ切り口である。今年8月にもカフェや元気21の通路などを使い皆さんに見てもらうための計画を実施予定である。チラシを置くなど何か連携できたら可能性が広がるのではないかという期待があるので、よろしくお願いしたい。

【委員】
今年の冬に群馬県庁1階で特別支援教育の児童・生徒の全ての作品が集まるハートフルアート展をやる。今年30周年の節目であり、アーツの展覧会とあわせて前橋のまちがアートの感覚にあふれていくのではないか。
また、ラーニングの教育的な側面をどうしていくかというのは課題が山積しているかと思うが、持続的な鑑賞者を育てるためには外せない視点である。例えば中高の部活レベルの招待など細々とでもつながるなどのアイデアを出し合っていけたらと思っている。

【事務局】
小中高生は無料とするなど間口を広げているつもりである。学校教育に頑張っていただきたいという思いもある。批判的に聞こえるかもしれないが、先生を無料招待する際に美術の先生の来場が少ない。ほかの美術館と比較してこれほど美術の先生が来ないことは珍しいと感じた。学校との連携に力を入れていきたい。協力してもらえる先生がいたら是非紹介してもらいたいし、皆さんの協力を是非お願いしたい。

【委員】
中学の地域クラブへの移行という話も出ている。地域社会における子どもたちがどう文化活動とつながっていくかということを考えていかなければならないと感じている。

三 その他

【事務局】
次回の運営評議会について、博物館登録の再申請の状況も踏まえ、中期的な計画を整理しながら方向性を委員長と相談しながら、半年後の9月頃に開催できたらと思っている。

【阿佐美部長】
本日はお忙しいところ貴重な意見をありがとうございます。4月に人事異動で別の部署に配属されるが、10周年の企画展をはじめとして皆さんの意見をいただきながらワクワクしながら楽しく仕事ができたと思っている。引き続き長期的な視点をもって学芸員の任期なしに取り組んでいきたい。また、弱いと言われている広報について、アーツだけでなく、南條特別館長のアドバイスなどももらいながら来年度しっかり強化し取り組んでいきたいと考えている。
アートをまちの活性化につなげていかなければならないと思っている。普段見かけない人を見かけるなどの変化を感じており、前橋の人にもまちの景色が変わっていくという感覚をたくさん聞くことができた。アートでまちを元気にできるという実感を得ることができたので、引き続きアドバイスをいただけるようお願いしたい。

四 閉会

主な意見等

・職員体制の整理について、事務職員と学芸員では正規事務職員に比べて学芸員の任期付きや準常勤が多い。今後は学芸員の正規を増やしていくということをお願いしたい。

・美術館の現場でどのようにつながっていくかということを取り組んでいる身としては半年や一年で結果は出ない。これには5年から10年が必要で、どのように市の発展に寄与してきたかを判断する必要がある。

・「ニューホライズン」は、半日で全部観ることができ、映像だけでなく他の形式も含め良かった。知り合いでは宿泊したという声も聞いたという意味からも、市への経済効果もあったと思う。

・ニューホライズン展がエッジの利いたものだとすると、前橋の美術は前橋にゆかりがある作家で構成しているということで地域に根差したもの。グローバルな視点と、ローカルな視点を継続してどちらも大切にしていくことが必要だと思う。

・もう美術品を収集しなくてもいいのではないかという意見が自治体で出やすいが、美術館が収集するということは美術振興であり作家の支援であり、周辺の経済効果にもつながるということを踏まえて、購入を続けていくための条件として収蔵庫も含めて環境をどう整えるかということをお考えいただけたらと思う。

・ラーニングの教育的な視点をどうしていくかというのは課題が山積しているかと思うが、持続的な鑑賞者を育てるためには外せない視点である。例えば中高の部活レベルの招待など細々とでもつながるなどのアイデアを出し合っていけたらと思っている。

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更新日:2024年04月18日